日本経済新聞によると2024年4月から投資信託のコスト開示ルールが変わるようです。
今まで自分たちで計算しないと出てこなかった隠れコストも含めた実質の経費率(総コスト率、総経費率)が目論見書に記載するように義務付けるというのです。
ぱっと見の信託報酬率は低くてもそれ以外の経費が多くてそれほど全体からみた手数料は安くないという投資信託も存在していました。
それが目論見書でわかるようになるのはかなりありがたい話ですね。
今回はこの報道を取り上げてみましょう。
実際の経費率の目論見書への記載が義務に
まずは今回の報道内容を見てみましょう。
2024年4月から投資信託のコスト開示が変わる。購入時に投資家に渡す書類に信託報酬など総コストの割合を載せるように、投資信託協会が運用会社約200社に求める。従来は個別に記載されており全体の投資家負担がわかりにくかった。
出典:日本経済新聞 投信、購入時の書類に総コスト記載 投資家わかりやすく
信託報酬率は各社載せていますが、それ以外の経費の掲載は運用会社によってかなり異なっていたんですよ。
ですから単純な比較ができないという部分もありました。
それが今回の変更でかなりわかりやすくなりますね。
Tracers MSCIオール・カントリーが契機?
あくまで予想ですが今回のルール変更は契機になったのかな?って出来事があります。
4月26日に設定されたTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)です。
信託報酬率は
「弊社ファンドでは、指数の標章使用料は信託報酬率に含めており、信託報酬水準が公正な比較対象とならないため、現時点では追随しない方針」(三菱UFJ国際投信)
出典:ITmedia NEWS eMAXIS Slim”オルカン“、Tracers対抗の信託報酬引き下げは行わず 「公正な比較対象とならない」
ちょっとわかりにくい内容ですが、同じベンチマークだけど公正な比較対象じゃない・・・
つまり、三菱UFJ国際投信の言い分としては「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は「指数の標章使用料」が信託報酬に含まれておらず、別途徴収ができる仕組みになっているとのこと。
指数の標章使用料とはおそらく「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」の名前を利用する際に支払う必要があるお金のことで、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)はそれは別途請求する仕組みになっていません。
つまり、実質的に信託報酬率に含まれているということです。
対して、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)別途徴収できるということで、指数の標章使用料分違いが生じるため単純比較はできないということなのです。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの指数の標章使用料がいくらなのかは非公開ですが、それ次第によっては実はTracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)の方が実質的な手数料(信託報酬)は高かったということにもなりかねないのです。
表記の仕方が運用会社によって違っては公正な勝負にならないため、Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式))を発端に三菱UFJ国際投信の問題提起がルールを動かした感じですね。
実際に運用してみないとわからない部分もあるので注意
今回のコスト開示ルールの変更で目論見書を見れば実際どのくらいの経費がかかるのか予想がつきやすくなります。
ただし、運用期間が短い(これから運用)の投資信託などではあくまで予想になるでしょうから差異が生じる可能性もありそうです。
今後はその目論見書に書いてある総経費率と運用報告書に記載の実際の経費率の差異がどのくらいあるのかをチェックする必要も出てきそうです。
今のルールだと差異の部分まで公開する必要がないでしょうし、甘く見積もる運用会社、厳しめに見積もる運用会社に開きも出そうです。
あとはインデックス型の投資信託なら同じベンチマークの商品との比較も必要になってくるでしょう。
まとめ
今回は「投資信託のコスト開示ルールが変わる!!実質経費率がわかるように」と題して実質の経費率が目論見書に記載されるようになるという話をみてきました。
これは利用者側からすればかなり嬉しい変更ですね。
変更後は信託報酬率ではなく、実質の経費率で比較するようになるでしょう。
ただし、運用報告書に記載の実際の経費と目論見書の実質の経費率の差異がどのくらいあるのかはチェックする必要もありそうではありますが・・・
そこまで来ると誤差のレベルの差だと思いますのでそこまで気にしなくても良いレベルかと思いますけどね。
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