新たなETFが登場します。
iシェアーズS&P500プレミアムインカムETFです。
毎月分配×オプションで「プラスの収入」を狙うというかなり尖ったETFですね。
今回はiシェアーズS&P500プレミアムインカムETFについて解説していきます。
iシェアーズS&P500プレミアムインカムETFとは
まずはiシェアーズS&P500プレミアムインカムETFの概要から見ていきましょう。
| ファンドの名称 | iシェアーズS&P500プレミアムインカムETF |
| 運用会社 | ブラックロック |
| ベンチマーク | Cboe S&P 500 Enhanced 1% OTM BuyWrite Index |
| 設定日 | 2025年11月12日予定 |
| 売買単位 | 10口 |
| 銘柄コード | 452A(東証) |
| 信託報酬率 | 年0.495%(税込)。 |
信託報酬率は普通のS&P500ETFと比べると高くなっていますね。
ベンチマークは「Cboe S&P 500 Enhanced 1% OTM BuyWrite Index(OTMバイライト指数)」という聞き慣れないものです。
このETFの最大の特徴なので詳しくみていきましょう。
Cboe S&P 500 Enhanced 1% OTM BuyWrite Indexとは
1%OTMバイライト指数はS&P500に連動するETF(IVV)を持ちながら、毎月 “ちょっとだけ上”(約1%上)のコールオプションを売る戦略を、ルールで固定して数値化した指数です。
言い換えると、株の値動き+オプションの“家賃(プレミアム)”をセットで取りにいく設計です。
イメージとしては、「家賃のような定期収入を取りにいく」代わりに、家の価格が急騰したときの“超過分”は譲る、という交換条件に近いです。
具体的には以下のような感じで動くようです。
・月初にS&P500が横ばい~+1%上昇→株の値上がり(最大おおむね+1%まで)+プレミアム収入が効きやすい。
・+3%急騰→+1%までは取れるが、それを超える+2%分は“上げの取り分をあらかじめ譲っている”ため、原資産に劣後。対価としてプレミアムは手に入っている。
・下落→株の下げは受ける。ただし受け取ったプレミアムがクッションになり、下げ幅を少し和らげることがある(万能ではない)。
ポイントは、「上昇の取り切り」を一部あきらめ、その代わりに“毎月の上乗せ収入(プレミアム)”を狙うという交換条件ですね。
こうしたリターン特性を、指数化(Cboe Enhanced 1% OTM BuyWrite)しているのが本ETFの連動対象です。
仕組みとしてはJEPQに近い感じですね。

配当利回り:「毎月分配」をどう考えるか
ブラックロックは本ETFを毎月決算型としており、安定的な毎月分配の獲得を“目指す”と説明しています。
ただし、分配は約束ではなく、市況次第。
オプションからの受取プレミアムや株式配当などの範囲で分配方針が決まります。「分配の見込み=利回りの確約」ではない点は誤解の多いところです。
ブラックロックの紹介ページでは、同戦略の投資対象ETFの利回りが「10%超」の実績があった時期もある旨の記述がありますが、あくまで過去の一例で将来を保証するものではないと明記されています。
期待だけで判断せず、仕組みと相場環境をセットで考えることが大切ですね。
毎月分配はインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)などかなり売れるなど根強い人気があります。
高齢者向けNISAで対象にする動きがあるくらいです。
ただし、デメリットもあります。そのあたりも加味して考える必要はありますね。

プレミアムインカムはどんな相場で強みが出やすい?
それではこのETFが採用しているプレミアムインカムはどのような相場で強みが出やすいのかを考えて見ましょう。
横ばい・緩やかな上昇
横ばいや緩やかな上昇相場が最も相性が良い局面です。
指数の値上がり益(上限は月1%程度まで)+プレミアム収入の二本立てが狙えます。
「仮定」ではあるものの、原資産を上回る可能性に言及されています。
急騰相場
急騰相場は相性は弱め。
1%を超える分はあらかじめ手放しているため、強い上昇トレンドでは通常のS&P500連動よりも劣後しやすい点に注意。
下落相場
下落相場は万能ではないものの、受け取ったプレミアムが下落の一部を埋める「下支え」にはなりえます。
ただし、下落自体は避けられません。
相場の規模・スピード次第では通常の株式エクスポージャー同様に基準価額は下がります。
組み合わせ例:ポートフォリオでの置き場所
このETFをメインで・・・という感じではなくサテライトで考えると良いかもしれません。
S&P500や全世界株とコア+サテライト
例えばコアで通常のS&P500連動や全世界株(オールカントリー)
サテライトで本ETF(プレミアムインカム)で現金収入レイヤーを追加
値上がりの“天井”を低くした分、リスク総量の調整にも使えるでしょう。
一部を本ETFに置き換え、残りで上昇の伸び代を確保するといったブレンドが現実的ですね。
iシェアーズ 米国債20年超 プレミアムインカムETFとの組み合わせも
ちなみに同時にiシェアーズ 米国債20年超 プレミアムインカムETF(愛称:プラスインカム米国債20年超、銘柄コード453A)」も上場します。
こちらは2%OTMのコール売りを用いた設計。
同戦略の米国上場ETFの分配利回りは約17%程度とのこと。
株と債券でプレミアム源泉の分散を狙う組み合わせも一案ですね。
まとめ
今回は「iシェアーズS&P500プレミアムインカムETF爆誕|毎月分配と仕組み・配当利回りをやさしく解説」と題して新しいETFについてみてきました。
iシェアーズ S&P500 プレミアムインカムETF(452A)は、毎月分配を狙える仕組みを指数化し、東証×円建てでアクセスできるのが強み。
上昇の“取り切り”を譲る代わりに、プレミアムで収入を取りにいくというはっきりした性格を持つため、役割を理解してポートフォリオに置くことが大切です。
横ばい~小幅上昇に強いという相性を見極め、自分の心理とも相談しながら、「どの相場を取りにいくのか」をよく考えて利用しましょう。
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