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トランプは最強の煽り屋か?INTC500%上昇。DELLはどうなる??

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トランプは最強の煽り屋か?INTC500%上昇。DELLはどうなる??

「ドナルド・トランプが文字通り、どの株を買うべきかをあなたに教えている」

最近、X(旧ツイッター)でこんな投稿がバズっていました。

2025年のトランプ推奨銘柄を並べると、確かに見栄えのする数字が並びます。

INTCは20ドルから500%上昇、TMQは2ドルから200%上昇、LACは3ドルから100%上昇。

そして2026年に推奨されている次の銘柄は、DELL(260ドル)とPLTR(130ドル)だというのです。

投稿者の主張はシンプルです。

彼の政治姿勢に同意しなくても、このトレンドから利益を得ることはできる

これは投資家として、無視できない問いを突きつけてきます。

私もこの数字を最初に見たとき、一瞬心が揺れました。

「もしかして、本当に乗ったほうがいいのか」と。

しかし15年の投資経験が、こう囁きます。

「数字の裏にある条件を見ろ」と。

この記事では、SNSで広がる「トランプ砲は買い」という単純な物語を、実データで丁寧に解体します。

結論を先取りすれば、確かに勝てる発言と勝てない発言には、明確な線引きがあります。

その線を見極められれば、確かに利益は取れる。

逆に、線を見誤れば、PLTRのように高値で塩漬けになります。

目次

まずトランプ砲の影響を正確に確認する

SNSの投稿は概数なので、まず正確な事実を整理します。

INTC(インテル)

2025年8月、米政府がCHIPS法補助金89億ドルを株式に転換し、1株20.47ドルで4億3330万株を取得。

インテル株式の9.9%を保有する筆頭株主となりました。

2026年5月時点では、アップルとの半導体製造予備合意などを経て、株価は約129ドルに到達。

取得価格20.47ドルからの上昇率は約530%。SNSの「20ドル→500%上昇」という表記は、ほぼ正確です。

TMQ(トリロジー・メタルズ)

2025年10月、米国防総省(トランプ政権が「Department of War」に改称)が3560万ドルの出資を発表。

1株2.17ドルで約820万株を取得し、10年間の追加買付ワラントを保有。

これにより米政府は10%の株式と最大17.5%への増資権を確保しました。

発表直後、株価は時間外で131%超上昇し、上場来高値となる15.21カナダドル(2025年10月14日)を記録。

NYSE基準でも、最近の株価6ドル前後を基準にすると、出資価格2.17ドルから約3倍。

SNSの「2ドル→200%」もほぼ正確です。

LAC(リチウム・アメリカズ)

2025年9月から10月にかけて、米エネルギー省がThacker Passリチウム鉱山の22.6億ドル融資を再交渉する見返りに、株式の5%取得を提案。

報道直後、LAC株は1日で95%上昇し、6.01ドルで終値。3.07ドルからの倍増です。

ただし、ここに重大な注意点があります。

LACはその後、株価が下落し、2026年3月時点では約3.97ドル。

出資発表前と比べてマイナス17%という、トランプ砲4銘柄の中で最も成績の悪い銘柄となっています。

SNSの「100%上昇」は一時的なピーク値であり、現在も維持されているわけではありません。

DELLとPLTR

DELLは2026年5月、トランプ大統領が「アメリカ人はデルのコンピューターを買え」と発言し、日中14.6%上昇、終値260.46ドル。

PLTRは2026年4月10日、トランプ大統領がTruth Socialでティッカーを明記して称賛したが、株価は数分間3%上昇後に下落に転じ、その日のうちに上昇分を吐き出しました。年初来では約24%の下落。

数字を並べると、ある異変に気づきます。

INTC、TMQ、LACは大きく上がり、PLTRはほとんど上がっていない。

同じ「トランプ砲」なのに、なぜこの差が生まれるのか。

ここに、SNSの単純な物語では見えてこない、本質的な構造があります。

言葉だけとお金もつけたの決定的な差

決定的な違いは、ひとつの単純な事実に集約されます。

INTC、TMQ、LACの3銘柄には、米政府の実際の出資が伴っています。

PLTRには伴っていません。

DELLにも伴っていません。

これは投資判断において、天と地ほどの違いを生みます。

政府出資は「コミットメント」のシグナル

米政府が89億ドルや3560万ドルを実際に拠出するということは、納税者の資金を投じる議会承認、内部の意思決定プロセス、そして政治的責任を伴うコミットメントです。

これは、後戻りができない判断です。

一方、Truth Socialのポストは、撤回も矛盾も自由です。

実際、トランプ大統領は過去にも気まぐれな発言で市場を翻弄してきました。

これを「結婚」と「ナンパ」のアナロジーで考えてみましょう。

政府出資は結婚です。

離婚するには莫大なコストと時間がかかり、関係者の同意も必要です。

一方、SNSでの称賛はナンパです。明日には別の銘柄を称賛しているかもしれません。

投資家として、どちらに乗るべきかは明らかです。

政府出資がもたらす3つの実質的恩恵

これは単なるアナロジーではなく、具体的な経済的恩恵を伴います。

第一に、規制上の追い風。TMQの場合、トランプ大統領は出資と同時に、アラスカのアンブラー鉱山地区へのアクセス道路(211マイル)の許認可を進める大統領令に署名しました。

これはバイデン政権時代の2024年の「No Action」判断を覆すものです。

出資と同時に、事業を進めるための行政手続きそのものを動かしているわけです。

第二に、長期的な政府調達の優先順位。INTCはアップル提携交渉に米商務長官のラトニック氏が積極的に関与しました。

政府が株主である以上、政府関連の調達においてその企業に有利な判断がなされやすくなる。

これは事実上の補助金です。

第三に、「Too Important to Fail」の暗黙の保証。LACに関してScotiabank(カナダの大手銀行)のアナリスト、ベン・アイザックソン氏は、投資家がLACを「重要すぎて潰せない(too important to fail)」と見ていると分析しています。

米政府がエクイティ保有者になることで、プロジェクトの失敗リスクに事実上の保険がかかったかのように、市場は解釈するわけです。

PLTRやDELLの「言葉だけ」とは、レイヤーが違うのです。

でもLACは下がっている、という不都合な真実

ここで、強気の物語に水を差す事実も誠実に書いておきます。

政府出資銘柄が必ず勝つわけではありません。

LACは政府出資後、一時95%上昇したものの、その後下落し、2026年3月時点では出資前比で17%安。

Scotiabankは「セクター・アンダーパフォーム」に格下げし、目標株価を5ドルに設定しました。

理由はシンプルで、リチウム価格そのものが2022年のピークから大幅に下落しており、プロジェクトコストが10〜15%膨張するリスクも顕在化しているからです。

つまり、政府出資という強い追い風があっても、コモディティ価格やプロジェクト遂行リスクといったファンダメンタルズには勝てないのです。

これは何を意味するか。

トランプ砲は必要条件であって十分条件ではない、ということです。

INTCが500%上昇したのは、政府出資に加えて、AI半導体ブーム、アップル提携、CHIPS法の本格稼働、ジェンセン・フアン氏との協力など、複数の追い風が重なったから。

TMQが200%上昇したのは、政府出資に加えて、銅・コバルトという「重要鉱物」の戦略的価値が再評価されたからです。

LACの場合、政府出資はあったが、リチウム価格の下落が逆風として強すぎた。だから上昇が続かなかった。

ここから導かれる投資ルールはこうです。

トランプ砲+政府出資+ファンダメンタルズの追い風。

この3条件が揃ったときだけ、投資対象として真剣に検討する。

1つでも欠ければ、慎重になる。

とくにファンダメンタルズが逆風の場合、政府出資があっても見送り。

2026年のDELLとPLTRはどう判断するか

ここまでの枠組みを使って、現在進行形の2銘柄を評価してみます。

DELL:政府出資なし、ファンダメンタルズ良好

DELLには現時点で米政府の出資はありません。

トランプ大統領の発言は、マイケル・デル夫妻が「トランプ口座」に62.5億ドルを寄付したことへの返礼的な側面が強いと指摘されています。

ただし、ファンダメンタルズは非常に強い。

AIサーバー受注残430億ドル、2026年通期売上高ガイダンス500億ドル、5月28日の決算発表で受注残の売上転換率が注目されます。

みずほ証券のアナリスト、ビジェイ・ラケシュ氏は目標株価を260ドルに引き上げ「アウトパフォーム」を維持しています。

ただ、すでに年初来2倍以上に上昇しており、PER水準は割高圏。

トランプ発言がなくても上がる材料はあるが、現値からの追加上昇余地は限定的、というのが冷静な判断でしょう。

PLTR:政府出資はない、ファンダメンタルズに賛否両論

PLTRには政府出資はありません。

連邦契約は2024年度の5.41億ドルから2025年度の9.705億ドルへと倍増しており、政府との取引関係は深いが、エクイティ出資は受けていません。

ファンダメンタルズは複雑です。

2026年通期売上高ガイダンスは71%成長と強力。

一方、PERは200倍超、空売り投資家マイケル・バリー氏(映画「マネー・ショート」のモデル)が深いアウト・オブ・ザ・マネーのプットオプション(2027年6月期50ドルプット、2026年12月期100ドルプット)を保有し、「会社の本質的価値は1株50ドル以下」と公言しています。

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インサイダーの売却額は過去3カ月で4.329億ドル、買付ゼロ。

トランプ発言で3%上昇して数時間で消えたのは、こうした構造を反映した必然の結果です。

つまり、DELLとPLTRに関しては、SNSの強気物語に乗るのは時期尚早。

INTC、TMQのような爆騰再現は、政府出資という「結婚」のシグナルがない限り、期待しすぎないほうが賢明です。

トランプはインサイダー取引や株価操縦にならないのか?

ここまで投資戦略として議論してきましたが、見過ごせない論点があります。

大統領が個別銘柄に言及し、株価が動く。

これはインサイダー取引ではないのか。

風説の流布ではないのか。

株価操縦ではないのか。

これは合法なのか、ということです。

日本の金融商品取引法には、第158条(風説の流布、偽計)、第159条(相場操縦)の規定があります。

「相場の変動を図る目的をもって、合理的根拠のない情報を流布する」ことが禁止されており、個人投資家がSNSで似たことをすれば、過去の事例から見て摘発される可能性があります。

米国大統領の場合、職務上の発言として広く免責される傾向にあります。

しかし、看過できない事実もあります。

ワシントンの監視団体CREWは、PLTRの件について「大口支援者の株価を支える試みであった可能性がある」と指摘。マーク・ウォーナー上院議員(民主党、バージニア州)は「これは市場操作の露骨な例ではないか」と公然と問いかけました。

CNNのアーロン・ブレイク氏は「大統領が献金者のビジネスを、ティッカー記号付きで公然と宣伝した」と批判しています。

利益相反の構造を整理すると、こうなります。

DELLはマイケル・デル夫妻がトランプ大統領のプロジェクトに62.5億ドル寄付。PLTRは複数のトランプ政権イベントを協賛し、ホワイトハウスのボールルーム計画にも寄付。INTCは米政府自身が10%株主。

つまり、トランプ大統領が個別銘柄に言及するとき、その銘柄は何らかの形で大統領または政府自身の経済的利益と紐づいているケースが多いのです。

読者の皆さまには、ここを冷静に見ていただきたい。

法的にクロかシロかは別として、これは「公正な市場」の理念とは緊張関係にあります。

投資判断は、こうした構造的な脆弱性を理解した上で行うべきです。

なぜならば、政治体制が変われば、この構造もまた逆方向に動く可能性があるからです。

次の民主党政権が誕生した瞬間、政府出資銘柄が見直しの対象になるリスクもあります。

行動経済学が教える「乗り遅れる恐怖」との戦い方

データで武装しても、人間の脳は感情に動かされます。

最後に、トランプ砲のような場面で陥りやすいバイアスを、3つ整理します。

知っておくだけでもぜんぜん違うんですよ。

権威バイアス

第一に、権威バイアス。

大統領という最強の権威が言うと、論理回路が止まる。

しかし大統領は経済学者でも投資家でもありません。

取り残される恐怖

第二に、FOMO(取り残される恐怖)。

「INTCが500%上昇した」という後出しデータを見せられると、次のチャンスを逃したくない心理が暴走します。

しかしINTCは「政府出資+AI半導体ブーム+アップル提携」という稀有な条件が揃ったケースであり、簡単に再現はできません。

ストーリーバイアス

第三に、ストーリーバイアス。

「トランプが推した銘柄が上がる」という単純な物語は、PER200倍とリチウム価格動向の複雑な分析より、記憶に残ります。

脳は省エネを好むのです。

まず知っておいてもらいたいのは、一般の人がSNSで知った時点で、その情報の価値はゼロに近いという残酷な真実です。

まとめ

冒頭に紹介したSNS投稿に戻ります。

彼に同意しなくても、このトレンドから利益を得ることはできる。

この主張は、半分正しく、半分間違っています。

正しい部分は、政府出資銘柄(INTC、TMQ、MP Materialsなど)に、政治的姿勢とは別に投資機会が存在することです。これは事実として認めるべきです。

間違っている部分は、すべてのトランプ砲が同じ価値を持つわけではない、という点です。

言葉だけの称賛と、政府の資金が伴うコミットメントは、まったく別物。

LACのように、政府出資があっても下がる銘柄もある。

私の結論はこうなります。

トランプ砲を見たら、まず3つを確認する。

1つ目、米政府の実際の出資があるか。

2つ目、ファンダメンタルズ(業績、業界の追い風)が伴っているか。

3つ目、すでに大きく上昇していないか(後出しジャンケンになっていないか)。

3つ揃えば、検討に値する。揃わなければ、ニュースとして眺めるだけ。

これがSNSの煽りに振り回されない、長期投資家としての姿勢だと思います。

そして最後に、ひとつだけ付け加えさせてください。

トランプ砲銘柄への投資は、政治的リスクと表裏一体です。中間選挙や次期大統領選で政治情勢が変われば、政府出資の評価そのものが変わる可能性があります。

ポートフォリオに組み入れるとしても、全体の数パーセント以内に留めるのが賢明だと、私は考えています。

次にトランプ大統領が新しい銘柄をツイートしたとき、あなたの指は買い注文ボタンへ向かう代わりに、「政府は出資したか?」を検索しているはずです。

それが、この記事で私がお伝えしたかった、たったひとつの実用的なルールです。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
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