2025年5月3日、バークシャー・ハザウェイ(以下バークシャー)の年次総会でウォーレン・バフェット氏(94歳)は「年内にCEOを退任し、後任はグレッグ・エイベル副会長へ」と正式に表明しました。
60年にわたり市場をけん引してきた“オマハの賢人”の勇退は、世界の投資家にとって歴史的転換点です。
とはいえ、バフェット氏が築き上げた投資哲学は今後も色あせません。
本稿では「ウォーレンバフェットの投資手法」を体系的にまとめ、中長期投資を志す初心者・中級者がすぐに実践できる形でご紹介します。
なお、退任の影響については下記の記事でまとめてあります。合わせて御覧ください。

ウォーレン・バフェット氏の投資まとめ
それではまずはウォーレン・バフェット氏の投資についてまとめてみましょう。
バフェット投資の4つの根幹原則
ウォーレン・バフェット氏の投資手法を分析すると以下の4つがピックアップされます。
原則 | キーワード | 概要 |
---|---|---|
①長期保有 | “Time in the market” | 優良企業への投資は「時間を味方に付ける」ことで複利効果を最大化。短期の値動きより企業価値の伸びを重視 |
②経済的な“堀(Moat)” | 競争優位性 | 圧倒的ブランド・ネットワーク・コスト構造など、他社が簡単に侵入できない障壁を持つ企業だけを選別 |
③安全域(Margin of Safety) | 割安性 | 内在価値より十分に低い価格で買うことで、想定外のリスクを吸収 |
④シンプルな理解 | “Circle of Competence” | 自分が理解できるビジネス以外には投資しない――専門外を避ける自己規律 |
バフェット氏の過去成績
バフェット氏の投資成績はトンデモナイです・・・
まず、
1965〜2024年のバークシャーA株の年平均リターンは19.9%
同期間のS&P500(配当込み)10.4%を大きく上回ります。
多くの投資信託がS&P500の成績を超えられないと言われる中、大幅に超えていますね。
累積リターンはS&P500の140倍超(5.5百万%)と試算される
トンデモナイですね・・・
なお、この圧倒的成績は「①~④の原則」に加え、保険事業から生まれる“フロート(預かり保険料)”を再投資する巧みな資本配分スキルが寄与しています。
代表的な投資事例
それでは過去の有名投資事例をご紹介しましょう。
事例 | 投資期間(概略) | 参入障壁(Moat) | 結果・学び |
---|---|---|---|
Coca‑Cola | 1988年〜現在 | ブランド・流通網 | 「消費財×高 ROE×世界ブランド」の教科書的成功。配当再投資で複利を極大化 |
Apple | 2016年〜現在 | エコシステム・ブランド忠誠度 | テックでもビジネスモデルがシンプルなら投資対象。配当+自社株買いも高評価 |
日本の五大商社 | 2020年〜現在 | 多角化キャッシュフロー | “見える割安性”と資源循環ビジネスを評価。円安メリットも享受 |
IBM(失敗例) | 2011年〜2018年 | メインフレーム・サービス契約の粘着性 →陳腐化 | 教訓:① 技術革新で“堀”が急速に崩壊する業界は要注意②「自社株買い ≠ 競争優位の維持」③ バリュエーションの割安感より 「継続的成長力」 を優先 |
最近は日本の5大商社(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)への投資が注目を集めていますね。
IBMでの失敗
IBMの失敗後、バフェットは総会でこう総括しています。「“Moat”がテクノロジー変化で急に干上がる場合がある。私の“Circle of Competence”外だった。」
この失敗は、「理解できるビジネスか?」という原則④の重要性をあらためて示しています。
IT 分野は変化速度が速く、競争優位が持続しにくい――これを身銭を切って学んだ好例と言えるでしょう。

もっと深掘りしたい人へ ― バフェット本3選
バフェット氏の関連本はたくさん出ていますが、投資手法については下記の本が詳しいです。
スノーボール ウォーレン・バフェット伝
上中下となっており、かなりのボリュームですが、ウォーレンバフェットの人となり、考え方を学びたい人にはこちらのスノーボールがおすすめです。

バフェットからの手紙
次はバフェットからの手紙ですね。
こちらはかなりメジャーな本となっています。
バフェット氏の投資哲学を一次情報で確認ができます。

ウォーレン・バフェットはこうして最初の1億ドルを稼いだ
バフェット氏の初期からの投資手法について学びたい方はこちらがおすすめ

※まず1冊読み切るなら『バフェットからの手紙』が最適。
難解な数式はないので、投資初心者でも「長期・割安・複利」の核心をつかめます
初心者・中級者がマネしやすい10のチェックリスト
バフェット氏の投資手法をエッセンスだけ汲み取るとこんな感じになります。
投資初心者の方でも真似が可能な話ですのでぜひ意識してみましょう。
・理解できるビジネスか?
・財務体質は健全か(自己資本比率・営業CFなど)?
・競争優位性を示す定量指標(ROE・営業利益率)が高いか?
・過去10年で減配・赤字がないか?
・経営陣が株主志向(自社株買い・IR姿勢)か?
・長期的な需要トレンドに乗っているか?
・バリュエーションは妥当か(PER/PBR、DCFの安全域)?
・キャッシュフローを安定的に生み出しているか?
・負債依存度は低いか?
・自分が5年以上保有し続けられる確信があるか?


日本株に当てはめると・・・
これは日本株でも応用は可能ですね。
例えばこんな感じの銘柄がそれに当たりそうです。
※2025年5月時点の公開データに基づき選定。一般的な情報であり、売買を推奨するものではありません。
会社名 | 業種 | 主な強みとチェックポイント適合例 |
---|---|---|
9433 KDDI | au 携帯・通信インフラ | 連続増配・自己資本比率55%台・営業CF>設備投資で安定フリーCF。価格転嫁力も高くインフレ耐性あり |
6861 Keyence | 工業用センサー | 営業利益率50%超・無借金経営・ROE30%前後。顧客の生産ラインに組み込まれ“乗り換えコスト”が高い堀 |
9843 ニトリHD | 家具・インテリア小売 | 垂直統合+自社物流で高収益。配当性向30%目安で増配継続、自己株買いも機動的 |
4063 信越化学工業 | 半導体シリコンウエハ/PVC | 世界シェアトップの寡占構造、財務は実質無借金。需要トレンド(半導体/インフラ)双方に乗る |
8113 ユニ・チャーム | 紙おむつ・衛生用品 | 新興国中心に成長、10年以上減配無し。ブランド力と高い原価低減力で安全域大 |
バフェット氏のマネをする場合の注意点
バフェット氏はこれだ!って思った株に集中投資をする傾向があります。
ただし、彼は「リスクを理解し尽くしたうえで集中する」と繰り返しています。
最近は現金比率をかなり増やすなど回避の手段ももっているんですよ。
バフェット指数なんて指数があるくらいですからね。

その部分を投資初心者が真似をするのはなかなか困難です。
初心者はまず分散を軸に、確信度が高まった銘柄だけ比率を高めるのが現実的でしょう。
まとめ
今回は「ウォーレン・バフェットの投資手法完全ガイド|退任後も活きる4原則と IBM 失敗例」と題してバフェット氏の投資手法についてみてきました。
ウォーレンバフェットの退任はマーケットの大きな節目ですが、彼が語り続けた「価値より安く買い、長く保有し、複利の力を信じる」という原則は不変です。
「10年保有する気がないのなら、10分でも株を保有するべきではない」― ウォーレン・バフェット
ぜひ本記事のチェックリストを活用し、ご自身のポートフォリオを自分だけのバークシャー”に育ててください。
長期投資の旅は、今日がいちばん若い日です。さあ、一歩踏み出しましょう。
投資を始めるならSBI証券がおすすめ

にほんブログ村