先日、楽天証券から衝撃なお知らせがありました。
iDeCo(個人型確定拠出年金)のラインナップを見直し、9ファンドが運用除外商品に指定するとのことでした。
「これってどういうこと?」って連絡を私もいただきましたので本記事では、
- 運用除外のしくみと影響
- 背景にある「35本制限」ルール
- 対象ファンドと代替候補
- 加入者が今日からできる対応策
について解説していきます。
楽天証券が発表した「運用除外」の概要
まずは今回の発表について具体的に見ていきましょう。
発表日 | 除外実施予定 | 対象数 | 代表的なファンド例* |
---|---|---|---|
2025年5月15日 | 2025年8月(予定) | 9本 | セゾン資産形成の達人ファンド/iTrust 世界株式 ほか |
運用除外が行われると 新規買付は停止 され、すでに保有している残高はそのまま保有継続が基本です。
新規の購入ができなくなるだけで強制解約はなし
ただし、掛金の配分を除外ファンドのままにしておくと 「未指定扱い」 になり、指定運用方法(楽天証券 iDeCo では定期預金)が買い付けられてしまう点に注意が必要です。
運用除外スケジュール
具体的には以下のスケジュールで除外が実施されます。
フェーズ | 日程(※すべて〈予定〉) | 手続き・イベント | ポイント |
---|---|---|---|
公表 | 2025 年 5 月 15 日 (木) | 楽天証券ホームページで運用除外を告知 | 9 ファンドの除外方針を正式発表 |
同意書発送開始 | 2025 年 6 月 3 日 (火) 以降順次 | 対象加入者へ「運用商品除外にかかわる同意確認のご案内(同意書)」を郵送 | 2025 年 3 月 31 日時点で当該ファンドを保有または掛金配分指定している人が対象 |
同意書返信期限 | 2025 年 6 月 30 日 (月) | 郵送またはウェブで同意・不同意回答 | 返信がない場合は“同意”扱い(規定によるみなし同意) |
除外決定案内 | 2025 年 7月 15 日 | 3分の2以上の同意が得られた場合、除外予定の運用商品について除外決定通知書を送付 | |
新規買付停止 | 2025 年 8 月 1日 | スイッチングを含め、除外ファンドへの購入注文が停止 | 売却(スイッチング元)と保有継続は可能 |
上表は楽天証券が 2025 年 5 月 15 日に公開した「【重要】【iDeCo】運用商品除外にかかわるご案内」を筆者が読みやすく再整理したものです。
ご自身の締切日は加入区分(会社員/自営業 等)や事務処理日程によって前後することがありますので、必ず楽天証券 iDeCo マイページや郵送書類で最新日程を再確認してください。
なお、掛金配分の変更は “前月の26日ごろ” が翌月拠出分への反映リミットです。
タイミングを逃すと 1 か月分が自動振替(定期預金)になる点に注意しましょう
運用除外ファンド
具体的な運用除外ファンドは以下のとおり。
ファンド名(略称) | 資産クラス | 主な除外理由* |
---|---|---|
セゾン資産形成の達人ファンド | 国内外株式 | 同分類ファンドと比べてパフォーマンスが社内基準を下回ったため |
iTrust 世界株式(世界代表〜勝ち組企業厳選〜) | 外国株式 | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
MHAM日本成長株ファンド<DC年金> | 国内株式 | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
iTrust 日本株式(日本選抜〜シェアNO.1企業厳選〜) | 国内株式 | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
フィデリティ・日本成長株・ファンド | 国内株式 | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
明治安田DC日本債券オープン(DCしあわせ宣言) | 国内債券 | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②同分類に低コスト・インデックスが存在 |
投資のソムリエ<DC年金> | バランス | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN) | バランス | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
三井住友・DC世界バランスファンド(動的配分型) | バランス | ①残高・拠出金額・受益者数が基準未満 ②パフォーマンスも基準未満 |
(※楽天証券公式リリースに基づき作成。実際の正式名称は楽天証券サイトでご確認ください)
成績や残高などが理由となっていますね。
セゾン資産形成の達人ファンドとかはかなり人気のあったファンドではありますが・・・
そもそも「運用除外」とは?
そもそもなぜ運用除外が行われるのでしょう。
確定拠出年金の運用商品は定期的に棚卸しされ、高コスト・低パフォーマンス などの理由で入れ替えが行われます。除外されると
新規購入ができなくなる
保有残高はそのまま or 指定運用方法へ自動振替(金融機関ごとに扱いが異なる)
スイッチング(売却→別ファンド購入)はいつでも可能
背景にあるiDeCo独特の謎ルール「35本制限」
実はこの運用除外の背景にはiDeCo独特の謎ルール「35本制限」なるものの存在が大きいと思われます。
2018年5月施行の改正DC法で、iDeCo・企業型DCともに 「取り扱いファンドは原則35本以内」 と規定されたんですよ。
建前としては運用商品が多すぎると選択が難しいため、シンプルで質の高いラインアップへ絞り込む狙いです。

出所:厚生労働省 確定拠出年金制度等の一部を改正する法律の主な概要(平成30年5月1日施行)
楽天証券はこの制限ギリギリでしたので、新しい運用商品をいれるために稼働が悪い商品を除外せざる得なかったということでしょう。
自社ブランド(楽天投資顧問)の新ファンドをいれていくのかもしれませんね。
すでに昨年も追加されています。

行動回避・先送りに関連する行動バイアス
なお、35本制限の理屈としては行動回避・先送りに関連する行動バイアスが挙げられています。
消費者は情報や選択肢が多すぎると判断に迷ってしまう。
また選択をしないと言う判断をしやすくなる。お店でたくさんの魅力的な商品があると迷って結局買わずに出てきてしまうときが誰にでもあると思いますがそれと同じです。
そのためこのような制限がついたのです。
個人的には半強制的に加入する企業型確定拠出年金ではある程度あってもよい制度だと思いますが、自分で加入する個人型確定拠出年金には全くいらないルールだと思いますが・・・。
この35本制限のせいで魅力的な新しいファンドが出てきてもなかなかiDeCoの対象にならない弊害がでているんですよ。
これを決めた会議の議事録をみても酷いものでしたからね・・・

影響を受ける加入者が今日からやるべきこと
今回のファンドを所有している方がやるべきことを見てみましょう。
除外に不服なら異議を表明
まず、今回の除外に不服なら「除外に関する回答書」で異議を表明しましょう。
3分の2以上の同意が得られないと除外されないんですよ。
ただし、回答しない人は賛成したと扱われるとのことですからなかなか難しい部分があるかもしれませんが・・・
除外対象商品の配分を変更
除外が決まってしまったら、マイページにログインし、除外対象を保有/配分していないか確認してください。
該当していれば、掛金配分を変更(除外ファンド→新ファンドへ)しましょう。
放置しておくと定期預金を買い付けることになってしまいます。
スイッチングを検討
すでに保有残高がある場合は、損益や信託報酬を比較してスイッチングを検討してみてください。
今後のために長期・低コスト・分散の基本に沿ったポートフォリオを再設計するのをおすすめします。
なお、スイッチングは「売却→即日購入」の同時発注が原則できません。
相場変動リスク(タイムラグ)を避けたい方は、複数回に分けるか、キャッシュポジションを一時的に取る方法もあります。
スイッチングの流れ
スイッチングはこんな流れで行われます。
売却する商品と数量を指定
↓
購入商品選択
↓
運用している商品の全部または一部を一旦売却
↓
指定した商品を購入
すでに運用している投資信託の全部または一部を一旦売却して、現金化した後、指定した運用商品を購入し直す流れですね。売却商品と数量、購入商品を指定するだけですからかなり簡単にできます。
株で言えば一旦利確して、その資金で新たな株を買うことを指定するだけで自動でやってくれると思えばよいでしょう。
代替候補――楽天・プラスシリーズを中心に
配分変更やスイッチングの候補としては楽天証券のiDeCoなら楽天ブランド、特にプラスブランドの商品がおすすめです。
今の時点ではこのあたりですね。
新ラインアップ注目株 | 信託報酬(税込) | 特徴 |
---|---|---|
楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス | 0.0561% | 全世界株式に一本で分散 |
楽天・プラス・S&P500インデックス | 0.077% | 米国大型株500社に連動 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.162% | 小型株を含めて全米株に投資 |
楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス | 0.198% | 米テック寄り100社に集中投資 |
楽天ブランドの商品なら今後の運用除外商品に選ばられる可能性は少ないでしょうしね。
よくある質問(FAQ)
みなさんが疑問に思うと思われる点をあらかじめみておきましょう。
Q1. 除外ファンドをそのまま持ち続けるデメリットは?
→ 新規資金が入らず純資産が縮小すると、信託報酬負担が相対的に割高になるリスクがあります。
また、今回除外されるファンドは成績や人気が理由になっていますので持ち続けるメリットは少ないかもしれませんね。また、
ファンド運用方針の変更や繰上げ償還に備える意味でも、早めのスイッチングが安心です。
Q2. 35本ギリギリまで増やす予定は?
→ 改正DC法は「上限35本まで」ですが、少ないほど望ましい と指摘されています。
今後は質の高いインデックス+必要最小限のアクティブという流れが主流になりそうです。
Q3. 他社はどう?
→ 先行していた SBI証券オリジナルプランはその法律が決まった時点で35本を超えていたので、いきなり整理させられていました・・・

まとめ:運用除外は“リスク”ではなく“見直しチャンス”
今回は「楽天証券 iDeCoの9ファンドが「運用除外」の衝撃」と題して楽天証券のiDeCoファンドが「運用除外」になった話をみてきました。
まとめると
「運用除外=終わり」ではない
- 既存残高は保有継続可
- 配分・スイッチングを自分でコントロールすればOK
長期視点と分散を忘れずに
- iDeCoは60歳まで引き出せない“年金口座”
- 相場急変より、手数料割合がリターン差を生む
運用除外の通知メールは驚きますが、ほったらかし投資を見直す絶好のトリガーと捉え、これを機に自分のポートフォリオをアップデートしておきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券の3択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
さらに2024年8月1日(木)より投資信託の保有でポイントが貯まるようになり、現在の条件なら本命といっても良いでしょう。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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