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企業が社名変更をする理由。ビックモーター、メタプラネットなど社名を“何度も”変えた企業のリアル

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社名変更で株価はどう動く?─メタプラネット・オルツ・ビックモーターの看板と上昇チャート

先日、下記のメタプラネットの記事を書くために調べていたら面白いことに気づきました。

社名を何度も変更しているんですよ。

私はメタプラネットにあまり興味を持てなかったので知らなかったのですが、元々「ダイキサウンド」だったのです。

「ダイキサウンド」といえば昔から株をやっている人なら知っている人が多いかもしれません。。。。

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そこで今回は企業が社名変更をする理由や事例についてみていきたいと思います。

目次

企業と社名変更(改名)の関係性

まずは企業が社名変更をする理由を見ていきましょう。

社名変更を企業が選ぶ3つの理由

前向きな理由と後ろ向きな理由があるんですよ。

主な目的典型パターン投資家が見るポイント
イメージ刷新不祥事・事業転換後にブランドを再生(例:ビックモーター)新社名とビジネスモデルの整合性
事業多角化・再編持株会社化、M&A後の統合名(○○ホールディングス)経営統合のシナジー、開示資料
海外・DX対応グローバル展開やWeb3など新領域強調(例:メタプラネット)実際の収益源と投資計画

多いのは○○ホールディングスといった元のイメージは残したままの社名変更ですね。

こちらは全く問題ないでしょう。

一方、元の企業のイメージが悪いため、そのロンダリングのための社名変更も少なからず存在します。

そちらは株式投資をする場合にはチェックする必要がある内容となります。

ちなみに国内では2005~2019年に604社が少なくとも1回社名を変更し、年平均30社超が何らかの“改名”を実施しています。

データで読む「社名変更 × 株価」

ちなみに慶應義塾大学のイベントスタディ(2005–19年、539社)によると、社名変更と株価には相関関係はあまりなさそうです。

・アナウンス翌日の平均異常リターン:+0.5%
・実際の商号変更日に近い5営業日:平均+0.2%に縮小
・3か月後には統計的に有意な差なし

多少短期では社名変更すると影響はありますが、「実態を伴わない“看板替え”は短期で織り込まれ、長期的にはパフォーマンスを左右しにくい」ことが示されています

社名変更事例

それではここからは社名変更事例をいくつか見ていきましょう。

【事例①】メタプラネット:5度目の“看板替え”で揺れる市場心理

まずは今回この記事を書くきっかけとなったメタプラネットです。

年月社名主な事業・トピック
1999年6月ダイキサウンドインディーズ向けCD流通会社として創業(神奈川県大和市)
2011年3月フォンツ・ホールディングス持株会社化に伴い改名。アジアでホテル・飲食など多角化へ舵
2014年1月レッド・プラネット・ジャパンタイ系ホテルチェーンと資本提携。“Red Planet”ブランドで国内外ホテルを展開
2023年2月メタプラネットビットコインを長期保有する「トレジャリー企業」宣言。発表直後は連日ストップ高を記録
2024年3月のぞみCo(案)→撤回取締役会で再改名を決議するも投資家反発で撤回。不信感が残る結果に

メタプラネットの出来高は平均の10倍に膨張しています。

ニュースヘッドライン中心で売買される「イベントドリブン」の典型です。

商号変更後、株価の対BTC相関係数(30日)は0.62→0.78へ。

ブランド刷新と新事業ストーリーが「実質的な暗号資産銘柄」として認知を加速させました。

ただし、過去5回の看板替えでは短期高騰→失速を繰り返したため、中長期ではみると「材料出尽くし→株価回帰」 パターンの可能性も

【事例②】ビックモーター→WECARS

不正請求問題で信用失墜したビックモーターは、2024年5月に株式会社BALMへ社名変更。

主要事業は新設のWECARSに承継

社名変更の目的は旧ブランドの負債・訴訟リスクを切り離し、伊藤忠商事グループ主導で再建。

株主視点で見ると未上場化されたため直接的な株価は観測できないが、「WECARS」の上場計画が噂され始めると中古車関連銘柄が物色されるなど“連想買い”が発生するなど注目度は高い。

【事例③】robot home(1435)

次はrobot homeです。こちらも5回社名を変更しています。

年月社名主なトピック
2006フルキ建設地場の建設会社として創業
2014インベスターズクラウドアパート投資プラットフォームへ転換
2018TATERUIoT アパートと民泊事業を強調
2021Robot Home不動産テック色を強め、AI・IoTを前面に
2024robot home(小文字化)ブランドロゴ統一で“5 度目”の改名

こちらは社名を変更しているけど中心は不動産系で大きくは変わっていない形です。

改名前後 5 営業日で平均+6.8%、3 か月後は+1.2%まで収束──「短期物色→業績連動」に落ち着く典型パターンですね。

【事例④】伊豆シャボテンリゾート(6819)

伊豆シャボテンリゾートもメタプラネットと似た経緯で業態を変更しながら社名変更を繰り返しています。

年月社名事業ドメイン・トピック
1976年ボディソニック株式会社体感音響機器メーカーとして創業
2000年7月オメガ・プロジェクト株式会社映画・イベント投資へ舵を切り、海外ADRも上場
2005年4月オメガプロジェクト・ホールディングス株式会社持株会社化で多角化を加速
2010年10月ソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社「社会・環境」を掲げレジャー事業へ参入、JASDAQ上場維持
2015年7月伊豆シャボテンリゾート株式会社子会社の伊豆シャボテン公園などリゾート施設を中核に再編し、現在の商号へ

体感音響 ⇒ 映画投資 ⇒ レジャー施設 と、本業そのものを段階的に入れ替え。

2015年以降は売上の7割超を伊豆エリアのテーマパークと宿泊施設が占め、社名と収益源が初めて一致しました。

2015年の商号変更 IR 公開翌週、出来高は直前比約6倍に膨らみ株価も一時+15%。

しかし四半期決算で営業利益が伸び悩むと 1 か月で元の水準へ回帰──“話題先行”に終わった形です。

【事例⑤】中小企業ホールディングス(1757)

次は中小企業ホールディングス

年月社名主事業
2003大盛工業建設工事
2007クレアHD不動産開発に拡大
2010クレアホールディングスM&A で多業種へ
2021中小企業ホールディングス“5 度目”の改名で事業再生ファンド色を強調

五度目の改名は「負のイメージ切り離し」と見られ出来高急増。

しかし PBR は 0.5 倍台のまま。

経営ストーリーと収益回復が伴わず株価は横ばい

【事例⑥】GreenBee(旧 sMedio、3913)

次はGreenBeeです。

年月社名事業ドメイン
2007ビデェイスモバイルソフト
2009ロールテック組込みソフトへ拡大
2010sMedioPC 向け OEM ソフト、東証マザーズへ上場
2024GreenBeeGX・IoT にフォーカス、“4 度目”改名

“Bee(協働)”+“Green(サステナ)”を掲げ、脱・OEM で SaaS へシフト中。

株価は改名後 1 か月で+14%と市場の関心を集めました。

株価インパクトを見極める投資家チェックリスト

今まで見てきたように社名変更を繰り返す企業は一定数存在します。

業態やビジネスモデルを変えるのなら社名変更は問題ないのですが、虚業の株価対策に過ぎないケースも少なからず・・・

株価インパクトもそれなりにあります。

そんな際のチェックしたいポイントを纏めました。

変更理由が“事業の実”か“イメージ戦術”かをIR資料で確認
資本政策(持株会社化・M&A)が伴うか:伴えば中期的に利益構造が変わる可能性大
同時発表のKPI(売上高目標、セグメント開示)を要チェック
過去の同業他社のリターン比較:イベントドリブンか継続成長かを判断
SNS熱量と出来高の推移:短期過熱→急落パターンを警戒
指名検索数の変化:Google Trends で“旧社名→新社名”の検索比率を追う

まとめ

今回は「企業が社名変更をする理由。ビックモーター、メタプラネットなど社名を“何度も”変えた企業のリアル」と題して上場企業の社名変更事例をみてきました。

社名変更それ自体は“魔法の杖”ではなく、ファンダメンタルズと一貫したストーリーがあって初めて株価押し上げ要因になります。

メタプラネットのように話題先行で揺れるパターンもあれば、ビックモーターのように負債を切り離し再出発を図るケースも。

社名変更は “話題づくり” と “経営の意思表示” の両面を持ちます。

投資家は①変更理由の具体性、②資本政策とセットか、③過去の改名直後パフォーマンス の 3 点を押さえて、過熱相場に踊らされないことが肝心です。

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