「アジア版マイクロストラテジー」と呼ばれるメタプラネット(3350)が2025年に入ってから株価を大きく伸ばしています。
背景には「ビットコインを間接保有でき、しかも税制面で得」といった声がありますが、果たして本当でしょうか?
今回はメタプラネットについて考えてみたいと思います。
メタプラネットとは
まずはメタプラネットについて見ておきましょう。
メタプラネットの経歴・ビジネスモデル
主な経歴とビジネスモデルの遍歴を表にしてみました。
年 | 主な出来事 | 補足 |
---|---|---|
1999 | 音楽関連企業「ダイキサウンド」として設立 | CD 企画・販売が祖業 |
2011 | 社名をフォンツ・ホールディングへ変更 | 持ち株会社化 |
2013 | 東南アジアでホテル運営に進出 | 事業構造を転換 |
2014 | 社名をレッド・プラネット・ジャパンに変更 | |
2023.2 | 社名をメタプラネットへ変更 | Web3 事業構想を掲げる |
2024.4 | 「ビットコイン・トレジャリー企業」宣言 | BTC を財務資産の中核に |
2025.6 | BTC 保有 8,888 枚(6/2時点) | 10 万 BTC 目標を公表 |
元々はCDの企画販売事業者です。
それがホテル事業に転換。
そして2023 年に社名を「メタプラネット」へ変更、2024年にホテル事業の大半を売却、その売却益はビットコインに再投資。
資金を調達してビットコインを買うビットコイン財務業とも言えるような業態に変化してきた形ですね。

なお、メタプラネットはビットコイン・トレジャリーとしています。
ビットコインへの投資・長期保有(ビットコイン・トレジャリー)が主要事業
メタプラネットは6月2日時点で8,888枚のビットコインを保有しています。
なぜ“ビットコイン財務業”に?
それではなぜメタプラネットはビットコイン財務業になったのでしょう?
以下の3点が理由と言われています。
本業が伸び悩む:本業の伸び悩みによる経営判断
マーケティング効果:日本では希少な「ビットコイン純粋プレー」銘柄として注目を集めやすい
資本市場での資金調達:社債や新株予約権で調達し、そのまま BTC へ投下するモデルが成立
海外ではマイクロストラテジー社という成功事例があるのでその模倣という部分もありそうです。
メタプラネット株とビットコイン現物の税制比較
最近、X等でメタプラネット株を買っている人や買い煽りをしている人の投稿が目立つようになってきました。
その人達は理由付けとしてビットコインの現物との税制の違いを挙げています。
それは本当なのでしょうか?
違いをまとめると以下の通り。
項目 | メタプラネット株(上場株式) | ビットコイン現物 |
---|---|---|
所得区分 | 譲渡所得(申告分離課税) | 雑所得(総合課税) |
税率 | 一律 20.315%(所得税 15%+住民税 5%+復興税) | 5%〜45%+住民税=最大 55%(累進) |
損益通算 | 株式同士で可、3 年繰越控除可 | 雑所得内のみ、繰越不可 |
NISA対応 | 一部非課税枠で保有可能 | 対象外 |
評価課税 | なし | 利確時のみ課税 ※法改正で含み益課税案も議論中 |
違いが複数あります。
税率が違いますし、損益通算の有無の違いもあります。
例えば同じ 100 万円の値上がりでも、株式なら手取り約 80 万円、BTC だと所得が 1,800 万円超であれば手取り 45 万円台に落ち込む形に・・・
たしかに単純に比較するとメタプラネット株の方がビットコイン現物を買う場合と比較するとメリットがある感じですね。
しかし、冷静によく考えるとそうとも言えない・・・
株価を考えると税制メリットは薄い
それはメタプラネットの株価がかなり高い水準にあるってことです。
メタプラネットは保有ビットコインの数倍の株価(時価総額)となっています。
つまり、ビットコインの税制目当てだけに買うと数倍高い金額でビットコインを買っているみたいなものなんですよ。
いくら税制面で有利でもあまり意味がなくなってしまう水準なんです。
メタプラネットはいくら他の事業をやっているとはいえ、メインがビットコインへの投資・長期保有と考えれば厳しい水準です。
そこから派生した新たなビジネスを生み出す可能性に賭けているというならわからないでもないですが・・・
また、そもそもの税制メリットがなくなるって話もあります。

メタプラネットはなぜ上がっているのか?
それではメタプラネット株はなぜ上がっているのでしょう?
結論から先に言えば私にはわかりません
単一の答えはなく、複合要因+投機的思惑が絡み合っているのでしょう。
よく言われる内容を見ていきましょう。
ビットコイン連動型“国内 ETF 代替”説
日本では現物 Bitcoin ETF が未承認です。(米国では 2024/1 に承認)。
そのため、投資家は「税率 20%+国内株口座で売買可」という利便性を重視し、間接 BTC プレーとしてメタプラネットに資金を振り向けているとも言われています。
レバレッジ効果
既存事業キャッシュフローが小さく、BTC 保有が純資産の大半になるため、BTC 価格が 1 割動けば純資産価値は 1 割以上ブレやすい。
また、マイクロストラテジー同様「BTC 上昇時に株価が何倍にも跳ねやすいレバ銘柄」という認識があり、投資家から注目されやすいという部分もあります。
希少性・浮動株の少なさ
もともとメタプラネットは小型株で発行済株式数も限られ、需給逼迫が価格を押し上げやすいのも大きいでしょう。
追加資金調達(社債・ワラント)で BTC を買うたびに「次の好材料期待」が続く構図となっています。
税制アービトラージ期待
「BTC に課税される高税率→株にすれば 20%」 という現行制度の“抜け道”として一部個人が熱狂。
ただし、前述したように割高な株価を見ると税制面のメリットはかなり少なくなります。
また、将来暗号資産の分離課税が実現すれば相対的優位性は薄れる可能性も
IR 戦略の巧みさ
2025 年 1 月「21 ミリオンプラン」で約 933 億円を調達 → 株価 88% 上昇。
6 月には目標を「10 万 BTC」に上方修正と、常にIRが話題を提供し続けています。
IRがうまいというのはこの手の高騰銘柄の特徴ですね。
昔から株をやっている人だと「ダイキサウンド」と言われると尻込みしちゃうと思いますが笑
メタプラネットの“適正価格”をどう考える?
それではメタプラネットの適正価格はどの程度なのでしょう?
メタプラネットは「ビットコイン財務業」というこれまでにない業態なのでPERなどで測るのは難しいです。
適正価格の判断材料について見ていきましょう。
BTC 保有価値
まず、参考になるのがビットコインの 保有価値です。
6月2日時点の保有ビットコイン数は8,888BTC
6月16日時点でビットコインは15,200,000円くらい。
つまり
がメタプラネットが保有するビットコイン単独の価値ってことです。
メタプラネットの株式発行数は499,048,960株。
それとビットコイン以外の資産、負債等を勘案してあげれば通常の株におけるPBR的な考えはできそうです。
今後の調達・希薄化を考慮すると 1 株当たり価値は常に変動しますが。
実務的には「BTC 保有価値に対して何%のプレミアムなら許容か」を逆算して投資判断するアプローチが現実的。
例えば税制面を考慮して「BTC 評価額の 1.2 倍」が妥当とみる投資家なら、BTC × 1.2 を時価総額の上限として逆算し、株価がそれを超えたら“割高”と判断する——という具合です。
答えはあえて書きません・・・
メタプラネットはmNAVとかオリジナルの経営指標も発表していますが・・・

既存事業価値
ホテル・メディア等の黒字化は未知数 → ほぼ“オプション価値”としかとらえてない方が多いでしょう。
割引要因
株式市場のリスクプレミアム+BTC 価格変動の二重リスクがあります。
また、社債・ワラント乱発による希薄化懸念やビットコインの盗難リスクも
量子コンピュータの話もリスクですね。

まとめ:投資判断は“税制だけ”で決めない
今回は「メタプラネット株はなぜ上がる?ビットコイン現物との税制比較と“適正価格”の考え方」と題してメタプラネット株についてみてきました。
まとめると
・税負担 20% vs 55% の差は確かに大きいが、株価はかなり高く「メタプラネット>ビットコイン」とは言い切れない。
・株価は BTC 価格より大きく振れる可能性があり、一方向に動くとは限らない。
・今後、仮想通貨分離課税が導入されれば優位性は縮小するかもしれない。
といった感じでしょうか。
またビットコイン盗難リスクなんかも考える必要がありそうです。
個人的にはメタプラネットの上がっている理由もビジネスモデルも全然理解できません。
ビットコインの価値と考えても割高過ぎますし、自分の理解できないものに投資をするなという観点から「パス」ですね。

こういうこと書くと炎上しそうですが笑
昔、歩くと暗号資産が貯まるSTEPNが大人気のときに否定する記事を書いたら脅迫まで届いて大変だったんですよ・・・

あとロボ貯を否定した時は、とんでもない金額でアフィリエイトを提示されましたね・・・(当然断りました)
