「老後2,000万円問題」が取り沙汰されてから早数年。
「結局、iDeCo(個人型確定拠出年金)って本当に役立つの?」と思っているあなたに朗報です。
2025年6月13日に成立した年金制度改正法により、iDeCoは2026年以降さらに進化します。
本記事では、加入年齢が70歳未満まで延長され、掛金上限が大幅アップするなどの改正ポイントをわかりやすく整理してみました。
年金制度改正法(2025年6月13日)の概要
まずは今回の年金制度改正法についてから見ていきましょう。
2025年6月13日に公布された「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部改正法」(以下、年金制度改正法)は、少子高齢化・多様な働き方に対応するため、公的年金と私的年金をトータルで底上げすることを目的としています。
iDeCoの拡充は同法の“私的年金パート”に位置付けられ、老後資産形成を促す柱となりました
改正の背景・目的
改正の背景は目的は以下となっています。
- 資産運用立国へ:「貯蓄から投資へ」を国家戦略とし、個人のリスク性資産保有を後押し。
- 長寿化リスクの顕在化:平均寿命が延びる一方、公的年金だけでは生活水準維持が困難。
- 企業年金格差の是正:企業型DCを持たない中小企業勤務者やフリーランスの受け皿を拡大。
簡単に言えば年金が心もとないので、自分でなんとかできるようにiDeCoを拡充しますよってことでしょうね。
逆にiDeCoなどを利用していないとかなり厳しい年金生活になるかの可能性も・・・
施行スケジュール
施行スケジュールは以下の通り
時期 | 主な内容 |
---|---|
2026年4月(予定) | 加入者掛金限度額の撤廃、手続き簡素化の第1弾 |
2026年12月(目標) | 掛金上限引き上げ |
2026年12月(目標) | iDeCo加入可能年齢を70歳に引上げ |
掛金上限と可能年齢の引き上げはまだ目標の時期が決まっているだけだったりします。
現行 iDeCo の仕組みと変更点
次に具体的な改正内容を見ていきましょう。
掛金上限・加入条件・税制優遇
- 掛金は月2.3万円(企業年金なしの会社員)など加入者属性で異なる。
- 20歳~60歳(一部65歳)まで加入可。
- 掛金全額所得控除、運用益非課税、受取時の退職所得控除/公的年金控除。
iDeCoの最大のメリットは、掛金が全額所得控除ってところです。
これだけでも価値がある制度なんですよ。

今までの課題
iDeCoにはいくつも課題がありますが、特に大きいのが以下の点でした。
- 積立可能額が少ない:ゆとりある老後資金には不足。
- 65歳上限:長く働く人が増える中、加入期間が限定的。
- 企業型DCとの併用制限:マッチング拠出との使い分けが煩雑。
これが今回改正されたってことですね。
改正後 iDeCo の主な変更点
区分 | 改正前(〜2025) | 改正後(2026〜) |
---|---|---|
加入年齢上限 | 65歳未満 | 70歳未満 |
掛金上限(企業年金なし会社員) | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
掛金上限(自営業者等) | 月6.8万円 | 月7.5万円 |
掛金上限(企業年金あり会社員・公務員) | 月5.5万円 | 月6.2万円 (企業型DC+iDeCo合計上限) |
手続き | 紙中心・自動移換リスク | オンライン移換/自動移換防止策 |
会社員の企業年金なしの方の掛け金は最大2.7倍増える形となります。
もともと多かった、自営業者でも7,000円増えますね。
また、70歳未満へ延長で長寿化対応。
さらに加入期間が長くなるので退職所得控除の枠が増えることになります。
具体例で学ぶメリット・デメリット
ここからは具体例で見ていきましょう。
ケース①:30代会社員(企業年金なし)
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
月掛金 | 23,000 円 | 62,000 円 |
積立期間 | 35 年(30〜65歳) | 40 年(30〜70歳) |
累計掛金 | 9,660,000 円 | 29,760,000 円 |
想定利回り | 年3% | 年3% |
65/70歳時点の資産 | 約17,060,000 円 | 約57,420,000 円 |
差額(資産) | — | +約40,360,000 円 |
改正後は税制優遇をフル活用して約3.3倍の老後資産を狙えるようになります。
これだけで老後資金2000万円問題は解消可能となります。
また、所得控除額も年間74.4万円に拡大し、住民税・所得税の節税効果が大きく増えますね。
なお、想定利回りは年3%としていますが、これはiDeCo内での投資内容によって大きく異なります。
私の場合はこんな感じの利回りですね。

ただし、ここまで大きくなると受け取る際の税金も考えなくてはならなくなります。
iDeCoは掛けるときは所得控除の対象である代わりに、受け取るときは課税対象なんですよ。
※差額には受け取る際の税金は反映されていません。(会社からの退職金の金額などで大きく違いがあるため)
受け取る際の税金の話はこちらの記事で解説しております。

ケース②:50代フリーランス
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
月掛金 | 68,000 円 | 75,000 円 |
積立期間 | 15 年(50〜65歳) | 20 年(50〜70歳) |
累計掛金 | 12,240,000 円 | 18,000,000 円 |
想定利回り | 年3% | 年3% |
受給前資産(概算) | 約15,430,000 円 | 約24,620,000 円 |
差額(資産) | — | +約9,190,000 円 |
こちらは約900万円増えますね。
「働ける限り積み立てたい」50代にとって、加入期間延長による追加900万円超の効果は大きいです。
こちらも受け取る際の税金は反映されていません。
デメリット
ただし、デメリットも考えられます。
・掛金をたくさん掛ける=キャッシュフロー悪化のリスク
・投資額が増えるほど運用リスクも拡大
・受け取る際の税金が増える
特に大きいのは受け取る際の税金の話でしょう。
受け取る際の税金は今の時点で予想するのは難しいですが、改悪の話があるんですよ。
すでに決まったものでも退職金との重複制限が入りました。
会社からの退職金がかなり多く見込まれている方には死活問題となりかねない話ですね。
詳しくはこちらの記事で解説しております。

さらに退職所得控除や公的年金控除の優遇税制が見直しされる話もでています。

よくある質問(Q&A)
今回の改正でみなさんが疑問に思いそうなところをQ&A形式で解説します。
掛金上限が増えても全額所得控除のまま?
はい。
現行と同じく全額所得控除対象です。
これはiDeCo最大のメリットですね。
マッチング拠出とiDeCoを同時に使える?
現行どおり併用は不可。
ただし掛金を企業型DC側に寄せ、iDeCoの上限枠を活用する運用は可能です。
専業主婦(夫)の掛金は変わる?
改正後も月2.3万円で据え置きです。
まとめ
今回は「iDeCo 2025 改正完全ガイド|上限アップ・加入年齢変更・併用について解説」と題してiDeCoの改正についてみてきました。
iDeCoの加入年齢70歳未満、掛金上限大幅アップでうまく活用すれば長寿リスクと資産形成不足を同時に解決となります。
ただし、多く掛けると受け取る際の金額もかなり大きくなるので、受け取る際の税金面もあらかじめ検討する必要はでてきそうですね。
ちなみに私は受け取る際の税金のことを考えてiDeCoの掛け金は減らしました。
後出しで変えてくるので、自分が受け取る際にどういう税制になっているのかちょっと怖いんですよね・・・

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券の3択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
さらに2024年8月1日(木)より投資信託の保有でポイントが貯まるようになり、現在の条件なら本命といっても良いでしょう。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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