「老後資金づくりはとにかく早く」「iDeCo満額フル活用」ということはこのサイトでも何度が書いていました。
私も当然に実践。
しかし、昨今の株高もあり、iDeCoの残高がかなり増えてきたんですよ。
そのため、受け取る際の退職金控除の限度額を上回る可能性が高くなってきました。
控除をオーバーした部分は退職所得として課税対象となってしまうんですよ。
するとせっかくのiDeCoの掛け金時の節税効果があとで回収されるという結果になりかねません。
そこで私は2025年からiDeCo掛け金を月6.7万円(付加年金利用時の上限)→5,000円(最低金額)へ大幅カット。
今回は同じような方も見えると思いますので、その背景と考え方を共有します。

退職金控除の仕組みをおさらい
まずは今回の話の前提となるiDeCoで使える退職金控除の仕組みを解説しておきましょう。
簡単に言えばiDeCoの掛け金の拠出年数により以下の控除が受けられるんですよ。
勤続年数(掛け金拠出年数) | 控除額 |
---|---|
1~19年 | 40万円 × 年数(最低80万円) |
20年 | 800万円 |
21年以降 | 800万円+70万円×(年数-20年) |
例えばiDeCoに30年掛けたなら800万円(20年分)+70万円×10=1,500万円の控除となります。
つまり、1,500万円までは非課税で受け取れるってことですね。
超えると控除後の残額を1/2に割り、超過累進税率をかけるため、実効税率は所得税・住民税合わせて概ね5~20%程度の課税となります。
ですから多額にオーバーしてしまうとせっかくのiDeCoの節税効果が減ってしまう結果に。
事例でシュミレーションしてみましょう。
シミュレーション──控除オーバーで課税額はどう変わる?
ケース | 退職一時金 | iDeCo一時金 | 合計 | 控除額 | 課税対象(1/2) | 所得税+住民税概算 |
---|---|---|---|---|---|---|
A:控除内 | 2,000万円 | 300万円 | 2,300万円 | 2,200万円 | 50万円 | 約5万円 |
B:控除超 | 2,000万円 | 800万円 | 2,800万円 | 2,200万円 | 300万円 | 約35万円 |
控除枠を600万円上回っただけで、税負担はおよそ30万円増加。
老後資金は「運用益」だけでなく「出口課税」でも目減りすることがわかります。
なお、オーバーしてしまった分は年金として受け取る方法もあります。
ただし、昨今年金に掛かる公的年金控除も減少傾向にあります。
ですからiDeCoは出口戦略が難しいんですよ・・・
詳しくはこちらの記事を御覧ください。

私の事例
私の場合も退職金控除の限度額を上回ることがかなり濃厚になってきました。
そこで掛け金の減額を決めたのです。
2024年12月末の残高はこちらで公開しております。
参考にどうぞ。
この時点で超えそうなので検討始めてたんですよ。

退職金控除の優遇見直しで出口戦略が難しく
また、退職金控除については見直しの方向で検討がされています。
実現すればさらに受け取る際に注意が必要となるのです。
勤続年数による傾斜の是正
まず、現在勤続20年を超えると年間あたり40万円が70万円となる傾斜の是正が検討されています。
つまり、控除額を一律化するということです。
一応、名目としては流動的雇用市場ということですが、iDeCo民にとってはかなりの改悪となりかねない話です。
まだ正式に決まった話ではありませんが・・・
詳しくはこちらの記事を御覧ください。

重複控除の厳格化
もう一つが会社の退職金とiDeCoなどで両方退職金控除を使う裏技が厳格化されるという話です。
会社からの退職金がかなり多く見込まれている方には死活問題となりかねない話です。
具体的には退職金などとイデコの受け取る時期をズラすという方法です。
そうすることで退職金とiDeCoの両方で退職金控除を使って受け取ることが可能となります。
使える条件は以下のとおりです。
1.一時金として受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から5年以降
2.退職一時金よりもiDeCoを後で受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から15年以降
特に前者はうまく使うとかなりお得でした。
先にiDeCoを受取りあとから退職金をもらうのが5年以降ならば再度退職金控除が重複して使えるのです。
例えば60歳で個人型確定拠出年金(iDeCo/ イデコ)を受取り、会社の退職金の受取は65歳ならば両方の制度で退職金控除が利用できることになります。
しかし、今回この部分にメスが入りました。
具体的には
退職手当を受け取った年以前9年以内に「老齢一時金」を受け取っていた場合には退職所得控除の重複排除の特例の対象
となります。
さらに退職所得受給の申告書の保存期間が10年としています(現行7年)
つまり、イデコを先に受け取って10年以内に会社等から退職金をもらった場合に、その退職金には退職所得控除の重複利用が認められないということです。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。

掛け金を減らしつつ節税メリットを最大化する3つのコツ
特に退職金控除の優遇見直しは後出しジャンケンみたいな法改正でやってられないですけどね・・・
それではすでにiDeCoを始めている方はどう考えればよいのでしょう。
3つのコツをご紹介します。
最低掛け金(5,000円)で継続
私のように退職金控除を使い切ってしまいそうな方は、最低掛け金にして継続するのが良いでしょう。
持ち味の非課税運用は維持し、控除枠とのバランスを測ることが可能です。
ご自身のiDeCo残高と受け取るタイミングまでの退職金控除で検討してみてください。
受給方法を一時金+年金に分散
前述したように一時金は退職金控除内まで、それを超えた分は年金として受け取る方法もあります。
年金部分は“公的年金等控除”の対象になり退職金控除を圧迫しません。
ただし、公的年金等控除も縮小方向なので動向に注意が必要です。
NISAへスライド
iDeCoで減らした掛け金分をNISAへシフトするというのもありでしょう。
NISAは上限はありますが、永年非課税で受け取れますからね。
iDeCoで退職金控除を超えてしまうとメリットが激減してしまうので、その部分はNISAの方を優先すべきでしょう。
よくある質問(FAQ)
みなさんが疑問に思われそうな点を先に回答しておきましょう。
そもそも退職金控除が縮小されたら今回の調整は無駄?
いいえ。
控除額が縮むほど“控除枠オーバー”のペナルティは重くなるため、先手の調整はむしろ効果が増します。
ですから今後退職金控除の条件がより厳しくなると予想するなら早めに動くのが吉です。
退職金が確定していないと試算できないのでは?
大まかな予測でも十分。
勤続年数と現在の退職給付見込みを人事部に確認し、年次アップデートすると精度が上がります。
まとめ──「控除という名の天井」を意識した資産形成へ
今回は「退職金控除の枠を超えそうなので iDeCoの掛け金を大幅に減らした件」と題してiDeCoの退職金控除の話をみてきました。
iDeCoは掛けたときに節税、受け取るときに課税という仕組み。
受け取るときに退職金控除や公的年金控除が使えるのでかなりオトクな制度として浸透してきました。
しかし、今後は退職金控除を抑制する改正が濃厚。
掛け金を減らす、受給時期や方法をずらす、NISAなど別枠へ振り替える。
柔軟な資産配置が欠かせません。
iDeCoをやっているみなさんも自分の退職金控除がどうなのか検討してみるとよいでしょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券の3択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
さらに2024年8月1日(木)より投資信託の保有でポイントが貯まるようになり、現在の条件なら本命といっても良いでしょう。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。

にほんブログ村