iDeCo(イデコ)の受取は「一時金」と「年金」どちらを選ぶのが得なのか?パターン別に解説

このサイトで何度もご紹介しています大変お得な制度である個人型確定拠出年金(iDeCo/ イデコ)。

ただし、ちょっと注意しないといけないのが受け取るときです。

基本的にiDeCoは払ったときに節税効果があり、受け取るときに税金が掛かる仕組みだからです。

ただし、受け取るときも節税になる「退職所得控除」と「公的年金控除」を受けられますからそれをうまく活用する必要があるのです。

今回はiDeCo(イデコ)の受取りについてパターン別に解説していきます。

なお、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)ってなに?方は以下の記事をご覧ください。

この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。

iDeCo(イデコ)の受取り方は3パターン

個人型確定拠出年金(iDeCo/ イデコ)は原則として通算加入者等期間が10年以上あれば60歳になるとそれまでに積立てて運用した資産を受け取ることができるようになります。

iDeCoの受取りは比較的自由度が高く設計されており、自分で選択することが出来ます。逆に言えば自己責任なんですね。

この受取金のことを「老齢給付金」といいます。

老齢給付金の受取り方は主に3パターンあります。

老齢一時金:一時金として一括で受け取る
老齢年金:5年以上20年以下の有期年金として分割で受け取る
併用:老齢一時金と老齢年金を併用する

どのパターンがよいのかはその人の退職金の額や生活によって大きく変わってきます。

また、受け取り方法によって税金の扱いも変わってきますので慎重に検討する必要があるのです。

老齢一時金として一括で受け取る

まずは一番オーソドックスな一括で受け取る「老齢一時金」です。

これは運用益も含めた運用した資産を一括で受け取る方法です。

この受け取った資産は退職所得の扱いとなります。

そのため「退職所得控除」の対象となるのです。

退職所得の計算は退職金の税金計算と一緒で以下の通りとなります。

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
退職所得金額×所得税率=所得税額

つまり、退職所得控除額からはみ出たぶんについては半分が課税対象となるってことですね。

逆に言えば退職所得控除額内で収まれば非課税ということです。

退職所得控除額の計算

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円+70万円✕(Aー20年)

退職所得控除額は上記の計算式で決まります。ちょっとわかりにくいと思いますので実際の例で解説していきます。

ちなみにiDeCoの場合の勤続年数は加入年数です。つまり、早く入れば入るほど控除も大きくなるということです。

30年掛けた方の例

iDeCoを30年掛けた人の例で考えて見ましょう。

この場合、退職所得控除の額の計算は800+70万円×(30-20)で1,500万円となります。

つまり、30年で積立てた金額(運用益も含め)が1,500万円以内ならば非課税となります。

ですから退職所得控除の枠内で収まるならば一時金でもらうのがお得です。

では1,500万円を超えていたらどうなるのでしょうか?

2,000万円だった場合

積立てた金額(運用益も含め)が2,000万円だった場合を例に考えてみましょう。

この場合、(収入金額- 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額の式にあてはめると

(2,000万円-1,500万円)× 1 /2 となります。ですから250万円分に対して税金が掛かることになります。

仮に税率20%の人ならば、250万の20%ですから50万円の税金・・・

かなり大きいですね。

会社から退職金が出る場合は要注意

会社員で会社から退職金が出る場合や企業年金の一時金がもらえる場合や、自営業者で小規模企業共済に加入している方は要注意です。iDeCoと退職所得控除の枠をシェアすることになるのです。

なお、イデコと勤務期間の重複期間がある場合にはイデコの加入年数と会社の勤務期間の長い方で控除を計算します。

例えば30年会社に勤めた方は前述と同様に1,500万円の控除枠があります。

もし、会社から1,500万円退職金がもらえるとすると、すでに退職所得控除枠はありませんのでiDeCo分については半分に税金がかかってくることになってしまうのです。

この場合は税金面でかなり損をしてしまうことになりますので、他の受け取り方法を選択しましょう

受取時期をずらす方法も

個人型確定拠出年金(iDeCo/ イデコ)の大きなメリットが払ったときの節税効果ですが、受け取るときに税金を払っていたらその分でメリットが低減してしまいますね。

特に退職金が出る会社員の方は死活問題となります。

そこで裏技があるのです。

それは退職金などとイデコの受け取る時期をズラすという方法です。

そうすることで退職金とiDeCoの両方で退職金控除を使って受け取ることが可能となります。

使える条件は以下のとおりです。

1.一時金として受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から5年以降
2.退職一時金よりもiDeCoを後で受け取る場合、最後に受け取った退職一時金等から15年以降

ちょっとややこしいのでもう少し分かりやすく説明しましょう。

iDeCoを先に受取、あとから退職金をもらう場合

先にiDeCoを受取りあとから退職金をもらう場合は1に該当します。この場合には最後に受け取ったものから5年以降ならば再度退職金控除を使えるのです。

例えば60歳で個人型確定拠出年金(iDeCo/ イデコ)を受取り、会社の退職金の受取は65歳ならば両方の制度で退職金控除が利用できることになります。

これは自営業者の小規模企業共済も同じ扱いとなります。

もし、会社の退職金が5年以降よりも早くに支給されてしまうケースの場合はどうしようもありませんので後述する他の仕組みで受け取るのがよいでしょう。

退職金の受取が先で後からidecoを受け取る場合

退職金よりも個人型確定拠出年金(iDeCo)を後で受け取る場合には、最後に受け取った退職一時金等から15年以降ならば再度退職金控除を使えます。

こちらは15年空けないといけないんですね。

ほとんどの場合はiDeCo分を先に受け取ったほうが得となりますね。



老齢年金として分割で受け取る

次は老齢年金として分割で受け取る場合です。

この受け取った資産は年金所得の扱いとなります。

そのため「公的年金等控除」の対象となります。

こちらも他の厚生年金や国民年金など他の年金と合算で計算されます。

合算して

65歳未満の場合、年金が年間70万円未満ならば非課税となります。
65歳以上の場合、年金が年間120万円未満ならば非課税となります。

これを超える場合には税金が発生します。

それを少しでも緩和するためには年金を使う場合には厚生年金や国民年金を繰り下げしてしまうのも一つでしょう。

例えばiDeCoについては60歳から受取り公的年金を繰り下げて終わってから厚生年金や国民年金の受給開始とかですね。

繰り下げしなくても60歳から65歳までiDeCo。それ以降について厚生年金や国民年金という手もあります。

また、公的年金等控除については縮小がすでに決定されていますし、今後も下がる可能性が大いにありますので注意が必要です。

手数料の存在

老齢年金は5年以上20年以下で任意の期間受け取ることが出来ます。

受取回数も年1回から12回まで自由に選ぶことが出来ます。

ただし、こちらの受け取り方法には税金以外にも少々デメリットがあるんですね。

それは手数料です。

受取1回に付き手数料が「400円+消費税」が掛かるのです。

これはどの金融機関でも共通です。

例えば20年間12回払いならば手数料だけで96,000円掛かる計算となります。

かなり大きいですね・・・

また、運営管理機関によっては金融機関への手数料が毎月発生してきます。

このあたりを考えると年金はあまり魅力的でない受け取り方です。

年金で受け取る場合には極力振込回数を減らすのがおすすめですね。



老齢一時金と老齢年金の併用

もう一つの選択肢は老齢一時金と老齢年金の併用です。

今まで見てきたように基本的に非課税内で収まるならば手数料などを考えると老齢一時金の方が有利です。

ですから非課税内の限度額いっぱいは老齢一時金で受取り、課税されてしまう分についてのみ老齢年金を使うという方法も考えられますね。

ただし、この併用方式使える証券会社がマネックス証券や楽天証券など限られているので注意が必要です。一番加入者が多いSBI証券は今の所、未対応です。今後に期待したい所・・・

※追記:2020年3月請求分からSBI証券も併給に対応します。詳しくは下記記事を御覧ください。




まとめ

今回は「iDeCo(イデコ)の受取は「一時金」と「年金」どちらを選ぶのが得なのか?パターン別に解説」と題してiDeCoの受取りについて考えてみました。

一時金が得なのか、年金が得なのか、併用が得なのかはケースバイケースです。

まとめると以上です。

基本的には一時金が得
退職所得控除内に収まる分は一時金がおすすめ
退職所得控除を超える場合には年金もしくは併給
また、退職所得控除の件を考えるなら少しでも早くに加入した方が得であることも押さえておきましょうね。
(早く入れば入るだけ退職所得控除が増える)
受け取る前に死亡した場合の扱いは下記の記事を御覧ください。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。

しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。

簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。

私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。

(※私が加入しているのはSBI証券です)

この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。

また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。

順番に見ていきましょう。

SBI証券

まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。

SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。

選択の楽しさがありますよね。

また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。

SBI証券iDeCo
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SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。

マネックス証券

次点はマネックス証券 iDeCoです。

こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。

iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。

マネックス証券iDeCo
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マネックス証券 iDeCo

マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。

松井証券

松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。

その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。

こちらも有力候補の一つですね。

松井証券iDeCo
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松井証券【iDeCo 口座開設申込】

2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。

大和証券

大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。

他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。

また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。

大和証券iDeCo
4.5

大和証券 iDeCo

運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。

楽天証券

楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。

この2つのファンドは人気ですね。

楽天証券iDeCo
4.5

楽天証券 401K用プログラム

楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。

総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。

他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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