TOPIXの積立、このまま続けて大丈夫?。
2026年10月から始まる史上最大の銘柄入れ替えを前に、そんな不安の声をよく聞きます。
結論、積立投資家にとって今回の見直しはむしろ追い風です。
ただし、ある立場の人だけは注意が必要なんですよ。
その理由を数字で解説します。
結論:TOPIXはもう「日本株全部入り」の指数ではなくなる
まず結論から言うと、今回のTOPIX見直しの本質は「日本株をほぼ全部含む指数」から「選ばれた約1,000社の指数」への転換です。
これまでTOPIXは、東証プライム市場(旧・東証一部)に上場していれば、業績や流動性に関係なく自動的に組み入れられる指数でした。
上場企業にとっては「入っていて当たり前」の存在だったわけです。
それが2026年10月からの第二段階の見直しで、大きく姿を変えます。
全体の3分の1を超える600以上の銘柄が除外される見込みで、TOPIX史上最大の入れ替えになると報じられています。
構成銘柄数はどうなるのでしょうか。
市場再編前に約2,200あった銘柄は、第一段階の完了で約1,700まで減りました。
さらにニッセイ基礎研究所の試算(2026年5月末時点)では、次期TOPIXの構成銘柄数は984と、ついに1,000銘柄を割り込む水準まで絞り込まれる可能性が出ています。
米国のS&P500が「米国を代表する500社」を選抜する指数であるように、TOPIXも「日本を代表する約1,000社」を選抜する指数へ。
これが今回の見直しの正体です。
元ひふみ投信の藤野さんがTOPIXを半分腐った幕の内弁当と称して話題になったことがありましたが、その半分を切り捨てるという決断になったのです。
では、この変化はあなたの資産運用にどう響くのか。
順番に見ていきましょう。
TOPIX見直しとは?なぜ今、行われるのか
TOPIX見直しとは、東京証券取引所グループ(JPX)が進めている、TOPIX(東証株価指数)の構成銘柄と算出ルールの大規模な変更のことです。
きっかけは2022年4月の東証の市場区分再編でした。
なぜ見直しが必要だったのでしょうか。
理由はシンプルで、従来のTOPIXには「投資対象として質の低い銘柄まで含まれてしまう」という構造問題があったからです。
藤野さんの言葉を借りれば幕の内弁当に入っている「腐ったおかず」ですね。
TOPIXには年金や投資信託を通じて約110兆円もの資金が連動しています。
売買がほとんど成立しないような小型株にも、この巨額マネーが機械的に流れ込む。
この歪みを解消するのが見直しの目的です。
見直しは二段階で進められてきました。
- 第一段階(2022年10月〜2025年1月): 流通株式時価総額100億円未満などの銘柄423社を段階的に除外。構成銘柄は約2,200から約1,700へ
- 第二段階(2026年10月〜2028年7月): 流動性基準による本格的な選抜を開始。対象をプライムだけでなくスタンダード・グロース市場にも拡大
注目したいのは第二段階の「全市場に拡大」という点です。
プライム上場でも流動性が足りなければ外れる一方、スタンダードやグロース上場でも基準を満たせば新たに採用されます。
所属市場ではなく実力で選ぶ。
まさに指数の実力主義化なんですよ。
TOPIX見直しはいつ?スケジュールと判定基準
「TOPIX見直しはいつから始まるのか」。
ここが投資家として一番気になるところですね。
スケジュールを整理します。
- 2026年8月末: 初回判定の基準日(浮動株時価総額・売買代金を評価)
- 2026年9月頃: 除外・追加銘柄の確定リスト公表見込み
- 2026年10月末: 初回定期入替。除外対象銘柄のウエイト低減開始
- 2027年10月: 再評価。継続基準を満たせばウエイト低減は停止
- 2028年7月: 8段階のウエイト低減が完了し、対象銘柄は完全除外
- 2028年10月: 2回目の定期入替。以降は毎年入れ替えを実施
(出典:日本取引所グループ「第2段階の見直し」)
つまり、この記事を読んでいる今まさに、2026年8月末の判定基準日の直前というタイミングです。
当落線上の企業が増配や自社株買いで浮動株時価総額を引き上げようと動いており、Bloombergはこれを「生き残りを懸けた夏の陣」と表現しています。
判定基準も確認しておきましょう。継続採用の条件は次の2つです。
- 浮動株時価総額の累積比率: 上位97%以内
- 年間売買代金回転率: 0.14以上
新規追加はさらに厳しく、累積比率上位96%以内かつ回転率0.2以上が必要です(出典:日本取引所グループ)。
一度外れると復帰のハードルが上がる設計になっており、企業側の緊張感は相当なものでしょう。
なお、除外といっても株がいきなり売られるわけではありません。
2026年10月から四半期ごとに12.5%ずつ、8回に分けてウエイトが下がっていく仕組みです。
| 時期 | 移行係数 | 元のウエイトに対する残存割合 |
|---|---|---|
| 2026年10月末 | 0.875 | 87.5% |
| 2027年1月末 | 0.750 | 75.0% |
| 2027年4月末 | 0.625 | 62.5% |
| 2027年7月末 | 0.500 | 50.0% |
| 2027年10月末 | 0.375 | 37.5% |
| 2028年1月末 | 0.250 | 25.0% |
| 2028年4月末 | 0.125 | 12.5% |
| 2028年7月末 | 0 | 完全除外 |
市場への影響を和らげるための移行措置ですね。
TOPIX見直しで除外される銘柄は?個人投資家が「受け皿」になる現実
「TOPIX見直しで除外される銘柄はどこか」。具体名を知りたい人は多いはずです。
選定を決めるのは、次の二つの関門です。
| 区分 | 年間売買代金回転率 | 浮動株時価総額の累積比率 |
|---|---|---|
| 既存銘柄の継続基準 | 0.14以上 | 上位97%以内 |
| 非採用銘柄の追加基準 | 0.20以上 | 上位96%以内 |
ただ、確定リストの公表は2026年9月頃の見込みで、現時点で出回っているのは上記の条件で民間が予想しているにすぎません。
個別の銘柄名で判断するのはまだ早い段階ともいえます。
除外されるとどうなる?
そこで本記事では、銘柄名よりも大事な「除外されるとどうなるか」という構造を押さえておきましょう。
第一段階の除外銘柄423社には、参考になるデータが残っています。
除外された銘柄の株主構成を見ると、国内機関投資家の比率は8%から2%へ低下し、逆に個人投資家の比率は46%から50%へ上昇しました。
この数字、何を意味するかわかりますか?
機関投資家がインデックス運用の枠組みで機械的に売った株を、個人投資家が買い支えた、ということです。
言い換えれば、個人が機関投資家の売りの「受け皿」になったわけです。
大和総研のレポートによれば、第一段階の除外銘柄の株価は、ウエイト低減の期間中にTOPIXを大きくアンダーパフォームしたと分析されています。
TOPIXに連動するパッシブ運用の規模は、構成銘柄の時価総額の約11.8%に相当するとみられます。
持ち株の1割強を占める「売らなかった大株主」が、2年かけて淡々と売り続ける。
これが除外銘柄に起きることです。
もちろん、除外で売られた後に割安になった銘柄を狙う逆張り戦略も存在します。
ただしそれは、企業の実力を自分で分析できる中上級者の領域です。
「安くなったから」だけで手を出すのは避けたいところですね。
TOPIX見直しの影響を立場別に整理する
ここまでの情報を、あなた自身への影響に落とし込みましょう。
投資家への影響を3つの立場に分類しています。
- 分類1: TOPIX投信の積立投資家 → 影響は「プラス寄り」。指数の中身が流動性の高い銘柄に絞られ、質が上がる。やることは特になし
- 分類2: 大型株・主力株の個別株投資家 → 影響は「軽微〜ややプラス」。除外銘柄の売却資金の一部が残留銘柄に再配分されるため
- 分類3: 除外候補(小型株)のホルダー → 影響は「マイナス警戒」。2026年9月頃の確定リストと保有銘柄の照合が必須
自分がどの分類か、まず確認してみてください。
世間では「600銘柄除外」という数字だけが独り歩きして、積立投資家まで不安になっています。
でも冷静に分類すれば、警戒が必要なのは分類3だけなんですよ。
むしろ積立投資家にとって、今回の見直しは歓迎すべき変化だと私は考えています。
理由は、あなたの積立資金が「売買の成立しにくい小型株」に流れ込む構造的なムダが解消されるからです。
指数がスリムになる分、市場全体を映す鏡としての純度は下がりますが、投資対象としての機能は上がる。
このトレードオフを東証は選んだわけです。
TOPIXはもう「日本株全部入り」ではない。「日本代表・約1,000社」の指数に生まれ変わる。
この一文だけでも覚えて帰ってください。
これが今回の見直しのすべてです。
TOPIXと日経平均、結局どちらを選ぶべきか
日本株のインデックス投資では、TOPIXと日経平均(日経225)のどちらに連動する投信を選ぶかが定番の悩みです。
今回の見直しで、この比較の前提も変わってきます。
両者の違いを一言でいうと、TOPIXは時価総額の大きさで比重が決まる「体重順」の指数、日経平均は株価の高さに影響される「身長順」に近い指数です。
日経平均は値がさ株中心
日経平均連動はファーストリテイリングやソフトバンクなど一部の値がさ株が動いただけで基準価額が大きく揺れます。
「日本経済に投資しているつもりが、実は特定の数社に賭けていた」。

では、今回のTOPIX見直し後はどうでしょうか。
TOPIXは日本株市場の平均
構成銘柄が約1,000に絞られても、TOPIXが浮動株時価総額でウエイト付けする設計は変わりません。
日本の上場企業の時価総額の大半は上位1,000社でカバーされるため、「日本株市場の平均を取る」という性格は実質的に維持されます。
一方の日経平均は225銘柄への選抜と株価の影響という特性がそのままです。
分散を重視するならTOPIX、値がさ株の成長を強く取りたいなら日経平均。
この使い分けの原則は、見直し後も変わらないというのが私の見解です。
ただし、どちらか一方が常に勝つわけではなく、相場の局面によって優劣は入れ替わります。
両方を少しずつ持つ選択肢も含め、自分が納得できる方を選ぶことが何より大事です。
よくある質問
- TOPIX見直しで自分の積立投信の名前や商品は変わりますか?
-
商品名や積立設定は変わりません。投信が連動するTOPIX自体の構成銘柄が2026年10月から段階的に入れ替わるだけで、投資家側の手続きは一切不要です。
基準価額への影響も移行措置により緩和される設計です。
- TOPIXから除外された銘柄はどうなりますか?
-
2026年10月から四半期ごとに8回、12.5%ずつ指数内ウエイトが下がり、2028年7月に完全除外されます。
除外銘柄の受け皿として、一定の流動性を持つ銘柄で構成する新指数「TOPIX Next-tier」が2026年10月から算出開始される予定です。
- 除外される銘柄の一覧はいつ、どこで確認できますか?
-
判定基準日は2026年8月末で、日本取引所グループ(JPX)による確定リストの公表は2026年9月頃の見込みです。
それまでに出回る銘柄リストは民間の試算にすぎないため、JPX公式サイトでの確認をおすすめします。
- TOPIX見直しでTOPIX連動投信は値下がりしますか?
-
見直しだけで指数全体が必ず下がるとは限りません。
除外候補には売り圧力が想定されますが、指数全体での比率は小さく、JPX試算でも市場カバー率や業種、PERなどの変化は限定的です。
相場全体、企業業績、為替などの影響の方が大きい局面もあります。
- TOPIXから除外される銘柄は売った方がよいですか?
-
除外予想だけで機械的に売るのは避けたいところです。
需給悪化はあり得ますが、株価へ織り込み済みの可能性もあり、2027年の再評価で低減が止まる余地もあります。
業績、財務、株主還元、浮動株比率を確認し、指数要因と企業価値を分けて判断してください。
まとめ
最後に、多くの読者が本当に知りたい問いに答えます。「TOPIXが見直されても、積立投資は続けるべきか」。
私の答えは「続けてよい。ただし条件付きで」です。
続けてよい理由は、ここまで見てきたとおり、見直しが指数の質を高める方向の変更だからです。
あなたが積み立てているTOPIX投信は、2026年10月以降、自動的に新しいTOPIXに連動していきます。
乗り換え手続きも売却も不要です。
むしろ入れ替えのニュースに動揺して積立を止めたり、狼狽売りしたりすることこそが、長期投資で一番やってはいけない行動なんですよ。
では「条件」とは何か。次の2点だけ確認してください。
- 保有する個別株がある人: 2026年9月頃に公表される確定リストと照合する。除外対象なら、保有継続の根拠を業績ベースで再点検する
- TOPIX以外の小型株投信・ETFを持つ人: 連動指数が何かを目論見書で確認する。TOPIX除外の影響を受ける指数もあるため
逆に、この見直しを機に短期の値ざや取りを狙うのは、情報力で機関投資家に劣る個人には不向きです。
イベント投資はプロがひしめく領域であることは、誠実にお伝えしておきます。
今日やることは1つだけ。
証券口座にログインして、自分の保有商品が「TOPIX連動の投信だけ」なのか「個別株や小型株投信も含む」のかを確認することです。
3分で終わります。それだけで、9月の確定リスト公表を落ち着いて迎えられますよ。
指数は変わっても、時間を味方につけるという積立投資の原則は変わりません。
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