高い椅子を買うなら、失敗したくないですよね。
しかし、多くの人がネットの評判やなんとなくの試座で決めているようです。
在宅勤務やフリーランスで1日中座る人ほど、椅子選びの失敗は腰にも財布にも響きます。
私はハーマンミラーのパーソナルフィッティングを受け、今までの座り方とサイズの認識を見直しました。
違ったのは椅子の印象だけではありません。
自分に合う一脚の「選び方」が変わったんですよ。
パーソナルフィッティングの価値は「椅子の選び方」が変わること
ハーマンミラーのパーソナルフィッティングサービスを受けて、私が感じた価値。
それは、おすすめの機種を教えてもらうこと以上に、椅子を判断する基準が変わったことでした。
先にお伝えすると、椅子を試座する際は、自分向けに調整した状態で比べてほしい。
未調整の印象だけで候補を落とすのは、もったいないと感じたからです。
有名な椅子なのに、こんなものか
実は、私が最初にアーロンチェアを試したときの感想はこんな感じでした。
悪くはないけれど、最高の一脚と言われるアーロンチェアのイメージほど良くもない・・・
同じ店舗で試したオカムラのコンテッサセコンダやエルゴヒューマンPRO2のほうが好印象だったんですよ。
同じ候補なのに、調整すると評価が変わった
ところが、ハーマンミラーのパーソナルフィッティングサービスで自分の身体に合わせた設定をしてもらうと、劇的にアーロンチェアの座りは心地がよく感じられました。
気になっていた問題も、試座中は解消したと感じたほど。
ここで気づいたのが、自分では普通に座っているつもりでも、椅子の支えをうまく使えていなかったということ。
椅子の性能だけを見ているつもりで、自分の座り方や調整の影響まで、ひとまとめに評価していたわけです。
もちろん、これは私個人の試座体験。
長時間使った結果でも、体の不調が治ったという話でもありません。
それでも、「合わない」と判断する前に確認すべきことがあった。その発見は大きかったですね。
いま候補から外そうとしている椅子は、自分に合わせて調整した状態で試しましたか。
買いたいのは、椅子ではなく「仕事に集中できる環境」
在宅勤務やフリーランス、トレーダーの方の椅子選びで、本当に片づけたい問題は何でしょう。
有名な椅子を所有することより、作業中に座り直したり、腰の負担を軽減したい、腕の置き場に迷ったりする時間を減らしたい。
私は、こちらが目的に近いと考えています。
マーケティングの基礎的な話でドリルを売るんじゃない。穴を売れというものがありますが、それと同じですね。
米国労働安全衛生局のOSHAも、椅子だけでなく、画面・キーボード・机を合わせて調整するよう案内しています。
座り心地は、椅子単体で完結させないという考え方です。
私にとってフィッティングは、買う椅子を決める場であると同時に、「何が合っていれば快適なのか」を知る場でした。
この順番に変えるだけで、スペック表や口コミの読み方も変わってきます。
ハーマンミラーのパーソナルフィッティングとは
ハーマンミラーの公式案内によると、パーソナルフィッティングは、同店でワークチェアの購入を予定している人向けの予約制サービスです。
エルゴノミックアドバイザーが話を聞き、働き方やワークスペースに合う提案を行います。
「エルゴノミック」は、人間工学に関する言葉です。
ここでは、体と道具、作業環境の関係を考えながら椅子を選ぶ、と理解するとわかりやすいでしょう。
単に座面を上げ下げする操作説明ではなく、自分がどんな環境で、どんな仕事をするのかを相談する機会。
この公式の位置づけを知っておくと、当日に話したいことを準備しやすくなります。
時間は90分枠
案内時間は90分の枠となっています。
ただし、これは人によると思われます。
私は90分も使ってないですね。
いろいろ聞きまくったり、試しまくればそのくらいいくのかもしれません。
最大90分の枠と思えば良いでしょう。
予約はハーマンミラーの公式サイトから可能となっています
>>ハーマンミラー パーソナルフィッティングサービス
料金は無料、セールスもなかった
なお、料金は無料です。
この手のサービスは売り込まれそうと不安な方も多いと思います。
担当された方にもよるとは思いますが、私の場合は特にセールスもされませんでした。
納期や金額の話くらいです。
購入を検討している人向けとなっておりますが、当日に必ず購入しなければならないというわけでも当然ありません。
なぜ在宅ワーカーほど、椅子選びの失敗が高くつくのか
私もですが、多くの方は椅子選びをそこまで重点をおいていません。
そのため、失敗している方が多いんですよ。
日本人は「座る時間」も「腰の悩み」も多い側
日本人の平日の座位時間は1日平均7時間で、調査対象の20か国の中で最も長い水準でした(出典:シドニー大学などオーストラリアの研究機関による国際比較調査)
体の不調でも、毎回のように腰痛が上位に顔を出します。
自覚症状のある人の割合を症状別に見ると、2025年の調査では男女とも「腰痛」が1位でした。
人口千人あたり、女性100.8人、男性85.9人という数字です。
私も今回椅子を見直そうと思ったのは腰の不調が大きかったです。
また、在宅で働く人も、一定の規模で定着しました。
雇用型就業者の直近1年間のテレワーク実施率は16.8%で、コロナ禍後の減少から増加に転じています。
自営型の就業者では、テレワーカーの割合が30.7%でした。
本業がフリーランスの人は、約209万人いるとされます。
オフィスの椅子は「誰かが選んでくれていた」
会社に通っていた頃、椅子のことを深く考えた人は少ないはずです。
総務部門が選んだ椅子に、ただ座っていればよかったからですね。
多くの会社がそれなりに良い椅子を選んでくれているんですよ。
ちなみに日本でオフィス向けに一番導入されていると言われるのはオカムラ シルフィーで、オプションにもよりますが、それでも1脚10万円程度はするのです。
厚生労働省の椅子の条件
ちなみに厚生労働省は、自宅でテレワークをする際の椅子の条件として、次の4つを示しています。
- 安定していて、簡単に移動できる
- 座面の高さを調整できる
- 傾きを調整できる背もたれがある
- 肘掛けがある
在宅で仕事をしている人は、4つのうちいくつ当てはまるでしょうか。
多くの方はあまり満たせていないのではないでしょうか?
私も今座っている椅子は4万円くらいで買ったものですが、3が満たせてないですね・・・
肘掛けはありますが、高さも変えられないという不満もあります。
会社員なら勤務先が在宅の作業環境に目を配る仕組みがあります。
テレワーク時も安全衛生を確かめる事業者用のチェックリストを用意しています。
一方でフリーランスには、その役目を担ってくれる人がいません。
自分の体の「衛生管理者」は、自分自身なんです。
アーロンチェアを選んでも1時間あたり約11円
ちなみにアーロンチェアの公式価格は268,400円からで、保証は12年です。
仮に年2,000時間座るとすると、12年で24,000時間。
1時間あたり約11円の計算になります。
この数字だけを見ると、意外と割安に感じるかもしれません。
けれど前提は「体に合っていること」。
サイズや座り方がズレたまま毎日座れば、11円は不調の積み立てに変わってしまいます。
高い椅子の本当のリスクは価格ではなく、合わないまま座り続けることなんですよ。
あなたは今の椅子に、1日何時間座っていますか?
体験して気づいた「座り方」と「サイズ」の思い込み
パーソナルフィッティングサービスを体験して気づいた点をまとめてみましょう。
「普通に座っていた」つもりが、そもそも違った
予約を入れた時点では、正直なところ「座り比べて、好みの1台を選ぶ場」くらいに考えていました。
その前提は、最初の数分で崩れます。
いつもの姿勢で座ってください、と言われて腰掛けた私の姿勢。
アドバイザーから見ると腰を痛める典型なような姿勢とのこと。
自分では長年、ごく普通に座っていたつもりです。
だからこそ、指摘を受けたときの驚きは大きかったですね。
調整後の姿勢で座り直すと、背筋が伸びた感じがしました。
同じ椅子なのに、まるで別物でした。
サイズも「数字の上」では合っていた
サイズも同じでした。
アーロンチェアはA、B、Cの3サイズあります。
背もたれの高さや座面の幅などが異なり、さまざまな体格に対応する設計です。
ところがパーソナルフィッティングでサイズの認識が変わりました。
この点もパーソナルフィッティングサービスを受けてみてよかった点ですね。
「身長、体重がこのくらいだから、絶対にこのサイズ」と決める前に、実際に座った状態で確認したくありませんか。
サイズがズレていたり、座り方が崩れていれば、どんな名作チェアでも本来の性能は出ませんしね。
椅子選びの失敗は、椅子ではなく「自分の思い込み」から始まる。
サイズは「身長の重なり」に注意
公式に以下の目安が示されています。
| サイズ | 身長の目安 | 体重の目安 |
|---|---|---|
| A(スモール) | 約142〜163cm | 最大135kg |
| B(ミディアム) | 約157〜183cm | 最大159kg |
| C(ラージ) | 約178〜198cm | 最大159kg |
この表で注目したいのは、身長の範囲が重なっていること。
157〜163cmの人はAとBの両方に、178〜183cmの人はBとCの両方に入ります。
公式も、Bサイズは幅広い人に合うよう設計され、A/BやB/Cの境界にいる人におすすめだとしています。
つまり、身長だけでは決めきれない帯が公式でもはっきり存在するんです。
ちゃんとした姿勢で座ってみて、膝裏の余裕がどのくらいあるのかで判断するのが正しいようです。
私がサイズを勘違いしたのも、まさにこの部分でした。
他の体験者も、同じ「ズレ」に気づいている
これは私だけの話ではありません。
渋谷のストアで体験したnoteの筆者は、座骨を立てて座ると骨盤が傾かず、背骨がS字を保てると教わったそうです。
そして、無意識に続けていた前かがみの姿勢こそ、デスクワークで避けるべき姿勢だったと振り返っています(出典:note「HermanMillerのオフィスチェアを体験し、違いがわかった。」)。
青山のストアで購入したブロガーも、似た経験を書いています。
寸法の上ではBサイズでも問題なさそうだったものの、座った状態をアドバイザーに見てもらい、Aサイズに決めたそうです(出典:アメーバブログ「ハーマンミラーでアーロンチェアを買う。」)。
メガネを作るとき、視力を測らずにレンズを選ぶ人はいませんよね。
椅子も同じで、自分の感覚だけではズレに気づけないんです。
椅子選びの失敗は3つのズレに分けられる
体験から整理すると、椅子選びの失敗は次の3つのズレに分けられます。
| ズレ | よくある思い込み | フィッティングで分かること | 持ち帰るメモ |
|---|---|---|---|
| サイズのズレ | 身長だけでサイズは決まる | 膝裏・座面・肘の当たり方から見た適正サイズ | 推奨サイズと、その理由 |
| 姿勢のズレ | 背筋を伸ばせば正しい姿勢 | 骨盤の角度と、背もたれへの体の預け方 | 腰まわりのサポートの位置と強さ |
| 机のズレ | 椅子を替えれば解決する | 座面の高さと、机やモニターとの関係 | 座面の高さ、肘掛けの高さ、机の高さ |
ポイントは、3つが互いに影響し合うことです。
たとえば座面を正しい高さにしても、机が高すぎれば肩が上がります。
サイズが合っていなければ、姿勢をいくら意識しても長続きしません。
3つのうち、いちばん見落とされやすいのが机のズレです。
事前に机の高さをアンケートで書きますので、測っておきましょう。
ストアにはモニターアーム付きのPCや昇降デスクがあり、自宅に近い環境で調整してくれます。
新たな選択肢「エンボディチェア」、アーロンチェアとの比較
また、パーソナルフィッティングサービスを受けて新たな選択肢が出来ました。
エンボディチェアです。
ハーマンミラーの椅子といえば「アーロンチェア」が有名ですが、他にもいろいろな椅子があるんですよ。
アーロンチェアとエンボディチェアではかなりコンセプトが違うのです。
| 比較する点 | アーロンチェア | エンボディチェア |
|---|---|---|
| 体への合わせ方 | A・B・Cから本体サイズを選び、各部を調整 | 座面奥行きや背もたれのカーブなどを調整 |
| 支え方の特徴 | 8Zペリクルと呼ぶメッシュ素材を使用 | 細かな支持構造と複数の層で体を支える |
| 背中側の確認点 | ポスチャーフィットSL搭載仕様では、支えの当たり方 | バックフィット調整による背中全体の当たり方 |
| 試座で比べたいこと | サイズごとの収まり、前傾機能の必要性 | 座面奥行き、背中への追従感、アームの位置 |
大きな違いは「サイズで合わせる」か「調整で合わせる」かです。
アーロンは3サイズから体に合う器を選び、エンボディは1サイズを調整で体に寄せていく。
そんな発想の違いと捉えると分かりやすいですね。
「仕事用ならアーロン」で思考を止めない
イメージとしてはPC作業やゲーム、トレードが中心ならエンボディ、書類や書き仕事とPCの両方ならアーロンがオススメとのこと。
ポイントは前傾機能が必要かどうか。
アーロンチェアは前傾姿勢をフォローする機能がついています。
前傾機能は、書きものやキーボード入力などの集中作業で太ももが前下がりになる姿勢を支える機能です。
通常の椅子で前かがみになると背中がシートから離れて、腰によくない姿勢になってしまうんですよ。
漫画家さんなどにアーロンチェアが人気なのはこの機能がある部分が大きいとのこと。
一方、エンボディチェアはそれがないのです。
同じパソコン作業でも、文字入力、資料の読み込み、オンライン会議では、手や視線の使い方が違うはず。
仕事で長い時間を占めるのかは、どの作業かで決まってくると思われます。
個人的な感想にはなりますが、座り心地はエンボディチェアの方が包まれている感があって良かったですね。
前傾姿勢での仕事がないならエンボディチェアがおすすめとなりそうです。
そのため、エンボディに傾き掛けていたのですが、私の場合は無意識に姿勢が前傾になっているようで、アーロンチェアの方が向いているという説明を受けてしまいました。
フリーランスの「買い方」とお金の話
お金の話も少し触れおきましょう。
少額減価償却資産の特例が40万円未満に
青色申告をしている個人事業主や法人の方には、取得価額が一定額未満の資産を、その年に全額経費にできる特例があります。
2026年度の税制改正で、この特例の上限は30万円未満から40万円未満に引き上げられました。
2026年4月1日以後に取得した資産が対象で、年間の合計は300万円まで。
適用期限は2029年3月31日まで延長されています。
アーロンもエンボディも、最安構成なら30万円未満です。
オプションを選んで30万円を超えても、40万円未満なら特例の範囲に収まります。
この点は嬉しい改正ですね。
使う前に確認したい注意点
元経理責任者として、ここは慎重にお伝えさせてください。
特例を使わずに通常の減価償却をする場合もあります。
事務いすの法定耐用年数は、主として金属製のもので15年、その他のもので8年です
- 白色申告では使えない
- 仕事とプライベートで兼用するなら、事業で使う割合で按分する
- 金額の判定は、配送料などの付随費用も含めて行う
- この特例で経費にした資産も、固定資産税(償却資産税)の申告対象になる場合がある
経費になるから買うは本末転倒
特例を使っても、税率に応じて税負担が軽くなるだけです。
30万円近い支出そのものが消えるわけではありません。
そして何より、体に合わない椅子は、経費にしても毎日の不調を生みます。
税金の得は、合う椅子が見つかったあとに考えるおまけ。
順番を逆にしないことが、遠回りに見えていちばんの節約になります。
会社員の場合、自分で買った椅子は原則として経費になりません。
勤務先に在宅勤務手当や備品の貸与制度がないか、先に確認してみましょう。
まとめ
この記事のポイントを振り返ります。
- パーソナルフィッティングの価値は、椅子選びより「思い込みの修正」にある
- 椅子選びの失敗は、サイズ・姿勢・机のズレで起きる
- アーロンチェアのサイズは身長の範囲が重なるため、試座で決めるのが確実
私が体験してよかったのは、有名な椅子への評価が上がったことだけではありません。
自分の座り方を見直し、サイズの思い込みを外せたこと。
毎日使う道具だからこそ、評判より、自分の仕事場で使える理由を持って選びたいですね。
ちなみに私はまだアーロンチェア、エンボディチェア、オカムラのコンテッサセコンダ、エルゴヒューマンPRO2の4択で迷っています。
もう一度くらい座りに行くかも・・・
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