あれ??昇給したはずなのに給料の手取り額が減っていると感じたときに知っておきたい仕組み

3月〜6月にかけての時期によくいただく質問があります。

それは昇給したはずなのに給料の手取り額が減ってるよ。なぜ??

というご質問です。

これは給料計算とかを経験したことない方だとちょっとわかりにくい話なんですよ。

そこで今回は給料の手取り額について解説していきます。

給料明細のここに注目

給料明細は手取り額(入金額)だけ見ているって方も多いと思います。

中には銀行口座を見るだけで給料明細は捨ててしまったりする方もいるでしょう。

しかし、給料明細はできればしっかり確認しておきたい項目がいくつかあるのです。

まずは注目しておきたいポイントから見ていきましょう。

給料計算は完璧ではない

給料明細をもらってまったく見ない方は、会社を信じており、給料明細は必ず正確であると思っている方でしょう。

しかし、実はそうではありません。

私がいた会社でも年に数回間違いが起こっていました。

給料計算の担当者も人間ですから間違いは起こり得るのです。

とくに人が変わったりちょっと変則的なことがあったりすると起こりやすいですね。

間違いの内容は様々です。

残業時間が違っている、手当をつけ忘れしているなどなど。。。

まずは手取りが減っている理由が計算間違いや手当等のつけ忘れを疑って給料明細をしっかり確認してみましょう。

特に新型コロナウィルス関連で休業なんかが絡んでいると発生することが多くなることが予想されます。

深夜残業、休日出勤

特に多いのが深夜残業や休日出勤の計算でしょうか。

この辺りになると専門的な知識がないと知らないでしょうから給料明細をみても間違いに気づかないかもしれません。

ちなみに深夜残業は午後10時から翌日5時までに働いた時間のことで1.25倍の割増賃金を払う必要があります。

休日出勤は1.35倍の割増賃金を払う必要があります。

(いずれも労働基準法に定められた最低基準)

これ通常の時間外労働と併用、休日出勤と深夜残業の併用等もありますのでそうなってくると結構ややっこしいので間違えやすいのです。

例えばその日に8時間以上働いてさらに深夜まで残業をしていた場合には深夜残業の時間については25%(時間外労働分)+25%(深夜残業分)で1.5倍としなければなりません。

休日に深夜まで働けば休日の割増分35%と25%(深夜残業分)で1.6倍としなければなりません。

ややっこしいですよね。

そのためかなり間違いが多い場所なんですよ。ぜひ一度確認してみるとよいでしょう。

私が元いた会社であったのは休日出勤なんだけど処理上その認識がされておらず、休日出勤分が加算されていないってことがありましたね。(ちなみは本人はまったく気づかず・・・)




住民税が6月から変わる

もう一つ多いのが住民税関連の影響です。

住民税はちょっとややこしい仕組みになっています。

住民税の仕組み

住民税は前年の所得を元に計算します。そしてそれを12等分したものを、6月から翌年5月まで給料天引きすることになります。(特別徴収の場合)

つまり、6月から給料から天引される住民税の金額が変わるってことなんですね。

住民税は給料以外の所得の影響も受けます。

そのため、給料があまり変わらなくても大きく変わるケースがあります。

例えば前年に副業で儲けたとか、仮想通貨で大きく儲けたなどの場合などがそうです。

これらの分も6月以降に引かれる住民税に関わってきます。

また、住宅ローン減税が終わったとか、子供が独立して扶養が減ったなんてケースも住民税があがっている可能性が高そうです。

ちなみに株は特定口座で源泉徴収ありにしている場合はすでに住民税分が引かれていますので関係してきません。

他にも引っ越しをしたりすると住民税の金額が変わることがあります。

(1月1日現在の住民票の住所を元に課税されます)

それは住民税の計算が一部異なっているケースがあるためです。

また、名古屋市のように減税を実施している市町村もあったり・・・

ただし、基本の計算は同じですので国民健康保険ほどの違いはありませんけどね。

また、住民税の細かい内訳は住民税決定通知書に書いてありますので念の為確認をしておきましょう。

住民税決定通知書の見方についてはこちらの記事をご覧ください。

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社会人2年目の人は要注意

よくあるのが社会人2年目の方からの問い合わせです。

(毎年あるので事前に案内を出していました)

社会人になる前アルバイトなどをバリバリしていた人以外は所得が少ないため住民税がないか、少ないと思います。

給料から住民税を天引きする特別徴収にするのも会社に申し込みが必要なためやっていない方がほとんどでしょう。

そのため、6月になると急に住民税(昨年の所得で計算)が給料から引かれはじめて手取り金額ががくんと減るのでびっくりするのです。

社会人3年目や転職者の方も手取りが減るかも

社会人3年目や転職者の方も同様に注意が必要です。

社会人1年目は働き出したのが4月からなら4月〜12月しか給料がでていません。

そのため住民税もその間、つまり9ヶ月間分となります。

しかし、2年目は1月から働いていますので1年間分となります。

そのため社会人3年目も大幅に住民税が増えることになるケースがほとんどですから該当する方は覚えておきましょう。

転職者もその前の年の給料がどうだったのかで決まってきます。

無職期間があったりすると比較すると住民税が増えることになりますね。




社会保険は9月から変わる

また、さらにややこしいことに社会保険は7月から変わります

こちらもちょっとわかりにくいので簡単に解説しておきましょう。

社会保険計算の仕組み

社会保険(健康保険、厚生年金)は基本的に4月から6月の平均賃金により決定されます。

給料の天引きに反映されるのは9月から(会社により10月から)となります。

つまり、そこからまた手取り額が変わる可能性が高いです。

具体的には社会保険の計算は4月、5月、6月に支払った賃金の合計から一カ月あたりの平均賃金を算出し、その金額を下記のような健康保険・厚生年金保険の保険料額表にあてはめて決めるのです。

賃金には基本給はもちろん、家族手当、住宅手当、残業手当なども入りますし、通勤手当なんかも含まれてきます。

(よく言われる4月〜6月は残業しないほうがよいよってのはこのためですね)

ですから今年4月から6月にたくさん残業したよって方は今年の社会保険は高くなっているかもしれません。

保険料額表

出所;日本年金機構 保険料額表

社会保険改定の仕組みについては詳しくは下記記事をご覧ください。

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標準報酬の等級が変わると・・・

また、上記の保険料額表を見てもらうとわかるのですが報酬月額には結構幅があります。

例えば、報酬が230,000円の人と249,000円の人の厚生年金の金額は同じ40,260円となります(給料から引かれるのは半分の20,130円)

250,000円の人だと厚生年金の金額は43,920なります(給料から引かれるのは半分の21,960円)となります。

250,000円の人と249,000円では報酬額の差は1,000円あります。

しかし、250,000円の人が払う厚生年金は21,960円、249,000円の人が払う厚生年金は20,130円と、250,000円の人の方が1,830円多くなります

つまり、給料が1000円高くなると1,830円余分に払うことになりますので手取り830円減るという変な現象が起こってしまっているのです。

これは標準報酬がどの等級になるのかが大きく影響してきます。

将来もらえる年金額にも影響してくる話ですから、等級が高くなることが一概に悪い話ではありませんけど手取り金額には大きな影響を及ぼすのです。

健康保険も計算の仕方は同様です。

ですから給料の手取り額が減っている場合に原因が社会保険の場合には自分の等級がどうなったのかも確認してみるとよいでしょう。

ちなみに令和2年9月からは厚生年金保険料の条件が変わりますので注意が必要です。詳しくは下記記事を御覧ください。




まとめ

今回は「あれ??昇給したはずなのに給料の手取り額が減っていると感じたときに知っておきたい仕組み」と題して、給料の手取り額が減ったときに考えられる点を見てきました。

まとめるとだいたいこの3つのパターンに集約されると思います。

給料計算が間違えている
住民税が変更になった(6月から)
社会保険が変更になった(9月から)

もし、昇給したはずなのに給料の手取り額が減ってしまっているというときは上の3つに該当しないのか確認してみてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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