NISA口座、つみたてNISA口座の金融機関(証券会社、銀行)を変更する方法、気をつけたいポイント

NISA(少額投資非課税制度)や今年から始まったつみたてNISAは一人一口座しか開設することができません。(NISAとつみたてNISAは選択制)そのため、すでに開設している証券会社や銀行で買いたい商品がない場合や他の証券会社で魅力的なキャンペーンが始まった際などは変更の手続きが必要となります。

NISA口座やつみたてNISA口座の証券会社を変更をしたいと思う方がかなり増えていると聞きます。

そこで今回は、NISA口座やつみたてNISA口座を他の金融機関に変更する方法及び気をつけたいポイントについて解説していきます。

つみたてNISAってなに?って方はこちらの記事を御覧ください。

NISA、つみたてNISA口座は金融機関の変更が可能

NISAとは簡単に言えば枠内であれば投資で利益がでても税金が掛からないというありがたい制度のことです。NISAは現在全部で3つの種類があります。つみたてNISA、従来のNISA、未成年用のジュニアNISAです。

そのうち、つみたてNISAと従来のNISAは金融機関の変更が可能です。一方、ジュニアNISAは金融機関の変更が不可となっています。

まずは前提となるNISAとつみたてNISAについても簡単に解説しておきましょう。



NISAとは

NISA(少額投資非課税制度)はその名前の通り、少額の投資ならば5年間非課税で運用できる制度です。通常は株式投資や投資信託、ETFなどで利益がでればその利益に対して20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座内で運用している場合には利益が出ても税金は免除してくれるのです。現在は非課税投資枠が120万円となっています。

例えば120万円分の株を買って200万円で売却したとします。本来なら80万円分の売却益が出ていますので162,520円の税金がとられます。(特定口座で源泉徴収ありなら自動で差し引かれます)しかし、これがNISA口座内ならば税金は0とかなり有利に投資できるってことです。

つみたてNISAとは

つみたてNISAについても簡単に説明しておきましょう。つみたてNISAと通常のNISA(少額投資非課税制度)を比較すると非課税投資枠が年間120万から40万円に減り、運用期間5年間から20年間へ伸びた制度となっています。つまり、つみたてNISAはより長期投資を狙った制度であるということです。従来のNISAより年間で投資できる金額は減りますが、20年間非課税で運用できますのでめいいっぱい活用すると最大800万円となります。現行の制度ですと600万円ですので、長期的な目で見ればこちらの方が非課税でたくさん投資できることになります。

また、投資可能商品にも違いがあります。つみたてNISAは基本的に金融庁が選定した投資信託のみが対象となっています。対して通常のNISAは普通の株式やETF、ほとんどの投資信託に投資が可能となっています。つまり、投資できる範囲が広いってことになります。

どちらにもメリット・デメリットがありますのでどちらがいいのかは考え方しだいでしょうね。
つみたてNISA比較

変更できる期間

変更は一定のルールがあります。

変更しようとする年の前年10月1日から変更しようとする9月末までに、金融機関で変更の手続きを完了する必要があるのです。また、その年に既にNISA口座内で金融商品の購入をしていた場合には、変更できるのは翌年の投資分からです。また、金融機関の変更をした場合には、変更前の金融機関のNISA口座では、追加の金融商品の購入ができなくなります。

つまり、来年から楽天証券に変更したいと思ったとすると今年の10月1日から来年の9月30日までに手続きをする必要があるってことです。ただし、来年の1月1日以降にそのNISAやつみたてNISA口座で一度でも取引してしまうと変更してもその年の買い付けはできなくなりますので注意が必要となります。

ですから、来年すぐから使いたいなら今年の10月1日から12月末までに手続きをしておくのがよいでしょうね。また、手続きしてしまうと現在のNISA、つみたてNISA口座で買えなくなりますので非課税投資枠満額まで買ってからが良いかもしれませんね

年末の取引には要注意

NISAやつみたてNISAの買い付けは受け渡し日ベースで判定されます。特に海外株を買う投資信託などは受け渡し日がかなり遅めですから年末に買ったと思っても1月1日以降となってしまう可能性があります。よく確認してかいましょうね。次年のNISA枠を1度でも使ってしまうと1年間他の金融機関でNISAやつみたてNISAができなくなります・・・

変更に必要な手続き

NISA、つみたてNISAは口座を変更に必要な手続きは以下のとおりです。

変更前の金融機関に金融商品取引業者等変更届出書を提出する

まずは変更前の金融機関から金融商品取引業者等変更届出書もしくは非課税口座廃止届出書をもらいます。この書類は取扱をしている証券会社、銀行により入手方法は違いますが、ネット証券などではマイページなどから請求できるケースが多いようです。また、銀行などは窓口や電話で請求するケースが多いようです。詳しくは利用している金融機関にお問い合わせください。

両書類の違いは下記のとおりです。

金融商品取引業者等変更届出書とは

金融商品取引業者等変更届出書は変更前の金融機関のNISA口座で購入したものは引き続き変更前の金融機関で保有することや売却することができるためのもの。つまり、変更前の金融機関ですでにNISAやつみたてNISA口座を利用している方用です。

非課税口座廃止届出書とは

非課税口座廃止届出書は変更前の金融機関のNISA口座を完全に廃止するためのものです。つまり、変更前の金融機関でNISAやつみたてNISA口座開設はしたけど使っていない方用のものです。NISAやつみたてNISA口座を利用している人がこちらを利用して非課税口座が廃止されると非課税口座で保有している商品はすべて課税口座へ強制的に移管されてしまいますのでお気をつけください。

どちらかの書類を提出する

どちらかの書類を記入して変更前の金融機関に提出します。

金融機関に到着後、金融機関が税務署への届け出等を行います(そのため少し時間が掛かるようです)

その手続が済むと非課税管理勘定廃止通知書もしくは非課税口座廃止通知書を発行いただけます。

これで変更前の金融機関での手続きは終わりです。

変更後の金融機関にNISA、つみたてNISA口座開設書類を提出

次に変更後の金融機関からNISA、つみたてNISA口座開設の手続きを行います。ネット証券などではWEBから行えるところがほとんどだと思います。

これは通常のNISAやつみたてNISA口座開設と同様ですが追加で前述の非課税管理勘定廃止通知書もしくは非課税口座廃止通知書を添付します。

金融機関に到着後、金融機関が税務署への届け出等を行います。(そのため少し時間が掛かるようです)

これで書類に不備等がなく税務署側で認められれば口座開設が完了します。

変更まで1ヶ月近くは掛かるようですね。

元のNISA、つみたてNISA口座内の株や投資信託はどうなる?

NISAやつみたてNISA口座の変更を行った場合に従来の金融機関にある株式や投資信託の残高はどうなるのでしょうか?

結論から言えば、金融商品取引業者等変更届出書で手続きすれば今まで買い付けて残っている株式や投資信託はそのままその金融機関に残ることになります。新しい金融機関の口座へは移すこともできません。また、新しく買い付けもできません。

つまり、従来のNISA口座、つみたてNISA口座に商品はそのまま残り売却のみが可能な状態となるのです。NISAは最長5年、つみたてNISAは最長20年非課税期間がありますからその期間内はそのまま保有することも可能です。

ちなみに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は金融機関を変更するとその際にすべて商品を売却(強制的に)して移ることになりますのでこのあたりはちょっと違った取り扱いとなっています。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の金融機関変更については下記記事をご覧ください。

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ロールオーバーはできなくなる。

ただし、NISA口座の場合注意しなければならないのが金融機関を変更するとロールオーバーができないとうことです。ロールオーバーとはNISA口座で買った株式などの金融商品を、5年の非課税期間終了後に、その翌年の非課税投資枠を使って新たなNISA口座移すことができる制度です。つまり、ロールオーバーを使えば最長5年の非課税運用が10年まで伸ばせるってことです。しかし、金融機関を変更するとその技は使えなくなります。これはロールオーバーが同じ金融機関の間でしかできないためです。

NISAの出口戦略についてはこちらの記事を御覧ください。

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まとめ

今回は「NISA口座、つみたてNISA口座の金融機関(証券会社、銀行)を変更する方法、気をつけたいポイント」と題してNISA口座、つみたてNISAの金融機関の変更について見てきました。

今まで見てきたようにNISA口座、つみたてNISA口座の金融機関変更は可能です。

しかし、変更には時間が掛かること、様々な制限が掛かること(変更した年は買い付けできないなど)、ロールオーバーができないなどのデメリットもあります。また、NISA、つみたてNISAを複数の証券会社で管理しなくてはならなくなるという手間が発生します。(売却しなければ)

さらに変更したとしても他の証券会社などがもっと魅力的なサービスを提供する可能性があることなども考えなくてはなりません。

そのあたりも考えて慎重に検討したいところですね。

また、まだNISA口座やつみたてNISA口座を開設していない方も今回見てきたように一度始めてしまうと変更が結構面倒だったり様々な制限が掛かることを踏まえて慎重に検討したいところですね。

つみたてNISAのおすすめ口座はこちらをご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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