個人向け国債の利率よりもネット銀行の普通預金金利の方が高い件。あえて国債を買う意味はあるのか?

債券投資の一番メジャーな商品といえば個人向け国債です。

安全な投資先として大変人気がありますね。

しかし、マイナス金利の影響もありちょっとおかしな状況となっているのです。

個人向け国債の利率よりもネット銀行の普通預金金利の方が高いという・・・・

そんな状況であえて国債を買う意味はあるのでしょうか?

今回は個人向け国債について考えて見たいと思います。

債券投資について詳しくはこちらの記事「債券投資とは。〜地味だが比較的安全な投資方法〜」を御覧ください」

※追記:一部条件が変わってきましたので追記しました。

個人向け国債とは

国債とは国の発行する債券のことで、簡単に言えば「国にお金を貸す」ということです。

貸した相手は日本国ですからよほどのことがない限り返ってきます。

当然ながら為替等の影響も受けません。

ですから安定した投資先として人気があるのです。

個人向け国債とはその個人向けのタイプのことを指します。

個人向け国債の特徴

一概に個人向け国債といっても3つのタイプがあります。

満期が10年で金利が変動するタイプの「変動金利型10年満期」、満期が5年で固定金利の「固定金利型5年満期」、満期が3年で固定金利の「固定金利型3年満期」です。

それぞれ毎月発行されています。

発行日から原則、6ヵ月後に第1回目の支払いが、その後は、満期まで6ヵ月毎に支払われます。

なお、10年や5年、3年が満期となっていますが、1年経過すれば中途換金も可能です。(直前2階分の利子は差し引かれます)

国が発行しているものですから、元本や半年毎の利子の支払いは日本国政府が責任をもって行います。

そのため安全性はかなり高いですね。

その代わりに他の債券と比較して利率は低くなっています

個人向け国債の2019年10月の利率

個人向け国債の利率は2019年10月で以下の通りです。

変動10年:年0.05%
固定5年:年0.05%
固定3年:年0.05%

すべて年利率0.05%となっています。

なお、固定5年と固定3年は利率が0.05%固定。

変動10年は半年ごとに利率が見直されていますので変動する可能性があります。

ちなみにこの0.05%というのは最低利率となっており、これを下回ることはないルールとなっています。

つまり、マイナス金利の影響で下限に張り付いてしまっている状況なのです。

詳しくは後述しますが、ネット銀行の定期預金はもちろん、普通預金よりも利率が低い状況ですから固定5年と固定3年をわざわざ購入する意味はほとんどありません。

キャンペーンを上手く使うのか、今後、利率が上ると考えるなら変動10年は選択肢に入るという感じでしょうね。

※追記:2022年2月時点では変動10年が年0.011%と少しずつ上っています。

それでもネット銀行の普通預金くらいですから微妙なのは変わりませんけどね。




普通預金利率との比較

前述のように個人向け国債の年利率は0.05%とかなり低くなっています。

それでは普通預金と比較してどうなのでしょう。

普通預金は自由に引き出せるメリットがあります。

個人向け国債も1年経てば中途換金とは言え自由にお金を使えるわけでもありません。

ですから普通預金よりも利率が低いならば利用する意味は金銭的な面では殆どないことになります。

メガバンクの金利

まずはメガバンクの普通預金金利と比較してみましょう。

下記の通り、メガバンクはすべて横並びの金利です。

三菱UFJ銀行 0.001%
みずほ銀行 0.001%
三井住友銀行 0.001%
りそな銀行 0.001%

一律で0.001%です。

これと比較すると個人向け国債の年利率は0.05%となりかなり高いですね。

使う予定がないお金ならばメガバンクの普通預金に預けるよりは個人向け国債となります。

ちなみに定期預金でもメガバンクは以下の利率しかありません。(10年もので300万円以上)

三菱UFJ銀行 0.010%
みずほ銀行 0.010%
三井住友銀行 0.010%
りそな銀行 0.010%
ですからメガバンクの定期預金よりは個人向け国債の方が良いですね。

ネット銀行の金利

ネット銀行だと話がぜんぜん変わってきます。

金利が高いネット銀行だと個人向け国債を上回っているのです。

例えば以下のネット銀行が該当します。

GMOあおぞらネット銀行 0.11%
楽天銀行 0.10%
住信SBIネット銀行 0.010%
証券口座と連携させる必要があるなど少し条件がありますが、それを満たすと上記の年利率となるのです。

例えばGMOあおぞらネット銀行では普通預金でも年0.11%です。

すでに個人向け国債の年利率は0.05%の倍くらい条件がよいことになります。

普通預金ですから資金が固定されるリスクなく倍利率が良いのです。

ですからあえて個人向け国債にする意味はないのです。

個人向け国債にするならネット銀行の普通預金に預けましょう。

ただし、前述のように上記の利率にするためには多少条件があります。

GMOあおぞらネット銀行の条件

GMOあぞらネット銀行で普通預金の金利を0.11%とするためには証券コネクト口座の設定をする必要があります。

証券コネクト口座とは簡単に言えばGMOクリック証券の口座とGMOあおぞらネット銀行の銀行口座を連携させることです。

GMOクリック証券の口座は無料で使えますし、維持費が掛かるわけではありません。

作って連携すれば0.11%となるわけですからやっておくに越したことはないでしょう。

楽天銀行の条件

楽天銀行もほぼ同じ条件です。

楽天証券と楽天銀行を紐付けるマネーブリッジの設定が条件となります。

こちらも楽天証券の口座は無料で使えますし、維持費が掛かるわけではありません。

また、ハッピープログラムなどの対象となりますので株などを買う方にはさらにメリットがありますね。

※追記:2022年4月から楽天銀行の優遇金利が改悪されます。

普通預金金利に上乗せ金利を加えた優遇金利が適用されます。

・普通預金残高によって異なる優遇金利を適用
L普通預金残高300万円以下の部分:年0.10%(税引後年0.079%)
L普通預金残高300万円を超える部分:年0.04%(税引後年0.031%)

つまり、普通預金金利0.1%になるのは普通預金残高300万円以下の部分と制限が加わった感じですね。

住信SBIネット銀行の条件

住信SBIネット銀行もほぼ同じ条件です。提携証券会社が違う感じですね。

SBI証券と住信SBIネット銀行を紐付けるハイブリッド預金の設定が条件となります。

こちらもSBI証券の口座は無料で使えますし、維持費が掛かるわけではありません。

ネット証券で加入者が一番多いSBI証券をメインで使っている方はこちらが選択肢となるでしょう。



個人向け国債のキャンペーンを利用すると・・・

今まで見てきたように基本的には個人向け国債はメガバンクの定期預金よりは割がいいものの、ネット銀行の普通預金より利率が低くなっています。

ですからあえて選ぶ意味はないと言えるでしょう。

ただし、個人向け国債は定期的にキャンペーンが開催されます。

それらを考えてみるとどうでしょうか?

現在やっているキャンペーンで考えて見ましょう。

SBI証券の個人向け国債キャンペーン

例えばネット証券NO1のSBI証券では下記のキャンペーンを実施しています。

対象期間中に、対象債券を合計50万円以上(約定金額)ご購入いただいた方
具体的には以下の金額がキャッシュバックされます。
ご購入合計金額キャッシュバック
50万円以上100万円未満500円
100万円以上200万円未満1,000円
200万円以上300万円未満2,000円
300万円以上400万円未満3,000円
400万円以上500万円未満4,000円
500万円以上600万円未満5,000円
600万円以上700万円未満6,000円
700万円以上800万円未満7,000円
800万円以上900万円未満8,000円
900万円以上1,000万円未満9,000円
1,000万円以上1,100万円未満10,000円
以降、100万円増える毎に(※上限あり)+1,000円

出所:SBI証券「個人向け国債キャンペーン」より

例えば50万円で500円ですから0.001%です。もらえるのは購入時の1回ですから年0.05%+初回のみ0.001%という感じになりますね。

ただこれでもネット銀行の普通預金の方の利率がよいという結果となります。

CHECK!     SBI証券

ちなみに最近は個人向け国債の旨味がすくないのかキャンペーンをやっている証券会社自体が少なくなってきていますね。

個人向け国債をどうしても買いたい方はキャンペーンの実施を確認して少しでも得してくださいね。

IPOの優遇狙い

あとはSMBC日興証券のように資産額に応じてIPOの抽選を優遇してくれる証券会社であえて国債を買ういう手もありです。

預かり資産等に応じたステージ別抽選があるんですよ。

対面の証券会社などでは国債を買うことを条件にIPOくれるなんて話も未だによく聞きますね。。



個人向け国債を買う意味はあるのか?

それでは個人向け国債を買う意味はあるのでしょうか?

正直、それほどありません。

しかし、無理やり探せば以下の点でしょう。

1000万円以上でも安心

銀行で預金している場合は銀行になにかあったもしもの時には1000万円までしか補償されません。

しかし、国債の場合は銀行のそれとは無関係です。

国がお手上げしない限り返ってくるはずです。

ですから1000万円以上運用したいならば個人向け国債も選択肢に入ることになります。

多くの機関投資家が国債を買うのもこの点が大きいと思われます。

国を応援したい

あと考えられるのは国を応援したいとうところですね。

国債を買うということは国にお金を貸してあげているということです。

ある意味国を応援してあげていることに繋がりますからね。



個人向け国債まとめ

今回は「個人向け国債の利率よりもネット銀行の普通預金金利の方が高い件。あえて国債を買う意味はあるのか?」と題して個人向け国債についてみてきました。

結論としては

個人向け国債をあえて買う意味はない

です。

安全に運用したい方も資金拘束のないネット銀行の普通預金や定期預金を使うほうがよいでしょう。

ただし、銀行の預金の場合は銀行になにかあったもしもの時に1000万円までしか補償されませんのでそれ以上運用したいならば個人向け国債も選択肢に入るでしょうね。

多くの人が国債を買っているのは預金よりはマシだろ、って先入観が大きいような気がしますね・・・

あくまでもこれは個人向け国債の話ですけどね。

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