確定申告を電子申告にすれば10万円おトクってほんと??

先日、クラウド会計のフリー(freee)から「10万円おトクな電子申告のご紹介」ってタイトルのメールが届きました。

電子申告したほうがオトクですよってことが言いたいのでしょうが、「タイトルに問題あるよな・・・」って思っていたところ、どうやら記載されていた日程も1年間違えていたようで訂正メールが届きました。

おそらく苦情が多く寄せられたのでしょう。

今回はこの間違いやすい「電子申告すると10万円お得ってほんと?」という点についてみていきましょう。

このメールについては日程間違いも当然問題ありますが、タイトルの問題のミスリードも含んでどうなんだろ・・・。

freeeは12月17日に新規株式上場(IPO)しますが、直前になにやってるんだろ・・・って思ってしまいましたね(笑)

freeeの新規上場の件はこちらの記事を御覧ください。

青色申告特別控除のルールが変わる

今回のfreeeから届いたメールは青色申告特別控除が変更になるぞってことが言いたかったのです。

それをちょっと大げさ?に「10万円おトクな電子申告」と表記しちゃっていたんですね。

今回のルール変更を具体的に見ていきましょう。

青色申告特別控除の控除額の変更

青色申告特別控除とは確定申告時にちゃんと経理処理やってる方への優遇措置として控除が受けられるルールです。

確定申告は大きく分けて青色申告(ちゃんと経理処理やっています)と白色申告(ちゃんとはやっていません)の2つのパターンがあり、青色申告については税金面で優遇が受けれるのです。

それが平成30年度税制改正でルール変更が入りました。

青色申告特別控除額が以下のように引き下げられたのです。

※10万円の青色申告特別控除の改正はありませんので、これまでと同様となります

65万円→55万円

10万円青色申告特別控除が減ってしまうんですね。

ただし、下記2つのどちらかを満たせば65万円控除が今までどうり受けられます。

電子申告(e-Tax)で優遇

上記の青色申告特別控除55万円を受ける方が、e-Taxによる申告(電子申告)をすると今までどうり65万円控除とされます。

つまり、電子申告すると10万円控除が増えるってことですね。(元から見ると減らないってこと)

freeeの言っていることはこの10万円部分の話になります。

しかし、これ10万円得するわけではなく、電子申告すれば控除が今までと同じってだけなんです。

別に得していません。

また、控除の話ですから実際に得するのはその控除での節税額分だけです。

税率が20%の人なら2万円の節税効果ってことなんですね。

10万円得するわけではありません。

メールのタイトルに問題があるな・・・って思ったのはこの点です。

電子帳簿保存で優遇

もう一つ優遇される場合があります。

それが電子帳簿保存です。

本来会計処理などをした領収書などは紙ベースで保管して置く必要があります。

また、帳簿類の印刷なども必要になります。

しかし、それって面倒ですし場所取りますよね。

それをスキャナー等で取ったデータとして保存しておくだけでよくなるのが電子帳簿保存法です。

その届出をして実際に使っていれば控除が今までどうり65万円ですよってことですね。

ただし、前述のe-Taxによる申告(電子申告)と2つともやっての65万円です。

青色申告特別控除の上限は65万円ってことですね。

基礎控除額が10万円増える

このルール改正と直接は関係ないと思いますが、同じタイミングから基礎控除額が変わりますので合わせてご紹介しておきましょう。

基礎控除額とは全員一律に受けられる控除のことで以下のように引き上げられたのです。

38万円→48万円
ちなみにこれは確定申告している方だけの話ではありませんが、青色申告をしていて電子申告や電子帳簿保存しないでも今までと控除額は変わらないってことになりますね。
逆に言えば電子申告や電子帳簿保存をすれば10万円分今までよりも控除額が増えるということになります。

変更になる時期

変更になるのは令和2年(2020年)以後の所得税についての適用となります。

ちなみにfreeeからきたメールには

2020年分(令和2年3月提出締切分)の確定申告から

となっていいました。

1年提出時期を間違えてしまっていたんですね。

2020年分(令和3年3月提出締切分)の確定申告から

が正解です。

これは単純ミスだと思いたいのですが・・・

65万円の青色申告特別控除を受けるための要件

それでは今回の改正を受けて65万円の青色申告特別控除を受けるための要件をおさえておきましょう。

従来の要件

今までの65万円の青色申告特別控除以下の3つでした。

これは改正後も同じです。

⑴正規の簿記の原則で記帳 (複式簿記)
⑵申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付
⑶期限内申告

簿記の知識がないとちょっと分かりにくい書き方ですが、クラウド会計のフリー(freee)マネーフォワードクラウドなんかを使えば複式簿記は自動でできますし、申告に必要な書類はある程度自動でできますからそれほど難しくはありません。

ちなみにチュートリアルの徳井さんは期限内申告されませんでしたので青色申告特別控除は受けられなかったものと思われます。

2020年分(令和3年3月提出締切分)の確定申告から65万円の青色申告特別控除を受けるには前述のように電子申告もしくは電子帳簿保存が必要となります。
それぞれの要件を見ておきましょう。

追加された条件:電子申告の要件

ご自宅等のパソコンにより、e-Taxで 確定申告書・青色申告決算書等のデータを提出(送信)する必要があります。

なお、税務署のパソコンでは、青色申告決算書等のデータをe-Taxで送信することはできないため、65万円 の青色申告特別控除は受けられません。

私もずっと確定申告は電子申告でやっていますが、意外と面倒なんですよね。

特にMACを使っている人の場合にはマイナンバーカードの問題や読み取り機のドライバーなどいろいろな罠があります・・・

2019年申告の私が実際に苦労した点は下記ページを御覧ください。

追加された条件:電子帳簿保存の要件

改正後の65万円の青色申告特別控除を受けるためには、その年中の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、税務署長の承認を受けて電子帳簿保存を行う必要があります。

ちなみに税務署長の承認を受けるためには、帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに申請書を税務署に提出する必要があります。

また、原則として課税期間の途中から適用することはできませんのでご注意くださいね。

ただし、令和2年分に限っては、令和2年9月29日までに承認申請書を提出し、同年中に承認を受けて、令和2年12月31日 までの間に、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備付け及び保存を行うことで、65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

まとめ

今回は「確定申告を電子申告にすれば10万円おトクってほんと??」と題して青色申告特別控除の変更についてみてきました。

10万円直接トクをするわけではありませんが、65万円控除を受けられるのは大きいですからぜひ電子申告や電子帳簿保存法の適用を検討してみてくださいね。また、青色申告をまだやっていない方もクラウド会計のフリー(freee)マネーフォワードクラウドなんかを使えばそれほど難しくありません。

挑戦してみましょう。

また、確定申告で確定した税金の納付方法はこちらの記事をご覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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