緊急事態宣言が出ると休業手当が出なくなるってホント?? (1)

緊急事態宣言が出ると休業手当が出なくなるってホント??

東京など7都府県で緊急事態宣言が発令されそうです。

これが発令されると意外なところで影響が出てしまいそうなんですよ。

それは従業員を休ませたときに企業が給料の代わりに支給する「休業手当」の扱いです。

この話、少々ややこしい部分がありますので今回は緊急事態宣言と休業手当の関係について解説します。

なお、緊急事態宣言が発令される前の基本的な休業の話はこちらの記事を御覧ください。

緊急事態宣言とは

まずは今回の話の前提となる緊急事態宣言とはどういったものなのかというところから見ていきましょう。

対象区域の知事は人が多く集まる場所の使用制限や停止を要請・指示できるが、根拠となる法令には、米欧などで相次ぐロックダウン(都市封鎖)の規定はない。鉄道や道路、ライフラインなどは従来通りに機能する一方、ショッピングセンターは食品など生活必需品の売り場を除き、営業を見合わせることになるとみられる。

知事は同法45条1項に基づき外出自粛が要請できるが、海外と異なり無許可の外出に罰則を科すような強制力はない。通勤や通院、食料の買い出しといった暮らしに欠かせない目的であれば自粛を求められない。

出所:日経新聞 4/6

簡単に言えば知事に権限を与えて人が多く集まる場所の使用制限や停止を要請・指示できるようになるってことですね。

ただし、強制力はありませんので企業側からすれば要請や指示に応えて休業するのかの判断は難しいところになります。

使用制限または停止となる施設

具体的には以下の施設が使用制限または停止措置となるようです。

学校、保育所、通所型の福祉施設、劇場、映画館、演芸場、展示場、小売店、ホテル、旅館、体育館、ボーリング場、博物館、美術館、図書館、キャバレー、ナイトクラブ、理髪店、質屋、自動車教習所、学習塾など

出所:日経新聞 4/6

かなり多くの施設が対象となってきます。個人的には理髪店とかが意外でしたね。

前述したように強制力はないとのことですが、多くの事業者は緊急事態宣言に従って休業することが予想されます。


緊急事態宣言下の休業手当の扱い

それでは緊急事態宣言が行われたあとの休業手当はどうなるのでしょう?

まずは休業手当の考え方から見てきましょう。

休業手当とは

休業手当とは「使用者の責に帰すべき事由による」休業をさせた場合に会社が払う必要がある手当です。

簡単に言えば使用者(会社)の都合や責任で仕事できないよ、て時に払わなければならないと定められたお金のことです。

従業員の生活保障的な役割をもつ手当ですね。

なお、「使用者の責に帰すべき事由による」とは例えば経営難や資材の調達に失敗した、機械が故障した、ストライキなどが挙げられます。

なお、休業手当の金額は会社の規定等により異なってきます。

最低基準は決められています。

平均賃金の100分の60以上支払うこと
つまり、今までもらっていた金額の概ね6割くらいは休業している間も最低保障がもらえることになります。
ちなみに休業手当の扱いは給料などと同じとなりますので所得税や住民税はかかりますし、社会保険の計算対象です。
この辺りは病気で働けないときに健康保険から支給される傷病手当金や会社をリストラされたときなどに支給される失業手当との違いですね、

新型コロナウィルスは使用者の責任??

一方、震災など不可抗力による場合などは「使用者の責に帰すべき事由による」とは判断されず会社は休業手当を払わなくてよいのです。

それでは今回の新型コロナウィルスはこの不可抗力という扱いとなるのでしょうか?

厚生労働省の新型コロナウィルスに関するQ&Aには以下のような回答があります。

休業手当の支払いについて、不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありません。
具体的には、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。
出所:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」より

つまり、総合的に判断されるということです。

そのため今回の新型コロナウィルスについてどう判断するのかどちらとも言えないということになります。

緊急事態宣言が行われて休業した場合

それではさらに緊急事態宣言が行われた影響で休業した場合の扱いはどうなるのでしょう?

日本で緊急事態宣言を発動するのは初めてのことですから厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」には記載がありませんでしたが、東京新聞が厚生労働省へ取材をしています。

新型コロナウイルス感染の拡大で、安倍晋三首相が改正新型インフル特別措置法(新型コロナ特措法)にもとづき緊急事態宣言を出し、ライブハウスや映画館などが営業停止した場合の社員への休業手当について、厚生労働省は二日、本紙の取材に「休業手当の支払い義務の対象にならない」との見解を明らかにした。

出所:東京新聞 4/3

緊急事態宣言が行われると「休業手当の支払い義務の対象にならない」とのこと。

これはあくまでも新聞記者が取材した結果の回答に過ぎませんから正式なものではありません。

ただし、緊急事態宣言での休業は「使用者の責に帰すべき事由による」休業をさせた場合とは考えられませんから妥当な判断でしょう。

他の制度で救済が必要だと思われますが・・・


緊急事態宣言下では休業手当がでないのか?

それでは緊急事態宣言では休業手当がでないのでしょうか?

これはそうとも言い切れません。

前述した話は「休業手当の支払い義務の対象にならない」というだけです。

企業がそれぞれの判断で休業手当を出すのは問題ありません。

そのため、従業員の生活を守りたい企業はそのまま給料を出したり、休業手当を支給する可能性があります。

この辺りは会社の考え方次第ですね。

その考え方を助ける仕組みとして雇用調整助成金があります。

給料や休業手当をそのまま支給しても雇用調整助成金という制度を利用すれば企業の負担は少なく済むのです。

とはいえ100%出る助成金ではありませんので負担も生じてしまいますが・・・

雇用調整助成金で企業の負担は少なくなるが・・・

雇用調整助成金とは従業員を休業されたりして雇用の維持を図った場合に休業手当、賃金等を国から一部助成を受けることができる制度です。

特に新型コロナウィルスの緊急対応で4月1日〜6月30日に関しては中小企業で4/5、大企業で2/3。

さらに解雇等を行わない場合には中小企業で9/10、大企業で3/4の休業手当、賃金等に対しての助成が行われます。

会社の負担は中小企業で1/10、大企業で1/4です。

ただし、対象労働者1人あたりの上限が1日あたり8,330円と厳しいので実際の企業負担割合は多くなります。

政府としては雇用調整助成金を優遇するからなんとか休業手当等を出してよって部分もあるのでしょうが。。。

 

雇用調整助成金の概要資料
雇用調整助成金の概要資料

出所:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大

雇用調整助成金についてはこちらの記事も御覧ください。

まとめ

今回は「緊急事態宣言が出ると休業手当が出なくなるってホント??」と題して緊急事態宣言と休業手当の関係を見てきました。

基本的に緊急事態宣言が出ると企業としては休業手当を出さなくても「使用者の責に帰すべき事由による」休業とは判断されませんので問題がないとされます。

しかし、雇用調整助成金を優遇していますからなんとか企業判断で出してあげてくださいよってのが政府の考え方でしょう。

ただし、どうしても会社の負担が発生します。

個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円の現金給付する持続化給付金という支給もありますが、従業員の数が多ければぜんぜん追いつかないでしょう。

もう少し何らかの補填がないと厳しいところですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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