新型コロナウィルスの感染が急激に広がっています。
そのため、感染するリスクが高い飲食店やサービス業、生産が大きく落ち込んでしまった工場などが休業を始めていますね。
例えば焼き鳥チェーン大手の鳥貴族や串カツ大手の串カツ田中は国内直営店全店を臨時休業すると発表していますし、製造業ではトヨタ自動車が一部の工場の稼働を止めていますし、三菱自動車などは全部の工場の稼働を停止すると発表しています。
会社が休業になれば当然仕事にはいけません。
また、実際に感染してしまった方は当然、陰性になるまで外には出られませんので会社にはいけませんし、感染者と接触の疑いがある方も自宅待機を余儀なくされるでしょう。
それではこのようなケースで給料はどうなるのでしょうか?
今回は新型コロナウィルス関連で会社に行けない場合の給料の扱いについて解説していきます。
店舗、工場が休業した場合
まずは鳥貴族やトヨタのように店舗や工場が休業した場合の扱いから見ていきましょう。
結論から言えば今回は
です。
ただし、後述するように雇用調整助成金が新型コロナウィルス対策で拡充もされたことから、休業手当が支給されるケースが多くなると思われます。
休業手当とは
休業手当とは「使用者の責に帰すべき事由による」休業をさせた場合に会社が払う必要がある手当です。
簡単に言えば使用者(会社)の都合や責任で仕事できないよ、給料が払えないよってときに払わなければならないと定められたお金のことです。
従業員の生活保障的な役割をもつ手当ですね。
なお、「使用者の責に帰すべき事由による」とは例えば経営難や資材の調達に失敗した、機械が故障した、ストライキなどが挙げられます。
新型コロナウィルスは使用者の責任??
一方、震災など不可抗力による場合などは「使用者の責に帰すべき事由による」とは判断されず会社は休業手当を払わなくてよいのです。
それでは今回の新型コロナウィルスはこの不可抗力という扱いとなるのでしょうか?
厚生労働省の新型コロナウィルスに関するQ&Aには以下のような回答があります。
具体的には、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。
出所:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」より
つまり、総合的に判断されるということです。
そのため今回の新型コロナウィルスについてどう判断するのかどちらとも言えないということになります。
雇用調整助成金が出るため多くに企業は休業手当を支給するだろう
上記のように休業手当の対象とならない可能性もありますが、多くの企業では休業手当を支給する可能性が高いです。
それは雇用調整助成金という制度により従業員を休業されたりして雇用の維持を図った場合に休業手当、賃金等を国から一部助成を受けることができるためです。
特に新型コロナウィルスの緊急対応で4月1日〜6月30日に関しては中小企業で4/5、大企業で2/3。
さらに解雇等を行わない場合には中小企業で9/10、大企業で3/4の休業手当、賃金等に対しての助成が行われます。
会社の実質的な負担は中小企業で1/10、大企業で1/4ですから休業手当等を支給するところが多くなると思われます。(一人あたりの上限金額あり)
しかし、一部今後の目処が立たない企業は雇用調整助成金を使わず解雇に踏み切っていますが・・・アメリカなどはレイオフ(一時的な解雇)という制度がありますのでそればかりですね。
出所:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大
雇用調整助成金についてはこちらの記事も御覧ください。
休業手当はいくらもらえるのか?
それでは休業手当はいくらもらえるのでしょうか?
これは会社の規定等により異なってきます。
一度お勤めの会社の就業規則や給料規定等を確認してみてください。
なお、最低基準は決められています。
新型コロナウィルスに感染して休んだ場合
それでは自身が新型コロナウィルスに感染したことにより会社を休んだ場合はどうなるのでしょう?
この場合は以下の扱いとなります。
多くの場合はそれほどお金の面は心配が少なそうですね。
休業手当の扱い
まず、休業手当は以下の扱いとなります。
出所:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A」より
つまり、会社(使用者)のせいではないので休業手当を支払う必要はないと判断されます。
ノーワーク・ノーペイの原則ですね。
有給休暇
年次有給休暇が残っている方はそちらを使うのはOKです。
有給休暇は理由を問わず利用が可能。
働いていた期間と同様の扱いになりますので当然に給料は支給されます。
特別休暇
会社によっては新型コロナウィルスやインフルエンザなどの感染症の場合には特別休暇を出しているときがあります。
この場合も有給休暇と同様に当然に給料は支給されます。
特別休暇があるのか否かは会社の人事や総務にお尋ねいただくか、就業規則等をご確認ください。
特別休暇は作らなければならないルールではありませんのである会社とない会社があります。
傷病手当金
会社から休業手当がでないケースで検討したいのが傷病手当金です。
これは健康保険の制度で、病気等の療養のために労務に服す事が出来ない方に支給される手当です。
具体的には療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2に相当する金額が、傷病手当金として支給されます。
つまり、もらっている給料の概ね3分の2がもらえることになりますね。
ちなみに傷病手当金は所得税や住民税は非課税扱いです。そのため、実質的には手取り額は大きく減らないと思われます。
傷病手当金について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
労災の対象のケースも
今回の新型コロナウィルスの感染が業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合には、労働災害の対象となる可能性があります。
労災で支給される休業補償給付は給料の6割(給付基礎日額の60%)です。
併せて休業特別支給金が別途2割(給付基礎日額の20%)が支給されます。
つまり、合計で給料の8割がもらえます。
こちらも税金は掛かりません。
医療保険、健康保険の扱い
なお、新型コロナウィルスに感染した場合の医療保険、健康保険の扱いは以下の通りです。
新型コロナウィルスが心配で休んだ場合
それでは新型コロナウィルスが心配で休む場合どうなるでしょう?
これは2つのパターンが考えられます。
自主的に休んだ場合
まず本人が自分の意志で休んだ場合です。
この場合には普通の休みと同じ扱いとなります。
ですから年次有給休暇等を利用すれば給料が出ますが、そうでない場合はでません。
病気療養もしていませんので傷病手当等の支給されません。
また、会社命令でなく新型コロナウイルスに感染した人と接触があった可能性があった場合に都道府県知事が行う就業制限で休んだ場合も同様ですね。(今後保障が出る可能性もありますが・・・)
「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しませんので休業手当は支給されません。
会社命令で休んだ場合
次に会社命令で休んだ場合はどうなるのでしょう。
この場合には休業手当の対象となりえます。
有給休暇を使うか休業手当を支給してもらうかということですね。
まとめ
今回は「新型コロナウィルスで店舗、工場が休業。自宅待機した場合の給料の扱いがどうなるか解説【休業手当】【有給休暇】【傷病手当】」と題して新型コロナウィルスで休業や休みをとったケースの給料等の扱いについてみてきました。
基本的には休業手当や傷病手当で補填されることが多いと思われます。
また、会社から解雇されたりすれば失業保険(雇用保険の基本手当)がでる形となります。
会社が傾いたから退職する場合も特定受給資格者、特定理由離職者と判断され失業保険(雇用保険の基本手当)がすぐ出る可能性もあります。
下記の記事も合わせてお読みください。
あと、本当にお金が困った場合の貸付制度などもあります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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