雇用調整助成金、休業協力金、持続化給付金等の不正受給続出?本当に怖いペナルティを解説

新型コロナウィルス対策で様々な支援策が発表。実行されてきています。

特に事業をやっている方にとって大きいのは従業員を休業させ休業手当を支払った際に助成される雇用調整助成金、売上が大幅に落ち込んだ中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を支給する持続化補助金、休業応じた際に支給される休業協力金(各自治体実施)などでしょう。

私も持続化給付金は下記の通り申請しております。

現在は緊急時でスピード重視のため持続化給付金や休業協力金はかなり簡単な申請となっていまし、雇用調整助成金の申請もかなり必要書類が緩和されてきています。

そこで後日、大きな問題になるだろうと予想されるのが不正受給です。

前回の経済危機であったリーマンショック時も雇用調整助成金を緩和したことで多くの不正があとから判明しました。(それによりどんどんルールも厳格化)

すでに休業協力金をもらっているのに実は営業しているお店なんかも話題になっていますね。

今回は雇用調整助成金、休業協力金、持続化給付金等の不正受給時のペナルティについて見ていきます。

結論から言えば、不正受給は簡単にバレますし、バレた際のペナルティは恐ろしいですから絶対にやめましょう。ってことです。

不正受給とは

不正受給とは書類を偽造したり、実態と異なる内容の書類を作成して給付金や助成金、補助金を受け取ることをいいます。

なお、ここで注意してほしいのが、実際に支給を受けたかどうかは関係ないってことです。

バレるか試してみようと偽装した書類で申請した時点で不正受給となります。

いろいろなパターンが考えられますが、まずは今回の雇用調整助成金、休業協力金、持続化給付金等で考えられる不正を考えてみましょう。

雇用調整助成金の不正受給

雇用調整助成金で言えば本当は社員を休業させていないのに休業させたことにして助成金を申請したりなんてことが考えられます。休業の水増しも多いですね。

また、実際には教育訓練を行っていないのに「行った」と偽装したり、出勤簿や賃金台帳などを自分たちが有利なように偽造するなんてことも。

これらは非常に多い不正なんですよ。

雇用調整助成金は従業員に直接はいるわけではなく、会社にお金が入ります。

そのため、従業員も知らない間に不正が行われていることが多いんです。

休業協力金の不正受給

休業協力金なら本当は休業していないのに休業したことにして協力金の申請をした場合ですね。

これはすでにいろいろ問題になっています。

休業したと申請しているのに実は営業しているとか、表面上は休業はしているのだけど常連だけには開放して営業しているとかですね。

持続化給付金の不正受給

持続化給付金なら本当は50%以上の売上低下がないのに書類をごまかしたりなどするケースが考えられます。

持続化給付金は前年の決算書と今年の売上を確認する(書式自由)ことで50%以上の売上低下を確認します。

これら書類は個人事業主や中小企業が自分たちで作る資料となります。

1月〜3月の売上を条件を満たす程度に落としておいて4月以降につじつま合わせ。

なんてこともありえます。

また、持続化給付金の申請には前年の確定申告が必要となりますが、今まで確定申告をしていないのに持続化給付金用の申請をするなんて話もでています。

知り合いの税理士の元にその手の話が最近来ているそう。(すべて断っていると言っていましたが受ける方もいるかもしれません)

さらに対象者が拡充されますのでその危険性は大きくなったといえるかもしれません。

すでに虚偽申請を誘う業者がたくさん出てきているようです。

お気をつけください。

なお、個人的にこの持続化給付金はあまりスジが良い政策だとは思えないんですよ。詳しくはこちらの記事をご覧ください



不正受給をするとどうなる?

それでは次にそれぞれの制度のペナルティを見ていきましょう。

返金は当然ですが、延滞金も取られます。

特に大きいのが社名や代表者名の公表かもしれません。

雇用調整助成金のペナルティ

雇用調整助成金などの雇用関係助成金のペナルティ(罰則)は不正が多かったこともあり2019年からはより厳罰化されています。具体的には以下のとおり。

  • 事業所名、代表者氏名等の公表
  • 全額返還+延滞金不正受給した金額の2割
  • 5年間雇用保険関連の助成金が受けられない
  • 社会保険労務士などの代理人も罰則対象
  • 悪質な場合、刑事告発

かなり重い罰則となっていますね。

特に社名と代表者氏名の公表は予想以上に影響が大きく、不正受給を公表された企業のうち後に破産や民事再生などをする企業も多くなっています。(経営が厳しいために不正をした可能性もありますが)

また、実際に刑事告発され代表者が逮捕されたケースもかなり多くなっています。

社会保険労務士が雇用調整助成金を受けたくない理由

雇用調整助成金の申請は難易度が高いため、社会保険労務士に依頼する方も多いです。

しかし、不正申請が発覚すると社会保険労務士も連帯責任で罰則対象となるため、社会保険労務士が一見さんの依頼をなかなか受けてくれないという悪循環もあったりします。

普段から関わっていない企業の不正を社会保険労務士が全て見破るのはなかなか難しいですからね。

悪質な助成金コンサルタント会社では不正をしてバレても社会保険労務士のせいにして損害賠償すれば損失はないと指導しているところまである始末・・・

このような状況では社会保険労務士が雇用調整助成金の申請を躊躇するのは当然でしょう。(そのため、連帯責任は解除するという話も出ています)

持続化給付金のペナルティ

持続化給付金もほぼ雇用関係助成金と同様となっていますね。

提出された証拠書類等について、不審な点が見られる場合、調査を行うことがあります。調査の結果によって不正受給と判断された場合、以下の措置を講じます。

①給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の返還請求

申請者の法人名、屋号・雅号等を公表。不正の内容が悪質な場合には刑事告発

出所:経済産業省「持続化給付金説明資料」より

休業協力金のペナルティ

休業協力金は自治体ごとの制度ですから対応はそれぞれ異なってくると思われます。

東京都では以下の方針となっています。

不正受給が判明した際は協力金返還を求める
具体的な内容は走りにながら決めていくとのこと。
具体的な罰則を公表しているのが岐阜県です。

本協力金の支給決定後、申請要件に該当しない事実や不正等が発覚した場合は、岐阜県は、本協力金の支給決定を取り消します。

この場合、申請者は、協力金を返金するとともに、協力金の受領の日から返還の日までの日数に応じた加算金(協力金の額50万円に年率10.95%の割合で計算した額)を支払うことになります。

出所:岐阜県 「岐阜県新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金」について



不正受給はどうしてばれる?

不正をした事業者の多くは「バレない」と思ったと言っていたそうです。

それではなぜ不正がバレたのでしょう?

多くの場合には2つのパターンがあります。

通報でバレる

まず、最も多いと言われるのが通報です。

雇用調整助成金では従業員からの通報が最も多いという話があります。

自分が休業していないのに自分が休業したことにさせられていたとかいうケースですね。

また、今回の休業協力金も休業しているか否かは外から丸わかりですから通報が多くなることも予想されます。

すでにネット上では休業していない企業が晒されているケースもありますしね。

休業に協力した会社を公表する自治体もあるそうですからそこで答えあわせなんかもでてきそうです。

追記:どこに通報したらよいのかというご質問をいただきましたので追記します。

基本的には連絡は各実施団体になります。そこから該当部署につないでくれるでしょう。

調査でバレる

税務調査と同様に補助金、助成金、協力金、給付金などでも調査が入る可能性があります。

例えば雇用調整助成金や持続化給付金では調査について以下の案内があります。

雇用調整助成金の調査

  • 休業等の実施日に、その実施状況を確認するため、事前連絡なしに職員が訪問することがあります
  • 実地調査に当たっては、出勤簿、賃金台帳等、支給要件の確認に必要な書類等を状況に応じて確認させていただきます。
  • 事業主の方のみならず、従業員の方にもヒアリングをさせていただく場合があります
  • 従業員の方に、教育訓練等の実施状況について、電話でヒアリングさせていただく場合があります。

休業申請していたけど実は会社実施の健康診断を受けさせていた際に事前連絡無しに職員が訪問してバレたケースとかいう話も聞いたことがありますね。

私も会社員のころに調査を受けたことがあります。

結構厳しい調査でしたね。

不正は当然していませんでしたが、従業員が休業に不満を持って通報したようでした。

持続化給付金の調査

提出された基本情報等について審査を行い不審な点がみられる場合等に調査を開始する。

申請者等の関係者に対する、関係書類の提出指導、事情聴取、立入検査等の調査については、事務局及び長官が委任し た者において行うことを原則とし、これらの調査を行った後、当該関係者に対する対処を決定する。

なお、既に給付した給付金について調査を行う場合も同様とする。

持続化給付金は急に作った制度ですから細かいことは決まっていないようです。

委任した者がどういう方になるのかはわかりませんが、税務調査などと合わせて行うことも考えられるでしょう。(ルール上できるのかはわかりません)

書類の辻褄合わせてで受給したケースなどはそれですぐバレるでしょうね。


まとめ

今回は「雇用調整助成金、休業協力金、持続化給付金等の不正受給続出?本当に怖いペナルティを解説」と題して新型コロナウィルス関連の補助金、助成金、給付金などの不正のペナルティについてみてきました。

今後開始される予定の特別家賃支援給付金も合わせておそらく不正はある程度発生すると思われますが、簡単にバレますし、その代償は予想以上に大きいものとなります。

リスクが大きすぎますから絶対不正受給は辞めましょうね。

なお、持続化給付金については不正申請が多いため修正申告だと受け付けないように変更になるようです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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