新型コロナウィルスによる経済対策の目玉の一つで、売上が前年と比較して大きく減少した事業者を救済することを目的とした「持続化給付金」を巡っての悪質商法が国民生活センターで公開されました。
持続化給付金は早急な支給を実施するため、かなり簡単な書類と手続き(オンライン)で法人なら最大200万円、個人事業主なら最大100万円がもらえます。
簡単な書類と手続きでお金がもらえるわけですから業者に目をつけられてしまった形ですね。
「サラリーマンでも無職でも持続化給付金 100 万円が受け取れる」と虚偽申請することを勧誘しているのです。
この商法はかなり悪質で話に乗ってしまうと、業者を儲けされるだけでなく詐欺の片棒を担ぐ形となってしまうのです。
書類は自分の名義で出していますから下手をしたら悪徳業者は捕まらずに自分だけが捕まってしまうことすらありえるでしょう。
今後は持続化給付金と同じく自己申請を行う家賃補助をしてくれる「家賃支援給付金」や休業手当がもらえない方をみなし失業として休業支援してもらえる「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」でも同様な話がでてきそうです。
今回は持続化給付金で発生している不正受給を持ちかける悪質商法について考えてみましょう
国民生活センターが注意喚起
まずは実際に国民生活センターに届いた相談事例から見ていきます。
前年の確定申告書を作成
まずは1つ目の事例です。
学生時代の友人から無料通話アプリにメッセージが届いた。特定の会社を通じて持続化給付金を申請すると、サラリーマンでも無職でも100 万円の給付金が受け取れるという。その会社が前年度の確定申告書類を作り、申請するようだ。その会社の名前を聞いたところ「名前はないが、 税理士がついているので心配ない」とのことだが不審だ。「給付金を受け取った場合、その6割を会社と税理士に支払うことになる」と言われた。私は断ったが、友人はこの会社を通じて給付金 を受取りたい人を探しているので、紹介料があるのかもしれない。怪しいので情報提供する。
(受付年月:2020 年7月 契約当事者:30 歳代 女性 給与生活者)出所:国民生活センター「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!」
この事例は本人は事業をやっているわけではなく架空で前年の確定申告を作って申請。
それを元に持続化給付金を受け取って6割を会社と税理士が受け取るというスキームのようです。
この行為には2つの罠があります。
一つはそもそもサラリーマンや無職の方が自身を事業者と偽って持続化給付金を虚偽申請するわけですから詐欺罪に当たる可能性があります。
もう一つは事業者として確定申告書を申告するわけですから、今後も税務上で様々な手続きが要求される形となります。状況によっては追加で税金が発生する可能性もあります。持続化給付金は課税対象ですしね。
この虚偽申請が受理されて満額の持続化給付金を受け取れたとしても6割の報酬ですから手元に残るのは40万円です。
割りに合わない行為としか言いようがありません。絶対やめて起きましょう。
そもそも6割なんて手数料は異常としかいいようがありませんしね。
普通の取引ではありえませんから、正当な手続きではないのは明白です。
そもそもこのような詐欺行為に加担する税理士がいるのか疑問ではありますが・・・
もし本当にいるのならちゃんと取り締まってほしいところですね。
拡大された持続化給付金(2020年開業)の方は税理士の署名のある書類が条件の一つとなっていますが、税理士がグルならどうしようもないですからね・・・
マイナンバーを教えて欲しい
友人から、「特別定額給付金 10 万円とは別に持続化給付金がもらえる。代理人に自営業をやっていることにして申請してもらい、給付されたら謝礼を渡せばいいようだ。銀行口座とマイナンバーを教えて欲しい」と連絡があった。口座情報等は教えてはいない。怪しい話だが、友人を信じて良いのだろうか。 (受付年月:2020 年6月 契約当事者:20 歳代 男性 給与生活者)
出所:国民生活センター「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!」
次の事例もほぼ同じですね。
自営業をやっていることにしてという時点で詐欺行為です。
ちなみに持続化給付金の申請にはマイナンバーは必要ありません。
ですから業者が知識がないのか、そもそもこの誘いがマイナンバーを入手するための作戦なのかもしれません。
マイナンバーは安易に渡しては駄目ですよ。
請求の仕方の工夫をすれば
メッセージアプリで知人から、「事業主でなくても請求の仕方を工夫すれば持続化給付金の 100 万円を受給できる」と謳う申請サポートサービスのアカウントへの登録を勧められた。知人は事業主ではないが、そのアカウントを登録してサービスを受けるようだ。サービスの対価はわからない。不審だ。 (受付年月:2020 年6月 契約当事者:20 歳代 女性 給与生活者)
出所:国民生活センター「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!」
次も基本的には同じですね。
そもそも持続化給付金は事業者向けの給付金です。
「事業主でなくても請求の仕方を工夫すれば」とという時点でおかしな話です。
ちなみに「持続化給付金」は雑所得や給与所得で確定申告をした方、2020年に創業した方まで対象が広がりましたので今後はさらにこの手の話が増えてきそうな予感があります。
この拡大された方たちは実質は事業者なんだけど確定申告を雑所得や給与所得でやっていたというのですから「事業主でなくても請求の仕方を工夫すれば」とは根本的に話が違いますからね。
不正受給するとどうなる?
今回の持続化給付金はどれも不正受給を受けた場合のルールは厳しくなっています。
金銭面のペナルティ
まずは金銭面のペナルティは以下のとおりです。
給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の返還請求。
例えば持続給付金を100万円もらって1年後に不正受給が判明したとすると延滞金は年3%で3万円。
持続化給付金でもらった100万円と合わせて103万円の2割を加えますから20.6万円をプラスした123.6万円を返還することになります。
つまり、23.6万円分余分に返還が必要となります。
不正受給が判明するのはもっと後になるでしょうから大きな金額になるでしょうね。
なお、これを払うのは話を持ちかけてきた業者ではありません。申請者本人ですからね。
すでに業者に6割払っていて40万円しか手元になくても123.6万円の返還が必要です。
いくら名義を貸しただけといってもそんな話は通用しません。
その他のペナルティ
次は金銭面以外のペナルティです。
国民生活センターからのアドバイス
ちなみに国民生活センターでは以下のようなアドバイスを送っています。
持続化給付金は事業者(個人事業者も含む)に対して支払われます。事業を行っておらず受給資格がないサラリーマンや学生、無職の人が、自身を事業者と偽って申請をすることは犯罪行為(詐欺罪)にあたると考えられます。誘いに乗った消費者自身も罪に問われる可能性が高いです。 「サラリーマンでも無職でも持続化給付金が受け取れる」「自営していることにして申請すれ ば持続化給付金がもらえる」などといった、受給資格がない人に持続化給付金の不正受給を持 ちかける非常に悪質な誘いには絶対に乗らないでください。
出所:国民生活センター「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!」
本当にそのとおりです。
また、以下のようなアドバイスも出ています。
友人や知人から誘いを受けたという事例が複数見られるほか、SNSを通じて誘われたという事例も寄せられています。不正受給は罪に問われる可能性が高いため、たとえ友人からの誘いであっても、きっぱりと断りましょう。
出所:国民生活センター「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!」
今回の国民生活センターに出ている案件はすべて友人や知人からの誘いとなっていました。
マルチ商法やバイナリーオプションもそうですが、そもそもこの手の誘いをする人は友人、知人であっても距離を置くべきでしょうね。
ツイッターやYou Tubeでこの手の不正受給を指南している人もいますのでお気をつけください。
まとめ
今回は「虚偽申請は詐欺。持続化給付金の不正受給を持ちかける悪質商法に気をつけろ」と題して持続化給付金の不正受給の話を見てきました。
持続化給付金を巡っても不正はかなり横行しています。
また、今後も家賃支援給付金などでも同じようなことが起こりそうです。
ちょっとした出来心で話に乗ってしまうと取り返しがつかない自体にもなりかねません。
友人や知人からの誘いであっても違法であることをしっかり認識してこの手の誘いは断るようにしてくださいね。
なお、不審だなと感じたら国民生活センターのホットラインに電話するとよいでしょう。
です。(全国共通)
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