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電気代の犯人は時間じゃない。エアコン24時間つけっぱなし論の盲点

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電気代の犯人は時間じゃない。エアコン24時間つけっぱなし論の盲点

エアコンを24時間つけっぱなしにすると1か月の電気代はいくらか。

結論からお伝えすると、一般的なエアコンで8畳用で月1万3,000円ほどです。

けれど「時間」を削るだけでは家計は救えません。

本当に効くのは別の一手。

家計と設備投資の両面から本筋をお話します。

目次

エアコンの電気代、まず計算式を押さえる

エアコンの電気代は、実はとても単純な掛け算で求められます。

エアコンの消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電気代単価(円/kWh)

これだけです。

消費電力は、お持ちのエアコン本体の側面ラベル、もしくは取扱説明書、メーカーサイトの製品ページに必ず記載があります。

多くは「W(ワット)」表記ですから、計算するときは1,000で割って「kW(キロワット)」に揃えてくださいね。

電気代単価は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が示す目安単価で1kWhあたり31円が一般的な試算値です。

お住まいの電力会社の検針票には「電力量料金単価」として記載があります。

実際の単価は契約プランで変わりますので、より正確に出したい方は検針票の数字を使ってください。

ここで一点、注意したい点があります。

エアコンの消費電力は、ラベルに書かれた数字どおりに常時動いているわけではありません。

たとえばダイキンの普及機(AN225BRSなど)のカタログを見ると、冷房500W(最小105〜最大920W)といった幅で記載されています。

設定温度に達するまでは大きく消費し、その後は最小限の電力で温度を保つ」という挙動なんですね。

ですから後ほど示す試算は、あくまでカタログ平均値での目安です。

実際の請求書は、これより安くなる方もいれば、高くなる方もいます

1か月つけっぱなしで電気代はいくらか

ではいよいよ本題です。

エアコンを24時間、1か月つけっぱなしにすると、電気代はおいくらになるのでしょうか。

経済産業省 資源エネルギー庁が発行する「省エネ性能カタログ2025年版」の平均消費電力をもとに、電気代単価31円/kWhで試算した目安が以下の表です(出典:楽天エナジー コラム 2025年4月公表値)。

1か月(30日)24時間つけっぱなしの電気代目安

能力(畳数)冷房(1か月)暖房(1か月)
6畳用約11,205円約10,779円
8畳用約12,945円約12,813円
10畳用約14,442円約17,700円
12畳用約23,235円約22,812円

いかがでしょうか。

多くのご家庭で使われている8畳用エアコンを基準に考えると、冷房・暖房ともに1か月あたり1万3,000円前後。

1年365日つけっぱなしを続けると、なんと約15万7,000円という数字になります。

「冷暖房だけで年間15万円」と聞くと、ぎょっとされる方も多いはずです。

エアコンは家庭の年間消費電力量で第1位を占める家電であり、夏場で家庭全体の34.2%、冬場で32.7%を消費していると経済産業省・資源エネルギー庁は公表しています。家計に占める存在感は、想像以上に大きいのです。

ちなみに、もう1点重要な事実があります。

同じ畳数でも、暖房のほうが冷房より電気を多く食う傾向です。

経済産業省「省エネ性能カタログ2025年版」によれば、2024年のエアコン期間消費電力量は冷房396kWhに対し、暖房は944kWh。実に2.4倍ですね。

理由はシンプルで、外気温と設定温度の「差」が大きいほど電気を食うからです。

真夏の外気が35℃で設定28℃なら差は7℃ですが、真冬の外気が3℃で設定20℃なら差は17℃。電気代が冬に跳ね上がる正体は、ここにあります。

つけっぱなしか、こまめに切るか。本当の答えは

ここからが本題です。

読者の方が一番知りたいのは、おそらくこの問いではないでしょうか。

「24時間つけっぱなしと、こまめにオンオフ。結局どっちがお得なの?」

エアコンメーカーのダイキン工業が行った検証実験が、もっとも参考になります。

同社は2016年から複数回にわたって、つけっぱなしとこまめなオンオフを比較する実証実験を公表しています。

結論を要約すると、こうです。

日中(9時〜18時)は、30分以内の外出ならつけっぱなしのほうが消費電力量が少ない。
一方で、30分を超える外出や、夜間(18時〜23時)の長時間外出では、こまめに切ったほうが電力消費が少ない(出典:ダイキン工業 mission5-1 夏のエアコンつけっぱなし検証)。

なぜでしょうか。

エアコンは運転開始直後、室温を設定温度まで一気に引き下げる(または引き上げる)ために、もっとも大きな電力を消費します。例えるなら、自転車のこぎ始めに一番力がいるのと同じです。

逆に、設定温度に達したあとは、最小限の電力で温度を保つ巡航運転に切り替わります。

短時間のオフでも、戻ってきたときには外気の熱が室内に入り込んでおり、再起動時にまた「こぎ始め」の電力を使う羽目になる。

これが「つけっぱなしのほうが安い」の正体です。

ただし、この30分ルールは無条件ではありません。

エアコンの自動運転、外気温と設定温度の差、家の断熱性能で結果は変わります。

例えば真冬の朝、外気3℃の中で4時間外出するなら、つけっぱなしより消し置きのほうが圧倒的に安い。

逆に真夏の日中、買い物に10分出るくらいなら絶対につけたままが正解です。

時間より「熱の出入り」を制する

実はここまでの話、ネット上のほぼすべての解説記事に書かれている内容です。

「お金に生きる」としては、ここからもう一段深い話をしたいと思います。

つけっぱなしか、こまめに切るか。

この議論は、率直に申し上げて枝葉です。

同じ8畳の部屋でも、ある家では月8,000円なのに、別の家では月2万円という現象がなぜ起きるのか。

差を生む真犯人は、運転時間ではなく「熱の出入り」だからです。

少し考えてみてください。

エアコンは、室内と室外の温度差を作り出す機械です。

差を作っても、窓やドア、壁から熱がガンガン出入りすれば、エアコンは延々と「こぎ始め」を続けることになります。

これが電気代を爆増させる正体です。

逆に、熱の出入りを止めてしまえば、エアコンは最小消費電力でゆるゆると巡航運転を続けるだけで済む。

つまり、節電の本丸はエアコン本体の使い方ではなく、家そのものの断熱性能なんですね。

私自身、自宅に内窓を導入しました。

先進的窓リノベ補助金を活用しての施工でしたが、結果としてエアコンの効きが体感ではっきり変わりました。

同じ設定温度に到達するまでの時間が短くなり、その後の巡航運転も明らかに静かになる。

つまり消費電力が下がっているわけです。

経済産業省・資源エネルギー庁の試算では、設定温度を1℃変更するだけで消費電力は約10〜13%変動します。

これは大きい数字です。逆にいえば、断熱を強化して同じ快適性を保ちながら設定温度を1〜2℃ゆるめられれば、それだけで電気代は10〜25%下がる計算になります。

エアコン代を本当に下げる5つの順番

ここで読者の方に、優先順位を明確にお伝えします。

節電のための取り組みは、効果の大きさで順番が決まっています。

第1位:断熱を上げる(内窓・断熱カーテン・遮熱シート)

もっとも費用対効果が高いのが内窓導入です。

先進的窓リノベ事業の補助金を使えば、自己負担は実勢価格の半分以下に抑えられる場合もあります。

一度入れれば10年以上効果が続き、夏冬両方に効く「投資」です。

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内窓まで入れなくても以下の方策をとるだけでもかなり違いますよ。

遮光カーテンや遮熱カーテンに替える
緑のカーテン(植物などを植える)
断熱シートを窓に貼る

第2位:設定温度、使い方を見直す。

環境省は冷房28℃、暖房20℃を推奨しています。

極端に低くまたは高く設定するクセがある方は、まずここを修正するだけで月数千円の差が出ます。

また、前述のようにつけっぱなしが良いのか、切ったほうが良いのかの判断も重要です。

第3位:室外機の環境を整える

意外に見落とされがちですが、室外機は熱を捨てる(または取り込む)装置です。

室外機が直射日光で熱くなっていたり、周りに物が置かれていると、放熱効率が落ちて消費電力が増えます。

室外機用のサンシェードを置く、周囲30cmは空ける、これだけで効きが変わります。

また、室外機の前に物を置かない。カバーで吹き出し口をふさがない。

このあたりも意識するとよいでしょう。

第4位:フィルター掃除と扇風機・サーキュレーター併用

経済産業省によれば、フィルターを月1〜2回掃除すると年間約990円の節約になります。

さらにサーキュレーターで部屋の空気を循環させると、設定温度を1〜2℃ゆるめても同じ体感を得られます。

第5位:古いエアコンの買い替え

エアコンの一般的な寿命は約10年。10年前の機種と最新の省エネモデルでは、年間電気代に2,000〜3,000円(6〜9畳用)の差があります。

広い部屋用では12,000円以上の差になることも。

さらに、インバーター搭載前の古いエアコンを使っている方は、消費電力が10倍違うケースもあると経済産業省・資源エネルギー庁は警告しています。

買い替えも検討するとよいでしょう。

また、夏の不快感は温度だけではありません。湿度が高いと、同じ温度でも暑く感じます。

ただし、再熱除湿は電気代が高くなる場合があります。

自宅の除湿方式を確認し、冷房、弱冷房除湿、再熱除湿を使い分けましょう。

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全館空調の電気代は本当に高いのか

ここで、新築や住み替えを検討中の方が必ず突き当たる問いに踏み込みたいと思います。

「全館空調は電気代が高いって本当?」という質問です。

結論からいえば、答えは「家のスペックと暮らし方による」です。

各社の公表データを総合すると、全館空調の電気代目安は月1万〜3万円、年間10万〜40万円。住宅性能や地域差で大きく変動します(出典:パナソニックホームズ コラム、ヤマダホームズ等)。

具体的な実例も公開されています。

あるユーザーの口コミ事例では、春秋は7,000円前後、真夏は1万7,500円、真冬は2万5,000円超え。

寒冷地では月4万円前後になるケースも報告されています。

「月3〜4万円か、やっぱり高いな」と思われた方、少しお待ちください。比較の視点を変えてみましょう。

仮にリビング14畳・寝室8畳・子供部屋6畳×2の家を、全館空調なしの一般的なエアコンで賄うとします。

リビング用1台+他3台=計4台のエアコンを、それぞれ「人がいる時間だけ」運転するパターンですね。

このやり方は一見節約的に見えますが、見落としがあります。

第一に、各部屋に温度差が生じるため、廊下や脱衣所が極端に寒くなり、ヒートショックリスクが高まります。

第二に、各エアコンが頻繁に起動するため、先ほどの「こぎ始め」電力が積み重なります。

第三に、冷暖房の効きが悪い廊下を冷やすため、リビングの設定温度を必要以上に下げる悪循環に陥りがちです。

実際、Looopでんきの解説でも「エアコンのスペックや使い方によっては、全館空調のほうがお得なケースもある」と指摘されています。

鍵を握るのは2つ。家の高気密・高断熱性能と、家族の在宅パターンです。

在宅勤務などで日中に家族が家のあちこちを動き回る家庭、小さなお子さんや高齢のご家族がいて家全体を快適に保ちたい家庭、断熱等級5以上の高性能住宅。

この条件が揃えば、全館空調が個別エアコンより安くなる可能性が出てきます。

逆に、平日は朝晩しか家にいない共働き世帯で、断熱性能が標準的な家。この場合は壁掛けエアコンを必要な部屋だけ運転するほうが、おそらく安く済みます。

つまり全館空調の電気代は「高い・安い」で語る話ではなく、「あなたの家と暮らしで合うか合わないか」で判断する話なんですね。

「お金に生きる」流、行動の3ステップ

ここまでの内容を踏まえて、明日から取れる行動を3つに絞ってお伝えします。

自宅エアコンの消費電力をスマホで撮影しておく

側面ラベルや取説で消費電力を確認し、スマホで撮影しておきましょう。

これがあれば、本記事の計算式で月額試算ができます。「なんとなく高い気がする」から「我が家は月1万2,000円」と数字で語れるようになるだけで、家計管理の解像度が上がります。

内窓導入の見積もりを取る

先進的窓リノベ補助金は2026年度も継続しています。

リフォーム会社1社だけでなく、必ず3社以上から相見積もりを取ってください。

同じ仕様でも、業者によって30〜50万円の差が出ます。私の内窓見積もり比較記事も参考にしていただければ幸いです。

エアコンの製造年を確認する

裏面の銘板で製造年を確認しましょう。

2013年以前の機種なら、買い替えで年間1〜2万円の電気代圧縮が期待できます。10年で10〜20万円の節約効果は、最新省エネモデルの本体価格を回収しておつりが来る計算です。

ちなみに安いエアコンは来年から買いにくくなりますので、今年が狙い目です。

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まとめ

今回は「エアコン(冷暖房)を1日中つけっぱなし(24時間稼働)にすると電気代はいくら掛かるのか」という問いを起点に、本当に効く節電策をお伝えしました。

ポイントを振り返ります。

1か月24時間つけっぱなしの電気代は、8畳用で約1万3,000円が目安です。

つけっぱなしvsこまめに切る論争には、ダイキンの30分ルールという答えがあります。

しかし真の節電は、運転時間ではなく「熱の出入り」を止めることで実現します。

優先順位は、断熱強化>設定温度見直し>室外機環境改善>フィルター掃除>買い替え。

無料・低コストの打ち手から順に潰していくのが王道です。

全館空調の電気代は月1〜3万円が目安。

高いか安いかは、家の断熱性能と暮らし方で答えが変わります。

電気代は、家計の固定費の中でも今後さらに上がる可能性が高い項目です。

なぜなら2010年に1kWh21.39円だった電気代単価が、2022年には34.00円と約59%も上昇しているからです(経済産業省)。

今後の燃料調整や脱炭素政策の影響を考えれば、この流れが止まる見込みは薄いと言わざるを得ません。

だからこそ、運転時間という小さな変数で迷うのではなく、家そのものの熱性能と機器の世代を見直すこと。

これが、これからの10年を生き延びる家計戦略です。

なお、こちらは寒さ対策で書いた記事ですが、夏にも効くものが多いです。合わせてご覧ください。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
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