興味深い投資信託が新規設定されます。
「<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)」です。
名前のとおり、低コスト・インデックスファンドとして評判の高いニッセイアセットマネジメント(株)の<購入・換金手数料なし>シリーズです。
詳しくは後述しますが、かなり人気のでそうな投資信託ですね。
今回は「<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット」についてレビューしていきます。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)概要
それでは<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)について詳しく見ていきましょう。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)はニッセイアセットマネジメント(株)が販売を開始する新しい投資信託です。
最大の特徴は名前に入っている通りGDP比率に基づいて投資をする世界対象の株式ファンドであるということです。
なお、設定日は2020年6月29日です。
投資先は名目GDP総額の比率で決まる
まずは投資先から見ていきましょう。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)は3つのマザーファンドを通じて世界の株式に投資を行います。
具体的には以下です。
- ニッセイ国内株式インデックスファンド
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
- ニッセイ新興国株式インデックスファンド
ニッセイ国内株式インデックスファンドはTOPIX(配当込)、ニッセイ外国株式インデックスファンドはMSCIコクサイ・インデックス(配当込み・円換算ベース)、ニッセイ新興国株式インデックスファンドはMSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)をベンチマークとしています。
つまり、国内株式(TOPIX)、先進国株、新興国株に投資をするってことですね。
このようなタイプの投資信託はたくさんありますが、<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)の最大の特徴は投資比率を名目GDP(国内総生産)総額の比率に基づいて決定することです。
つまり、世界の情勢で大きくGDP比率が変われば投資先の比率も変わってくるということです。
なお、当初設定時の投資割合は以下のとおりです。
- 国内株式6%
- 先進国株式(除く日本)54%
- 新興国株式40%
原則として年1回基本投資割合を見直すとのこと。
なお、GDP比率で投資先を決めるのは世界経済インデックスファンドなどがあります。
ただし、世界経済インデックスファンドは株式と債券に投資をするタイプですからだいぶ毛色が違ってきますね。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)との比較
世界全体の株式に投資をする商品は他にもいくつかあります。
例えば「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」で1位となるなど人気となっているのがeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)です。
こちらはMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとしており、時価総額比で投資先が決められています。
5月29日現在の月次レポートによると投資比率は以下のとおりです。
- 国内株式7.2%
- 先進国株式(除く日本)81.5%
- 新興国株式11.3%
新興国の割合がかなり違うことがわかりますね。
どちらが良いのかは新興国株をどう捉えるかという好みの問題でが大きいですね。
手数料は最安値水準
次に<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)の手数料を見ていきましょう。
かなり低い信託報酬率となっています。
ちなみに前述したeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の信託報酬とまったく同率となります。
ただし、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)は500億以上1,000億円未満は0.1035%、1,000億円以上の部分は0.103%と純資産が増えれば信託報酬も少なくなる仕組みとなっていますが<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)にはその部分は導入されていません。
ですから実質的に少しeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の方が信託報酬は低くなりますね。
隠れコスト次第
競合投資信託との比較
ここからは直接の競合となる全世界株を対象とする投資信託と比較してみましょう。
投資先、信託報酬、純資産比較
信託報酬率、純資産額は6月12日時点のものです。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
ファンド名 | 投資先、ベンチマーク | 信託報酬率 | 純資産額 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット) | TOPIX(配当込)、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み・円換算ベース)MSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)に名目GDP(国内総生産)総額の比率で投資 | 0.1144%以内 | – |
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.1144%以内 | 30,276百万円 |
たわらノーロード 全世界株式 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース) | 0.132%以内 | 270百万円 |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円換算ベース) | 0.1144%以内 | 19.415百万円 |
野村つみたて外国株投信 | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円換算ベース) | 0.209% | 15,721百万円 |
三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、円換算ベース) | 2.75% | 26,487百万円 |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)) | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース) | 2.12% | 39,572百万円 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース) | 0.1102%程度 | 6,905百万円 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)は信託報酬が最安値水準なのがわかりますね。
なお、ベンチマークの違いは簡単に言えば以下のとおりです。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスとは
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)は先進国25ケ国、新興国26ケ国の約49か国を対象としており、各国市場の時価総額上位約85%をカバーする広範なインデックスとなっています。
大型・中型の約3,000銘柄から構成されています。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)は日本がそこから除かれたベンチマークとなります。
日本に住んでて日本で稼いでいるから日本は投資対象から外したい場合などに有効ですね。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとは
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)は先進国25ケ国、新興国23ケ国、約48ケ国を対象としており、各国市場の時価総額上位約98%をカバーする広範なインデックスとなっています。
大型・中型・小型株式、約8,000銘柄から構成されています。
こちらの方が小型株が入っていることもあり、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスよりもカバーする範囲は広くなっています。
参考:成績比較
まだ<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)」は新規設定されていませんが、参考までに他の全世界株の成績も比較しておきましょう。成績は5月31日時点のものです。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
ファンド名 | 6ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 3年(年換算) |
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー) | 4.10% | -8.19% | 2.85% | – |
たわらノーロード 全世界株式 | 4.02% | -8.38% | – | – |
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | 3.90% | -8.30% | 2.60% | – |
野村つみたて外国株投信 | 3,89% | -8.28% | 2.57% | – |
三井住友DCつみたてNISA全海外株インデックスファンド | 3.79% | -8.35% | 2.48% | 3.93% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)) | 3.97% | -9.20% | 1.55% | – |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | 3.77% | -9.29% | 1.14% | – |
成績は投資先が似ていますのでそこまで大きな差はついていませんが、僅差でeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)が全ての期間で強いです。これは信託報酬率の差が影響しているのでしょう。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)はGDP比率ですから同じ世界株を対象とした投資信託と比較しても新興国株の比率がかなり高い毛色が違う商品となります。
ですから成績は他とかなり違ったものとなるでしょう。(新興国株の成績が他との差になりそうですが)
まとめ
今回は「名目GDP総額比率で投資配分を決定【<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)】レビュー」と題して<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケットのレビューを見てきました。
結論としては以下のとおりです。
評価:5今回の<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)は人気となっているeMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の対抗馬となる可能性を秘めた商品です。おそらく<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケットはつみたてNISA対象商品に選べられるでしょうし、iDeCoの対象商品として選択してくる金融機関も出てくると思われます。そんな長期投資の積立投資にとても向いた商品だと考えます。
ただし、現在の情勢だと投資比率がかなり大きくなる新興国株はあまり調子よくありませんのでそのあたりがスタートダッシュには影響してきそうな予感もありますが・・・
個人的には名目GDP比率は好きですので注目していきたいと思う投資信託ですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
なお、<購入・換金手数料なし>ニッセイ世界株式ファンド(GDP型バスケット)の取り扱いは当初SBI証券のみのようです。
CHECK! SBI証券
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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