「社債に興味はあるけど、まとまった資金がない」
「満期まで資金が拘束されるのが不安」
そんな悩みを抱えていた方に朗報です。
SBIホールディングスが2026年3月に発行する「SBI START債」は、わずか1万円から購入でき、しかもPTS市場で売買できるという、これまでの社債の常識を覆す商品です。
この記事では、SBI START債とは何か、債券STの仕組み、そして「買い」なのかどうかを、メリットだけでなくリスクも含めて正直にお伝えします。
SBI START債とはどんな商品?基本情報を整理
まず、SBI START債の概要を確認しましょう。
正式名称は「SBIホールディングス株式会社第1回無担保セキュリティ・トークン(デジタル名義書換方式)社債(社債間限定同順位特約付)」です。
主な商品概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 愛称 | SBI START債 |
| 発行体 | SBIホールディングス株式会社 |
| 格付 | A-(R&I)/安定的 |
| 期間 | 3年 |
| 利率(仮条件) | 年1.85%~年2.45%(税引前) |
| 購入単位 | 1万円以上、1万円単位 |
| 発行総額 | 100億円 |
| 申込期間 | 2026年3月11日(水)10:00~3月23日(月)14:00 |
| 発行日 | 2026年3月24日 |
| 満期償還日 | 2029年3月23日 |
| 利払日 | 毎年3月24日および9月24日(年2回) |
| 特典 | 暗号資産XRP(10万円以上の購入者が対象) |
| 販売 | SBI証券(単独引受・先着順) |
利率は2026年3月10日に正式決定される予定です。
仮に中間値の2.15%で決まった場合、メガバンクの定期預金金利(0.40%程度)と比較して約5倍の水準となります。
ここまでは、一見するとよくある社債に見えるかもしれません。
しかし、SBI START債の本当の注目点は、商品名に含まれる「ST」という2文字にあります。
キャンペーン情報
SBI START債の購入に関連して、以下のキャンペーンが実施されています。
ST取引口座開設キャンペーン: ST取引口座を新規開設すると、もれなく100円がプレゼントされます。
債券購入応援キャンペーン: 対象債券の購入者の中から、抽選で現金10,000円が当たります。
XRP特典: 10万円以上の購入で、購入金額10万円あたり200円相当のXRPが付与されます(SBI VCトレードの口座開設が必要)。
そもそも債券STとは?従来の社債との決定的な違い
それでは債券STについて詳しく見ていきましょう。
STの意味を噛み砕くと
ST(セキュリティ・トークン)とは、株式や社債などの有価証券を、ブロックチェーン技術を使ってデジタル管理する仕組みのことです。
たとえるなら、従来の社債は「紙の権利証を金庫(証券保管振替機構=ほふり)に預けている」イメージです。
一方、債券STは「権利そのものがデジタルデータとしてブロックチェーン上に記録されている」状態です。
中身は同じ社債でも、管理方法がデジタルに進化している——これが債券STの本質です。
2020年5月に施行された改正金融商品取引法により、セキュリティ・トークンは「電子記録移転有価証券表示権利等」として法律で正式に位置づけられました。
暗号資産のような無法地帯ではなく、金融庁の監督下にある正規の金融商品です。
暗号資産とSTは「別物」
ここで一つ、よくある誤解を解いておきましょう。
「セキュリティ・トークン」と聞くと、ビットコインやイーサリアムのような暗号資産を連想する方もいるかもしれません。しかし、両者はまったくの別物です。
暗号資産は、トークンそのものに価値がある商品です。価格は市場の需給で大きく変動し、裏付け資産があるとは限りません。
一方、セキュリティ・トークンは企業の信用力や不動産などの実物資産を裏付けとした有価証券です。
トークンはあくまで「記録の器」にすぎません。
発行体には利息の支払い義務があり、満期には元本を返す約束がされています。
つまり、SBI START債は「社債」であり「暗号資産」ではないのです。
この点を混同すると、正しい投資判断ができなくなるので注意してください。
では、STにすると何が変わるのか?
従来の社債と比べて、STが投資家にもたらす実質的なメリットは大きく3つあります。
少額から購入できる
一般的な社債の最低投資額は10万円~100万円が主流です。
しかし、SBI START債は1万円から購入可能。社債投資の敷居が一気に下がります。
これは、ブロックチェーンの技術的な特性によって、小口の権利管理が従来よりも効率的に行えるようになったことが背景にあります。
PTS市場での売買が可能(二次流通)
これが最も革新的なポイントです。
従来の社債は、購入したら原則として満期まで保有するのが前提でした。
途中で売りたくても、証券会社の相対取引に頼るしかなく、そもそも売れる保証がありませんでした。
しかし、SBI START債は大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)が運営するPTS(私設取引システム)「START」に上場予定です。
2026年3月25日から二次流通の取引が始まる見込みで、投資家は市場を通じて売買できるようになります。
特典の付与
通常の社債では、利息以外のリターンは原則ありません。
しかし、SBI START債では購入特典として暗号資産XRPが付与されます(10万円以上の購入が条件)。
これは、デジタル管理の柔軟性があってこそ実現できる仕組みです。
SBI START債の購入特典「XRP」の中身を確認
購入特典について、もう少し詳しく見ていきましょう。
募集期間の購入者への特典
2026年3月11日~3月23日の募集期間に10万円以上購入した方を対象に、購入金額10万円あたり200円相当のXRPが付与されます。
XRPの数量は、2026年5月13日午前6時59分時点のSBI VCトレードでの買価格を基準に算出されます。
たとえば、100万円分購入した場合、約2,000円相当のXRPを受け取れる計算です。
利回りに換算するとごくわずかですが、「もらえるものはもらっておく」という考え方ができる特典といえるでしょう。
XRPはSBIホールディングスの株主優待やSBI新生銀行のキャンペーンなどでも付与されていますね。

利払い時・満期時の特典
2027年3月、2028年3月の各利払い時と、2029年3月の最終利払い時にも特典付与が予定されています。
ただし、現時点(2026年2月時点)では具体的な特典内容は決まっていません。
各利払日が近づいたタイミングで発行体のプレスリリースにて公表される予定です。
ここは正直にお伝えすると、「XRPがもらえ続ける」と確定しているわけではありません。
利払い時にXRPが特典として付与されることを示唆するものではないと、SBI証券の公式ページにも明記されています。
将来の特典に過度な期待を持つのは避けたほうがよいでしょう。
XRPを受け取るための条件
特典のXRPを受け取るには、SBI VCトレードの口座開設が必要です。
SBI証券の口座だけでは受け取れないので、事前に準備しておくとスムーズです。
なお、SBI VCトレードの審査で口座開設ができなかった場合、XRPは付与されず、発行体やSBI証券からの補償もありません。
SBI START債 vs 通常のSBI債。何が違うの?
SBIホールディングスは「SBI債」や「SBIホールディングス無担保社債」も定期的に発行しています。
私もSBIホールディングス無担保社債を保有していますので、これらとSBI START債の違いを整理しておきましょう。
| 比較項目 | SBI START債 | 通常のSBI債(第48回) | SBIホールディングス無担保社債(第46回) |
|---|---|---|---|
| 形式 | セキュリティ・トークン | 通常の社債 | 通常の社債 |
| 最低購入額 | 1万円 | 10万円 | 10万円 |
| 期間 | 3年 | 2年 | 5年 |
| 利率 | 年1.85~2.45%(仮条件) | 年1.58% | 年2.484% |
| 二次流通 | PTS「START」で売買可能 | 原則不可 | 原則不可 |
| 特典 | XRP付与あり | なし | なし |
| 格付 | A-(R&I) | A-(R&I) | A-(R&I) |
注目すべきは、同じ発行体・同じ格付でありながら、START債は少額投資・二次流通・特典付きという付加価値がある点です。
ただし、利率だけを見ると、期間5年の無担保社債(第46回、年2.484%)のほうが高いケースもあります。
利率の高さだけで判断するのではなく、流動性や投資期間、XRP特典なども含めた総合的な比較が重要です。
XRPの付与の金額がまだわからないので実際の利回りの部分は見えて来ない部分がありますしね。
債券投資と株式投資の違い。START債はどちらの性格に近い?
ここで一歩引いて、そもそも「債券」と「株式」は何が違うのかを整理しておきましょう。
START債はSTという新しい仕組みを採用していますが、本質的には「債券」です。
株式投資は、企業のオーナーの一人になることです。
企業が成長すれば株価が上がり、配当も増える可能性がありますが、下がれば損失を被ります。リターンに上限はありませんが、元本の保証もありません。
一方、債券投資は企業にお金を貸すことです。
利率と満期があらかじめ決まっているため、「いつ、いくら返ってくるか」が購入時点でわかります。
リターンは限定的ですが、発行体が倒産しない限り、約束どおりにお金が返ってきます。
SBI START債は、STという新技術を使っていても、この「お金を貸す」という基本構造は変わりません。
リターンの源泉はあくまでSBIホールディングスの信用力であり、ブロックチェーンが利息を生み出すわけではないのです。
つまり、START債を検討する際に最も大切な問いは、「SBIホールディングスに3年間お金を貸して大丈夫か?」ということになります。
リスクと注意点。見落としがちな3つの論点
SBI START債のメリットばかりに注目しがちですが、リスクもしっかり確認しておく必要があります。
信用リスク(デフォルトリスク)
最も重要なリスクです。
SBIホールディングスが経営破綻した場合、利息や元本の支払いが履行されない可能性があります。
格付はR&IでA-(安定的)で、「債務履行の確実性は高い」と評価される投資適格級です。
また、2026年3月期第3四半期累計では、連結収益は約1兆4,897億円(前年同期比47.0%増)、税引前利益は約4,333億円(同141.6%増)と、いずれも過去最高を更新しています。
とはいえ、元本保証ではありません。
銀行預金のように預金保険制度の対象にもなりません。
この点は必ず理解した上で投資判断をしてください。
流動性リスク
PTS「START」で売買できるとはいえ、流動性が十分に確保されるかは未知数です。
STARTは2023年12月にST取引を開始した比較的新しい市場で、これまでの取扱銘柄は不動産STが中心でした。
債券STの取扱いはSBI START債が第一号となる予定ですから未知数なんですよ。
参考までに、STARTにおける2024年度の不動産ST取引高は年間約3.2億円程度でした。
この規模感を踏まえると、「いつでも好きなタイミングで売れる」と楽観視するのは早計です。
売りたいときに買い手がつかない、あるいは想定より低い価格でしか売れないリスクは認識しておきましょう。
金利変動リスク
3年の固定金利商品ですから、今後さらに市場金利が上昇した場合、より高い利率の商品が出てくる可能性があります。
その場合、相対的にSBI START債の魅力は薄れ、PTS市場での売却価格にも影響が出る可能性があります。
日本銀行は利上げ局面にあり、今後の金利動向には注意が必要です。
ST市場の現在地。SBI START債の「歴史的な意味」
リスクを理解した上で、少し視座を上げてみましょう。
START債が持つ、個別商品を超えた意味についてです。
日本のセキュリティ・トークン市場は急拡大しています。
BOOSTRYのレポートによれば、国内の公募ST発行額は2023年度に976億円と前年度比5.8倍に成長しました。
2025年7月末時点では累計発行金額が1,938億円を超え、プログマ社の展望では2025年度には新規発行額が約1,925億円(前年比2.9倍)に達する見通しです。
これまで市場を牽引してきたのは不動産STでしたが、商品ラインナップの多様化が進んでいます。
トヨタファイナンシャルサービスもトヨタグループ初のST社債を発行するなど、大手企業の参入が相次いでいます。
そうした流れの中で、SBI START債は「上場する債券STとしては史上初」という位置づけです。
SBIホールディングス自身がグループを挙げてSTの発行基盤(ibet for Fin)や流通市場(START)を整備してきた経緯を踏まえれば、この商品はまさに「自らが作った舞台の上で、自ら主演する」という意気込みが感じられます。
投資家にとっては、この商品を通じて「デジタル証券市場の最前線を体験できる」という側面もあります。
1万円という少額から参加できるため、お試しで新しい投資体験をしてみたいという動機も、十分に合理的な投資理由になるでしょう。
SBI START債の買い方
SBI START債を購入するための手順を簡潔にまとめます。
ステップ1:SBI証券の総合口座を開設する
まだSBI証券の口座をお持ちでない方は、まず総合口座の開設が必要です。口座開設自体は無料で、オンラインで手続きできます。
ステップ2:ST取引口座を開設する
SBI証券にログイン後、「取引」→「その他の商品」→「ST(セキュリティトークン)」からST取引口座の開設手続きを行います。申込当日中に開設完了する場合がほとんどです。
なお、投資経験に関する質問への回答内容によっては開設できない場合もあります。
また、未成年の方は開設できません。
ステップ3:募集開始後に申し込む
2026年3月11日(水)10:00から先着順で販売開始の予定です。
SBIホールディングスの社債は人気が高く、過去の通常社債も募集開始から早期に完売するケースが多くありました。
100億円の発行額とはいえ、確実に購入したい方は早めの準備をおすすめします。
こんな人に向いている/向いていない
最後に、SBI START債がどんな方に向いているか、率直にまとめます。
向いている方
SBI START債は、銀行預金よりも高い利回りを求めつつ、株式のような大きなリスクは取りたくないという方に適しています。
特に、少額(1万円)から社債投資を始めてみたい初心者や、デジタル証券という新しい投資の形を体験してみたい方にとっては、良い入り口になるでしょう。
すでにSBI証券を利用していて、口座開設の手間が少ない方にも便利です。
向いていない方
一方で、3年間で年2%前後の利回りでは物足りない、もっと積極的にリターンを追求したいという方には合わないかもしれません。
また、「ST」「ブロックチェーン」という言葉に過度な期待を持ち、大きな値上がりを期待している場合は、そもそも債券の性質と合致しません。
途中売却を前提にしている方は、流動性リスクも十分に考慮する必要があります。
まとめ
SBI START債は、商品としては「格付A-のオーソドックスな3年社債」であり、特別にハイリスク・ハイリターンなものではありません。
しかし、この商品が持つ本当の価値は、「1万円から買える」「PTS市場で売買できる」「特典がつく」という、従来の社債にはなかった柔軟性にあります。
セキュリティ・トークンという技術が、これまで機関投資家や富裕層が中心だった債券投資の世界を、より多くの個人投資家に開放しつつあるのです。
日本のST市場は、まだ発展途上です。流動性も十分とは言えません。
しかし、2023年度に976億円だった発行額が、わずか2年で累計1,900億円を超える勢いで成長していることは事実です。
SBI START債は、そうした新しい金融インフラの「最前列の席」を、わずか1万円で手に入れられる機会とも言えるでしょう。
「興味はあるけど、まだ怖い」という方は、まず1万円分だけ買って、デジタル証券の世界を覗いてみる——それだけでも、投資家としての視野は確実に広がるはずです。
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