2020年6月までの四半期決算発表が本格化。新型コロナウィルス感染症の影響は予想以上に大きく多くの企業が減益、もしくは赤字決算となっています。
また、その影響で減配や無配当化に踏み切る企業も続出中。
すでにレナウンなど経営破たんする企業も出てきています。
今回はそんな有事の際に投資をする上で決算書をどう見ていけばよいのかを考えてみましょう。
資金繰りを確認しよう
今回のような状況でまず確認しなければいけないのは赤字額や減益幅ではありません。
資金が持つのかどうかです。
資金繰りですね。
もちろん赤字額や減益幅も通常時期であれば重要です。
しかし、今回の新型コロナウィルスのような有事の場合にはあまり参考にならないんですよ。
お金さえ回っていれば今後の新型コロナウィルス後の回復期に反転攻勢を仕掛けることもできるでしょう。
また、かなり有利な状況で将来への投資をすることもできます。
逆に言えばお金がないと新型コロナウィルスの問題が治まってからの攻勢もやりにくくなります。
当然、お金がうまく回っていなければ倒産の可能性もでてきますし、倒産しなくてもかなり悪い条件での身売りなんて話もでてきてしまいます。
また、お金が無ければ配当金を出すのは難しいですから減配や無配となってしまうでしょう。
つまり、このような状況下ではまずはなによりも資金の具合が重要なのです。
少し前まで投資効率の面からキャッシュリッチ企業は叩かれていましたが、このような状況下ではそういった企業の方がなにをするにも有利ですね。
キャッシュフロー計算書を確認しよう
資金繰りを見るのに一番適しているのはキャッシュフロー計算書です。(四半期決算だとキャッシュフロー計算書を公開していない会社もありますが。。。)
キャッシュフロー計算書は現金の動きを見るものです。
資金がうまく回っているのかがキャッシュフロー計算書を見れば一目でわかります。
また、キャッシュフロー計算書は貸借対照表や損益計算書と違って粉飾もしにくいのもメリットです。
極論から言えば万年大赤字でもお金さえ回れば倒産しません。
このあたりは私が元々ボロ株の中の人だったこともありますのでよく分かります(笑)
なお、キャッシュフロー計算書は苦手意識を持っている方も多く、実際に作るのにはそれなりに知識がいるものですが、読んで判断するだけならばそこまで難しくありません。
営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローのパターンである程度の判断が出来るのです。
代表的なパターンをご紹介しておきます。
優良パターン
まずキャッシュ・フロー計算書で優良と言われる企業はこのパターンです。
投資キャッシュフローがマイナス
財務キャッシュフローがマイナス
営業キャッシュフローは本業のお金の流れを示します。つまり、本業でお金を作り、将来への投資を行い、借金の返済などを行なってもなおプラスという状況がこちらのパターンです。
また、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合計してプラスになっていればなおよしですね。(フリーキャッシュフローといいます)
本業で稼いだお金の中で投資にも回しているというバランスのいい状態となります。
成長志向パターン
次にベンチャーなどに多いパターンでこれも悪くはありません。IPO企業にも多いですね。
投資キャッシュフローがマイナス
財務キャッシュフローがプラス
つまり、本業でそれなりにお金を作り、投資を行なっているが足りないのでその分を財務(借り入れや株式発行)で賄っているって状況です。
それだけお金を出してくれる銀行や投資家がいるってことですから、ビジネスの将来性さえ良ければありなパターンとなります。
資金繰りが苦しいパターン
最後は結構苦しいパターンです。このパターンはよほど将来性の感じる企業以外は私なら投資しませんね。
投資キャッシュフローがプラス
財務キャッシュフローがプラス
つまり、本業でお金が足りず、過去の投資分を取り崩し(設備投資の売却など)、それでも足りずに財務(借り入れや株式発行)で賄っているって状況です。
今回の減益や赤字転落でこのパターンになった企業は要注意です。
キャッシュフロー計算書の詳しい見方についてはこちらの記事を御覧ください。
流動比率・当座比率
四半期決算でキャッシュフロー計算書を公表していない企業の場合には簡易的に資金繰り状況を測ることができる流動比率や当座比率を確認するとよいでしょう。
簡単に言えばすぐお金になる資産(流動資産・当座資産)で近く支払う負債(流動負債)をどれだけ賄えるのかを示す指標です。
業種にもよりますが、流動比率は150%、当座比率は100%が安全の目安と言われています。
流動比率・当座比率の実際の見方について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
あとどれくらいもつのかを考える
キャッシュフロー計算書や貸借対照表を見ればある程度その企業が同じような資金繰り状況が続けばどれくらい持つのかの予想は可能です。
例えば現金預金の残高が1億円。
キャッシュフロー計算書上の増減額がマイナス1億円ならば同じ資金状況なら1年で現金が底を付くということがわかります。
大塚家具の例
例えば業績不振でヤマダ電機に身売りをした大塚家具ですが、2018年当時の報道は黒字転換を伝えるものばかりでした。
しかし、実は決算書を見るとその時点で資金が単純計算であと1年半くらいしか現金もたない状況だったんですよ。
現金及び預金の残高が昨年同時期が1,806百万円であったのに対して1,026百万円と1年で780百万円減っていたのです。
キャッシュフロー計算書をみると会社の財産を売ってそれでお金を調達しているにも関わらず・・・
予想どうり1年半持たずに身売りとなりました。
大塚家具の決算書から見える話は以下の記事を御覧ください。(2018年当時の記事)
まとめ
今回は「減益、赤字決算続出中。投資をする上で決算発表を見る最大のポイントはコレだ」と題して今回の新型コロナウィルスのような有事の際に決算発表を見る際のポイントをご紹介しました。
結論としては
資金繰りが最重要
ってことですね。
ちなみに今回は四半期決算をざっとみたところ、減益や赤字転落した企業でも資金上逼迫しているケースは想定していたよりも多くない印象です。
新型コロナウィルスでの貸付がかなり条件が良かったのもあるのでしょうし、多くの企業はそれで資金調達をしているようです。
ただし、もともと新型コロナウィルスが蔓延する前から業績が悪かったところはトドメを刺された感はありますが・・・
あとは投資をする上ではビジネスモデルが新型コロナウィルス後でどうなるかという点も考えたいところ。
このあたりは決算書だけでは判別できませんけどね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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