11月3日に実施される予定の米国大統領選挙。
世論調査では現職のトランプ大統領を抑え民主党の大統領候補「バイデン」元副大統領が優勢となっています。
大統領選の結果次第でアメリカ株は元よりそれに連動しやすい日本株、欧州株も影響を受けそうです。
今回はバイデン氏が大統領になった際の株価への影響を考えて見ましょう。
バイデン氏の政策は株式市場にとってマイナスが多い
バイデン氏はトランプ大統領と差別化を図るためもあり経済格差是正をテーマの一つとして選挙戦を行っています。
同じ民主党で代表を争った「サンダース氏」の主張を一部取り込んでいるのです。
前回の大統領選でクリントン氏が人気の高かったサンダース陣営を排除したことでトランプ氏に敗北したことの反省があるよう・・・
サンダース氏の主張は「サンダース指数」という指標が登場するくらい株式市場にとってマイナスとなる好ましくないものばかりでしたからその影響が心配されます。
例えば以下のような政策があります。
法人税率引き上げ
まず大きな影響があるのが法人税率の引き上げでしょう。
トランプ大統領が就任して35%から21%に引き下げた法人税率を28%に引き上げをすると公言しています。
7%もの引き上げとなれば企業への影響はかなり大きなものとなるでしょう。
ちなみにバイデン氏の法人税などの増税によりS&P500の企業の利益は12%減少するとの試算もあります。
個人所得税の最高税率引き上げ
個人(とくに富裕層)への課税も強化するようです。
まず個人所得税の最高税率を37%→39.6%に引き上げをするとしています。
株を買っている方が多い富裕層の課税が引き上げられれば当然、株式市場にも大きな影響が出る可能性があります。
また、他にも不動産の取引課税や配当、キャピタルゲインへの増税が噂されています。
富裕層への資産課税
細部は出ていませんが、財源を「富裕層の資産課税」を強化して捻出するとも発表しています。
ちなみに民主党の大統領候補を争ったサンダース氏の案だと
段階的に税率は上がっていき純資産100億ドルを超えると8%
富裕層から富の再配分はSDGsなんかにもでてくる話ではあります。
また、2014年に大きな話題となったトマ・ピケティの著書「21世紀の資本」でも富の再配分の重要性が語られていましたね。
ただし、株価のことだけを考えれば株を多く持っている富裕層に課税されるわけですからマイナス要因ですね。
また、この制度が導入されたら多くの富裕層は米国の外に出ていく懸念もあるでしょう。
サンダースの案をそのまま踏襲するのかはわかりませんが、株式市場にとって好ましいものではないことは確かですね。
もう大統領候補ではなくなっていますので参考程度ですが、サンダース氏の公約はこちらの記事を御覧ください。
オバマケアの拡充
サンダース氏は日本のような国民皆保険制度を公約に掲げていました。
バイデン氏はサンダース氏の考える国民皆保険保険までは受け入れなかったようですがオバマケアの拡充を謳っています。
これも株式市場にとってはそれほど良い話ではありません。
例えば大きな規模となっている医療保険を扱う保険会社にとってはマイナス要因でしかありません。
製薬会社にしても薬価の引き下げなど価格の締め付けが厳しくなるのは確実でしょうからマイナス要因となるでしょう。
最低賃金引き上げ
また、最低賃金を引き上げすることも掲げています。
具体的には最低時給を15ドルとするそうです。
現在は7.25ドルですから倍近く上げることになります。
ちなみに日本は全国平均で901円となっています。
15ドルを円換算すると1,575円(1ドル105円換算)と日本と比較してもかなり高いことがわかりますね。
これも企業にとってはかなり大きな負担となりますから株式市場にとってはマイナスとして働く可能性が高いです。
GAFAMの解体?
もうひとつ大きな影響をうけそうなのがGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、Amazon、マイクロソフト)などの大手IT、ネット企業です。
サンダース氏など民主党のリベラル派の看板政策の一つにこれら大手IT、ネット企業の解体がありました。
影響が大きすぎるのでその政策をバイデン氏がそのまま受け入れるとは思いませんが、GAFAMにとって向かい風になる可能性はありそうです。
バイデン氏の政策がプラスに働く業界
ただし、株式市場にとってマイナス要因ばかりではありません。
業界によってはプラスと働く話もあります。
対中関係
まずは対中関係でしょう。
トランプ氏はかなり強く中国と対峙しています。
貿易や関税の問題だけでなく、ファーウェイの件はもちろん最近はtiktok、テンセントなど対象が広がっている感もあります。
貿易戦争状態ですね。
バイデン氏は親中派だったオバマ氏の副大統領でしたからこのあたりの緩和の可能性がありそうです。
そうなれば中国株や中国に関連した企業の株にとってはプラス材料となるでしょう。
環境対策
環境問題に対して2兆ドル投資するとしています。
太陽光発電、風力発電、電気自動車などの環境関連の業界にとってはかなりの追い風となりそうです。
すでに1年で株価は10倍近くまで上がっていますがテスラなどは恩恵が受けられるかもしれませんね。
逆に環境対策が遅れている企業にとっては向かい風となりそうです。
まとめ
今回は「バイデン氏が大統領になったら株価にどのような影響を与えるのか?」と題してバイデン氏が大統領になった場合の株価への影響についてみてきました。
中国関連や環境関連などの企業はプラスになりそうですが、それ以外の企業にとってはマイナス面が多そうな予感。
大きなお金の流れには注意が必要です。
すでにアメリカの株は高値圏で推移していますしね。
ただし、前回トランプ氏が当選したときも多くの評論家は株が暴落すると予想していましたが、その逆となりトランプ相場となりました。
ですから今回もどうなるのかは相場に聞けって話なんですけどね。
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