アメリカを代表する株式指標のNYダウ。
長期でみるとかなり強い株式指数です。
これはアメリカ経済が強いことももちろんありますが、NYダウの仕組みによるところも大きいです。
それは銘柄を頻繁に入れ替えることなんですよ。
先日、8月末に実施のアップル社の株式分割による影響が大きいことから3銘柄が入れ替えられました。
今回はこの入れ替えの件を考えてみましょう。
NYダウ(ダウ平均)とは
NYダウは正式名称を 「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」といいます。
ダウ平均はダウ・ジョーンズ社がアメリカ市場に上場している代表的な30銘柄を選び、その株価の平均値に特殊な修正を加えて算出(加重平均)されます。
ちなみに日本の日経平均は255社、アメリカのS&P500は500社の指数ですからNYダウがかなり絞り込まれた企業の指数であることがわかると思います。
NYダウの強さのポイントはこの30銘柄を定期的に入れ替えすることにあります。
簡単に言えば強い銘柄は残し、低迷している銘柄は外して勢いのある銘柄を入れるってことなんです。
つまり、NYダウはある程度強い銘柄しか残ることができない株式指数。
これによりNYダウは一定の強さを維持できているのです。
株式分割でアップル社のNYダウへの影響力が低下
前述のようにNYダウは株価の平均値をベースとして算出されています。
アップル株は他のNYダウ銘柄と比較して株価が高めなのでアップル社のNYダウのウエイトは10%超となっていました。
NYダウの構成銘柄は30社あるのにアップル1社で10%超あるのです。
しかし、今回アップル社が株式分割したことで株価が下がり、アップル社のウエイトも減ります。
現在の株価で換算するとアップル社のウエイトが3%程度となり、30銘柄中、18番目程度まで下がるのです。
つまり、アップルの株価の動向がNYダウに反映されにくくなるってことですね。
今までNYダウを引っ張ってきたアップルの影響力が落ちるのはNYダウの指数にも大きな影響があることから3銘柄も入れ替えられたのです。
新しく採用された銘柄と排除された銘柄
アップル株分割に伴う影響を緩和するためNYダウの対象銘柄を変更することが発表されました。
除外されたのはエクソンモービル、ファイザー、レイセオン・テクノロジーズ、新たに組入れられたのがセールスフォース、アムジェン、ハネウェル・インターナショナルでした。
30銘柄のうち3つの銘柄ですから10%です。
かなり大きな入れ替えとなります。
ファイザー(製薬)
レイセオン・テクノロジーズ(軍用機器)
アムジェン(製薬)
ハネウェル・インターナショナル(産業機器)
NYダウの銘柄を見ればアメリカの今がわかる
特に今回の入れ替えを象徴していたのが除外されたエクソンモービルでしょう。
10年前には時価総額1位の銘柄だったのです。(現在の時価総額1位はアップル)
最近はかなり低迷気味ですから外すというのは妥当ではありますが、10年でこれだけ状況が変わってしまうんですね。
2年前に外されたGE(ゼネラル・エレクトリック)なんかもそうでしたね。
110年NYダウに採用されてきたアメリカを代表する名門企業でしたが業績不振で除外されることになりました。
つまり、NYダウの採用銘柄や除外銘柄を見ていればアメリカの今がある程度わかるとも言えます。
ちなみに入れ替え後、現在のNYダウ採用銘柄は以下の30社です。
日本でも知名度が高い企業が多いですよね。
グーグル、AmazonはNYダウに採用されず
ただし、NYダウは時価総額上位のグーグル(アルファベット)やアマゾン、フェイスブック、パークシャハサウェイ(ウォーレンバフェットの会社)なんかは採用されていないんですよ。
アメリカを代表する企業なのにです。
これはこれら銘柄の株価が高すぎて、株価の平均で求めるNYダウでは1銘柄の寄与度がでかくなってしまうことが大きいと思われます。
最近、NYダウがS&P500やナスダックに負けているのは、これら好調な銘柄が採用されていない事による部分が大きいんです。
逆に言えばこれら銘柄も分割などで株価が安くなればNYダウに採用される可能性も出てくるでしょうけどね。
日本の日経平均もそうですが、株価ベースで平均を出すタイプの指数はこういった歪なことが起こり得るんですよ。。。
新しくNYダウに採用された3銘柄紹介
それでは今回新しくNYダウに採用された3銘柄をご紹介しましょう。
NYダウ新採用銘柄:セールスフォース・ドットコム
まずは「セールスフォース・ドットコム」です。
日本でも多くの企業が利用している会社なのでご存知の方も多いでしょう。
知名度は高いですがセールスフォース・ドットコム自体は1999年に創業した会社でまだ20年の業歴なんですよ。
CRMプラットフォームとしては世界NO.1とのこと。ティッカーがCRMですしね(笑)
CRMとはカスタマーリレーションシップマネージメントの略語で顧客管理の意味です。
簡単に言えば顧客管理の総合プラットフォームを扱っていると捉えればよいでしょう。
時価総額も8月末時点で世界26位とかなり大きな規模となっています。
今回採用の中で一番の目玉銘柄といってもよいでしょうね。
ティッカーは「CRM」
9/4時点の株価は254.7ドルとなっています。(NYダウ採用発表前は200ドル前後)
業績を見ると売上は右肩上がりです。
下記の表にはありませんが、最新発表の2021年第1四半期で売上は前年同期比30%増と好調を維持しています。
しかし、営業利益は新型コロナへの対策もあり-1.4億ドルのマイナスとなっています。
通貨:USD | 2019年7月期(連) | 2019年4月期(連) | 2019年1月期(連) | 2018年10月期(連) |
決算日 | 2019年7月31日 | 2019年4月30日 | 2019年1月31日 | 2018年10月31日 |
売上高 | 3,997,000千 | 3,737,000千 | 3,603,000千 | 3,392,000千 |
営業利益 | 224,000千 | 210,000千 | 137,000千 | 92,000千 |
税引前利益 | 164,000千 | 482,000千 | 239,000千 | 128,000千 |
当期利益 | 91,000千 | 392,000千 | 362,000千 | 105,000千 |
出典:ヤフーファイナンス
NYダウ新採用銘柄:アムジュン
次は「アムジュン」です。
こちらは製薬メーカーで日本でも知名度はあまりないかもしれません。
しかし、日本にもアステラス製薬と合弁会社を作るなど進出(2020年に完全子会社化)
ガンや腎臓病など様々な難病の新薬を研究しているんですよ。
ティッカーは「AMGN」
9/4時点の株価は248.4ドルとなっています。(NYダウ採用発表前も240ドル前後)
業績は地道な感じですね。大きくは伸びていませんが安定して利益を稼いでいる企業となっています。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
通貨:USD | 2020年6月期(連) | 2020年3月期(連) | 2019年12月期(連) | 2019年9月期(連) |
決算日 | 2020年6月30日 | 2020年3月31日 | 2019年12月31日 | 2019年9月30日 |
売上高 | 6,206,000千 | 6,161,000千 | 6,197,000千 | 5,737,000千 |
営業利益 | 2,323,000千 | 2,355,000千 | 2,048,000千 | 2,476,000千 |
税引前利益 | 2,030,000千 | 2,020,000千 | 1,983,000千 | 2,277,000千 |
当期利益 | 1,803,000千 | 1,825,000千 | 1,703,000千 | 1,968,000千 |
出典:ヤフーファイナンス
NYダウ新採用銘柄:ハネウェル・インターナショナル
最後は「ハネウェル・インターナショナル」です。
こちらも日本での知名度はそれほどないかもしれません。
航空宇宙製品や半導体素材、自動車の部品、電子素材など幅広く扱っている会社です。
ティッカーは「HON」
9/4時点の株価は166.69ドルとなっています。(NYダウ採用発表前も150ドル後半)
こちらはどちらかというと業績低迷気味ですね。売上も利益も低下傾向にあります。
ハネウェル・インターナショナルが採用されたところを見るとNYダウの採用は業績が良ければ良いというわけでもないようです。
通貨:USD | 2020年6月期(連) | 2020年3月期(連) | 2019年12月期(連) | 2019年9月期(連) |
決算日 | 2020年6月30日 | 2020年3月31日 | 2019年12月31日 | 2019年9月30日 |
売上高 | 7,477,000千 | 8,463,000千 | 9,496,000千 | 9,086,000千 |
営業利益 | 1,018,000千 | 1,691,000千 | 1,695,000千 | 1,752,000千 |
税引前利益 | 1,204,000千 | 1,923,000千 | 1,768,000千 | 1,967,000千 |
当期利益 | 1,081,000千 | 1,581,000千 | 1,562,000千 | 1,624,000千 |
出典:ヤフーファイナンス
まとめ
今回は「NYダウの最大の強みは銘柄の入れ替え。大注目の新しく採用された3銘柄をご紹介」と題してNYダウの銘柄入れ替えについてみてきました。
NYダウは定期的に銘柄が入れ替えられますが、その入れ替え銘柄をみているだけで現在のアメリカの流れがなんとなく見えてきますね。
ぜひ今回採用された3銘柄や今後のNYダウ銘柄の入れ替えに注目してみてください。
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