読者様から以下のご質問をいただきましたので今回はこちらを考えていきます。
生命保険に加入するときによくある悩みですね。
今回は掛け捨て生命保険と貯蓄性のある生命保険のどちらが良いのかを考えて行きます。
なお、私の保険に対してのスタンスは自分でリスクヘッジできないものだけ掛けるというものです。くわしくはこちらの記事をご覧ください。
掛け捨て生命保険と貯蓄型の生命保険
それではまず掛け捨て生命保険と貯蓄性のある生命保険について詳しく見ていきましょう。
掛け捨て生命保険
掛け捨て生命保険とは名前の通り、支払った保険料が返って来ないタイプの生命保険。
解約した際、保険の満期時などにお金が戻ってこない(もしくはかなり少額)のです。
例えば20年満期の定期保険なら20年の間に死亡や重い障害を抱えるなどの保険事故等がなければ保障はなくなり、保険料は戻ってきません。
その分、保険料が低く抑えられているのが特徴です。
定期保険の他にも多くのがん保険や医療保険、最近人気の収入保障保険などが掛け捨てタイプの生命保険ですね。
貯蓄性のある生命保険
次は貯蓄性のある生命保険です。こちらも名前の通り、通常の保障に貯蓄性がプラスされたタイプです。
貯蓄性のある生命保険にはいろいろなタイプがあり、保障が一生涯続く終身型保険や満期時、中途解約時などに解約返戻金を受け取れる養老保険などがあります。
広義で捉えれば学資保険や個人年金保険もこちらのカテゴリーに入ってきますね。
貯蓄性がプラスされていますから当然、掛け捨て生命保険と比較して保険料が高くなります。
おすすめは掛け捨て生命保険
先にご質問の結論をお話しておきましょう。
余裕があるなら貯蓄は別で行う
保険に対する考え方は人それぞれですが、私の考えとしては保険は自分でリスク回避できないものに掛けるものと考えています。
例えば予期せぬ死亡で家族が露頭に迷わないようにリスク回避として生命保険を掛けておくという感じですね。
ですから単純にそのリスク回避に対する部分だけ掛け捨て生命保険で行うのです。
詳しくは後述しますが、貯蓄性のある保険は保険+投資のような仕組みとなっています。
ただし、保険の貯蓄部分は現在の低金利時代ではかなり微妙で手数料が高いですからオススメできないのです。
つまり、貯蓄部分は自分で投資を別途したほうが納得性も高いですし、割が良いんですよ。
具体的には以下のようなやり方がおすすめです。
投資部分はiDeCoやつみたてNISAを優先
投資部分はiDeCoやつみたてNISAのような税制優遇のある制度がおすすめです。
「iDeCo」とは正式名称を「個人型確定拠出年金」といい、簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。
「iDeCo」をオススメしたい最大の理由が税金面で優遇されている制度だからです。
老後資金を自分で貯める制度なんですが、そのつみたてたお金がすべて「所得控除」の対象となるということです。
自分の老後資金を用意しつつ、節税まで出来てしまうのです。
保険でも生命保険料控除がありますが、全額できるわけではありません。
しかし、iDeCoは掛けた分だけ控除対象ですからよりメリットが大きいのです。
ただし、iDeCoは途中解約できないなどのデメリットがありますので、それを避けたい方には「つみたてNISA」という制度を使うのもおすすめです。
つみたてNISAを一言で言えば金融庁が選別した投資信託を年間40万円まで最大20年間非課税で運用できる制度ってことです。
通常に投資をする場合だと利益がでたら税金が20.315%(所得税15.315%+住民税5% 所得税に復興特別税を含む)発生しますが、つみたてNISAを使って投資をするとその部分が免除されるのです。
投資の裾野を広げようという目的で優遇されているんですよ。
まずはiDeCoを検討して、まだ余裕があったり、iDeCoのデメリットが大きい方はつみたてNISAがおすすめですね。詳しくはこちらの記事を御覧ください。
貯蓄型はかなり不利な仕様
貯蓄性のある保険はその保険の種類にもよりますが、基本的に保険+投資のような仕組みの商品です。
しかし、その投資部分がちょっと厄介なのです。
かなりブラックボックスとなっており、実質的な手数料が割高なケースが多いのです。
ですから保障は保険で。貯蓄は別途投資でやるほうが良いのです。
また、貯蓄型の保険でよく使われる「予定利率」や「積立利率」という言葉もトラップです。
これは言葉の意味をちゃんと理解していないと勘違いしがちなんですよ。
それぞれの言葉の意味は以下のとおりです。
予定利率とは
予定利率は基本的に契約時に決められています。
つまり、保険会社が契約者から預かったお金を○%で運用しますよって約束をした数字です。
予定利率が高ければ運用でそれだけ増えるために保険料が安くなります。
逆に予定利率が低ければそれだけ保険料が高くなります。
ただし、ここに勘違い・・・
例えば予定利率1%といえば支払った保険料を1%で運用してくれていると思っている方が多いです。
しかし、保険は保険会社の経費を差し引いたあとの金額が予定利率で運用されるのです。
つまり、予定利率は経費を差し引いたあとの部分で計算される利率となります。
支払った保険料から経費などを差し引いた残りを運用します。
通常の投資商品の利回りなどの数字とは前提がぜんぜん違うのです。
投資商品の利回りは投資した金額で算出しますから投資商品の利回りとは単純な比較ができないんですよ。
標準利率は0%
ちなみに金融庁が保険会社に対して予定利率の目安として示している標準利率は下記のように推移しています。
現状は低金利時代を反映して過去と比較して標準利率がかなり低い状況なんですよね。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
平成8年4月〜平成11年3月 | 2.75% |
平成11年4月〜平成13年3月 | 2.00% |
平成13年4月〜平成25年3月 | 1.5% |
平成25年4月〜平成29年3月 | 1.0% |
平成29年4月〜令和元年12月 | 0.25% |
令和2年1月〜 | 0% |
さらに2020年(令和2年)1月からは標準利率が0%となっています。
つまり、そもそも貯蓄型保険で利益がでるような状況ではないのです。
この状況なのでいくつかの貯蓄型の保険が募集を停止していたりもしますね。
積立利率とは
保険の種類によっては予定利率ではなく「積立利率」という言葉が使われるケースもあります。
予定利率と基本的には似ていますが内容は少し違います。
積立利率とは契約者が支払った保険料の中で積立て部分に適用される利率のことです。
保険料として集められたお金はすべて積立部分に回るわけではありません。
以下の3つに分けられます。
責任準備金
積立て部分
経費率が高い
また、なによりも保険の場合には経費率がかなり高いのです。
下記は小規模企業共済が出している資料ですが、だいたいどこの生命保険も10%程度の経費率があります。
出所:中小企業庁「小規模企業共済 給付経理から業務等経理への繰り入れについて」
つまり、保険で支払った資金のうち10%は始めからさっぴかれてそこから予定利率で運用するってことです。
ですから保険なんかに加入を考える際には予定利率だけみて高いからこれは良いと考えては駄目で、経費率を考えて実際に保険として払った金額と戻ってくる金額で考える必要があるのです。
投資信託で1%の信託報酬だと高いと思う方が多いと思いますから大きな差ですよね。
そもそも保険の運用時の手数料は投資商品と比較できないレベルとなっているのです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
貯蓄型保険を強引に勧めてくるFPや保険屋に注意
もし、この現在の低利率の環境下のままの状態で貯蓄型保険を強引に勧めてくるFPや保険屋がいたら注意してください。
お客様のことよりも自分の懐をみて勧めている可能性が高いです。
貯蓄型は保険料が高いので保険屋やファイナンシャルプランナーに落ちる手数料も多くなるんですよ。
または、保険会社の謳い文句だけを信じてそもそもこのあたりの話をまともに理解していないケースもあります・・・FPも保険屋もレベル差が激しいですからね。
まとめ
今回は「掛け捨ての生命保険と貯蓄型生命保険のどちらが良いのか?」と題して掛け捨て保険と貯蓄型生命保険の比較をみてきました。
基本的には掛け捨ての生命保険がおすすめですね。
一昔まえは貯蓄型生命保険でもお宝保険と言われるような有益な商品もありました。しかし、昨今の低金利時代ではそれはまずありえません。
貯蓄型生命保険を選ぶくらいなら掛け捨て保険プラス投資がおすすめですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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