テレワークで通勤手当を廃止して在宅勤務手当が導入された場合の税金、社会保険はどうなるのか?

新型コロナウィルスの感染は一定の落ち着きを見せていますが、会社によっては在宅勤務(テレワーク)が続いているところもあります。

また、今まで実施してきたテレワークがそれなりに上手くいったことで本格的に導入の検討をはじめた企業も多いようです。

そこで問題になってくるのが「通勤手当」の扱いです。

通勤しないなら通勤手当をなくそうという動きが多くなっています。

大手企業でもホンダが通勤手当をやめて実費精算にするという話がでていますね。

また、在宅勤務(テレワーク)で仕事をすると電気代や通信費が増えてしまいます。

それらは個人負担になってしまうことからその代金の補填として「在宅勤務手当」を支給する企業もでてきています。

しかし、これ「通勤手当をやめて在宅勤務手当にしました」という単純な話だけでは済まないのです。

所得税や社会保険にも影響がある話なんですよ。

今回は通勤手当と在宅勤務手当の税金や社会保険上での扱いについて見ていきます。

通勤手当、在宅勤務手当の所得税の扱い

まずは所得税の扱いを見ていきましょう。

通勤手当は非課税

通勤手当は非課税限度額以内の場合には所得税は非課税となります。

平成28年1月1日以後の非課税限度額は以下の通りです。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

区分 課税されない金額
①交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当 1か月当たりの合理的な運賃等の額

(最高限度 150,000円)
②自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当 通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円
通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合 28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 24,400円
通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 18,700円
通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 12,900円
通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 7,100円
通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 4,200円
通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 (全額課税)
③交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券 1か月当たりの合理的な運賃等の額

(最高限度 150,000円)
④交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券 1か月当たりの合理的な運賃等の額と②の金額との合計額

(最高限度 150,000円)

出典:国税庁「通勤手当の非課税限度額の引上げについて」より

公共交通機関を利用している場合には上限が月額150,000円。

よほど遠くから通勤していない場合には非課税水準に収まるでしょう。

ただし、この話は実際に通勤している場合の話です。

テレワークで一切通勤していないのに所得税が非課税だからと給料のプラスとして通勤手当を支給しているような場合は課税対象と判断されても不思議ではありません

そのため、ホンダのように実費精算に切り替える企業が増えています。この場合も当然、課税対象とはなりません。

ホンダは従来、電車通勤の場合は定期代金を、マイカー通勤の場合はガソリン代などを、実際の出社日数にかかわらず1カ月単位で支給してきた。10月以降は、出社した日数分の運賃や走行距離に応じた実費を支払う制度を取り入れる
出典:東京新聞 2020年8月29日

在宅勤務手当は支給の仕方により異なる

次に在宅勤務手当について見ていきましょう。

在宅勤務手当とは法律上定まった定義があるわけではありませんが、在宅勤務で必要な費用等を会社が補填するために支給する手当です。

例えば在宅勤務していればパソコンや照明、エアコンなどの電気代は掛かるでしょうし、インターネットや電話代などの通信費も掛かるでしょう。

また、PCやプリンター、机、椅子などの備品

紙やインク代などの消耗品もかかるケースもあります。

つまり、個人の負担が出てきてしまうんですね。それを補填するのが在宅勤務手当です。

在宅勤務手当は決まった金額が支給されるようなケースの場合は賃金と同じ扱いとなり課税対象となります。

逆に実費分を精算するような形をとるのであれば課税対象にならないのが普通です。

じゃあ実費精算がいいじゃんと思われる方が多いかもしれません。

しかし、テレワークをしている社員全員が実費分を精算するとなってしまうと本人にしても経理にしても事務負担がかなり大きくなりますから課税対象となりますが決まった金額を一律に支給している企業が多いようですね。

例えばソフトバンクやNTTは以下のような対応をするそうです。

ソフトバンクは9月から、国内の従業員約2万人に在宅勤務手当として月に4000円を支給する。正社員のほか契約社員やアルバイトなども対象とする。在宅勤務にかかる光熱費や備品の購入に使ってもらう。新型コロナウイルスの感染が拡大し在宅勤務が長期化するなか、社員の負担を軽減する

出典:日経新聞 2020年8月19日

NTTは11日、10月から新たに在宅勤務手当を支給すると発表した。国内約18万人の全従業員に1日あたり200円を支給する。

出典:日経新聞 2020年8月11日


通勤手当、在宅勤務手当の社会保険の扱い

次に社会保険の扱いを見ていきましょう。

通勤手当も在宅勤務手当も社会保険の計算には含まれる

社会保険料(健康保険、厚生年金)は基本的に定時決定というルールで計算されます。

定時決定とは7月1日現在で働いている人の3か月間(4~6月)の報酬月額を算定基礎届として届け出するもので、厚生労働大臣は、この届出内容に基づき毎年1回、標準報酬月額を決定することをいいます。

この決定された標準報酬月額に基づき保険料額表にあてはめれば健康保険、厚生年金の金額が出てくるのです。

ここで決まった標準報酬月額は、大きな変動等がなければ9月から翌年8月までの各月に適用されます。

届け出する報酬月額は以下のように3ヶ月の平均報酬で決まります。

標準報酬月額
出所:日本年金機構「定時決定

報酬には給料はもちろん、残業代休日出勤手当て家族手当住居手当などの各種手当て食事代等の現物給与などが含んだものとなります。

基本的に名目は関係なく会社から支給される金額は含めると思ってただければよいでしょう。

そのため、通勤手当や在宅勤務手当も足して算出されるのです。

将来の年金や傷病手当への影響

また、社会保険の金額に影響があれば、将来もらえる年金などにも影響があります。

社会保険料が高くなれば将来もらえる年金額(老齢厚生年金)が増えますし、社会保険料が少なくなれば将来もらえる年金が減るのです。

また、病気などで会社を休んだときにもらえる傷病手当金などの金額にも影響を与えます。

ですから通勤手当や在宅勤務手当は単純に得した損したというのは考えにくい仕組みなのです。

通勤手当などの社会保険の関係について詳しくはこちらの記事も合わせて御覧ください。

その他様々な手当に影響も・・・

また、様々な手当などの支給の計算根拠となる「平均賃金」の計算にも影響があります。

つまり、通勤手当や在宅勤務手当によりこれらの金額に変化が出てくるのです。

具体的には以下のような手当があります。

(1)労働者を解雇する場合の予告に代わる解雇予告手当… 平均賃金の30日分以上
(2)使用者の都合により休業させる場合に支払う休業手当… 1日につき平均賃金の6割以上
(3)年次有給休暇を取得した日について平均賃金で支払う場合の賃金
(4)労働者が業務上負傷し、もしくは疾病にかかり、または死亡した場合の災害補償等
(5)減給制裁の制限額 … 1回の額は平均賃金の半額まで、何回も制裁する際は支払賃金総額の1割まで
(6)地方労働局長が作業転換の勧奨または指示を行う際の転換手当… 平均賃金の30日分または60日分

失業保険への影響

また失業保険(雇用保険の基本手当)にも影響があります。

失業保険の計算の元となるのは離職前の6ヶ月間の給料額です。

こちらも通勤手当や在宅勤務手当が含まれます。

ですから通勤手当や在宅勤務手当によって失業保険のもらえる金額にも影響が出てくるのです。


まとめ

今回は「テレワークで通勤手当を廃止して在宅勤務手当が導入された場合の税金、社会保険はどうなるのか?」と題して通勤手当と在宅勤務手当の税金、社会保険への影響をみてきました。

今後、テレワークの進展は進むでしょうし、この手の話は多くなるでしょう。

そうなった時に損をしないためにも通勤手当と在宅勤務手当の税金、社会保険の関係は理解しておきたいところですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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