要注意!NISA口座で株を保有しているのにTOBに参加すると課税対象になってしまう罠がある件

先日、知り合いの方からご質問を頂きました。

NTTドコモの株をNISA口座で持っていてTOBに参加すると課税になるってホント??

課税になるならそのまま持っておきたいのだけどどうだろう?

前の質問の件は本当です。
多くの場合、NISA口座で保有している銘柄もTOB(株式公開買付)だと課税となります。(一部非課税のケースもありますが、後述します)
NTTドコモはNISAで買っていた方もそれなりにいたと思いますが、残念なことに課税となってしまうんですよ。
今回はNISAで保有していてもTOBに参加すると課税となる件を詳しく解説していきます。
なお、NTTドコモのTOB期限は2020年11月16日(月)16時ですのでお忘れなく。

NISA口座は非課税口座

まずは今回の話の大前提であるNISA口座についても軽く解説しておきましょう。

NISA(少額投資非課税制度)は年120万円まで株式や投資信託、ETFなどを非課税で5年間運用できる制度です。

通常は株式投資や投資信託、ETFなどで利益がでればその利益に対して20.315%の税金がかかります

しかし、NISA口座内で運用している場合には利益が出ても税金は免除(非課税)してくれるのです。

つまり、簡単に言えば

年120万円まで株式や投資信託を非課税で運用できる口座

ということです。投資の裾野を広げたいという名目で導入されていたんですよ

しかし、今回のTOB(株式公開買付)はちょっと特殊な売買な方法のため、非課税とはならないケースがほとんどです。

TOB(株式公開買付)だと非課税にならない理由と対策

TOBとは株式公開買付(Take Over Bid)のことで、上場企業の発行する株式を、通常の市場で売買するのではなく、事前に買付価格や買い付け予定の株数、買付の期間などを公開した上で、証券市場外で株式を買い取ることを指します。

つまり、TOBは通常の売買ではなく、証券市場外で株式を買い取ることになるため、NISAの非課税対象から外れてしまうのです。

TOBに参加するには公開買付代理人である証券会社へ移管が必要

NISAで保有する株式をTOBで売却する場合の説明はマネックス証券にわかりやすいものがありましたのでご紹介しましょう。

NISA口座にて保有する株式を課税口座(特定口座または一般口座)へ移管した上で、公開買付代理人である証券会社への移管手続きを行い、応募いただく必要がございます。

出典:マネックス証券 「NISA口座で保有する株式は株式公開買付(TOB)に応募できますか?

つまり、この2つの作業がTOB参加前に必要になります。

  • NISA口座→特定口座などへ移管
  • 現在の証券会社→公開買付代理人証券会社へ移管

TOBに参加するには公開買付代理人証券会社へ移管する必要があります。

しかし、NISA口座は一人一つの証券会社等でしかもてませんから、移管するのには特定口座などの課税口座に移す必要があります。

つまり、TOBの株を公開買付代理人証券会社へ移管するためにNISA口座から特定口座へ移管することが必要なのです。

売るときにはすでに課税口座となっていますので当然に課税対象となってしまうのですね。

NISA口座保有銘柄がTOBでも非課税のケース

ただし、公開買付代理人である証券会社でNISA口座を作っていてそこでTOBする株式を保有している場合はそのままTOBに応募できますし、NISA口座からの売却となりますので当然に非課税という扱いとなります。

ちなみに今回のNTTドコモの公開買付代理人は「三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社」です。

それ以外の証券会社等のNISA口座で株を保有している場合は課税対象となります。

取得価格はどうなる?

なお、今回TOBに参加して課税となった場合の取得価格はどのような扱いとなるのでしょう。

こちらもマネックス証券に詳しく書いてありました。

課税口座での取得日は課税口座への移管日、取得価格は課税口座への移管日の時価(終値)となります。

出典:マネックス証券 「NISA口座で保有する株式は株式公開買付(TOB)に応募できますか?

つまり、課税口座への移管日が取得価格となります。

NISA口座で購入した価格は引き継がれません。

ですから移管日の時価と公開買付価格の差がなかったり、公開買付価格のほうが低ければ課税とはなりませんね。

なお、NISA口座で購入した価格と課税口座への移管したときの価格の差はNISA対象となり非課税です。

つまり、一旦NISA口座で保有している株を売って、市場で買い戻してもほぼ同じ結果という。。。。

ですからNISA口座で保有している方はその時の株価にもよりますが市場で売ってしまうのをおすすめしています。

NISA口座で保有のまま市場で売却すれば非課税

今回課税対象となるのは公開買付代理人証券会社へ移管するためにNISA口座から出す必要があるためです。

NISA口座に株を持っている状態で市場売却すれば通常と同じですから当然非課税の扱いとなります。

その時の株価にもよりますが、税金のことを考えれば市場で売却したほうが良いケースが多いでしょうね。

公開買付代理人である証券会社での口座開設などの手間も掛かりませんし。

TOBに参加しなくても上場廃止になれば

また、もしTOBに参加しなくてもその株がTOBの結果で上場廃止となれば非課税措置は終了となります。

ですからそのまま保有しているというのはあまり得策ではないのです。

そのまま持っていてもとくに良いことがないんですよ。
詳しくは下記記事を御覧ください。

まとめ

今回は「要注意!NISA口座で株を保有しているのにTOBに参加すると課税対象になってしまう罠がある件」と題してNISA口座でTOBに参加するときの話をみてきました。

まとめると以下のとおりです。

  • 公開買付代理人である証券会社のNISA口座で保有している場合はそのまま非課税で売却可能。
  • 公開買付代理人である証券会社以外のNISA口座で保有している株は一旦払い出しが必要のため課税対象
  • 手間暇などを考えるならNISA口座で保有している人は市場売却がおすすめ
  • TOBに参加せず、売却もせずそのまま株を持ち続けるのメリットがないためおすすめしない

多くの方は課税となってしまうってことですね。

NISAでTOB対象の株を持っている方の取りうる方法として一番簡単なのは市場で売却してしまうことでしょうね。

その時の株価次第でしょうが・・・

島忠とDCMカーマとニトリの戦いのように揉めている場合は判断が難しいですが・・・

なお、公開買付代理人である証券会社で新規で口座を作らなくては行けない方も多いと思いますが特定口座の選び方はこちらの記事を御覧ください。

ちなみにNISAで保有している銘柄が上場廃止になった際の扱いは以下のとおりです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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