読者様からご質問をいただきました。
実はNISA口座で保有してる株が上場廃止する場合にはNISAのデメリットが際立つ形となってしまいます・・・
今回は「NISAで保有していた銘柄が上場廃止になるとどうなるのか?」について見ていきましょう。
なお、NTTドコモのようにTOBをして上場廃止のパターンはこちらの記事を御覧ください。
NISA口座は非課税口座
まずは今回の話の大前提であるNISA口座についても軽く解説しておきましょう。
NISA(少額投資非課税制度)は年120万円まで株式や投資信託、ETFなどを非課税で5年間運用できる制度です。
通常は株式投資や投資信託、ETFなどで利益がでればその利益に対して20.315%の税金がかかります。
しかし、NISA口座内で運用している場合には利益が出ても税金は免除(非課税)してくれるのです。
つまり、簡単に言えば
ということです。投資の裾野を広げたいという名目で導入されていたんですよ
しかし、保有株が上場廃止となるとちょっと扱いが複雑になってきます。
NISA保有株の上場廃止はどうなる?
NISAで保有している株の上場廃止はちょっとややこしい話があります。
分けて見ていきましょう。
そのままでは損益通算ができない
一般的に上場廃止が決まると売買がしにくくなりますから株価が下がります。(NTTドコモのようなTOBの場合は除く)
そのため、売却しても上場廃止になっても損失となる方が多いでしょう。
しかし、NISAでは損失は税金計算上はないものとして取り扱われます。
NISA口座内での取引は利益が出ても税金は発生しません。
しかし、逆に損失がでても他の口座で出た利益などと相殺(損益通算)できないんですよ。
また、損失の繰越も当然できません。
つまり、NISA内で出た損失は税金の計算上なかったものとされてしまうのです。
上場廃止で生じる損失も同様となります。
このあたりはNISAで保有するデメリットと言えるでしょうね。
損益通算できる方法も・・・
ただし、損益通算できる可能性もあります。
それは一旦、特定口座など課税口座へ払い出しを行ってその後に売却等をする方法です。
しかし、払出しには書面での手続きが必要ですし、手続き完了までには日数がかかりますのでご注意ください。
また、NISA口座から払い出す際は「証券取引所で公表された当該株式等の最終の売買の価格に相当する金額」が払い出し価額となります。
上場廃止が決まると暴落→マネーゲームに突入する場合が多く、暴落後の株価で払い出されると損益通算と行ってもそれほどプラスにはならないかもしれませんね。
特定管理口座制度の対象外
また、もう一つ論点があります。
NISAは特定管理口座制度の対象外なのです。
特定管理口座とは上場廃止となった場合もその証券会社の口座において保管する方法のことです。
「特定管理口座」に上場廃止後の株をおいておけば、上場廃止後に株式としての価値が無くなってしまった場合等でも「特定管理口座」で譲渡されたものとしてみなされ、発生した損失については上場株式等の譲渡損失とみなすことができるんですよ。
しかし、特定管理口座はNISAは対象外となっています。
そのため、上場廃止後は一般口座への払い出しとなります。
なお、NISA口座で保有していた銘柄も事前に特定口座へ払い出しを行えば特定管理口座の対象にはなります。
ただし、下記のQ&Aにあるように上場廃止決定前に特定口座に払い出す必要があります・・・
NISA口座で保有されてる株券等は特定管理口座制度の対象外です。特定管理口座制度の対象とするには、上場廃止決定前に特定口座へ払出し(振替)を行ったうえで、最終売買日の前営業日までに特定管理口座を開設する必要があります
出典:auカブコム証券 上場廃止銘柄に関するご案内より
上場廃止後に株を保有してもあまり良いことはない
売却して損を出しても損益通算できないし、それならもう持ち続けようと考える人もみえるかもしれません。
しかし、多くの場合は上場廃止後は株を持ち続けることが難しかったり、持つ続けても良いことはないケースがほとんどです。
例えばNTTドコモのケースでは持ち続けることがなかなか困難な仕組みになっていました。
まとめ
今回は「NISAで保有していた銘柄が上場廃止になるとどのような扱いとなるのか?」と題してNISAで保有していた銘柄が上場廃止になるとどうなるのかについて見てきました。
まとめると以下の通り
- NISAで損失がでても繰越も、損益通算もできない。
- 損益通算できる方法もあるが、暴落後の株価で払い出されるとメリットは少ない。
- NISAは特定管理口座制度も対象外
- 上場廃止後に株を持ち続けるのは困難かつ、良いことは少ない。
つまり、NISA口座で保有している銘柄が上場廃止になると「泣きっ面に蜂」状態ってことですね。
ですからNISAではそもそも
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最後まで読んでいただきありがとうございました。