厚生労働省から令和4年度の国民年金の加入・納付状況が発表されました。
未納が多かった国民年金ですが、年々納付率が上昇しており、80.7%と高い水準まで来ていますね。
今回はこの統計データを元に国民年金の加入・納付状況について見ていきます。
国民年金の納付率は年々増加
出典:厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・納付状況
国民年金は年金不安から一時期は納付率が64.5%まで落ち込みました。
しかし、その後は年々上昇しており、令和4年度では80.7%とかなり回復してきていますね。
国民年金の支払は義務
なお、国民年金の支払いは義務です。
年金は不安だからって支払わないという選択肢はそもそもないのです。
また、国民年金には連帯納付義務もあります。
連帯納付義務とは世帯主や配偶者の片方は連帯して国民年金を納付しなければならないのです。
また、最終的には強制執行されます。
つまり、自分の預金や給料などの財産が差し押さえされちゃいますよってことですね
年齢別の納付率
年齢別で見るとかなり差があります。
出典:厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・納付状況
若者ほど未納な状況となっていますね。
年金不安や自分たちが納めた分回収できないという話がでているのが大きいのかもしれません。(間違いの部分も大きいのですが)
都道府県別の納付率
出典:厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・納付状況
また、都道府県でもかなり差があります。
もっとも納付率が高いのは鳥取県で90.78%
逆に最も納付率が低いのは大阪府で74.72%となっています。
鳥取と大阪では16%近く違いがありますね。
ちなみに平均所得が最も高い東京も全体の45位で77.01%となっています。
所得との関連性はあまりなさそうです。
全額免除・猶予の割合が過去最高
もう一つ注目したいのが全額免除・猶予の割合です。
出典:厚生労働省 令和4年度の国民年金の加入・納付状況
新型コロナの影響で国民年金の納付を全額免除されていたり、猶予されている人の数がかなり増えているんですよ。
平成30年が574万人なのに対して、令和4年は606万となっています。
国民年金を納付している方が721万人ですから、かなりの割合を占めていのが分かるでしょう・・・
実はお得な国民年金
78%が納付率ってことは未だに約22%の方が未納となっているということです。
多くの未納としている方はマスコミの偏った報道を鵜呑みにして年金は破綻するとか元が取れないと信じているのだと思われます。
しかし、これ間違いなんですよ。
実は国民年金はかなりお得な商品。
下手な保険に入るよりも絶対おすすめです。(強制加入なんですけどね)
国民年金は多くの方は元が取れる仕組み
国民年金は終身年金です。
終身年金とは簡単に言えば死ぬまでもらえる年金のことを指します。
長生きすればしただけもらえますが、早死すれば基本的にそこで終わります。(後述する遺族年金はあり)
ある意味、長生きのための保険といった性質があります。
そのため早くに亡くなってしまえば払った分だけ戻らない可能性があります。
ですが、国民年金の場合は元が取れるのが早いため多くの方が元が取れる形となっています。
国民年金の元がいつ取れるかシュミレーション
例えば満期の40年支払った人の例で見てみましょう。
国民年金の支払う保険料は令和4年度(令和4年4月~令和5年3月まで)現在で月額16,590円となっています。
これを上限の40年掛けたと仮定しましょう。(国民年金保険料の金額は毎年改定)
40年間で7,963,200円となります。
年金の受給額は現状の満額の方で年額780,900円(2021年(令和3年)4月〜)となっています。
単純計算で払い込んだ金額7,963,200円を毎年もらえる金額780,900円で割ると約10年2ヶ月くらいとなります。
つまり、10年と2ヶ月受給すれば元が取れるのです。
年金は繰り上げ、繰り下げ等をしなければ65歳から受給ですから75歳1ヶ月で元が取れる計算です。
標準生命表によると65歳男性の平均余命は19.53歳です。
84.53歳まで生きるのが平均となります。
また65歳女性の平均余命は24.27歳です。
89.27歳まで生きるのが平均となります。
つまり、多くの方が元がとれる計算となります。
平均余命まで生きたとすると男性で払い込んだ金額の約倍の保険料を受け取ることができることになります。
当然、この計算は現在の段階の話ですから年金の受給額が下がったり、保険料が上がれば元が取れる計算も変わってくるしょうが、仮に半分の支給しかなくなったとして85歳とちょっとで元が取れます。
その時点でも多くの方が生きているんですよ。
つまり、早死してしまった人は確かに損になるケースもありますが、多くの方は元が取れるまで生きる計算なんです。
終身年金ですから元を取ってしまえばあとは利益です。
払わないのはもったいないんですよね。(そもそも国民年金を支払うのは義務ですが・・・)
遺族年金や障害年金がある
国民年金は公的年金ですから、払った保険料と受け取る予定の年金額だけの話だけで済まない特徴があります。
それが障害年金や遺族年金の存在です。
障害年金は自分が障害になったとき、遺族年金は自分が亡くなったときにその遺族に支給されます。
これらの存在は一般の生命保険で同レベルの保険に加入しようとするとかなり高い金額になるレベルの補償となっていたりします。
なお、障害年金も遺族年金も加入期間の2/3以上が保険料納付済期間であること必要がありますので未納ではもらえません。
国民年金はある意味、保険が付与された年金制度となります。
つまり、元が取れる可能性はこれらを加味して考えればさらに高くなるのです。
詳しくはこちらの記事を御覧ください
付加年金はさらにお得
また、国民年金加入者が入れる付加年金という制度があります。
こちらは更にお得なんですよ。
毎月の国民年金に400円プラスして払うだけなのですが、老後に200円×付加年金を納付した月数分を終身でもらうことが出来ます。
つまり、2年付加年金をもらえば元が取れてしまうんですよ。
かなりお得なんですよね。
これに入るのにも国民年金の加入は必須です。
詳しくはこちらの記事を御覧ください
国民年金は所得控除
また、国民年金の保険料は所得控除対象(社会保険料控除)となります。
つまり、払った分だけ所得税・住民税の節税効果があるのです。
民間の個人年金保険も個人年金保険料控除の対象となりますが、全額が対象となるわけではありません。
しかし、国民年金の支払いは全額が所得控除対象です。
これも大きいですね。
全額免除、一部免除者の方もお金に余裕が出来たら追納がおすすめ
全額免除や一部免除を受けていると保険料を全額納付した人に比べて将来もらえる年金が少なくなります。
特に納付猶予、学生納付猶予はその期間まったく年金に反映されません・・・
そこで後からお金に余裕ができたときに納付できる制度があります。
追納です。
追納すれば通常に納めた場合と同じ扱いとなります。
また、追納で支払った国民年金はその年の社会保険料控除が受けられます。
それにより所得税・住民税が軽減されますので余裕がある際の節税策としても効果的ですね。
ただし、追納できるのは追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。
ちなみに免除した期間については以下の取扱で計算されます。
- 全額免除:平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が支給されます。
- 学生納付特例、納付猶予:年金額には反映されない。
- 産前産後免除者:全額納付扱いとなり年金への影響なし
- 4分の3免除:平成21年4月分からの保険料の4分の3が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の5/8(平成21年3月分までは1/2)が支給されます。
- 半額免除:平成21年4月分からの保険料の2分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の6/8が支給されます。
- 4分の1免除:平成21年4月分からの保険料の4分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の7/8が支給されます。
払わなくても半分反映されたり、お得ではありますがもらえる年金が減ることには代わりありません。
ただし、学生納付特例や納付猶予の場合は年金額には反映されませんのでご注意ください。
まとめ
今回は「まだ払ってないの?国民年金の納付率が80.7%と上昇。実は国民年金はお得な制度」と題して国民年金の納付率があがったという話をみてきました。
国民年金は不利な制度と思い込んで払っていない方はもったいないですよ。
ぜひ払うのをおすすめします。
そもそも強制加入ですが笑
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