国民年金の納付期間を5年延長することが検討。負担はどれだけ増える？メリットは？

10月25日に開催された厚生労働省の諮問機関の社会保障審議会で興味深い案が出て大きな話題となっているようです。（まだ議事録は出ていないようなので報道ベースでしかわかりません）

保険料の納付期間を現行の２０歳以上６０歳未満までの４０年間から、６５歳未満までの４５年間に延長する案を検討する。５年に１度行っている年金の財政検証に合わせて、令和６年に結論を出し、７年の通常国会に関連法改正案の提出を目指す。

出典：産経新聞　納付期間４５年に延長　厚労省検討へ　国民年金保険料

簡単に言えば国民年金の納付期間を5年延長して65歳まで納める必要がでてくるということです。

かなり影響が大きい話ですね。

今回はこの件を詳しく見ていきましょう。

国民年金の納付期間を5年延長するとどうなる？

それではまずは現在のルールから簡単にか簡単に確認しておきましょう。

現在の国民年金のルール

現在のルールでは国民年金は基本的に強制加入で20歳から60歳までの40年間の納付が必要です。

そして貰えるのは繰り下げや繰り上げをしなければ65歳からで金額は年間777,800円（2022年度の場合）×保険料の納付月数÷480ヶ月となります。

つまり、40年間、未納や免除がなく収めれば年777,800円が死ぬまでもらえるってことですね。（もらえる金額は年により変動あり）

ちなみに勘違いしている方が多いようですが、国民年金自体はかなりお得な制度なんですよ。

10年ちょっと受給すると払った金額の元は取れる計算なんですよ。

さらに遺族年金や障害年金なんて保険的な仕組みもあったりします。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

65歳まで加入になるとどれだけ負担が増える？

それでは今回でている案が実施されるとどうなるのでしょう？

まず負担が増えます。

5年間分の納付が必要となるのです。

令和4年度（令和4年4月～令和5年3月まで）の月額16,590円で計算すると99万5,400円（16,590円×12ヶ月×5年）負担が増えます。

これだけ聞くとひどい話・・・ってなります。

メリットもあり

しかし、今の時点は言及がありませんが、おそらく5年加入期間が増えるということはもらえる年金も増やすことになるでしょう。

現在は1月かけるともらえるのは1,620円くらいの計算ですから、単純計算で5年納付期間が増えれば年97,200円もらえる年金（老齢基礎年金）が増えるってことになるでしょう。

99万5,400円の負担が増えて、もらえる年金は年97,200円増えるということになれば、単純計算で10年程度で受給できれば元がとれます。

平均余命を考えると多くの方は元が取れますのでそこまで悪い話ではないんですよ。（もらえる年金も合わせて増えるならばというのと年金の水準が同じであるという条件付きですが）

年金制度は過去の制度変更をみても公平性とか既得権益とかを非常に重要視していますのでおそらくそうなるかと思います。（だからややこしい）

デメリットばかりが報道では強調されているようですがメリットもあるのです。

今までも任意加入制度があった

ちなみに今までも任意加入という制度があり、老齢基礎年金でもらえる金額が満額に足りない方は60歳から65歳まで任意で加入できる「任意加入」という制度もありました。

それが全国民が対象になって矯正になるっていうイメージでしょうかね。

サラリーマンの方への影響は？

ちなみにサラリーマンの方が加入する厚生年金はすでに70歳までの加入となっています。

会社で働いていればすでに60歳以降も年金の負担があったんですね。

65歳まで働く予定のサラリーマンの方は今回の改正案の影響は受けません。

ただし、退職して60歳以降に無職で悠々自適になる予定だった方には影響がある話です。

厚生年金の70歳までという仕組みを考えると国民年金もそこまで延長しても不思議ではないかもしれませんね・・・

制度変更への対策

それでは今回の制度変更への対策はどのようなことが考えられるしょう？

前述したように最終的には元がとれる可能性が高い今回の改正案。

しかし、月々の負担は確実に増えます。

それに耐えられるだけの稼ぐ力もしくは蓄えを用意しておくことが必要でしょう。

特に最近の流れは終身雇用ではなく、雇用の流動性を重視するような方向ですからね。

エンプロイアビリティ（雇用される能力）を高めておくことも必要かもしれません。

まとめ

今回は「国民年金の納付期間を45年に延長することが検討。どのような影響があるのか？」と題して年金制度の改革案についてみてきました。

少子高齢化を考えるとさらなる改革がでてきそうです。