金融資産に税を課す個人金融資産税を導入することはありえないと考える理由

最近、Twitterで金融資産に税を課す「個人金融資産税」について怒っている人の投稿をよく見かけます。

私は金融資産税の導入はないだろうと考えている派です。

今回は私が金融資産税導入がなぜない、ありえないと考えているかを解説していきます。

個人金融資産税導入することはありえないと考える理由

それでは私が金融資産税導入がありえないと考える理由について見ていきましょう。

そもそもなぜ個人金融資産税の話?

まず、そもそもなぜ「個人金融資産税」の話がでてきているのでしょう?

自民党総裁選で勝って総理になる石破茂さんが金融所得の課税の強化に言及してきたというのが大きいようです。

石破さんが言っているのはおそらく1億円の壁のことかと思いますが・・・

ちなみに過去にも下記yahooニュースに下記の記事が投稿されたときにも同様に騒ぎになりました。

>>世帯平均貯蓄2000万円…「お金持ちに“金融資産税”を課す」ことで日本経済に起こる変化

この記事は西野卓郎氏の著書『ベーシックインカムから考える幸福のための安全保障』より一部を抜粋・再編集したもののようです。

西野卓郎氏がどういう方かは正直知りませんが、プロフィールを見ると以下のような方です。

1960年兵庫県神戸市生まれ。1985年東京都庁入庁。水道局、企画審議室、都立大学事務局、大学管理本部、総務局に勤務。人事・労務、地方分権推進、水循環、緑化、留学生支援、大学改革、生涯学習、公衆衛生、ホームレス支援、防災、被災地支援、廃棄物、まちづくり等の分野に携わる。現在、特別区長会調査研究機構主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

出典:HMV&BOOKS

東京都に勤められている方のようですね。

政府や財務省との関わりはわかりませんが直接働き掛けや提案できる立場の方というわけでもなさそうです。

ですから今回の話はそもそも西野卓郎氏の個人的な見解ということなのです。

岸田さんが前から株主軽視の発言や、金融「所得」課税の強化を謳っていますのでそちらはありえると思いますが。。。

個人金融資産を把握は?

もし、「個人金融資産税」のような形で課税をするとなればとうぜん個人金融資産税の把握が必要となります。

これができないから無理という方もTwitterでは何人かみかけました。

しかし、これについては株や投資信託については日本の証券会社で取引していればある程度把握されていると思われます。

現在、証券会社や金融機関で株等の取引をする場合にはマイナンバーの提出が必要です。

ですから株等の部分については把握できるのです。

ただし、それ以外の貴金属や海外の証券会社などで取引している部分についてどこまで把握できるのかは未知数。

おそらく「個人金融資産税」がはじまれば課税を逃れるためにそれら資産に移す人が多発する可能性もあるでしょう。

ですからこの観点からももしやるなら大規模なルールづくりから始める必要があるでしょうね。

つまり、すぐにはできないってことです。

2重課税の問題

もう一つが他の税金との兼ね合いです。

現在、株等の金融資産で利益がでるとそれに対して所得税・法人税が20.315%(所得税15.315%、住民税5%)かかります。

もし、「個人金融資産税」を導入すれば毎年含み益どころかマイナスでも税金がとられ、さらに利益に課税されるという二重で課税されるおかしな状況となってしまうのです。

せっかくあたらしいNISAで非課税枠がかなり増えますが、そこに保有しているだけで課税されるようになれば誰もやらなくなるでしょう。

金融の裾野を広げようとしているのに足を引っ張るだけの制度となります。

この観点からも課税されるとは考えにくいですね。

金融資産税が導入されたら株で儲けるのは困難に

また、「個人金融資産税」が導入されたら株で儲けるのはかなり難しくなります。

同じような制度に企業年金(厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金)の積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するという税金の特別法人税というのがあります。

現在、凍結中で課税されていませんが、これがほぼ「個人金融資産税」と似た仕組みです。

利益ではなく積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%というものなんですよ。

そちらの試算結果がありますのでご紹介しましょう。

特別法人税シュミレーション

出所:一般社団法人生命保険協会 平成29年度税制改正に関する要望 より

こちらは確定拠出年金で試算をしたものですが、積立金に対する課税がない場合と積立金に対し1.2%の課税が行われる場合で年金の月額金額が20%も削減されるという結果になりました。

かなり大きな税金になってしまうというのがわかりますね。

マイナスでも課税されますので正直、この制度が導入されたらあえて株などの金融資産に突っ込む人はかなり減るでしょう・・・

さらに利率が低い国債などならはじめからマイナスとなってしまうリスクさえある話になりますからね・・・

この観点からも導入はありえないでしょう・・・

岸田さんがなんども発言してきた「資産所得倍増」のまったく逆を行く政策となってしまいますしね。

ちなみに凍結される前の特別法人税が課税できたのはバブルのころで株があがりまくったときだったんですよ。

同じような状況になればありえなくはないですが。

政治家や公務員が多く保有

もう一つ大きな要素はそもそも「個人金融資産税」を導入して困るのはすでにたくさんの金融資産を保有している人たちです。

その代表例が政治家だったりします。

いやらしい話ですが法案などの検討を行う政治家や公務員(官僚)の方が自分たちの不利になるような制度を導入するとは思えませんよね。

この点もかなり大きいと思います。

岸田さんは株を持っていないのが気になりますけどね笑



まとめ

今回は「金融資産に1.4%の税を課す金融資産税を導入することはありえないと考える理由」と題して金融資産税についてみてきました。

私は導入されるとはまったく思いません。

これが導入されたら株は買わないほうがよいでしょうね。

個人的にはむしろ現金や預金に課税をする預金課税とかを導入したほうがよいと思っている派です。

日本人は現金(預金)で大量にお金を持っており、投資に回ってないとずっと言われています。

その少ない投資に課税するよりも現金に課税されるなら積極的にお金を使うようになるでしょうから消費も動くでしょうし、株などに資金が回って株価も上がりますからね・・・

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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