NISA、つみたてNISA改正など令和5年度税制改正大綱の概要をわかりやすく解説

令和5年度「税制改正大綱」が発表されました。

税制改正大綱とは自民党、公明党の税制調査会を中心に翌年度以降にどのように税制を変えるべきかを話し合いまとめたものです。

これを元に国会に税制改正法案を提出する形となります。

現在、衆議院・参議院とも与党が過半数となっていますので、この税制改正大綱の方向に来年度の税制が進んでいくと思われ大変重要なものです。

今回は令和5年度税制改正大綱の中で特にこのサイトに訪れる方が興味ありそうなNISAの改正などお金に関するものを見ていきましょう。

過去の税制改正大綱の記事はこちらです。

ほとんどこの通りに改正されていますね。

NISAの抜本的拡充・恒久化

まずは今回の令和4年度税制改正大綱の目玉の一つNISAの抜本的拡充・恒久化について見てみましょう。

報道で事前にでていた内容とほぼ同じでしたね。

これに伴い現行の制度は令和5年12月31日までとなります。新しい制度は令和6年1月からですね。

NISA制度の恒久化/非課税期間の無制限化

まずはNISA制度の恒久化です。

もともとつみたてNISAは2042 年までの期限、一般のNISAは2028 年までとなっていました。

それを期限を定めない恒久的な措置とされることになりました。

また、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年が非課税期間でしたが、それが無制限化されることになりました。

無制限化というのは、非課税期間終了時の相場に左右されなくなりますのでありがたい話ですね。

年間投資上限額の拡充

また、非課税で投資できる金額も増えます。

  • つみたてNISA年40万円→120万円(つみたて投資枠)
  • 一般NISA年120万円→240万円(成長投資枠)

つみたてNISA部分は「つみたて投資枠」とされ今まで年間40万円だったのが120万円まで可能となります。

また、一般NISA部分は「成長投資枠」とされ今まで年間120万円だったのが240万円まで可能となります。

さらに今までつみたてNISAと一般NISAはどちらかしか使えませんでしたが、一つの制度となり併用が可能となります。

ですから上限まで積み立てると年間360万円まで使えるようになります。

ただし、後述する生涯投資利用可能枠がついてしまっていますが・・・

また、合わせてクレジットカードでの投信積立の上限が月5万円なのも改善してほしいな・・・

生涯投資上限枠の設定

今までの情報はすべてプラスの話ばかりでしたが、そうでもない部分があります。

それは生涯投資上限枠が作られるってことです。

つまり、NISAを利用できる金額に上限が設けられるってことですね。

具体的には

生涯投資上限額1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
となります。
これが意外と少ないですね・・・
例えばつみたて枠だけを毎年上限まで購入した場合に15年で1,800万円に到達します。

つみたて枠も成長枠も上限まで活用した場合は5年で生涯の上限枠終了となります。

あとはずっと非課税で保有できるってだけですね。

なお、すでに利用しているNISA、つみたてNISAはこの生涯投資上限額の枠外として取り扱いを継続するとのこと。

これは嬉しいですね。

高レベレッジ投資信託や毎月分配は除外

また、今まで一般NISAはほとんどの株、投資信託などが利用できましたが、一部除外される商品が出てくるようです。

具体的には令和4年度税制改正大綱に例示されているのは

・高レバレッジ投資信託
・収益の分配を1月以下の期間に行う
・信託期限20年未満
・取引所から整理銘柄として指定されているもの

です。

高レバレッジは一時期ブームとなったレバナスなどを指しているのでしょう。

成長投資枠でもつみたてNISAと同様に金融庁が長期投資に適さないとしている投資信託は排除するってことですね。

成長枠投資の再利用??

報道にでていた

成長投資枠については簿価で管理して売却すれば枠を再利用できる
というものは令和4年度税制改正大綱に具体的に書いてはありませんでした。(たぶん)
しかし、NISAなのに回転売買の勧誘の規制という文言がありましたのでそのような制度が盛り込まれそうではあります。
正式な制度の発表待ちですね。



スタートアップ・エコシステムの抜本的強化

次はスタートアップの話です。

これも投資家に関係ある話となりそうです。

株式投資型のクラウドファンディングなんかには追い風になりそうですね。

保有株式の譲渡益を元手に創業

保有株式の譲渡益を元手に創業した投資家がスタートアップに再投資をした場合に再投資分の株式譲渡益は課税しない制度が創設されます。

非課税は20億円とかなりの規模となりますね。

スタートアップ投資がかなり活性化しそうです。

ストック・オプション税制の期間上限

また、スタートアップのストックオプション税制の権利行使期間が延長されます。

10年→15年
これもスタートアップの従業員にとってはありがたい話ですね。



個人所得課税

次は個人所得課税です。

1億円の壁対策

前述のNISA以外の部分について以下のようなルールが追加されます。

株式の譲渡所得、土地・建物の譲渡所得、給与、事業所得、その他の各種所得を合算した所得金額(基準所得金額)から特別控除(3.3億円)を控除した金額に22.5%の税率を乗じた金額を納めるべき所得税の金額を超過した場合に、その超過した場合に、その超過した差額を追加的に申告納税することとする
かなりわかりにくい書き方をしていますが、簡単に言えば1億円の壁の改善を目指したルールでしょう。
以前から1億円以上の所得がある方が金融所得の税率が低いことから実質税率が低いことが問題視されていました。
それを特別控除3.3億円を超えた金額から22.5%掛けた税金まで引き上げようということですね。
なお、こちらは令和7年以降から適用とのこと。

私的年金:iDeCo(個人型確定拠出年金)等

iDeCo等の私的年金については今回踏み込んだ内容はありませんでした。

令和6年の公的年金の税制検証にあわせて検討を進めていくということのようです。

iDeCoについても課題がたくさんありますのでぜひ改善をすすめていただきたいものです。

個人的な希望は以下の4点ですね。

  • 特別法人税の撤廃
  • 35本制限の撤廃
  • 拠出限度額の拡大
  • 国民年金連合会の排除

1%の付加税

所得税について1%の付加税を新たに課すともしれって書いてありますね。

おそらくこれが軍事費に回されるのでしょう・・・



インボイスの緩和

2023年10月から始まるインボイス制度の緩和についても明記されていました。

こちらは以前お伝えした内容そのままでしたね。

免税事業者の負担軽減

まずは今回のインボイスで一番負担が大きい免税事業者への救済策です。

消費税の納税額を売上税額の2割に軽減するというもの。

これは3年間の猶予措置とのこと。

例えば100万円分の消費税を預かっていれば、その8割を一律で引いてくれますので納税するのは20万円ってことですね。

事業者の事務負担軽減

次は事業者の事務負担軽減策です。

こちらは具体的な金額は記載がありませんが、報道では1万円とでていましたね。

  • 一定規模以下の事業者の行う少額の取引については帳簿のみで仕入税額控除を可能とする
  • 振込手数料を値引きとして処理する場合は返還インボイスの交付義務を免除する

こちらは6年間の措置とのこと。



まとめ

今回は「NISA、つみたてNISA改正など令和5年度税制改正大綱の概要をわかりやすく解説」と題して令和5年度税制改正大綱についてみてきました。

とくにNISA、つみたてNISAの改正は大きいですね。

こういった制度改正は知っているか知っていないかで大きな差となりますのでぜひ頭の片隅においておいてくださいね。

なお、元資料はこちらからお読みいただけます。

>>令和5年度税制改正大綱

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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