先日、ご紹介した金融庁がQUICK資産運用研究所に委託して作成している「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」。
今回はその中から投資信託の成績にフォーカスして見てみましょう。
かなり興味深い結果となっています。
なお、ロボアドの話についてはこちらの記事でまとめておりますので合わせて御覧ください。
過去5年間の投資信託の成績
それでは過去5年間の投資信託の成績を見てみましょう。
2022年末時点のデータとなります。
年利リターン(幾何)ベスト5
まずは2022年末時点の年利リターン(幾何)のベスト5の投資信託です。
かなり意外な投資信託が1位となっていますね。
- 1位:米国製造業株式ファンド:年利16.62%
- 2位:J-REIT投信(通貨選択)Mペソ(年2):年利16.46%
- 3位:野村世界業種別 (世界半導体株投資):年利16.23%
- 4位:J-REIT投信(通貨選択)Mペソ(毎月):年利16.17%
- 5位:企業価値成長小型株ファンド:年利15.54%
2022年末時点の年利リターン(幾何)のベスト5はすべてアクティブファンドとなっています。
かなり意外な投資信託が並んでいますね。
ただし、アクティブファンドは切り取り期間によって成績がかなり異なっているんですよ。
例えば2019年末時点で年利リターン(幾何)のベスト5を切り取るとこうなります。
- 1位:東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン:年利22.91%
- 2位:中小型成長株ファンドF ジェイネクスト:年利22.76%
- 3位:新成長株ファンド:年利21.84%
- 4位:UBS中国A株ファンド(年1回決算):年利21.58%
- 5位:日興グローイング・ベンチャーファンド:年利21.26%
かなり違うのが分かると思います。
2022年末時点の年利リターン(幾何)一位の米国製造業株式ファンドは2019年末だと7.90%となっておりかなり違うんですよ。
年利リターン(幾何)ワースト5
次は2022年末時点の年利リターン(幾何)のワースト5の投資信託です。
2022年はロシアのウクライナ侵攻や世界各国のインフレや金融引締めで厳しい環境であったこともありマイナス銘柄も多いです。
- 1位:短期ロシアルーブル債オープン(毎月分配型):年利-41.63%
- 2位:DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回):年利-35.69%
- 3位:DWS ロシア・ルーブル債券投信(毎月):年利-35.56%
- 4位:ロシア・ボンド・オープン(毎月決算型):年利-35.36%
- 5位:ダイワ・ロシア株ファンド:年利-34.89%
ワールト5はすべてロシア関連ですね。
ロシア株は主要株式指数から排除されたり、ロシア国債がデフォルトになったりなど厳しい環境でしたから当然といえば当然かもしれません。
累積リターンベスト5
次に2022年末時点の累積リターンのベスト5の投資信託を見てみましょう。
- 1位:米国製造業株式ファンド:115.73%
- 2位:J-REIT投信(通貨選択)Mペソ(年2):114.32%
- 3位:野村世界業種別 (世界半導体株投資):112.14%
- 4位:J-REIT投信(通貨選択)Mペソ(毎月):111.63%
- 5位:企業価値成長小型株ファンド:105.93%
当然ながら年利リターン(幾何)のベスト5と同じですね。
累積リターンワースト5
次は022年末時点の累積リターンのワースト5の投資信託を見てみましょ
- 1位:短期ロシアルーブル債オープン(毎月分配型):年利-41.63%
- 2位:DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回):年利-35.69%
- 3位:DWS ロシア・ルーブル債券投信(毎月):年利-35.56%
- 4位:ロシア・ボンド・オープン(毎月決算型):年利-35.36%
- 5位:ダイワ・ロシア株ファンド:年利-34.89%
ちらも年利リターン(幾何)のワースト5と銘柄は同じですね。
シャープレシオベスト5
次は2022年末時点のシャープレシオを見てみましょう。
シャープレシオとはリスク(標準偏差)1単位当たりの超過リターンのことです。
つまり、取ったリスクに対してどれだけ無リスク資産よりリターンが得られるかを示します。
この数値が高いとリスクを取ったことで得られる超過リターンが高くなるということですから、リスクの割にリターンが高い優れた投資商品であるということを示します。
- 1位:iシェアーズ ゴールドインデF(Hなし):0.87
- 2位:ブラックロックヘルスサイエンス(H無):0.87
- 3位:いちよしファンドラップ専用オルタナティブ:0.87
- 4位:BRヘルスサイエンス(H無/年4):0.86
- 5位:野村世界業種別 (世界ヘルスケア株投資):0.86
こちらもかなり意外な商品が上位に並んでいます。
なお、シャープレシオは意味のある指標ですが、算出するタイミングによってかなり数字がぶれます。
ですからできるだけ長期で見るのをオススメします。
インデックスファンドのみで見る過去5年間の投資信託の成績
すべての投資信託で分析をするとベストもワーストもほとんどアクティブ型の投資信託になってしまいました。
そこでここからはインデックス型に絞って比較してみましょう。
同じく2022年末時点のデータとなります。
年利リターン(幾何)ベスト5
まずは2022年末時点の年利リターン(幾何)のベスト5の投資信託(インデックス型限定)です。
かなり意外な投資信託が1位となっていますね。
- 1位:UBS原油先物ファンド:年利13.51%
- 2位:野村インデックスF・米国株式配当貴族:年利12.55%
- 3位:SMT 米国株配当貴族インデックス・OP:年利12.52%
- 4位:iFree S&P500インデックス:年利12.40%
- 5位:米国株式インデックス・ファンド:年利12.15%
原油系のインデックス型が1位となっていますね。
それ以外はアメリカ株が上位に並んでいますね。
年利リターン(幾何)ワースト5
次は2022年末時点の年利リターン(幾何)のワースト5の投資信託(インデックス型限定)です。
- 1位:eMAXIS 新興国債券インデックス H有:年利-6.49%
- 2位:野村インデックスファンド・新興国債券H型:年利-5.92%
- 3位:米ドル建新興国債券インデ・OP(ヘッジ有):年利-4.54%
- 4位:インデックスF海外債券(ヘッジあり)1年決:年利-2.79%
- 5位:野村外国債(含む新興国)インデ A(一任口座):年利-2.71%
こちらは新興国株系が並んでいますね。
実はこれもロシアの影響が大きいんですよ。
ロシア株は株式指標的には新興国株として扱われていたのです。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
累積リターンベスト5
次に2022年末時点の累積リターンのベスト5の投資信託(インデックス型限定)を見てみましょう。
- 1位:UBS原油先物ファンド:88.48%
- 2位:野村インデックスF・米国株式配当貴族:80.66%
- 3位:SMT 米国株配当貴族インデックス・OP:80.37%
- 4位:iFree S&P500インデックス:79.48%
- 5位:米国株式インデックス・ファンド:77.43%
当然ながら年利リターン(幾何)のベスト5と同じですね。
累積リターンワースト5
次は2022年末時点の累積リターンのワースト5(インデックス型限定)の投資信託を見てみましょう。
- 1位:短期ロシアルーブル債オープン(毎月分配型):-28.51%
- 2位:DWS ロシア・ルーブル債券投信(年2回):-26.3%
- 3位:DWS ロシア・ルーブル債券投信(毎月):-24.93%
- 4位:ロシア・ボンド・オープン(毎月決算型):-20.74%
- 5位:ダイワ・ロシア株ファンド:-19.90%
こちらも年利リターン(幾何)のワースト5と銘柄は同じですね。
シャープレシオベスト5
最後は2022年末時点のシャープレシオを見てみましょう。
- 1位:iシェアーズ ゴールドインデF(Hなし):0.87
- 2位:SMT ゴールドインデックス・OP(H無):0.77
- 3位:野村インデックスF・米国株式配当貴族:0.76
- 4位:SMT 米国株配当貴族インデックス・OP:0.76
- 5位:野村世界ESGインデックス(確定拠出年金):0.74
ゴールドと配当貴族が強い結果となっていますね。
なお、配当貴族とはS&P500の構成銘柄のうち25年間連続して増配している優良大型株のパフォーマンスを測定する「S&P500配当貴族指数」をベンチマークとした投資信託のことです。
つまり、安定して配当を増やしている優良株だけの指標ってことですね。
まとめ
今回は「過去5年間で最も成績が良かった投資信託は意外な・・・金融庁の国内公募投信についての諸論点に関する分析が興味深い」と題して投資信託の成績を分析してみました。
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