iDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の懸念と言われていたのが特別法人税です。
それが撤廃される可能性が出てきた気がします。
イデコなど企業年金、個人年金の改正などを話し合う社会保障審議会企業年金・個人年金部会の第22回に企業年金連合会から特別法人税について強めの意見が提出されたのです。
具体的にまだ議事録が出ていませんのでどのような話し合いが行われたのかはわかりませんが、廃止に向けて希望が持てる気がします。
今回はこの件について詳しく見ていきましょう。
なお、iDeCoってなに?方は以下の記事をご覧ください。
この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の特別法人税とは
まずは今回の話の前提となる特別法人税について解説しておきましょう。
特別法人税とは企業年金(厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金)の積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するという税金です。
これは確定拠出年金が対象となっていますので個人型だろうが、企業型だろうが関係なく課税される仕組みです。
ただし、この特別法人税は日本経済がバブル崩壊の影響により企業年金の運用環境が悪化したことにより、1990年から課税凍結されています。
ちなみに確定拠出年金制度は2001年10月からスタートしていますのでこの特別法人税を課税されたことは過去一度もありません。
イデコ公式にあるパンフレットにもかなり小さくではありますが記載がありますね。
「※運用資産には、別途、特別法人税が課せられますが、現在、課税が凍結されています。」と書いてあります。
もう少し大きく書いてほしい内容ではあります。
課税は凍結
パンフレットにもあるように現在課税は凍結されています。
毎回3年ずつ期限が延長されているのです。
金融機関等は凍結ではなく廃止を希望
日本証券業協会、銀行協会、生保協会、損保協会などの金融機関からは毎度復活の可能性がある凍結ではなく完全廃止を要望されています。
凍結期限前には「停止措置がなされている運用時における企業年金積立金に対する特別法人税の課税について、二重課税防止の観点から、廃止について検討を行うこと」と参議院の附帯決議に特別法人税の廃止が盛り込まれたのですが。。。
結局完全廃止は行わず、適用期限が3年延長されることになりました。
特別法人税が再開されたらどうなる?
それではもし、特別法人税が再開されたらどうなるのでしょうか?
これの怖いところは利益ではなく積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%ということです。
つまり、貯金箱のつもりで入れていたらそこに課税されてしまうってことにもなりかねないということです。
実際、一般社団法人生命保険協会が試算した結果が下記のとおりです。
出所:一般社団法人生命保険協会 平成29年度税制改正に関する要望 より
【前提】(確定拠出年金の場合)
・毎月1万円を25年間積み立てて、10年間年金を受け取ると仮定
・運用利回りを2.5%とし、次の2ケースを試算
①のケース・・・積立金に対する課税がない場合
②のケース・・・積立金に対し1.2%の課税が行われる場合
①積立金に対する課税がない場合年金月額3.9万円
②積立金に対し、1.2%の課税が行われる場合年金月額3.13万円
特別法人税が復活すると、25年間の積立では年金給付額に換算して
年金月額3.9万円→年金月額3.13万円に削減→ 20%もの削減
つまり、特別法人税が再開されるだけで年金の月額金額が20%も削減されることになります。
これは大変恐ろしい話なんですよね。
ただし、個人的な意見として特別法人税の再開は無理だと思いますが・・・
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
特別法人税について企業年金連合会から強めの意見
それでは本題です。
2023年5月17日に行われた第22回社会保障審議会企業年金・個人年金部会出でた特別法人税についての意見です。
企業年金連合会からの意見
まずは企業年金連合会から以下のような提言がなされています。
⚫ 特別法人税の課税が復活することとなれば、企業の掛金負担の大幅な増加や給 付額の減額が必要となり、制度そのものの存続が困難になることが予想される。
⚫ 特に欠損法人の割合が高い中小企業にとってはより影響が大きく、中小企業における企業年金制度の実施率の更なる低下を招くことになりかねない。
企業年金連絡協議会からの意見
次は企業年金連絡協議会からの意見です。
・一律課税による年金資産の減少は、 DBの年金財政圧迫に直結し、毎年の 財政検証時の受給権保護、退職給付会計での時価対応など、これまでの一連の負担に更なる負担をもたらす
・社会保障審議会企業年金部会での 「議論の整理(平成27年1月)」や、平成 28年4月の参議院での改正DC法に対する付帯決議でも特別法人税の撤廃が言及されており、その実現を求めるものである。なお、特別法人税の撤廃に至るまでは、課税停止措置の延長を要望する
国民年金連合会からの意見
イデコを管轄する国民年金連合会からは特別法人税についての要望は出ていませんね。
ちなみに国民年金基金連合会から今回提出された資料にある【iDeCoの実施に係る経費の状況】がめちゃくちゃなのが気になりました・・・
出典:国民年金基金連合会 令和5年5月17日 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会ヒアリング資料より
どんどんシステム関連経費が増えてそれに伴う借入金(利息負担)が増えて外部委託費が増えています。
普通に考えれば加入者が増えれば一人あたりの負担割合は減るはずなのにそれに合わせるように増やしているんですよ。
きれいに収入を使い切るように笑
おかしな話です。
まともに運営してくれれば手数料は減らせるはずなんですよ。
特別法人税もそうですが、イデコのもう一つの問題は国民年金連合会にあると思いますね・・・
今回の話とは違いますのでまた別の機会に記事にしたいと思いますが・・・
ちなみに以前書いた手数料算定根拠についてのツッコミはこちらを御覧ください。
加入者がだいぶ増えているのにそのままこれを根拠にしててめちゃくちゃなんですよ・・・
まとめ
今回は「iDeCoの特別法人税が撤廃される?企業年金連合会から強めの意見が提出」と題してイデコの特別法人税について見てきました。
特別法人税が怖くて加入できない方も多いと思われますので即刻撤廃してほしいところなのですが・・・
いざというときに課税できる手段を残しておきたいのでしょうね・・・
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
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