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未婚男性は年金を繰り上げしたほうがお得かもしれない件

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未婚男性は年金を繰り上げしたほうがお得かもしれない件

未婚男性の寿命の中央値は66歳であるという記事を書いたところ、読者様よりご質問をいただきました。

質問内容を要約すると以下の通り。
ひょっとして独身者は年金を繰上げしたほうが得ですか?
国民年金や厚生年金の繰り上げについてのご質問です。
今回は未婚男性の年金の繰り上げについて考えてみましょう。
目次

年金の繰り上げ制度とは

まずは今回の話の前提となる年金の繰り上げ制度についてみておきましょう。

年金を早くもらうことができる制度

年金の繰り上げとは簡単に言えば年金を早くもらう事ができる制度です。

年金は通常であれば65歳からもらうことができます。

しかし、繰り上げの手続きをすると60歳から受け取りを開始することができるように。

そのかわりに1回で受給できる金額が減ることになります。

繰り上げするとどれだけ年金が減るのか?

繰り上げは下記の計算式に当てはめて計算します。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

簡単に言えば1月に0.5%減額するってことになります。

60歳から受け取りを開始すれば1回の受給を30%減額したものがうけとれるようになるということです。

例えば10万円受け取れる方ならば7万に減額されるってことですね。

その分早く受け取れるのでどちらが得なのかは人によって異なってきます。

繰り上げ制度について詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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法改正で繰り上げ時の減少幅が縮小

なお、繰り上げのルールは令和4年4月から少し変更となっています。

今まで繰り上げをすると減額率0.5%だったものが0.4%となるのです。

これにより60歳からに繰り下げた場合には1回の受給が24%の減額と6%ほど減少幅が少なくなる計算となります。

変更後の主な年齢の減額率は以下のとおりです。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

請求時の年齢 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳
減額率 24% 19.2% 14.4% 9.6% 4.8%

法律改正の詳細はこちらの記事を御覧ください。

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未婚男性の寿命と損益分岐点

それでは未婚男性は繰り上げしたほうが得なのかどうなのでしょう。

まず考えなくてはならないのが繰り上げをした場合の損益分岐点と独身者の寿命です。

なお、この話における損益分岐点とは繰り上げ、そのままどちらが得なのかの基準となる年齢と思ってください。

繰り上げした場合の損益分岐点は80歳10ヶ月

令和4年4月以降の0.4%減額を基準に損益分岐点を考えて見ましょう。

例えば月に10万円年金がもらえる予定の方が60歳から繰上げした受給場合には、もらえる金額が24%減ります。つまり月に7.6万円もらえるようになるってことです。

これを減額された24%分が超えるところが損益分岐点ですね。

計算してみると80歳10ヶ月が損益分岐点です。

ちなみに改定前は76歳8ヶ月でしたから繰り上げが得の期間が4年近く伸びた形ですね。

それ以上生きる場合には通常の65歳からもらっておいたほうが得であったということになります。

ただし、特別支給の老齢厚生年金や寡婦年金なんかをもらっている場合にはちょっと損益分岐点が変わります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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未婚男性は66歳前後が寿命の中央値

それでは独身者の寿命はどのくらいなのでしょう?

前述の記事に書いたように未婚男性の寿命の中央値は66歳くらいなんですよ。

下記は婚姻の有無での死亡年齢を層別で表したグラフです。

男性婚姻別寿命表
出典:人口動態調査 15歳以上の死亡数、年齢・性・配偶関係別(2019年調査)を元にお金に生きるでグラフ作成

緑色の線が未婚、青色の線が有配偶者、元々は結婚していたけど離別した方は黄色、死別した人の線がその区分の男性の死亡年齢割合です。

かなり、婚姻の有無で差があるのがわかるでしょう。

未婚男性(一度も結婚していない独身男性)の死亡年齢のピーク(最頻値)、中央値(ちょうど真ん中)とも65歳から69歳となっています。

実際の数字としては未婚男性全体の17.03%がこの年齢区分でお亡くなりになっています。

  • 60歳〜64歳:11.32%  累計43.88%
  • 65歳〜69歳:17.03%  累計60.91%
  • 70歳〜74歳:15.72% 累計76.63%
  • 75歳〜79歳:11.29% 累計87.92%

出典:人口動態調査 15歳以上の死亡数、年齢・性・配偶関係別(2019年調査)を元にお金に生きるで計算

その前に亡くなった方を合わせてみると65歳から69歳までの年齢区分までに60.9%が亡くなっている計算となります。

つまり、半分以上の未婚男性はそれまでに亡くなっているのです。(あくまでデータ上ですが)

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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未婚男性は繰り上げがお得?

前述のように繰り上げした場合とそのまま65歳でもらった場合の損益分岐点は80歳と10ヶ月です。

未婚男性のうち87.92%は79歳までに亡くなっています

多くの方は損益分岐点に達する前に亡くなってしまうのです。

つまり、以下の結論となります。

多くの未婚男性は繰り上げしたほうがお得
あくまで過去の統計データですし、自分が残りの12%に入るかもしれませんので絶対ではありませんけどね。
なお、結婚している男性及び離別した男性の場合は以下の記事を御覧ください。
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女性は繰り上げが損になる人が多い

女性の場合は未婚でも有配偶者でもそれほど寿命のデータは変わりません。

ピークは85歳から89歳と未婚男性と比べて20歳高くなっています。

  • 75歳〜79歳:8.90% 累計45.46%
  • 80歳〜84歳:11.65% 累計57.11%
  • 85歳〜89歳:16.72% 累計73.83%
  • 90歳〜94歳:16.62% 累計90.45%

出典:人口動態調査 15歳以上の死亡数、年齢・性・配偶関係別(2019年調査)を元にお金に生きるで計算

79歳までに亡くなっている方は45.46%です。

そのため、繰り下げをすると損をする方の方が多いです。

むしろもらう時期を後にズラしてたくさん年金をもらえる繰り下げを選択した方が得になる方が多い計算ですね。

ただし、繰り下げは先が読めないこともありあまり選択している方はおおくないんですけどね。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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まとめ

今回は「未婚男性は年金を繰り上げしたほうがお得かもしれない件」と題して未婚男性の年金繰上げの話を見てきました。

過去のデータによると多くの未婚男性は年金繰上げを選択したほうが得ということになります。

このあたりのデータも含めて考えてみてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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