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空き家バンクで520万円の詐欺被害が発生|無料でも安全とは限らない注意点を解説

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空き家バンクで520万円の詐欺被害が発生|無料でも安全とは限らない注意点を解説

昨今、地方創生の切り札として、あるいは不動産投資の新たな鉱脈として注目を集める「空き家バンク」。

しかし、この制度を悪用した詐欺事案が散見されるようになりました。

先日も長野県辰野町で、空き家バンク制度を担当していた40代の係長が、空き家バンクに登録を依頼された物件をサイトに掲載せず、自分名義で150万円で購入。

その後、県外の会社と月5万円の賃貸と5年後に580万円で売却する契約を結び、不当な利益を得ようとしていたことが明らかになりました。町は懲戒免職と刑事告訴の方針を示しています。

自治体職員による不正というショッキングなニュースですが、「だから空き家バンクは危ない、使ってはいけない」と切り捨ててしまうのも、少しもったいないと私は感じます。

今回は投資家として空き家を活用したい人、会社員として将来の移住や二拠点生活を考える人も、空き家を相続して困っている人も、共通して押さえておきたいポイントを整理していきます。

目次

空き家バンクとは?自治体が運営する空き家の「情報マッチング制度」

まずは今回の話の前提となる空き家バンクとはどういうものなのか?というところから見ていきましょう。

空き家バンクの概要

空き家バンクとは、地方自治体が運営する空き家のマッチングサービスです。

空き家を売りたい人や貸したい人が登録し、空き家バンクを介して自治体が情報を提供するサービスであり、全国の多くの市区町村がこの制度を設けています。

多くの空き家バンクでは、

  • 物件の登録
  • サイトでの閲覧

といった部分は無料で利用できるようになっています。

ただしポイントは、自治体がやっているのは「情報提供まで」であることです。

売買や賃貸の契約そのものは、

  • 当事者同士
  • もしくは紹介された宅建業者(不動産会社)

が担う形になります。

つまり、自治体はあくまで情報の掲載場所を提供しているに過ぎないということです。

この点を理解せずに利用すると、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。

空き家バンクが生まれた背景

この制度が生まれた背景には、深刻化する空き家問題があります。

少子高齢化と地方の過疎化により、若年層の都市部への移住や高齢者の施設入所などで地方の住宅が空き家になるケースが急増しました。

国土交通省などの資料によると、長期不在・相続放置などの「その他の空き家」は2023年時点で約385万戸と、25年前の約2倍に増えています。

空き家を放置すると、

  • 倒壊や火災などのリスク
  • 景観や治安の悪化
  • 「特定空き家」に指定されると固定資産税の軽減措置が外れ、土地の税金が最大6倍になるリスク

など、所有者・地域双方に大きな負担が生じます。

そこで各自治体は、

  • 移住・二地域居住の促進
  • 地域の人口・コミュニティ維持
  • 空き家の有効活用

を目的として空き家バンク制度を整備してきました。

辰野町も、定住促進政策の根幹として空き家バンクを位置づけていたと説明しています。

空き家バンク制度で実際に起きた「詐欺的行為」

それでは今回辰野町で実際に発生した内容を確認していきましょう。

辰野町の事案で何が起きたのか

長野県辰野町のケースを、制度の理解という観点から整理してみます。

不正行為をしていたのは、今年3月まで辰野町の空き家バンク制度を担当していた40代の男性係長です。

担当係長は、2024年6月、箕輪町の女性が売却を申し出た辰野町内の空き家をサイトに掲載せず、「他のサイトに載せているが、なかなか売れない」などと伝えていました。

空き家バンクへの登録を希望した所有者に対し、担当者という立場を利用して虚偽の説明を行っていたのです。

今年2月ごろ、「売れないと気の毒だから自分が買ってあげる」と申し出て、3月に150万円で買い取りました。

しかし、わずか9日後に、仕事で知り合った会社に月額5万円で貸し出し、5年後に580万円で売却する契約を結んでいた ということです。

その後、仕事で知り合った県外の会社に5年間の賃料も含め、総額670万円で売る契約を結び、520万円を不当に得たとされています。

つまり、所有者が150万円で手放した物件が、わずか9日後に4倍以上の価格で転売されていたことになります

今年8月、町に「辰野町の空き家バンクの登録が減った」などと情報提供があり、不正が発覚。

内部告発がなければ、この不正が明るみに出なかった可能性もあります。

どこが「詐欺的」だったのか

この事案の問題点を整理すると、次のようになります。

  • 空き家バンクへの登録依頼を意図的に無視し、制度を私物化した
  • 所有者に対し「売れない」など虚偽の説明をして、相場より低い価格で買い取っている可能性がある
  • 担当職員という立場で得た情報を利用し、短期間で大きな転売利益を得ようとした

つまり「公的制度の窓口にいる人が、情報の非対称性を利用して自分だけ得をしようとした」構図です。

制度そのものというより、運用を担う人間のモラルとガバナンスの問題といえます。

「空き家バンクで詐欺」が起きる土壌にあるもの

おそらく今後も空き家バンクを舞台にした詐欺は起こり得ると思われます。

その理由も見ておきましょう。

情報格差と「お役所だから安心」という思い込み

空き家バンクを利用するのは、

  • 高齢の所有者
  • 遠方に住んでいる相続人
  • 地域の不動産事情に詳しくない移住希望者

といった人が多いのが実情です。

一方で空き家バンクの担当者や、一部の不動産会社は、その地域の相場感や需要をよく知っています。

ここに大きな情報格差が生まれます。

さらに、

  • 自治体が窓口なので「安心だろう」
  • 「空き家バンク 無料」と書いてあるから、余計な心配はいらないだろう

という心理も働きます。

こうした「お役所ブランド」への信頼が、疑いを差し挟みにくくし、悪意ある人にとってはつけ込みやすい環境になってしまうのです。

「無料」「1円譲渡」に潜む落とし穴

空き家バンクのサイトには「無料譲渡」「1円譲渡」といった物件も掲載されることがあります。

所有者にとっては、維持管理コストや固定資産税の負担から解放されるメリットがありますが、譲り受ける側は別のリスクを負うことになります。

たとえば最近の事例では、地方の実家を空き家バンクで1円譲渡したところ、後から過去の固定資産税の滞納30万円が判明し、「誰が払うのか」という問題になったケースもあるようです。

「タダでもらえる家」「1円で買える家」というキーワードは非常に魅力的ですが、その裏には、

  • 修繕・解体費用
  • 将来の固定資産税・都市計画税
  • 特定空き家に指定されるリスク

など、長期的な負担が隠れています。これを理解しないまま飛びつくと、「想像以上のマイナス」を抱え込むことになりかねません。

空き家バンクの注意点

ここからは空き家バンクを利用する際に気をつけたい注意点をみていきましょう。

「無料」でできる範囲を必ず確認する

まず押さえたいのは、「空き家バンク 無料」と書いてあっても、無料なのは登録や情報閲覧の部分だけだということです。

実際の売買・賃貸では、

  • 不動産会社が仲介に入る場合の仲介手数料
  • 売買契約書作成費用
  • 登記費用・司法書士報酬
  • リフォーム・解体費用

などがかかります。

自治体によっては、空き家のリフォーム補助金や解体費補助がある場合もありますが、あくまで一部です。

「無料の家なのに、気づいたら数百万円の出費になっていた」というのは、空き家バンクの失敗談としてよくあるパターンです。

価格や条件は必ず自分でも相場を調べる

辰野町の事件では、職員が「なかなか売れない」と説明しながら、裏では高値で転売する契約を結んでいました。

このような「言い値で手放してしまう」リスクを減らすには、

  • 近隣の成約事例(ポータルサイト・地元業者)
  • 公示地価・路線価
  • 同じ自治体の空き家バンクの他物件

などを使って、ざっくりとした相場感を持っておくことが大切です。

複数の情報源から物件の相場を確認し、不自然に安い価格提示や急かすような対応があれば、一度立ち止まって冷静に判断することが重要です。

物件情報の正確性を自分で確認する必要がある

物件の情報を提供している空き家バンクですが、詳しい情報が掲載されていないケースが多くあります。

これは、不法侵入やいたずらのリスクを避けるためといわれています。

物件の購入を決める前や入居前には、必ず現地で内部や周辺環境を確認することが重要です。

HP上の写真からだけでは細部までをよく確認できず、実際に現地見学を行った購入希望者の落胆につながるケースが少なくありません。

ウェブサイトの情報だけを信じて購入を決めることは避けるべきです。

また、辰野町の事件が示すように、自治体の担当者だからといって無条件に信頼することはできません。

空き家バンク制度自体は有用なものですが、売主が個人の場合は情報が不透明なまま引き渡されるリスクもあるため、注意が必要です。

格安物件にはそれなりの理由がある

空き家バンクに登録している田舎の空き家は、不動産屋さんが手を出さない物件が多いです。

田舎の空き家は不動産屋さんにとっては「お金にならない物件」です。

物件としての魅力が乏しく、買い手や借り手がつきにくい不良物件もあります。

無料で登録できる関係から、通常であれば買い手がつかないような物件も登録されている場合があり、価格が比較的安い傾向にあります。

安さの裏には、修繕費用がかさむ、立地が不便、法的な制限があるなど、何らかの理由が隠れていることが多いのです。

投資目的で空き家を購入する場合は、表面上の価格だけでなく、修繕費用やランニングコスト、将来の出口戦略まで含めた総合的な判断が必要です。

固定資産税・滞納分・特定空き家リスクを事前に確認する

空き家バンク経由で譲り受けた後に、

  • 過去の固定資産税の滞納が見つかった
  • 譲渡後すぐに特定空き家に指定されそうな状態だった

といったケースも考えられます。

固定資産税は原則として、その年度の1月1日時点の所有者に課税されますが、滞納分について誰が負担するかは、契約内容次第で揉めることもあります。

「譲渡を受ける前に、滞納がないか」「特定空き家に指定されていないか」は、

  • 市区町村の税務担当課
  • 空家対策担当課

に確認しておくと安心です。

契約書・登記は必ずプロにチェックしてもらう

空き家バンクの多くは「自治体は契約には関与しない」と明記しています。

契約書の文面や登記の内容を、

  • 知人任せ
  • テンプレートだけ

で済ませてしまうと、

  • 設備の瑕疵(雨漏り、シロアリなど)の責任範囲
  • 引渡し後に見つかった欠陥への対応
  • 滞納税金や上下水道負担金などの扱い

が曖昧なままになり、後で大きなトラブルにつながる恐れがあります。

可能であれば、契約書は弁護士など、登記は司法書士などに確認してもらうと良いです。

自治体は契約トラブルに関与しない

空き家バンクの利用者は購入希望者と直接交渉しなければならない事も知っておきましょう。

たとえトラブルが起こっても、自治体は責任を取ってくれません。

不動産屋さんが絡まないということは、いわば「素人と素人の不動産交渉」ということになり、とてもリスクが高いです。

契約書はどうするのか、後でトラブルが出て来たらどうするのか、言った言わないで揉めたらどうするのか、など素人がやるにはハードルが高いと指摘する専門家もいます。

対策としては、トラブルにつながる恐れもあるため、協定を結んだ地域の宅建業者に仲介に入ってもらう自治体もあります。

仲介手数料はかかりますが、専門家を入れることでトラブルを未然に防ぐ効果があります。

空き家バンクの成功事例

ここまで読むと、「空き家バンク=危ない制度」という印象を持ってしまった方もいるかもしれません。

しかし、制度そのものは本来「空き家所有者」と「使いたい人」をつなぐ有効な仕組みであり、うまく使えば地域にも個人にもプラスの効果を生みます。

実際に、空き家バンクや類似制度を活用して、移住促進やまちづくりに成功している自治体は全国に存在します。

ここでは、代表的ないくつかの事例を見ながら、「うまくいっている空き家バンクの共通点」を整理していきます。

成功事例1:栃木県栃木市「あったか住まいるバンク」で高い成約率

栃木県栃木市は、市独自の空き家バンク「あったか住まいるバンク」を運営し、移住促進と地域活性化を進めています。

リフォーム工事への補助や家財処分費の補助など、空き家所有者と利用者の双方を支援する制度を整えた結果、登録物件683件のうち476件が成約するなど、高いマッチング実績を上げています。

ポイントは次のような点です。

  • バンクに登録するだけで終わらず、「改修費補助」「家財処分費補助」など、所有者が動きやすくなるインセンティブを用意している
  • 単なる住宅紹介ではなく、「農地付き空き家」などニーズに合わせた物件も扱い、移住者にとっての魅力を高めている

空き家を相続した側から見ると、「壊すか放置するか」の二択ではなく、「補助金を活用しながら誰かに使ってもらう」という選択肢が現実的になるパターンです。

成功事例2:徳島県神山町 空き家バンク×移住支援で関係人口を拡大

徳島県神山町は、「移住交流促進」と「空き家改修」をセットで進めてきた自治体としてよく取り上げられます。

移住相談、仕事探し、住まい探しを一体で支援し、空き家を改修して移住者向け住宅や仕事の拠点として提供することで、徐々に人口減少のスピードを和らげてきました。

神山町のような地域では、空き家バンクは単なる物件一覧ではありません。

  • NPOやまちづくり会社と連携し、「地域になじむ」ためのサポートまでセットで提供
  • テレワークやクリエイティブ職など、新しい働き方を受け入れることで、都市部の人材を呼び込んでいる

投資家・副業志向の読者目線で見れば、「地方の空き家を活用したスモールビジネス」や「サテライトオフィス誘致」といった形で、空き家が新たな収益源・仕事の器になっている事例と言えます。

成功事例3:高知県梼原町 3年で117人が移住・35戸の空き家を活用

高知県梼原町は、住民全戸へのヒアリングから課題を洗い出し、「住環境整備」が重要と判断して、空き家の借り上げ・改修に力を入れてきました。

町が家主と定期借上げ契約を結び、必要なリフォームを施したうえで、移住者に貸し出す仕組みです。

その結果、平成26〜28年の3年間で117人の移住者を受け入れ、35戸の空き家活用に成功したとされています。

この事例から見えるポイントは、

  • 行政が「空き家の状態チェック」「改修」「募集」まで関与し、利用者が入りやすい状態を整えている
  • 子育て支援や教育環境の充実とセットで取り組み、「住み続けたい町」としての魅力を高めている

という点です。単に安い家を用意するだけでなく、「暮らしの総合パッケージ」として空き家を位置付けているのが特徴です。

成功事例4:子育て世代向け住宅として空き家を再生

長野県などでは、空き家をリフォームして子育て世代向けに提供する動きが広がっています。

空き家を購入・リフォームすることで新築より低コストで家を持てるうえ、自治体の補助金を活用することで初期費用を抑えられるケースもあります。

  • 物件価格が抑えられる
  • リフォームで自分たちのライフスタイルに合った間取りにできる
  • 子育て支援策や地域コミュニティとセットで移住・定住を促進する

こうした取り組みは、空き家バンク等を通じて「安く家を持ちたい子育て世帯」と「管理しきれない空き家を手放したい所有者」をつなぐ役割を果たしています。

成功事例5:空き家バンクを通じたビジネス活用・コミュニティ拠点化

空き家バンクを入り口に、カフェや民泊、コワーキングスペースなどの事業に発展させた例も出てきています。

全国古家再生推進協議会などがまとめる事例では、

  • 空き家を改装して「地域の居間」のようなコミュニティスペースに
  • 小規模な高齢者向け住宅や障害者支援施設として活用
  • カフェや宿泊施設としてリノベーションし、観光客や地域住民の交流拠点にする

といったパターンが紹介されています。

利用者からは、「不動産サイトには出てこない掘り出し物物件に出会えた」「自治体の担当者が親身に動いてくれたので、地方移住の不安が減った」といった声も報告されています。

投資家目線で見れば、

  • 賃貸住宅としての家賃収入
  • 事業用物件(カフェ、民泊、オフィスなど)としての事業収益
  • 将来的な売却益

といった複数の出口戦略を持てる分野でもあり、「空き家バンク×補助金×地域ニーズ」をうまく組み合わせると、リスクを抑えながら事業を組み立てやすくなります。

成功事例に共通する「空き家バンク活用のコツ」

これらの成功例に共通しているのは、「空き家バンク=物件掲載サイト」ではなく、「空き家を軸にした地域づくりの仕組み」として捉えている点です。

  1. 自治体やNPOなど“人”が介在している
    ただ情報を並べるだけでなく、現地案内・相談・マッチング・トラブル防止などを担う“伴走役”がいることが、安心感につながっています。
  2. 補助金や支援制度とセットで設計されている
    改修費や家賃補助など、数字としてのメリットが見えることで、所有者・利用者ともに動きやすくなります。
  3. 地域のニーズに合った用途を選んでいる
    住宅不足なら賃貸、観光地なら宿泊施設、子育て世代がターゲットならファミリー向け住宅、といったように、地域の課題と空き家活用をうまく結び付けていることが分かります

まとめ

空き家バンクとは、自治体が運営する無料のマッチングサービスであり、空き家問題の解決策として多くの自治体で導入されています。

無料で利用できる点や補助金制度が充実している点はメリットですが、自治体は契約トラブルには関与しないため、利用にあたっては自己責任の意識が必要です。

長野県辰野町で発生した担当職員による詐欺的事件は、制度を運営する側でさえ不正を働く可能性があることを示しています。

この事件から学ぶべきは、たとえ公的機関の制度であっても、過信は禁物だということです。

空き家を売却する場合も購入する場合も、物件の相場を複数の情報源で確認すること、宅建業者などの専門家を活用すること、契約内容を書面で明確にすることが重要です。

空き家バンクで物件を譲渡・購入する場合は、価格の安さだけで判断せず、「その土地建物にまつわる費用リスク」を事前に洗い出しておくことが非常に重要です。

空き家を相続して処分に困っている方、投資目的で格安物件を探している方は、この記事で紹介した注意点を参考に、慎重に判断していただければと思います。

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