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【国債をNISAで買う矛盾】「非課税の器」に「無リスク資産」を入れる愚行

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【国債をNISAで買う矛盾】「非課税の器」に「無リスク資産」を入れる愚行

個人向け国債、NISAで買えないかな。そう検索した方の多くは、こう考えているはずです。

どうせ投資するなら、安全な国債を、税金のかからないNISAで持てば一石二鳥じゃないかと。

その気持ちはわかります。

元本割れは怖い。

でも預金では増えない。

だったら国が保証してくれる国債を、非課税の恩恵つきで。

完璧な理屈に見えます。

ですが、結論から申し上げます。

その組み合わせは、NISAという制度の価値を、最も無駄にする使い方です。

これは私個人の感想ではなく、制度設計の根幹から導かれる「構造的な矛盾」です。

国民民主党が国債をNISAで買えるように提案をしていましたので、今回は国債をNISAで買えるようになったらどうなるかという部分を含めて考えていきます。

目次

そもそも、個人向け国債はNISAで買えるのか

まず事実関係を整理しましょう。

ここが曖昧なまま話を進めると、判断を誤ります。

結論はシンプルです。

個人向け国債は、NISA(少額投資非課税制度)の対象商品ではありません。

つみたて投資枠でも成長投資枠でも、個人向け国債を購入することはできない仕組みになっています。

個人向け国債を購入したい場合は、通常の証券口座や銀行口座で購入する必要があります。

つまり「財務省が発行する、あの固定3年・固定5年・変動10年の個人向け国債」を、NISA口座にそのまま入れることはできません。

これは2026年6月現在、明確なルールです。

一方で、混乱しやすいのがこちらです。

国債ファンドや債券ETFは、原則として「成長投資枠」でのみ購入可能です。

「国債そのもの」は買えないけれど、「国債に投資する投資信託」なら、すでにNISAの成長投資枠で買える。

この違いが、多くの人を混乱させているのです。

なぜ「国債そのもの」は対象外なのか

ここに、この記事で最もお伝えしたい本質が隠れています。

なぜ国が、よりによって自分が発行する国債を、NISAから締め出しているのでしょうか。

理由は、たった一つ。

「元本保証」です。

NISAは投資による資産形成を支援する制度であり、元本保証のある商品は対象外とされています。

個人向け国債は、満期まで保有すれば元本が必ず返ってくる仕組みのため、投資商品というより貯蓄商品に近い性質を持っています。

だから、同じ理由で預金や保険商品もNISA対象外なのです。

NISAの趣旨は「リスクを取った人への、ご褒美」です。

価格が変動するリスクを引き受け、その結果得られた利益にかかる約20%の税金を免除する。

それがこの制度の本質です。

値動きしない、損のしようがない国債は、そもそもこのご褒美の対象になりえない。

制度の哲学から外れているのです。

国民民主党の玉木氏が指摘している理由

現金保有かオルカンか、選択肢が極端すぎる

と国債をNISAで買えるように指摘しています。

これは分からなくはありません。

ただし解決策は、個人向け国債をNISAに入れることではなく、債券ETFやバランスファンドの活用を広めることではないでしょうか。

実際、それらは既にNISAで購入できますからね。

わざわざNISAに個人向け国債に採用する意味はわかりません。

なぜNISAで国債が買えても、買うべきでないのか

さて、ここまでは多くの記事が書いていることです。

私がお伝えしたいのは、その先です。

仮に将来、個人向け国債がNISAで買えるようになったとしましょう。

あるいは今すでに買える「国債投信」を、NISA枠に入れたとしましょう。

それでも私は、こう申し上げます。

「それは、NISAの最も貴重な資源を、最も価値の低い場所に注ぎ込む行為です」と。

なぜか。

経営の世界で言う「機会費用」という考え方で説明します。

NISA枠は「無限ではない」という残酷な事実

ここで一度、立ち止まって考えてみてください。

NISAの非課税枠は、一人あたり生涯1,800万円。

これは有限の、極めて貴重な「経営資源」です。

経営者なら誰でも知っています。

限られた資源は、最もリターンの高い事業に投下すべきだと。

手元の300万円を、年利0.9%の事業に回すか、年利5%が期待できる事業に回すか。

答えは考えるまでもありません。

NISA枠も、まったく同じです。

この「非課税」という魔法が効くのは、利益が出たときだけ。

利益が大きければ大きいほど、節税額も大きくなります。

ここで数字を見てみましょう。

2026年6月に募集した個人向け国債の、20.315%の税金を差し引いた利率は、変動10年で1.3865190%、固定5年で1.4821410%です。

つまり国債の利息に課税されても、その税額はわずかなものです。

100万円分の国債を1年持っても、利益は1万3千円弱。

仮にこれをNISAに入れて非課税にしても、節約できる税金は3,000円ほど。

一方、同じ100万円分の枠を株式インデックスファンドに使い、年5%増えれば利益は5万円、節税額は約1万円です。

同じ「100万円の非課税枠」を使うのに、生み出す節税効果が5倍違う

これが機会費用の正体です。

国債をNISAに入れた瞬間、あなたは「もっと稼げたはずの非課税枠」を一つ、捨てているのです。

「安全資産」は、課税口座でこそ輝く

では国債は不要なのか。

いいえ、まったく逆です。

ポートフォリオに安全資産を組み込むこと自体は、極めて健全です。

むしろ私は、リスク資産だけに偏った投資をする方には、安全資産の保有を強くお勧めします。

問題は「置き場所」なのです。

考えてみてください。国債の利息にかかる税金は、もともと小さい。

だから、課税口座(特定口座)に置いても、痛みはほとんどありません。

一方、株式や株式投信は、増えれば増えるほど課税のダメージが大きくなる。

だからこそ非課税の器に入れる価値がある。

つまり、合理的な資産配置はこうなります。

NISA枠には、値上がり期待の大きい株式やインデックスファンドを優先して入れる。

安全資産である個人向け国債は、課税口座で直接買う。

こうすれば、限られたNISA枠の節税効果を最大化しつつ、ポートフォリオ全体の安定性も確保できます。

「安全だからNISAで」ではなく、「安全だからこそ、NISA以外で」。これが発想の転換点です。

それでも国債投信を選ぶ前に知るべき「落とし穴」

ここで、もう一つ重要な注意点があります。

「個人向け国債」と「国債投信」は、似て非なるものだということです。

NISAで国債に投資したいと思った人が、つい手を出しがちなのが「国債を組み入れた投資信託」です。

すでに成長投資枠で買えますし、2026年度税制改正では、つみたて投資枠でも買えるようになります。

令和8年度(2026年度)の税制改正によりルールの拡充が決定しており、今後はつみたて投資枠でも「主に公社債(債券)に投資する投資信託」が順次購入できるようになる予定です。

「ほら、やっぱり国債をNISAで買えるじゃないか」と思われるかもしれません。

ですが、ここに最大の誤解があります。

国債投信は、あなたが想像する「安全な国債」とは別物です。

個人向け国債を直接購入し、満期まで保有すれば元本が保証されますが、国債ファンドは元本保証の商品ではありません。

投資信託の価格である「基準価額」は、組み入れている債券の価格変動に応じて日々上下します。

そのため、購入した時よりも基準価額が低いタイミングで売却すると、元本割れを起こす可能性があります。

私自身、初めて債券型の投信に触れたとき、その値動きの大きさに驚いた経験があります。

「債券=安定」というイメージで買ったのに、金利が動くたびに基準価額が上下する。

とくに金利上昇局面では、債券価格は下落します。

「国が保証する元本割れしない商品」を求めていた人が、これを買うと、期待と現実のギャップに苦しむことになります。

整理すると、こうなります。

個人向け国債国債投信(NISA可)
元本保証あり(満期保有時)なし
値動きなしあり(基準価額が変動)
最低購入額1万円100円から可能な商品も
コスト手数料なし信託報酬がかかる
NISA対象外成長投資枠で可能

個人向け国債は最低購入金額が1万円ですが、現在同投信を取り扱うSBI証券、マネックス証券、楽天証券は100円から投資できます。

少額から始められる手軽さは投信の魅力ですが、その代わりに「元本保証」という最大の安心感を手放すことになる。

この交換が自分にとって妥当か、よく考える必要があります。

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個人向け国債を買うなら、どこで・どう買うか

「では、安全資産として個人向け国債を持ちたい場合、どうすればいいのか」。具体的な方法をお伝えします。

個人向け国債は、NISA口座ではなく、通常の証券口座か銀行口座で購入します。

手順はシンプルです。

第一に、取扱金融機関で口座を開設します。

個人向け国債は885の金融機関や証券会社で取扱いがあります。

最近はネット証券などでも取り扱いがあります。

第二に、毎月の募集期間に申し込みます。

個人向け国債は毎月発行されており、変動10年・固定5年・固定3年の3タイプから選びます。

金利上昇局面では、半年ごとに金利が見直される「変動10年」が一つの有力な選択肢になります。

第三に、満期まで持つ前提で買うことです。

個人向け国債の場合、発行から1年は原則売却不可。

それ以降の売却の場合、直近1年の利子相当が差し引かれますが、購入金額は戻ってきます。

元本そのものは守られるので、急な換金にもある程度対応できます。

そして繰り返しますが、これらはすべて課税口座で。

NISA枠は、別の戦力のために温存しておく。

これが資源配分の鉄則です。

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よくある質問

よくある質問をまとめておきましょう。

国債 NISAで買えるようになったのですか?

2026年6月現在、個人向け国債はNISAで直接購入できません。国民民主党が提案して制度改正の議論が行われています。

個人向け国債 NISAで買えるようになったらお得ですか?

税金面では有利ですが、利回り自体が低いため非課税メリットは限定的です。

NISA 国債の購入方法はありますか?

国債そのものは買えませんが、日本国債に投資する投資信託やETFは既にNISAで購入可能です。

NISAで国債とオルカンならどちらがよいですか?

目的次第です。資産保全なら国債、長期的な資産形成ならオルカンなどの株式ファンドが有力候補になります。

まとめ

最後に、この記事の要点を整理します。

NISAで個人向け国債は買えません。

理由は「元本保証商品だから」。これは制度の哲学そのものです。

国債投信ならNISAで買えますが、それは元本保証のない別物です。

そして最も大切なこと。

たとえ買えるとしても、安全資産をNISAに入れるのは、貴重な非課税枠の機会費用を捨てる行為です。

NISAには値上がり期待の大きい資産を。安全資産は課税口座で。

この置き場所の最適化こそが、資産形成の差を生みます。

私がこの記事で本当にお伝えしたかったのは、「国債を買うな」ということではありません。

むしろ逆です。安全資産は持っていい。

ただ、限られた非課税の器を、何で満たすかを、もっと戦略的に考えてほしいのです。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
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