私も加入しています小規模企業共済の運営が好調のようです。
平成8年4月に制度が導入して以来、初めての付加共済金が支給されることになりました。
今回はこの件を見ていきましょう。
小規模企業共済とは
入れる方がかなり限られた制度のため小規模企業共済という存在を知らない方も多いと思いますのでまずは小規模企業共済とはなにかというところから見ていきましょう。
小規模企業共済は簡単にいえば中小企業の社長や個人事業の事業主、フリーランスが自身の退職金を作るための制度です。
国が作った経営者のための退職金制度といえばわかりやすいかもしれません。個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と考え方は似ていますね。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は年金。小規模企業共済は退職金といった感じでしょうか。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と同じ部分もあれば相違してるところもあります。
順番に見ていきましょう。
小規模企業共済の加入資格
小規模企業共済は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と違ってほぼ全員が入れる制度ではありません。
加入できるのは以下の方です。
1.建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
2.商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
3.事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
4.常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
5.常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
6.上記1、2に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)
つまり、入れるのは中小企業の社長、自営業者、フリーランスの方などが該当します。
ちなみに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とは併用が可能ですので併用している方が多いと思います。私もその一人ですね。
小規模企業共済の節税効果
小規模企業企業の最大のメリットは節税効果です。
これは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と全く同じで小規模企業共済等掛金控除が受けられ全額所得控除の対象となります。
つまり、掛ければ掛けるだけ税金(所得税、住民税)が安くなります。
例えば課税所得が500万の自営業者の場合 毎月満額の7万円を小規模企業共済に積み立てたとしましょう。すると年間で84万円となります。それがそのまま全額所得控除となり252,000円もの節税となります。将来の積立で節税できますのでお得ですよね。 (所得税率20%、住民税10%)で計算
小規模企業共済の掛け金額
掛金は月額1,000円から70,000円までの間、500円刻みで自由に選べます。
税金の節税効果と資金繰りの面を考えて加入するといいでしょう。
ちなみに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は5,000円〜68,000円でしたから小規模企業共済の方が少し加入できる範囲が広い感じですね。
小規模企業共済の利率
小規模企業共済の運用は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とは違いおまかせとなります。
現在のところ予定利率1%となっています。
また、同じく運用はお任せの国民年金基金と違い、利率が状況に合わせて変動する仕組みになっており準備金不足等の問題も生じておらず国内債券が大目のかなり堅実な運用がなされています。
そのため今回の付加共済金の支給という話になっているのです。
小規模企業共済の基本ポートフォリオ
小規模企業共済の基本ポートフォリオは自家運用81.6%、委託運用(国内株式6.4%、国内債券5%、外国株式3.2%、外国債券3.8)の期待収益率1.65%というガチガチの運用になっています。
自家運用の平成28年度末の内訳は国内債券69%、短期資産5.3%、融資経理貸付金3.8%、生命保険資産3.7%tとなっています。
平成29年度の運用利回りは2.55%と国民年金などを運用するGPIFと比較して低めのかなり固い運用となっていることがわかると思います。
過去10年の平均運用利回りでも2.2%となっています。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と大きく違う点
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)や国民年金基金と大きく違う点が途中解約できることです。
どうしても必要な資金ができれば途中で辞めてしまうこともできます。
また、契約者貸付制度というものもあります。そのため一時的な資金の問題なら解約せずに借入で乗りきりそのままおいておくこともできます
このあたりは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)や国民年金基金と比べて自由度が高く安心ですね。
受取時の節税
受け取り時も個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とさほど変わりません。
一時金で受け取れば「退職所得」の扱いが受けられ退職所得控除が利用できます。
また、年金で受け取れば「雑所得」の扱いになりますが公的年金等控除が受けることができます。
また、年齢による満期はありません。
事業をやめるときや退職するときに受け取る仕組みとなっています。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と併用する場合は下記の記事を参考に退職所得控除の併用にお気をつけください。
本日の日経新聞に興味深い記事がありました。確定拠出年金の払い込める期間を現状の60歳から65歳に上げる案です。これは個人型確定拠出年金(iDeCo)及び企業型確定拠出年金の両方を指すものと思われます。厚生労働省は運用成果によって年金額が[…]
小規模企業共済の付加共済金
それでは今回初めて支給が決定した付加共済金についてみていきましょう。
付加共済金の支給率
平成30年度付加共済金の支給率は0.00036となっています。
例えば平成30年度時点の仮定共済金が1,000万円となっている共済契約者は平成30年度付加共済金として3,600円上乗せされることになります。
金額的には対したことがないかもしれませんが今までなかったことですからありがたい話ですね。
付加共済金の計算方法
付加共済金は、基準月ごとの付加共済金と脱退端数月分の付加共済金の合計金額となります。
ちょっとややこしいので分けて説明しましょう。
基準月ごとの付加共済金
基準月ごとの付加共済金は以下の計算式で求めます。
基準月における仮定共済金×基準月の属する年度の支給率
脱退端数月分の付加共済金
次に脱退端数月分の付加共済金
脱退時における基本共済金×脱退年度の支給率×脱退端数月×12
具体的な事例
例えば付加共済金のチラシにある具体的なケースの平成25年12月に掛金月額10,000円で加入、平成35年11月に脱退した場合でみてみましょう。
この場合、共済金Aとなり仮定共済金は621,400円となります。
基準月の付加共済金:621,400×0.00036で223.70円
脱退時の基本共済金:1,290,600円
共済金:1,290,600円+223.7=1,290,824円
(実際には掛金月額を500円ごとく区分して計算)
まとめ
今回は「小規模企業共済の運営が好調。制度導入後初めての付加共済金支給へ」と題して小規模企業共済が初めて付加共済金を支給するというニュースをお伝えしました。
金額は正直対したことはありませんが、付加共済金を出せるほど健全な運営をしていることは大変ありがたいことですね。
小規模企業共済はかなり固い運用されていますので今後も大きな問題は生じにくいだろうなって予想します。
固い運用がお好みの中小企業の社長、自営業者、フリーランスの方はまずこちらに加入するとよいでしょうね。
国民年金基金は準備金不足が深刻ですしね。
もう少し運用益を期待したい方は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)で自分で運用するのがよいかもしれませんけどね。
どちらにしても余裕があれば小規模企業共済、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)両方共加入したいところではありますが。
また、加入できる方は付加年金は必須でしょう。
それでもさらに余裕があれば中小企業倒産防止共済なんかの加入を検討してみてもよいかもしれませんね。
詳しくは下記の記事を御覧ください。
自営業者・フリーランスは自分で老後対策が必要自営業者(個人事業主)やフリーランスは自由度はとても高いです。しかし、その分サラリーマンと違って老後の対策は自分である程度行っていく必要があります。実際にはほとんど[…]
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