消費税増税や年金よりも深刻な健康保険問題。現役世代の負担の増加が止まらない・・・

年金だけだと老後資金が2000万円足りない問題が少し前に大きな話題となりました。

また、2019年10月からの消費税が増税されます。

しかし、あまり話題になっていませんがそれら以上に大きな問題があります。

それが健康保険の問題です。

本サイトでも自営業者などが加入する国民健康保険が高すぎる問題を取り上げたことがありますが、サラリーマンの方が加入する健康保険組合や協会けんぽでも「22年危機」と言われる大きな問題が生じようとしています。

今回は家計へのインパクトでは消費税増税や年金よりもさらに深刻ではないかとさえ思われる健康保険の問題について考えてみましょう。

なお、自分が加入している健康保険制度がなにかも知っておきたいところです。

関連記事

最近、マイナンバーカードと健康保険証を一つにするという話題で盛り上がっていますが、健康保険と一括に言っても実は種類がいくつかあるのです。今回は非常にややこしい健康保険制度についてわかりやすく解説していきます。その他の健康保険[…]

健康保険の種類

健康保険は現役世代の負担増は避けられない

健康保険の問題は消費税増税や年金問題と根底は同じです。

少子高齢化が主な原因となります。

少子高齢化によりそもそもの制度設計に無理が生じ始めてしまっているのですよ。


健康保険組合連合会の試算

すでに健康保険組合連合会(健保連)の理事の話として下記のような試算がでています。

試算によると、22年度に全国約1400の健康保険組合の健康保険料率は平均で9.8%と19年度比で0.6ポイント上昇する。介護保険料率は2.0%で0.4ポイントの上昇だ。

出典:日本経済新聞 「迫る会社員保険料30% 健保連「22年危機」と改革訴え」

2019年度比で健康保険料率0.6ポイント、介護保険料率0.4ポイントの上昇予想となっています。

2019年度と比較しても健康保険と介護保険合わせて3年で1ポイントの上昇の試算です。

消費した金額に掛かる消費税と違って、所得に対して掛かる健康保険や介護保険の1ポイントの値上がりは影響がかなり大きいでしょう。

ちなみに記事のタイトルとなっている22年危機とは団塊の世代が75歳以上になり始めるタイミングのことです。

元々、健保連は下記のように2025年問題を問題視していましたが、少し早めたんでしょうかね・・・

関連記事

2025年問題ってご存知ですか?1999年のノストラダムスの予言、2000年のコンピュータの問題など過去にも○年問題ってありましたが、それらとは大きく違いほぼ必ずおこるかなり大きな社会問題なのです。ですがまだあまり報道はされていないんですよ[…]

2025年問題対策

日本医師会の提案

また、日本医師会の医療制度改革に向けた提言として以下のようなものを出しています。

日医は健保組合の保険料率を2019年度の平均9.22%から10%に引き上げれば、保険料収入は約1兆円増えると試算した。また病気やケガで働けないときに健康保険から支給される「傷病手当金」を雇用保険で賄うことも提案した。新たな税財源について横倉会長は「賃上げや設備投資がない企業の内部留保への課税」を挙げ、政府の検討会でも議論するよう求めた。
出典:日本経済新聞 「会社員の負担増を提案 医療制度改革で日本医師会」

健康保険料率を10%に上げることを提案しているんですね。

それだけ健康保険の状況が厳しいと言えるでしょう。

まあ、日本医師会の提案ですから病院経営や患者の自己負担へウエイトを置いた考え方かと思われますけどね。

そもそも、傷病手当金を雇用保険で賄えば雇用保険があがりますから出るところが変わるだけですし、賃上げや設備投資がない企業の内部留保への課税とか「大丈夫ですか???」ってレベルの提案なんですけどね。。。

内部留保課税の話は下記記事を御覧ください。

政治家や評論家も含め本当に多くの方が勘違いしているんですよ・・・

関連記事

選挙が近くなると毎回のように議論される言葉があります。それは「内部留保」や「内部留保課税」です。前回の衆議院選挙でも小池百合子東京都知事が代表を務めていた希望の党の政策原案にありましたね。消費増税を先送りすれば財政悪化は避けられない。原[…]

内部留保とは

健康保険の多くは高齢者が利用

年金と同じく健康保険の大きな問題は世代間格差です。

現役世代が年金世代を支える仕組みなのは基本的には同じなんですよ。

会社員が払う健康保険料には、65歳以上の高齢者にかかる医療費を賄うための拠出金が含まれている。18年度の拠出金は3兆4537億円になり、健康保険組合に加入している会社員や家族への給付費約4兆円と比べると「仕送り」の重さがよくわかる。

出典:日本経済新聞  「迫る会社員保険料30% 健保連「22年危機」と改革訴え」

上記のように65歳以上に掛かる医療費のうち3兆4537億円は会社員が払う健康保険料から賄えわれています。自分たちや家族に使っているのが約4兆円ですからバランスが明らかにおかしいのがわかるでしょう。

それがこれからさらに顕著になりそうなのです。



医療費が大幅増加

まず超高齢化により国民医療費は大幅に増加する予定となっています。

仕方ない部分もありますが、高齢者になればなるほど医者に掛かる傾向にありますからね・・・

2015年では42.3兆円(うち後期高齢者15.2兆円)が2025年には57.8兆円まで膨れ上がります。またそのうち後期高齢者分は25.4兆円と67.7%も増加するのです。

国民医療費の推移
出典:けんぽれん「あしたの健保プロジェクト」健康保険の2025年問題より

支え手も減る・・・

高齢者は増えますが、支え手も減る予定となっており、2000年には3.9人で1人を支えていたのが1.9人で1人を支える様になる状態となってしまいます。

高齢者の負担増
出典:けんぽれん「あしたの健保プロジェクト」健康保険の2025年問題より

日本の富はほとんど高齢者が持っている

年金問題でも健康保険の問題でも世代間格差が大きな問題となっています。

日本の富の多くは高齢者に集中しているにも掛からわず支えているのは財産が少ない現役世代なんですよ。

世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高,負債保有世帯の割合
世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高,負債保有世帯の割合

出典:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)」より

現役世代とくに40歳未満、40歳から49際は貯蓄現在高よりも負債現在高が上回っている状況です。

この状況で現役世代の負担をさらに増やすのはかなり厳しい事がわかるでしょう。

そもそも健康保険や年金の仕組みは少子高齢化により無理が生じてしまっているですね。

現役世代の手取りがさらに減ればより結婚しなくなるでしょうし、家も車も買わなくなります。

たとえ結婚しても共働きが増えるでしょう。

そうなれば子供も増えませんし、さらに少子高齢化が加速していくのです。

負の循環としか思えませんね。

高齢者の医療費負担は1割

上記の通り、高齢者がほとんど日本の富を保有しているにも関わらず健康保険の負担は優遇されています。

現在の所得で判定しているためです。

後期高齢者(75歳以上)の患者の医療費負担は現役世代並みの所得者を除き、窓口負担は原則1割となっています。

さらに自己負担限度額はかなり低く設定されており、低所得者で1月最大8,000円、普通の方でも1月最大14,000円(年間144,000円上限)となっています。

つまり、かなり負担が少なくなっているのです。

70歳から74歳の方の医療費もかなり低く押さえられています。

この辺りは要改善でしょうね。

健康保険の問題を解消する方法

それでは健康保険の問題はどのように解消するべきなのでしょうか?

私が考える解決策を書いておきたいと思います。



移民を受け入れる

年金の問題でも健康保険の問題でも根本の原因は少子高齢化です。

人口もどんどん縮小してきます。

そうなれば経済も当然縮小します。

経済が縮小すれば給料も減りますから年金や健康保険の財源も減っていしまいます。

どんどん悪循環の流れとなってしまっているんですね。

その解決策として現実的なのは移民を受け入れることでしょう。

移民を受け入れその方たちが日本で経済活動をして、給料をもらい、年金や健康保険、税金を納めてくれればこれらの問題は解決する可能性があります。

しかし、移民を受け入れればさらなる格差社会が訪れる可能性が多くなります。

また、治安の問題などその他問題が起こる可能性も大です。

このあたりをどう考えるかでしょうね。

ただし、現状の世の中をみるとこれらの問題を抜本的に解決するためには移民しかないと個人的には考えています。

社会保険の仕組みを抜本的に見直す

現在の年金、健康保険などの制度は少子高齢化でもうすでに限界に来ています。

労働者の負担が大きくなりすぎ、大きな負担を強いられる若者は自分が年金を受け取ることができる金額はかなり少なくなっているでしょう。

つまり、世代間格差が大きすぎるのです。

社会保険の仕組み自体を大きく変えないとどうしようもない時期に来ているんですよね。

財政検証の結果をみても明らかです。

年金の受給開始年齢を遅らせるとかそういった小手先の解決ではなかなか厳しいでしょう・・・

個人的には色々な課題はありますがベーシックインカムの導入なんかありだと思います。

まだ日本ではまともに議論の段階にも来ていませんのでまずは真剣に検討していただきたいところです。

高齢者に意識を変えてもらう

医者や看護師さんの話しを聞くと健康保険問題のもう一つの論点が高齢者が病院に来すぎるというのもあります。

高齢者は時間を持て余していますのでちょっとしたことで病院にいってしまうんです。

ひどいと話し相手として医者を考えてしまっているケースもあるとのこと。

このあたりの意識改革は必要でしょうね。

高齢者の自己負担額を増やすことでこの辺りはある程度改善できると思いますが・・

現役世代の意識改革

選挙では高齢者の投票率は高いですが、若者の投票率はかなり低くなってしまっています。

そうなると当然、高齢者優遇のルールを作ったほうが選挙に有利なんですよ。

現役世代が選挙に参加して声を上げるということをしていかないとなにも変わらないだろうな。。。って思います。

消費税は高齢者にも影響がありますし、出費の痛みを直に感じてしまいますので上げにくいものです。

しかし、健康保険や年金、所得税は給料天引きで現役世代が中心ですし、出費の痛みはそれほど感じませんので上げやすいという部分もあります。

現役世代がどんどん声を上げていく。

この点が一番重要な気がしますね。

まとめ

今回は「消費税増税や年金よりも深刻な健康保険問題。現役世代の負担の増加が止まらない・・・」と題して健康保険の問題を取り上げました。

会社員の方などは給料天引きですからあまり意識がないかもしれませんが健康保険の負担はかなり大きいものがあります。

現役世代の方は給料明細をしっかりチェックして意識をもっておきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

フェイスブックページ、ツイッターはじめました。

「シェア」、「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです

消費税増税や年金よりも深刻な健康保険問題2
最新情報をチェックしよう!