個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は大変オトクな制度ですが、一部企業型確定拠出年金などに加入している方の中には加入できない方もお見えでした。
しかし、そのルールも緩和されそうです。
下記のとおり、先日、行われた社会保険審議会の部会で改正が概ね了解されたとのこと。
老後の資産形成に向けて、公的年金に上乗せする「個人型」の確定拠出年金=「iDeCo」の利用を促そうと、会社員の加入要件を緩和する改正案が、社会保障審議会の部会でおおむね了承されました。
出典:NHK NEWS WEB 「老後の資産形成に「iDeCo」加入要件緩和案 おおむね了承」より
この件、少しややこしいですし、ニュースでもさらっとしか取り上げられておりません。
今回はこのiDeCo(イデコ)の加入要件要件が緩和のニュースについて解説します。
会社員がiDeCo(イデコ)に加入するための条件
今まで会社員が個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するためには少し超えなければならないハードルがありました。
これが一部会社では超えられず加入できない人が少なからずいたのです。
まずは現状のルールから確認しておきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入条件
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はもともと厚生年金に加入していない自営業者などのための制度でした。
それが2017年1月から会社員に解禁され大幅に加入できる方が増えています。
ただし、以下に該当する方は現在でもイデコに加入できません。
会社員の場合は厚生年金ですから国民年金は強制的に収められています。
つまり、会社員の方は一部免除要件に該当しないなら下の項目だけが条件となります。
規約を見直す必要あり
出所:厚生労働省 「第9回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料」より
規約が個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を認めてない場合の要件はかなり厳しいものがあります。
会社が規約で個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入を認めるということは規約の見直しが必要だからです。
現状のルールの場合は事業主掛金の上限を引き下げない限り、当該企業型DCの加入者全員がiDeCoに加入できません。
多くの企業は昇格・昇給 に伴って事業主掛金を増やすタイプの設計を採用し、事業主掛金が3.5万円を超えている従業員が一部いること等により、事業主掛金の上限の引下げは困難なんですね。
つまり、ルール変更して規約を作り直し、労使で合意を取り付けるとなるとかなりの労力が必要となります。
また、社会保険労務士に依頼するならば費用も発生してしまいます。
ですからどうしても一人二人の要望では通らないことのほうが多いのです。
実際にこのケースでiDeCo加入を認めている事業主は、2019年3月末現在、約4%(33,138事業主のうち1,187)しかいません。
マッチング拠出をやっている
また、マッチング拠出実施の場合も認めらていません。
マッチング拠出は追加で入れるわけですから仕方ない部分もありますが・・・
企業型確定拠出年金は取り扱い商品が微妙なケースも多いため、企業型いらないから個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に入れてくれよ、って意見も多いんですよね・・・
マッチング拠出についてはこちらの記事を御覧ください。
iDeCoハラスメント(イデハラ)も・・・
また、本来は上記ルールに該当せず加入できるはずなのに会社から断られて入れない方も少なからずいます。
会社員が個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるには会社から証明書を出して貰う必要があるのです・・・
しかし、一部企業ではそれを拒否してたりするんですね。
実際に私の友人も入れるはずの半分公務員(県の出先機関)の正社員なのに断られています。
断られた原因として考えられる可能性としては
・加入手続きが面倒でやりたくなかった
おそらくこの2点あたりでしょう。
会社にメリットがないとか社員が資産運用するのが気に食わないとか中小企業社長レベルだとありそうではあります・・・
イデハラについて詳しくはこちらの記事を御覧ください。
iDeCo(イデコ)の加入要件要件が緩和でどうなる?
それでは今回でている改正案ではどのように個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入要件が緩和されるのでしょうか。
規約の定め等を不要とする
出所:厚生労働省 「第9回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料」より
規約の定めや事業主掛金の上限の引下げがなくても、全体の限度額から事業主掛金を控除した残余の範囲内で、iDeCo(月額2万円以内)に加入できるように改善を図ることが可能とするとの案となっています。
つまり、一律で会社単位で加入の是非を決めるのではなく、個人単位での判断になるってことですね。
以前、このサイトでも記事にした穴埋め型に近い考え方となります。
情報照会の仕組みを構築
また、上記の仕組みを構築するためには各個人が自分が加入できる金額を把握する必要があります。
そこで企業型記録関連運営管理機関の加入者向けのWEBページにおいて、iDeCoの拠出可能額(見込み)を表示する方向で調整中とのことです
マッチング拠出とiDeCoの選択制
マッチング拠出を導入している企業の場合でもマッチング拠出を選ぶのか、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を選ぶのかを加入者が選択できるようにするという改正案がでていますね。
前述のように企業型確定拠出年金はどうしても会社が決めてきた運営機関となりますので、商品的にかなり不利な場合が多いです。
ですからこの制度が実施されれば多くの方が個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を選択すると思われます。
その他出ている改善案
加入要件の緩和以外にも第9回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会で様々な改善案がでています。
特に注目すべき点についてもご紹介しておきましょう。
iDeCo加入申し込みのオンライン化
現状、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するためには金融機関との間で書類のやり取りが必要となっています。また、なんらかの変更をするときも書類が必要となっています。
それをオンラインで可能にする案がでていますね。
なぜ今までやってなかったのか不思議なレベルですが。。。
国民年金基金連合会へ支払う手数料問題
この問題はこのサイトでも再三問題視していますが、iDeCoの国民年金基金連合会に支払う手数料も議題に上がっていますね。
iDeCoの手数料について、2012(平成24)年に、2016(平成28)年までの収支計算で計算されたものが基になっている。その 後、2016年の制度改正があり、システム改修を要し、その費用は手数料で賄うこととなるが、その一方で、手数料を負担する 加入者数も大幅に増加した。国民年金基金連合会は、今回の制度改正によるシステム改修費等の増額要因、手続の効率化等の減額要因、加入者数の現状と今後の見通し等を踏まえて、収支を再計算して手数料を再設定するとともに、前提となる期間を終了するごとに再計算・再設定していく必要があるのではないか
出所:厚生労働省 「第9回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料」より
ようやく問題になってきたか・・・って感じですね。
国民年金基金連合会に支払う手数料について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の手数料は大きく分けて3つの機関に支払います。一つは運営管理機関と言われるイデコの窓口となる金融機関に対しての手数料。もう一つは事務委託先金融機関といわれる「資産管理サービス信託銀行」[…]
中途引き出し問題
現在、かなり下記の条件を満たす例外的にしか認められていないiDeCoの中途引き出しについても議題に上がっています。
・保険料免除者であること
・障害給付金の受給権者でないこと
・通算の掛金拠出期間が3年以下又は資産額が25万円以下であること
・最後の企業型又は個人型の資格喪失から2年以内であること
・企業型の脱退一時金を受給していないこと
特に外国人の方で日本で働いていた方が対象となりますが、支給上限年数について、現行の3年から5年に引き上げることを検討しているようです。
今後、外国人労働者はさらに増えてくるでしょうから当然といえば当然の部分ですね。
ポータビリティの改善
出所:厚生労働省 「第9回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会資料」より
現状、終了した確定給付企業年金(DB) からiDeCoへ資産を移換できないことや、企業型確定拠出年金(企業型DC)から通算企業年金へ資産を移換できないこと等問題があります。
その点の改善も検討されているようです。
iDeCo(イデコ)の加入要件が緩和まとめ
今回は「iDeCo(イデコ)の加入要件要件が緩和。企業型DC加入者が希望すれば労使合意なくても加入可能に」と題してiDeCo(イデコ)の加入要件要件が緩和が決まりそうという話をみてきました。
今まで加入できなかった人の選択肢が広がるのはありがたい話ですね。
あとは今回触れられてなかったイデハラの問題なんかも取り上げてほしいところです。
ただし、多くの方が加入できるようになると個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の制度が改悪されるののでは?ということも考えておきたいところです。
詳しくは下記記事を御覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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