新型コロナウィルス感染症での経済対策として令和2年度第2次補正予算案が閣議決定されました。
前回の令和2年度第1次補正予算案も当初の閣議決定時点では困窮世帯に30万円支給だったものが、世論に押されすべての人に1人あたり10万円支給の特別定額給付金に急遽変更になった経緯がありますのでこのまますんなり決まるのかはわかりませんが・・・
前回の時と違い大きな反対世論もでていませんので大きな流れは変わらないと思われますけどね。
今回はわかりにくい「令和2年度第2次補正予算案」について解説していきます。
なお、令和2年度第2次補正予算案はかなりの分野のかなりの事業にまたがりますので特に注目すべき部分を抜粋してご紹介します。
令和2年度第2次補正予算案:厚生労働省管轄
まずは厚生労働省の管轄部分から見ていきましょう。
厚生労働省の管轄は全部で4兆9,733億円追加されます。
下記の3つの事業となります。
1.検査体制の充実、感染拡大防止とワクチン・治療薬の開発
2.ウイルスとの長期戦を戦い抜くための医療・福祉の提供体制の確保
3.雇用調整助成金の抜本的拡充をはじめとする生活支援
とくにお金が多く使われているのは「ウイルスとの長期戦を戦い抜くための医療・福祉の提供体制の確保」ですね。
重点医療機関への支援、医療従事者等への慰労金の支給、救急・周産期・小児医療機 関の院内感染防止対策、医療機関・薬局等の感染拡大防止等のための支援などです。
当然の話といえば話でしょう。
ただし、こちらは直接に関係ある方はすくないでしょうから本サイトでは「3.雇用調整助成金の抜本的拡充をはじめとする生活支援」について詳しく見ていきます。
雇用調整助成金の根本的拡充
まずは多くのメディアで取り上げられている雇用調整助成金の拡充です。
雇用調整助成金とは簡単に言えば会社が従業員を休業させて休業手当等を支払った場合にその金額を助成する仕組みです。
ただし、この制度には大きな弱点がありました。
それはその助成額に日額8,330円という上限があったのです。
ある程度給料が高い方は上限に当然行ってしまいますので足りない分は会社の持ち出しだったんですよ。
それが今回、15,000円に特例的に引き上げられます。
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金
雇用調整助成金は会社が従業員に休業手当を支給した場合に会社に助成される仕組みでした。
ただし、雇用調整助成金の手続きはけっこう大変なんですよ。
そこで会社が従業員に支払うのではなく国が従業員に直接支払う仕組みも登場しました。
「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」です。
会社を通さないため、会社も手続きは少ないのがメリットですね。
過去には「みなし失業(休業者給付金)」として東日本大震災の際には導入されている制度になります。
詳しい内容はでていませんので過去の制度を含めての予想になりますが、詳しくはこちらの記事を御覧ください。
特別休暇制度への支援
新型コロナウイルス感染症の影響により小学校等が臨時休業となった場合に、子どもの世話を行う保護者である労働者に有給の休暇を取得させた事業主を支援するため、小学校休業等対応助成金の制度も雇用調整助成金と同様に拡充されます、
個人向け緊急小口資金等の特例貸付
3月25日から急遽始まった個人に最大80万円の貸付を行う生活福祉資金制度の緊急⼩⼝貸付等の特例貸付も継続されます。
特に拡充等はありませんが、新たに予算が取られた感じですね。
詳しい内容はこちらの記事を御覧ください。
生活困窮者等の住まい対策の推進
4月20日から拡充された住宅確保給付金などの部分も継続されます。
特に拡充等はありませんが、新たに予算が取られた感じですね。
詳しい内容はこちらの記事を御覧ください。
低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金の支給
また、新たな臨時特別給付金も創設されます。
低所得のひとり親世帯への5万円の給付です。
さらに子供が一人増えるごとに3万円ずつ加算となるようです。
現在、児童扶養手当を受給している世帯、及び新型コロナウィルスでの経済の落ち込みで手当の受給要件を満たした世帯が対象となります。
具体的な条件等はまたこれから発表される形となります。
参考:児童扶養手当の要件
ちなみに現状の児童扶養手当の支給制限限度額は以下のとおりになっています。
税法上の扶養親族等の数 | 受給者本人の所得制限限度額 (母または父、養育者) | 扶養義務者の所得制限限度額及び孤児等の養育者の所得制限限度額 | |
全部支給 | 一部支給 | ||
0人 | 490,000円 | 1,920,000円 | 2,360,000円 |
1人 | 870,000円 | 2,300,000円 | 2,740,000円 |
2人 | 1,250,000円 | 2,680,000円 | 3,120,000円 |
3人 | 1,630,000円 | 3,060,000円 | 3,500,000円 |
4人 | 2,010,000円 | 3,440,000円 | 3,880,000円 |
5人 | 2,390,000円 | 3,820,000円 | 4,260,000円 |
出所:総務省 児童扶養手当の現況届の提出の見直しより
令和2年度第2次補正予算案:経済産業省管轄
次は経済産業省の管轄分です。
家賃支援給付金
まずは今回の令和2年度第2次補正予算案の目玉の一つである家賃支援給付金です。
簡単に言えば業績が悪化した企業等に家賃を給付する仕組みです。
具体的な条件は以下の通り。
①いずれか1カ⽉の売上⾼が前年同⽉⽐で50%以上減少
②連続する3ヶ⽉の売上⾼が前年同期⽐で30%以上減少
給付額は申請時の直近の⽀払家賃(⽉額)に基づき算出される給付額 (⽉額)の6倍(6カ⽉分)。
上限額は月額100万(個人事業50万円)
詳しい条件等は今後発表されます。
中⼩企業⽣産性⾰命推進事業による事業再開⽀援
経済産業省系の補助金が拡充されます。
具体的には以下のとおりです。
出所:経済産業省「令和2年度第2次補正予算案等(経済産業省関連)の概要」より
通常、この手の補助金はなにかしらのお金を使ったらその一部が補助される仕組みです。
しかし、事業再開枠は10/10の補助となります。
つまり、全額戻ってくるんですよね。
これはかなり大きいと思われます。
ただし、持続化補助金にしてもものづくり補助金にしても申請書類が少々大変ではありますが・・・
ちなみに事業再開枠の対象となるのは以下の経費です。
※業種別ガイドライン等に基づく、以下の感染防⽌対策費 消毒、マスク、清掃、⾶沫防⽌対策(アクリル板・透明ビニールシート等)、換気設備、その他衛 ⽣管理(クリーニング、使い捨てアメニティ⽤品、体温計・サーモカメラ・キーレスシステム等)、掲 ⽰・アナウンス(従業員⼜は顧客に感染防⽌を呼びかけるもの)
出所:経済産業省「令和2年度第2次補正予算案等(経済産業省関連)の概要」より
持続化給付金の拡充
1次補正予算の目玉の一つであった持続化給付金も拡充されます。
一つは予算の補充です。当初予想していたよりも応募者殺到して予算が尽きようとしていました。
そのため、それを補充されます。
また、対象者が拡充されます。
具体的には2020年の創業者の方と雑所得、給与所得で確定申告していた事業者の方です。
条件を満たせば対象となります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
令和2年2次補正予算案:文部科学省管轄
次は文部科学省の管轄分です。
困窮学生等に対する支援
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、困窮学生が経済的理由により修学を断念することがないよう、各大学等が行う独自の授業料等の軽減措置を実施するための 経費を支援されます。
給付額は以下のとおりです。
- 住民税非課税世帯の学生等は 20 万円
- それ以外の世帯の学生等は 10万円
出所:文科省 学生支援緊急給付金より
住民税非課税世帯とはその名前のとおり世帯全員が住民税が非課税になっている状況を指します。
それに該当していると20万円、それ以外だと10万円となります。
具体的な仕組み等についてはこちらの記事を御覧ください。
まとめ
今回は「令和2年度第2次補正予算案について解説。家賃支援給付金、ひとり親、困窮学生支援など新制度多数登場」と題して令和2年度第2次補正予算案についてみてきました。
今回の2次補正予算はより具体的なところに支援される形となっていますね。
前回の1次補正予算の目玉であった「持続化給付金」や「特別定額給付金」は申請したのに入金されない方が大量にいるなど大きな混乱が生じています。
今回はすんなり事業が展開されることをお祈りします・・・
今回ご紹介した二次補正以外にも新型コロナウィルス対策として様々な制度が始まっています。
これらをうまく使ってこの難局を乗り切りたいですね。
●売上が半減した中小企業等に最大200万、個人事業主に100万円を支給する「持続化給付金」
●原則3ヶ月、最大9ヶ月、 家賃相当額を自治体から家主さんに支給する「住宅確保給付金」
●住民税の全部または一部の納付を免除してくれる制度です。「住民税の減免制度」
●国民健康保険を安くすることが出来る「国民健康保険の減免制度」
●国民年金を免除することが出来る「国民年金保険料免除制度」
●税金や社会保険の支払いを遅くすることが出来る「税金等の納税猶予制度」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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