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自民党の給付金公約は本当に必要か?1人10万円の特別定額給付金の功罪を検証

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自民党 給付金 公約10万円を象徴する一万円札の束と国会議事堂‐特別定額給付金の功罪を振り返るアイキャッチ

物価高が長期化するなか、自民党は今夏の参議院選挙公約に「全国民一律で数万円を現金給付する」方針を盛り込む方向で調整しています。

金額は未定ですが、報道ベースでは新型コロナウィルスが蔓延したときに実施された特別定額給付金と同額の「10万円案」や定額減税と同額の「4万円案」、「一人2万円+住民税非課税世帯2万円」などが出ていますね。

目次

自民党公約:なぜ再び「現金給付」なのか

過去にも何度かでてきた現金給付案。

国民の支持があまりないために立ち消えとなってきましたが、今回再び盛り上がっているのはどうしてなのでしょう?

与党協議の経緯

特別定額給付金住民税非課税世帯への給付と同様に公明党からの案のようです。

6月9日の自公幹事長会談で「所得制限を設けず、一律給付」を検討する方針で一致。

財源は「24年度税収上振れ分」を活用し、赤字国債発行は回避する構想とのこと。

選挙向けパッケージの位置づけ

6月13日閣議決定予定の「骨太の方針」に、プライマリーバランス改善分を“国民還元”へ充当する一文が挿入予定。

選挙前のバラマキ批判は必至ですが、与党は「物価高対策と分配」を強調し、2014年以降続く実質賃金の目減りへの“即効薬”を訴えています。

過去の現金給付を振り返ってみよう

日本では過去にも何度か個人向けの現金給付が行われてきました。

年度名称給付額主な目的評価・課題
2009定額給付金(麻生政権)1万2,000円(子・高齢者+8,000円)リーマン後の景気刺激消費押上げは限定的、世論の73%が「評価しない」 (ja.wikipedia.org, pressnet.or.jp)
2020特別定額給付金(新型コロナ対策)一律10万円生活支援と需要下支え消費押上げは給付額の17〜22%、低所得層で効果大 (www5.cao.go.jp, www5.cao.go.jp)
2021–2022住民税非課税世帯等臨時特別給付金1世帯10万円コロナ長期化への追加支援申請手続き煩雑、対象漏れ問題が発生

なお、住民税非課税世帯等への給付はその後も金額や名目を変えて選挙前にはたいてい実施されています。

ちなみに昨年は現金給付ではなく定額減税が実施されました。(住民税非課税世帯等への現金給付は実施)

こちらは現金給付よりもたちが悪い愚策ですが・・・

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「特別定額給付金10万円」の功罪

それでは前回の大きな現金給付である「特別定額給付金」にはどのような功罪(メリット・デメリット)があったのでしょうか。

功―即効性と低所得層への寄与

内閣府の家計簿アプリ分析では、低所得世帯で給付額の32%が消費に回ったと試算。

また、給付開始後5週間で耐久財の買い替え需要が顕在化し、家電量販店の売上が前年比+20%超(業界推計)。

つまり、ある程度消費に回ったのは事実ですね。

罪―費用対効果と貯蓄漏れ

国費13兆円を投じたが、全体の限界消費性向は17〜22%。残りは貯蓄・ローン返済に回り、波及効果が限定的でした。

また、高所得世帯ほど“貯蓄先送り”傾向が強く、逆進性が指摘されています。

つまり、費用対効果がかなり悪かったということです。

国費13兆円は結局、原資は税金ですから回り回れば自分たちが負担する形となります。

税金を納めてない高齢者などの分も含めると、働き盛りの世代は最終的にもらった以上に結局負担をするという事になっているでしょう。

行政運営のボトルネック

給付事務は市区町村が担い、マイナンバーカード未普及で申請書発送・チェックに時間とコストが集中。

かなりの負担が強いられたことになります。

総務省試算で事務費約1,290億円。デジタル化遅れが浮き彫りになりました。

現在はマイナンバーカードが普及して、マイナポイントの給付なども過去に実施していますのでそこまでの事務はかからないと思われますが・・・

社会的インパクト

当時は未知の新型コロナでかなり不安な状況でしたから、景気刺激より“生活保障”として一定の安心感を提供したという意味はあります。

他方で「給付が遅かった」「ポピュリズム」「選挙対策」との批判、財政規律の形骸化を招いたとの指摘もあります。

今回の公約をどうみるか?

それでは今回の公約はどうみればよいのでしょう?

同額・全国民一律案

所得制限を設けないためスピード給付は可能。

ただし費用は10万円だと約13兆円とかなりの負担となります。(2020年と同規模)。

低所得層支援は一定効果も、高所得層への“貯蓄漏れ”再発の懸念があります。

一方、麻生政権のときに実施されたときのように金額が少ないと消費押上げはほぼありません。

つまり、費用対効果の面で現金給付は微妙ってことですね。

私もたぶんもらったらそのまま投資に回しますね笑

商品券など半額現金・半額クーポン案

半分をクーポンや商品券にするという案もでているようです。

消費喚起を狙うが、流通経費や利用期間設定が課題です。

地域振興券の“失敗例”を想起させますね・・・

マイナポイント拡充型

キャッシュレス還元を通じて家計簿データが残るため効果検証が容易です。

過去にも実施していますので事務負担は少なく済むでしょう。

ただし、対応端末/加盟店格差が残ります。

また、デジタル弱者排除の懸念も・・・

最近はキャッシュレス決済を辞める店もチラホラありますが、それらの店が再び利用を始めるきっかけになりそうですから個人的にはこちらの方式が推しです。

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個人的にやってほしいこと

個人的にはこの手の給付をするなら消費拡大率や生活困窮度改善など、KPIを公開してほしいです。

それもなく選挙前に実施するだけだと“バラマキ”としか思えないからですね。

実施するならマイナポイントなどをうまく活用して負担を減らしてほしいところです。

また、住民税非課税世帯の給付はやめてほしいところ。

名前だけ見ると貧困層に見えますが、実情はぜんぜん違うんですよ。

ほとんどが年金生活者です。

高齢者へのバラマキ行為はいい加減辞めてもらいたいものです・・・

このまま同じような政策を続けると住民税非課税世帯になるライフハックが流行りそう・・・

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まとめ

今回は「自民党の給付金公約は本当に必要か?1人10万円の特別定額給付金の功罪を検証」と題して自民党の給付金公約についてみてきました。

自民党が掲げる新たな給付金公約は、短期的には家計不安を和らげる即効薬になり得ます。

しかし、特別定額給付金10万円の教訓が示す通り、「全員同額・同時給付」は費用対効果と財政規律の両面で課題が残るでしょう。

デジタル行政基盤の強化と合わせて実施していいただき単なる“選挙の花火”で終わらせないために、政策の目的と評価軸を明確に設定することが不可欠でしょうね。

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