物価高が長期化するなか、参院選の公約として自民党と立憲民主党がそろって「全国民への2万円給付」を打ち出しました。
ところが、課税・非課税の取り扱いが正反対なのは意外と知られていません。
この記事では、制度の仕組みと家計へのインパクトを解説します。
自民党、立憲民主党の給付金案
まずは今回の話の前提となる自民党と立憲民主党の給付案について見ておきましょう。
自民党の「全国民2万円+上乗せ」給付案
まずは自民党です。
項目 | 内容 |
---|---|
給付額 | 全国民一律 2万円 |
上乗せ | 住民税非課税世帯・18歳未満の子どもに追加2万円 |
所得制限 | なし |
課税 | 非課税(特別定額給付金と同じく所得税法9条で非課税の方向) |
財源 | 2025年度補正予算・税収上振れ分 |
実施時期 | 秋の臨時国会成立後、年内支給を目指す |
自民党案は、2020年の「10万円特別定額給付金」と同じ『臨時・特例給付』の枠組みを想定しており、所得税・住民税とも非課税とする方向です。
これにより手取りがそのまま家計に残るメリットがあります。
立憲民主党の「食卓おうえん給付金」案
次は立憲民主党です。
項目 | 内容 |
---|---|
給付額 | 全国民一律 2万円 |
付随策 | 食料品の消費税を最長2年間ゼロ% |
所得制限 | なし |
課税 | 課税対象(一時所得・雑所得として申告が必要) |
財源 | 予備費・積立基金・外為特会剰余金など |
実施時期 | 法案成立後できるだけ早期(減税開始までの暫定措置) |
同党はX(旧Twitter)やテレビ番組で「一律支給は実施コストが低く、課税対象なので所得に応じた給付になる」と説明。
つまり高所得層には課税で「取り返す」設計となっています。
どうやら全国民に確定申告をさせるのか、年末調整で新たな手続きを追加するつもりのようです。
給付金の課税・非課税の違いを深掘り
課税と非課税の部分をもう少し見ておきましょう。
非課税になる条件
所得税法9条では「国や自治体からの臨時的な生活支援給付」は課税しないと定められています。
ただし法律・政令で明示しなければ自動的に非課税にはなりません。
自民党案は補正予算にあわせて特例法をセットすることで非課税を担保する見込みです。
課税対象になるケース
立憲案は「食卓おうえん給付金」を一般給付として扱い、所得区分はおそらく雑所得もしくは一時所得(年間50万円超の部分が課税)
高所得世帯は最大45%の所得税+住民税がかかるため、実質手取りが目減りします。
過去の給付金、補助金の扱い
ちなみに過去の給付金や補助金は課税になるケース、非課税になるケースどちらもありました。
前述したように新型コロナ蔓延時の国民全員に10万円を配った特別定額給付金は非課税となっていました。
同じく新型コロナ蔓延時に事業者に配った持続化給付金などは課税対象。

「すまい給付金」、「こどもみらい支援事業」、「こどもエコすまい支援事業」、「子育てエコホーム支援事業」、「先進窓リノベ」などの住宅系の補助金は課税対象です。
税務上では「一時所得」という扱いとなります。
ただし、「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」という書類を提出すると所得税法第42条第1項に規定する国庫補助金等に該当することから所定の手続きをすると所得から除外することができるというちょっと複雑な仕組みでした。
詳しくはこちらを御覧ください。

所得税・住民税への影響
それでは立憲民主党の案だとどの程度所得税がかかってくる想定なのでしょうか?
所得税率は所得の金額等により5%〜45%まで幅広いです。
住民税は自治体により多少違いますが、基本的に約10%。
つまり、所得税が少ない5%の方で住民税の10%と合わせると合計15%。
2万円だと約3,000円取られます。
所得税が最大45%の場合、住民税と合わせると55%。
約11,000円取られるので手取りは約9,000円となります。
つまり、課税の影響は3,000円〜11,000円程度。
2万円給付といっても働いている方は手取りで9,000円から17,000円ってことです。
確定申告を税理士に依頼したら足が出ちゃいますね笑
そもそも自民党案でも立憲民主党案でも結局は原資は税金ですから、働いている人はあとから回収されてマイナスとなる政策となっています。

社会保険料への影響
次に社会保険への影響についてもみていきましょう。
自民党案は非課税のため標準報酬月額に反映されず、健康保険・厚生年金保険料は増えません。
立憲案は課税所得に含まれる場合、国民健康保険料など所得割の基礎になる恐れがあります。
また、扶養判定や高校無償化の所得基準にも影響が出る点に注意しましょう。
申告・手続きの違い
手続き | 自民党案 | 立憲案 |
---|---|---|
受取方法 | マイナポータル登録口座へ自動振込の方向 | 同左 |
確定申告 | 不要 | 要申告(確定申告・年末調整で調整) |
住民税申告 | 同上 | 所得税非課税でも住民税課税の可能性あり |
個人的には2万円をもらうために確定申告をさせるって話や年末調整で仕事を増やそうとしていることに違和感しかありません。
まとめ
今回は「2万円給付は課税?――自民党案と立憲民主党案を徹底比較【給付金 課税対象】」と題して自民党と立憲民主党それぞれの給付金案を見てきました。
まとめると
自民党案:全国民に2万円給付、住民税非課税世帯は4万円。非課税で手取り満額。
立憲民主党案:同額給付だが課税対象。「高所得ほど実質負担」を狙った逆進性対策
正直どちらも酷い政策。
なによりさらに手間を増やす立憲民主党案は最低とかいいようがありません・・・・

にほんブログ村