緊急事態宣言が1ヶ月延長されました。
それに伴い、いくつかの支援策が拡充されたり新設されたりしております。
今回の拡充で多くの個人、企業や事業者が対象となるようですから該当する方は忘れずに申請しておきたいですね。
今回は拡充された支援策を解説します。
緊急小口資金の償還免除要件を明確化
まずちょっと驚いたのがコレ。
緊急小口資金の償還免除要件を明確化したことです。
これ実質的に特別定額給付金になっている感があるんですよ。
ただし、特別定額給付金と違って目立たない存在ですから、対象となる人で本当に必要な方が制度を知らずに利用しない可能性が高そうですが・・・
個人的には下記記事のとおり特別定額給付金には反対ですが、このやり方もどうかと・・・
緊急小口資金とは
緊急小口資金とは新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯に対して緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の費用を貸す制度です。
なお、貸付上限は20万円(条件を満たした場合)
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
償還免除要件を明確化
緊急小口資金はあくまでも貸付です。
しかし、なかなか返済も厳しい人もいるだろうということで、債券免除の要件が明確化されました。
債券免除とは簡単に言えば借入金を返さなくてよいよってことです。
具体的には以下の条件で一括免除とのこと。
令和3年度又は4年度の住民税非課税を確認して一括免除
出典:西村やすとし ツイッター
令和3年度又は4年度に住民税非課税な方は実質的に20万円もらうのと同じとなります。
元々、このような扱いをしていたのかもしれませんが、明確化されたのは大きいですね。
住民税非課税とは
住民税非課税とはそのままですが、住民税が課税されてない状況の方です。
さらに住民税非課税世帯となると世帯全員が住民税が非課税になっている状況を指します。
実はこの住民税非課税世帯、様々な場面でかなり優遇されているんですよ。
住民税非課税世帯の具体的な要件やメリットはこちらの記事をご覧ください。
特別定額給付金の原案?
もともと、特別定額給付金は住民税非課税世帯を対象に30万円という話でした。
それが批判が多かったことから急遽全国民に10万円と変わった経緯があります。
住民税非課税世帯は緊急小口資金は上限は20万円で債券免除となるなら、実質的にそれと同じになるってことですね。
ただし、下記記事にも書きましたが、住民税非課税世帯ってほとんどが年金生活者なんですよ。
このあたりがどうなんでしょうね?
総合支援資金の3ヶ月間再貸付
もう一つ「総合支援資金」も拡充されます。
総合支援資金とは
総合支援資金とは新型コロナウイルスの影響を受けて、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対して貸付をする制度です。
その条件が緩和されるのです。
具体的には以下の通り
総合支援資金の特例貸付
総合支援資金を3ヶ月間再貸付することになります。
具体的には以下のとおり。
2人以上世帯 最大140万円+60万円(追加)
単身世帯 最大110万円+45万(追加)
出典:西村やすとし ツイッター
こちらはあくまでも貸付ですけどね。
緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金
次に今回の拡充の目玉である中堅、中小事業者への緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金からみていきましょう。
対象となる事業者
まず今回の拡充の目玉は緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中堅、中小事業者となります。
具体的には以下の要件を満たしている必要があります。
緊急事態宣言の再発令に伴い、
①緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接・間接の取引があること
(農業者・漁業者、飲食料品・割り箸・おしぼりなど飲食業に提供される財・サービスの供給者を想定)または、
②緊急事態宣言発令地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたこと
(旅館、土産物屋、観光施設、タクシー事業者等の人流減少の影響を受けた者を想定)により、本年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年比(or対前々年比)▲50%以上減少していること
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より<
この制度も急遽作られたものですからちょっと微妙な書き方となっていますね。
間接取引とはどこまで?
①の緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接取引があることというのはわかりますが、間接の取引というのはどこまでを含めるのでしょう?またどうやって証明するのでしょうね???
間接の間接・・・っていけば巡り巡ればほとんどの企業が間接取引になると思うのですが。
このあたりは詳しいことは出ていません。3月上旬に受付開始予定だとのことですからそれまでに線引されるとは思いますが・・・
直接的な影響を受けたの定義は?
もう一つの条件も曖昧です。
不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたこととありますが、どこまでを指すのでしょう?
緊急事態宣言で人が動きが少なくなるわけですからBtoCの企業はほとんど影響を受けるはずです。
旅館、土産物屋、観光施設、タクシー事業者等の人流減少の影響を受けた者を想定とされていますが、どこまで許容するのかがわかりにくいですね。
こちらも受付開始までにちゃんと線引してほしいものです。
昨年の1月〜3月はすでに・・・
また、昨年の1月〜3月と比較するようですが、昨年の1月〜3月はすでに新型コロナで観光客が減ったり影響が出始めていたんですよ。
株価の大底は3月下旬でしたしね。
そことの比較はどうなんだろ?って問題になりそうな予感があります。
支給額
支給額は以下のとおりです。
法人は 60万円以内、個人事業者等 は30万円以内の額を支給
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
飲食店が営業時間を短くすると1日6万円。1ヶ月で 180万円でる事を考えると金額的にはかなり少ないですね。
元々出ていた話では飲食店取引先に中小企業には最大40万円、個人事業主は最大20万円支給するって話でしたから少し上乗せされていますが・・・
申請方法
なお、申請方法は以下のとおりです。
前年の確定申告、対象月の売上台帳の写しとともに、宣誓書において、緊急事態宣言によりどのような影響を受けたかを選択肢から選んで自己申告。
なお、一次取引先の納品書、顧客の居住地を示す宿帳、顧客名簿、入込観光客の統計等 保存を義務付け。
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
なお、申請は3月上旬に電子申請での受付開始予定とのこと。
申請内容的にも仕組み的にも新型コロナで売上が半減した月があった中小企業200万、個人事業100万円を支給した持続化給付金とかなり似ています。
持続化給付金は不正申請が多くて逮捕者が続出中ですが、そのあたりの対策はどうするのでしょうかね?
※認定支援機関等が事業確認機関として確認をすることになるようです。
緊急事態宣言で売上が落ちたなんて証明がかなり難しいと思いますが。
事前確認について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
一時支援金は飲食店優遇批判の回避?
今回の一時支援金は下記のように飲食店だけが優遇されていると批判が多かったことが誕生する大きな理由となっているようです。
小規模飲食店は協力金バブルなんて話もでてるくらいですからね・・・
事業再構築補助金の特別枠
次は事業再構築補助金です。
最大1億円を補助する第3次補正予算の目玉の補助金ですが、これに特別枠が創設されることになりました。
対象となる事業者
対象となるのは事業再構築補助金の要件に加えて特別枠の要件をクリアした企業となります。
まず通常の事業再構築補助金の要件は以下の通り。
①申請前の直近6カ⽉間のうち、任意の3カ⽉の合計売上⾼がコロナ以前の同3カ⽉の合計売上⾼と⽐較して10%以上減少している中⼩企業等。
②⾃社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が⽰す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定⽀援機関等と策定した中⼩企業等。
出典:経済産業省 令和2年度第3次補正予算案(経済産業省関連)の概要より
それにプラスして以下の特別枠の条件が加わります。
通常枠の要件に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年(or対前々年)同月比で30%以上減少していること。
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年(or対前々年)同月比で30%以上減少というのが数字上の条件となります。
また、こちらも一時支援金と同じく飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響という文言が入っています。
どこまでここを厳密に見るのかわかりませんが・・・
特別枠のメリット
特別枠の対象になると以下のメリットがあります。
○ 事業規模に応じて補助上限を設定した上で、補助率を中小企業3/4(通常枠:2/3)、中堅企業2/3(通常枠:1/2)に 引き上げ。
○ 通常枠より迅速な審査・採択を行うとともに、特別枠で不採択の場合でも、通常枠で再審査を受けることが可能。出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
補助率が上がることと、早く審査、採択されやすく、落ちても通常枠で再審査させるってことですね。
初回締切での申請が吉?
事業再構築補助金の詳しい内容はこちらの記事で解説をしております。
合わせて御覧ください。
なお、上記の記事でも書きましたが、この手の初物の補助金等は情報が出回っていませんし、準備時間が少ないため初回は採択されやすい(難易度が低い)と言われます。
対象となる方は特別枠で早めに申請するのがおすすめですよ。
なお、公募は3月開始を予定しているとのこと。
その際に締切日等も公開されますので慌てないように早めに準備をしておきましょう。
持続化補助金の要件緩和
次は持続化補助金です。
こちらも緊急事態宣言の延長に伴い要件が緩和されることになります。
対象となる事業者
対象となるのは以下の要件を満たした事業者です。
緊急事態宣言の再発令によって令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年(or対前々年)同月比で 30%以上減少していること。
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
こちらも事業再構築補助金と同じ数字上の条件ですね。
特別措置のメリット
特別措置の対象になると以下のメリットがあります。
補助金総額に占める感染防止対策費の上限を通常1/4以内(最大25万円)から1/2以内(最大50万円)に引上げ、感染防止対策への支援を強化する。
○ 審査時における加点措置を講ずることにより優先採択。
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
こちらはかなりメリットが大きいですね。上限が大きく上がります。
また、加点してくれるというとことですから採択されやすくなります。
初回締切での申請が吉?
なお、持続化補助金も早めの申請が良いかと思います。
持続化補助金はその時によって採択率が全然違うんですよ。
80%くらいの事業者が採択される回もあれば、30%くらいの時もあります。
予算と応募数によるんですよ。
早めの締め切り回は準備が間に合わず応募数が少ないため採択されやすい傾向にあります。
ですから早めに申請するのがおすすめです。
ちなみに一時期は商工会議所経由で応募するのか、商工会経由で応募するのかで枠が違って採択率が全然違うなんてこともありましたね。。。
資金繰り支援
また、政府系・民間金融機関による実質無利子・無担保融資の上限も以下のように引き上げられます。
上限額の引き上げ額
- 日本公庫(中小)2億→3億
- 商工中金2億→3億
- 日本公庫(国民)4000万→5000万
- 民間(信用保証)4000万→6000万
あくまでも上限が引き上げられるだけで、上限額まで必ず借りられるわけではありませんのでご注意ください。
要件の緩和
なお、緊急事態宣言の延長に伴い要件も少し緩和されます。
日本政策金融公庫等における実質無利子・無担保融資等に おける、「直近1ヶ月」の売上減少要件を、「直近2週間以上」での比較も可とする運用を3月末まで継続。
出典:経済産業省 緊急事態宣言の再発令に伴う経産省の支援措置について より
まとめ
今回は「実質的な特別定額給付金も?緊急事態宣言でいくつかの新支援が登場。わかりやすく解説」と題して緊急事態宣言の延長で登場した新支援策についてみてきました。
個人的にこれどうなの???って支援策が多い気がします。
急遽作られたものなんでしょうがもう少しなんとなからないものなんでしょうかね?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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