金融庁や日本証券業協会、投資信託協会が提言を出していましたが、NISAの恒久化は現実的なものとなりそうです。
岸田総理がニューヨーク証券取引所でNISAの恒久化について演説したのです。
今回は岸田総理の演説について見ていきましょう。
投資のヒントにもなりそうな演説です。
NISAの恒久化について明言
まずはNISAの恒久化です。
新聞各社は報道しているものの具体的な演説内容についてはあまり触れていないのでまずはそちらから見ていきましょう。
岸田総理の演説内容
日本には、2000兆円の個人金融資産がある。現状、その 1 割しか株式投資に回っていない。資産所得を倍増し、老後のための長期的な資産形成を可能にするためには、個人向け少額投資非課税制度の恒久化が必須だ。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
実は長い演説の中でNISAについてはこれだけしか触れてないんですよ。
ここまで明言されているのでNISAの恒久化は決定事項なのかもしれません。
なお、この表現だけとれば現在、一般NISAは2028年、つみたてNISAは2042年までの時限措置となっている制度の恒久化のことだと思われます。
ちなみにこれについては金融庁はもちろん、日本証券業協会と投資信託協会も要望を出していましたね。
なお、金融庁、日本証券業協会、投資信託協会の提言についてはこちらの記事でまとめておりますので合わせて御覧ください。
その他期待したいところ
ちなみに前述の記事にも書いてありますが、金融庁は制度の恒久化だけでなく以下の要望を出しています。
- 非課税保有期間の無制限化
- 年間投資枠の拡充
- つみたてNISAの年齢制限撤廃
また、個人的には他にも実現してほしい内容がいくつもあります。
まとめると以下のとおり。
- 新NISA取りやめ
- つみたてNISAとNISAの併用を可能に(もしくは一本化)
- 12で割り切れる非課税枠に
- 非課税枠の再利用を年内なら可能に
- 特別法人税の撤廃
- 35本制限の撤廃
- 拠出限度額の拡大
- 国民年金連合会の排除
私の意見の詳細はこちらでまとめておりますので合わせて御覧ください。
その他演説内容
報道ではNISAの恒久化が大きく取り上げられていますが、実は他の項目のほうが多く話されています。
特に注目スべき内容をピックアップしてみましょう。
年功序列からジョブ型雇用へ
まずは年功序列からジョブ型雇用への見直しです。
まずは労働市場の改革。日本の経済界とも協力し、メンバーシップに基づく年功的な職能給の仕組みを、個々の企業の実情に応じて、ジョブ型の職務給中心の日本に合ったシステムに見直す。 これにより労働移動を円滑化し、高い賃金を払えば、高いスキルの人材が集まり、 その結果、労働生産性が上がり、更に高い賃金を払うことができるというサイクル を生み出していく。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
ジョブ型の職務給とは簡単に言えば、この仕事内容はこの給料という考え方です。
現在の日本では新卒から育てて勤務年数や年齢、役職などの年功序列で給料が決まってくる会社が多いですが、同じ仕事なら同じ給料という考え方が職務給ですね。
アメリカなどではそれが当たり前なのでそちらに舵をきろうとしているということ。
同一労働、同一賃金を目指すなら当たり前の話なんですけどね。
女性活躍
もう一つが女性の活躍です。
以下のように演説されています。
日本の未来は、女性が経済にもたらす活力にかかっている。「女性活躍」が重要 だ。若い世代の意識は明らかに変わってきた。この10年で、35歳未満の女性正 社員の割合は、10%、60万人増えた。この世代の人口が120万人減少したにも関わらずだ。 我々は、女性の活躍を阻む障害を一掃する決意だ。なぜなら、まさに女性が日本経済の中核を担う必要があるからだ。 女性がキャリアと家庭を両立できるようにしなければならない。両方追求できな い理由はない。これは、出生率低下をくいとめるためにも効果がある。来年4月にこども家庭庁を立ち上げ、子ども子育て政策を抜本的に強化していく。これは、日本の人口減少の構造的課題の克服を目指した画期的な政策である。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
女性の活躍をしやすい環境を作るということですね。
前述のジョブ型雇用とも絡んでくる話ですね。
イノベーション
次はイノベーションです。
AI、量子、バイオ、デジタル、脱炭素の分野の研究開発について、国家戦略づ くりを進めている。 私が特に重視するのがスタートアップだ。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
これが今日本のトップが考えているイノベーションの分野のようです。
また、それを加速させるために
- 株の売却益を元手にスタートアップ投資を行う場合の税優遇措置
- ストックオプション税制の拡充
- スタートアップ教育に定評のある米国大学の日本への誘致
などを具体案として挙げられていますね。
GX(グリーントランスフォーメーション)
次はGXです。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、日本は、経済・社会・産業の大 変革に挑んでいる。この大変革は、日本経済復活の大きなチャンスとなり、ブースターとなる。年末までに、今後10年のロードマップを公表する。「成長志向型カーボンプライシング」と投資支援の組み合わせにより、まず国内において今後 10 年間 150 兆円超のGX投資を実現する。また、アジアのGX投資の 発展に貢献していく。2050 年までにゼロエミッション化を実現するために、アジア は約 40 兆ドルの資金需要があるとの試算もある。世界のトランジションファイナン スを呼び込んでいくために、アジアにおける発電、水素、グリッドなどの大規模プ ロジェクトや、域内共通標準づくりなどに取り組んでいく。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、太陽光発電など温室効果ガスを発生させない再生可能なクリーンエネルギーに転換し、経済社会システムや産業構造を変革させて成長につなげようよって考え方です。
すでに東京都が新築住宅に太陽光発電を義務付けようとしていたり、政府系金融機関の住宅ローンのフラット35で優遇していたりします。
それを加速させようってことです。
今後はGX関連へお金が集まってくることが予想されますね。
世界とともに成長する国づくり
次はちょっと抽象的ですが、世界とともに成長する国づくりです。
新日本は、世界各国と重層的な貿易・投資関係を持ち、CPTPPやIPEFを含 む経済連携を積極的に推進している。これは今後も変わらない。型コロナウイルス感染症はこの恩恵を一時的に遮ってしまった。しかし、10 月11日から、日本は米国並みの水準までコロナ対策の水際対策を緩和し、ビザなし渡航、個人旅行を再開する。 加えて、来年、日本はG7広島サミットを主催する。豊かな世界経済を守り抜く ことは、G7の使命だ。議長として、その使命を真剣に果たしていきたい。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
インバウンドがまた盛り上がって来そうですね。
海外の人からみれば円安で日本への旅行はかなり安くこれるでしょう。
日米関係
最後は日米関係です。
同盟国である日米は、安全保障のみ ならず、経済分野においても良きパートナー。日本は、米国にとって、米国は日本 にとって最大の投資国でもある。米国で二番目に多くの雇用を生み出している外国 企業は、日本企業だ。日本企業の繁栄は、アメリカ経済の繁栄にも貢献している。 我々は、この戦略的な関係を更に深化させていく。
出典:外務省 岸田総理大臣のニューヨーク証券取引所における講演 より
これはでしょうね。ってレベルです。
まとめ
今回は「岸田総理がNISA恒久化、ジョブ型雇用への改革などを演説」と題して岸田総理の演説内容を取り上げてみました。
NISAの恒久化に触れられているのでこれは実現可能性がかなり高くなっているということですね。
他の提案も含めて実現していくと良いですね。
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