NISAの恒久化、非課税保有期間の無期限化など「資産所得倍増プラン」の内容が明らかに。

25日に第3回資産所得倍増分科会が開催され具体的な「資産所得倍増プラン」の内容が明らかになりました。

今回は第3回資産所得倍増分科会で提案されている「資産所得倍増プラン」の内容について見ていきます。
全部で7つの柱があります。
とても良い内容もあれば、税金の無駄使いだろ・・・ってのもあります。

第1の柱:NISA の抜本的拡充や恒久化

まずはNISAです。

具体的には以下の案が出ています。

NISAの恒久化

一般 NISA とつみたて NISA のいずれも重要な意義を有するものであり、そこ で、NISA 制度を恒久化することによって、中間層を中心とする層が将来にわ たって安定的に資産形成を行う環境を整備する。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

なお、この恒久化というのは制度がずっとあるよっていう意味のようです。

つみたてNISAは2042 年までの期限、一般のNISAは2028 年までとなっていますが、それが恒久化されるということですね。

NISA の非課税保有期間の無期限化

NISA の投資に関する適切な生涯の上限枠を設けることを前提とし て、NISA の口座において購入した金融商品について、金融商品から得た利益 (配当金、譲渡益等)が非課税となる期間について無期限とし、金融商品の 長期保有へのインセンティブを抜本的に強化する。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

こちらはたぶんみなさんが待ち望んていた内容です。

非課税期間を無制限とするという内容ですね。

まだ詳細はわかりませんが、NISAもつみたてNISAも非課税期間が無制限となると、非課税期間が長いけど年間の枠が小さいつみたてNISAを利用するメリットがなくなってしまいそうです。

そもそも分ける意味もなくなりますしね。

生涯の上限枠があるのでそのあたりはカバーされる感じなのでしょうか?

※追記:どうやらつみたてNISA、NISAそれぞれ投資上限額が設定され併用が可能になるようです。

一般 NISA・つみたて NISA の投資上限額の増加

NISA における非課税での投資の上限額に関して、一般 NISA 及 びつみたて NISA それぞれの投資上限額の増加を図ることで、資産所得の倍増の目標の達成に向けて、家計の投資環境を整備する。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

また、非課税で運用できる上限も拡大することになりそうです。

具体的な金額はわかりませんが嬉しい話ですね。

上限の金額によっては投資はすべて非課税枠内でなんて方も多くなりそうです。

前述の生涯の上限枠がいくらになるかという問題もありそうですが。。。

新NISAの扱い

簡素でわかりやすく、使い勝手のよい制度とする観点から、新 NISA 制度については、その施行を見直し、現在検討中の NISA の制度の拡充を行う。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

私も本ブログで問題提起してきましたが、新NISAの話は立ち消えになるようです。

これは英断ですね。

ほんとややこしい誰得な制度だったんですよ。

NISAの手続き簡略化

関係省庁において連携の上、デジタル技術の活用等により、NISA に係る手続き の簡素化・合理化等を進める。さらに、デジタル庁と連携を図りつつ、マイナンバーカードの活用も含め、NISA・iDeCo の口座開設の簡素化を検討

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

NISAは税務署、iDeCoは国民年金基金連合会との関係もありかなり手続きに時間がかかっていましたが、それを簡略化してくれるようです。

これも嬉しい話ですね。

特に証券会社を乗り換える際なんかの手続き期間などを改善してくれると嬉しいところ。



第2の柱:iDeCo制度の改革

次はiDeCo(個人型確定拠出年金/イデコ)の改革です。

iDeCoの加入年齢の引き上げ

働き方改革によって、高年齢者の就業確保措置の企業の努力義務が 70 歳まで伸びていること等を踏まえ、iDeCo の加入可能年齢を 70 歳に引き上げる。このため、2024年の公的年金の財政検証に併せて、所要の法制上の措置を講じる。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

まずはイデコに加入できる年齢を70歳まで引き上げるという内容です。

こちらは当然といえば当然でしょうね。

iDeCo の拠出限度額の引上げ及び受給開始年齢の上限の引上げ

 iDeCo の拠出限度額の引上げ及び受給開始年齢の上限の引上げにつ いて、2024 年の公的年金の財政検証に併せて結論を得る。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

イデコは節税効果が大きく税金に影響があるからか、ちょっと慎重な感じになっています。

枠が増えるのは嬉しいですね。

手続きの簡素化

NISA と併せて、iDeCo についても、各種手続きの簡素化・迅速化を進 め、マイナンバーカードの活用も含め事務手続きの効率化を図る。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

イデコは年金という扱いなのもあり、加入に厚生労働省の天下り団体と言われる「国民年金基金連合会」が絡んでいます。

それにより、かなり手続きが面倒ですし時間がかかってしまっているんですよ。

国民年金基金連合会を外してNISAのように証券会社等が直接できるようにすれば早いと思うのですが・・・



第3の柱:消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すめの仕組みの創設

次はファイナンシャルプランナー等の活用ですね。

中立的なアドバイザーが行うアドバイスが投資初心者層へ広く提供されるよう、助言対象を絞った投資助言業(例えば、つみたて NISA や iDeCo における投資可能商品に限定)の登録要件の緩和を、必要な監督体制 の整備と併せて検討する。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

現在、具体的な商品等に言及する投資助言をするためには金融商品取引法に基づいて投資助言業への登録が必要となっています。

特定投資家(プロ投資家)制度とは別件です。

しかし、投資助言業は少々ハードルが高いんですよ。

業務を開始するためには登録申請が必要で、営業保証金500万円を供託しておく必要があったりします。

それを新聞報道によると新枠でFPなには可能にするということらしいです。。。

個人的にはこの話危険な香りしかしませんのでやめたほうが良いと考えます。

なぜならファイナンシャルプランナー関連で過去にやばい話をいろいろ見てきたからです。

こちらの記事でまとめております。

第4の柱:雇用者に対する資産形成の強化

次は雇用者に対する資産形成の強化です。

中立的な認定アドバイザーの活用

雇用者が中立的な認定アドバイザーを活用する場合に企業から雇用者に対して助成を行うことを後押しする。また、既に一部の企業で実施されている雇用者向けの企業内インセンティブ・ポイントプログラム(雇用者に対して資産形成や関連サービスへの活用可能なポイントを配布するもの)の横展開を図る。さらに、企業内に設置される雇用者向けの資産形成の 相談の場において、中立的な認定アドバイザーを積極的に活用することを促す。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

前述の認定アドバイザーを企業が利用しやすくするって案ですね。

余裕がある大手しか難しそうですが・・・

企業による資産形成の支援強化

中小企業において職場つみたて NISA や企業型 確定拠出年金、iDeCo が広がるように、これらの制度の普及に取り組むとともに、必要な支援について検討を行う。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

つみたてNISAやiDeCoを企業側からも浸透させようという案です。

企業側にどれだけメリットがあるかっていうところでしょうね。



第5の柱:金融経済教育の充実

次は教育ですね。

安定的な資産形成の重要性の浸透

新たに令和6年中に金融経済教育推進機構(仮称)を設立する。その際、 日本銀行が事務局を担う金融広報中央委員会の機能を移管・承継するほか、 運営体制の整備や設立・運営経費の確保に当たっては、政府・日本銀行に加 え、全国銀行協会・日本証券業協会等の民間団体からの協力も得る。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

また無駄な組織を・・・としか思えません。

国民への働きかけ

新機構においては、個人が投資機会を身近に感じられるよう、つみたて NISA 等の制度に関する情報発信も含め、全世代向けに積極的な広報を展開する。 なお、機構の設立準備の段階から、協議会等により、国民への働きかけのた めの活動を、金融事業者等各参加者の適切な役割分担の下で行う。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

国民への働きかけはよいと思いますが、費用対効果はでるのでしょうか?

公的年金シミュレーターと民間サービスとの連携等

将来の年金受給見込み額を簡便に試算できる「公的年金シミュレーター」の試験運用を開始した。今後は、民間サービスとの連携を進展さ せることにより、民間事業者が運営するアプリ等で、簡便に自身の保有する 金融資産や将来の年金受給見込み額を参照できるようになり、また、保有資 産の分析・運用アドバイスなども、スマホ上で提供され、国民は簡便に資産 の管理・運用ができるようになる。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

これは良いと思います。

ただ、、今あるねんきん定期便やねんきんネットとはどう違うんでしょうかね。。。

第6の柱:世界に開かれた国際金融センターの実現

次は他所の国からお金を引っ張ってこようって話でしょう。

この日本の利点を最大限に活用し、 13 世界の成長資金を円滑に取り込んで提供し、アジア・日本の経済の発展に貢献する、「世界・アジアの国際金融ハブ」としての地位を、我が国が確立でき るチャンスが到来している。

出典:第3回資産所得倍増分科会 配布資料

これは良いと思いますが、実現可能性は???ってところですね。

第7の柱:顧客本位の業務運営の確保

最後は顧客本位の業務運営をしようってことです。

証券会社も銀行もどうしても自社の儲けを考えれば手数料が高い、信託報酬が高いような商品を勧めがちです。

そういう考え方を見直そうぜってことですね。

これは以前から金融庁がやっていますが、ある程度効果が出ている気もします。



まとめ

今回は「NISAの恒久化、非課税保有期間の無期限化など「資産所得倍増プラン」の内容が明らかに。」と題して資産所得倍増プランの具体的な内容について見てきました。

まだこの内容で決まったわけでもありませんし、金額や時期など具体的なところはありません。

NISAの恒久化、非課税保有期間の無期限化、iDeCoの枠拡大などはぜひ実現してほしいところです。

それと合わせて金融課税の強化などもありそうですが。。。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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