ネット銀行大手の住信SBIネット銀行が短期プライムレート引き上げを発表しました。
住信SBIネット銀行は17日、短期融資の基準となる短期プライムレート(短プラ)を0.1%引き上げて年1.775%にすると発表した。5月1日から適用する。短プラは変動型住宅ローン金利の基準で、同行で借りたローン金利は上がる可能性が高い
出典:日経新聞 住信SBI、短プラ上げ 変動型住宅ローン金利に上昇圧力
経済番組とかでもほとんど紹介されていませんが、このニュースはかなり大きな話だと個人的には捉えています。
とくに住宅ローンを変動金利で組んでいる方、これから家を買おうと思っている方にとっては大きな影響がありそうです。
今回は住信SBIネット銀行が短期プライムレート引き上げについて取り上げてみましょう。
短期プライムレートってなに?
まずは今回の話を理解するには短期プライムレートとはなにかを知っておく必要があります。
短期プライムレートとは以下のようなものとなります。
銀行が最優良の企業(業績が良い、財務状況が良いなど)に貸し出す際の最優遇貸出金利(プライムレート)のうち、1年以内の短期貸出の金利を「短期プライムレート」(略して「短プラ」)といいます。
出典:SMBC日興証券 初めてでもわかりやすい用語集 より
短期とは1年以内、プライムは「最優遇」を示します。
つまり、金融機関が優良な貸付先に1年以内の短期貸付をする際の金利ってことですね。
なお、この「短期プライムレート」は日銀の政策金利にほぼ連動する形となっています。
2009年以降ほとんど変わっていなかった
短期プライムレートは日銀のマイナス金利政策があったこともあり、2009年以降ほとんど変わっていません。
なお、短期プライムレートは金融機関ごとによって異なっており、下記の通り、最頻値、最低値は1.475%(最も多い利率)、最高値は1.725%と2009年以降は変わらずでした。
- 最頻値:1.475%
- 最高値:1.725%
- 最低値:1.475%
住信SBIネット銀行はいままで少し高めの1.675%でしたが、5月1日以降はこれを0.1%上げて年1.775%とします。
これで2009年以降ほとんど変わっていなかった「短期プライムレート」の最高値が更新されますね。
先日、マイナス金利政策が解除されたことでの影響ですね。
短期プライムレートと住宅ローンの関係
それでは次に短期プライムレートと住宅ローンのの関係について見ていきましょう。
実は金融機関等によってルールが異なっています。
多くの銀行の変動金利は短期プライムレート連動
まず、多くの銀行の住宅ローン(変動金利)は前述した短期プライムレートに連動しています。
この場合は短期プライムレートに少し上乗せした金利で各金融機関が住宅ローンの基準金利を設定します。
例えば三菱UFJ銀行の店頭表示金利は年2.475%です。
三菱UFJ銀行の短期プライムレートは年1.475%なのでちょうど1%を乗せたものとなっていますね。
商品で言えばこれが定価です。
そこから独自に定める優遇金利(値引きみたいなもの)である金利引下げ幅を引いて、借入金利を提示・決定しているのです。
ここは各社の方針が大きく左右するところです。
安くして顧客獲得狙うかどうかってところですね。
前述の三菱UFJ銀行(ずーっと一律優遇コース)なら店頭表示金利より 年▲2.05%~年▲2.13%としていますので、適用金利は年0.345%〜年0.425%ですね。(2024年4月時点)
独自ルールの金融機関も
短期プライムレートではなく独自ルールで住宅ローン金利を決定している金融機関もあります。
例えば、JAは拠点によりルールや金利が異なり、変動利率の住宅ローンでも「長期プライムレート」を採用している拠点があったりします。
その他、各社決定方法が異なっているケースがあるんですよ。
例えば楽天銀行の住宅ローンは以下のとおり決定されます。
新規ご融資基準金利は、市場金利等をもとに楽天銀行が決定し、毎月15日以降に、翌月分の基準金利を楽天銀行ウェブサイトでお知らせします。
出典:楽天銀行 商品詳細説明書
短期プライムレートではなくこちらは独自のルールですね。
ちなみに楽天銀行はマイナス金利政策が解除された4月から住宅ローンの金利を引き上げています。
3月に比べ0.027%高くして年1.233%にしたんですよ。
各社の住宅ローンの決まり方はこちらの記事でまとめておりますので合わせて御覧ください。
固定金利は影響を受けない
なお、住宅ローンでも固定金利は「新発の10年国債の利回り」が基準となっています。
つまりこれから発売する国債の金利ですね。
ですからマイナス金利の解除というのは直接は固定金利に影響は与えません。
住宅ローン変動金利への影響は?
それでは住宅ローン(変動金利)への影響は具体的にどうなるのでしょう?
これはまだ判明していないんですよ。
今回、住信SBIネット銀行が短期プライムレート引き上げを引き上げました。
つまり、これで言えるのは住信SBIネット銀行の住宅ローン金利の定価があがるだろうってことですね。
あとは販売戦略として行っている優遇金利(金利引下げ幅)をどうするのかということですね。
これによっては住信SBIネット銀行の住宅ローンの変動金利が変わることになります。
住信SBIネット銀行の4月時点の変動型住宅ローンの基準金利は2.775%で最優遇金利は0.298%となっています。
短期プライムレートと同じだけ上げるならば、基準金利は2.875%で最優遇金利は0.398%となりますね。
もし変動金利があがるなら、少し前に住宅ローンの変動金利が上がるわけないとか言っていた自称専門家もいましたのでその方にインタビューしてほしいところです笑
すでに住宅ローンが実行されている方への影響
ただし、すでに借り入れしている方の場合はすぐに影響があるわけではありません。
住宅ローンの基準金利は毎年4月1日と10月1日に見直しされていますので、変動金利を上げてそのまま維持なら10月から金利が上がる形ですね。
しかし、金利があがったとしてもすぐに毎月の返済額を増やすわけではありません。
多くの方が採用している元利均等返済の場合には、5年ルールという仕組みがあり、5年間は金利が上昇しても毎月の返済額が変わらないようになっているのです。
ただし、5年間は返済金額はそのままですが、金利どうり計算されるのです。
オーバーしてしまった分は未払利息として蓄積されていきます。
つまり、後回しにしているだけで5年ルールはあくまでも激変緩和措置に過ぎないのでご注意ください。
5年ルールについて詳しくはこちらの記事で解説しております。
メガバンクなど他行が追随するか?
もう一つ住信SBIネット銀行や楽天銀行に今後、他社が追随するのかも注目ですね。
2大ネット銀行が動いたのであとはメガバンクがどうするか。それによっては地方の銀行も動きそうです。
なお、住信SBIネット銀行の親会社SBIホールディングスは多くの地方銀行と提携関係にありますから、先にそちらが動く可能性もありそうです。
銀行としては住宅ローンの金利は上げたほうが儲かりますが、他行との比較で金利が上げると顧客獲得には不利ですからそことのにらみ合いですね。
まとめ
今回は「住信SBIネット銀行が短期プライムレート引き上げ。住宅ローンの変動金利は今後あがるか?」と題して住信SBIネット銀行の短期プライムレート引き上げについてみてきました。
今まで長い間金利の低い状況でしたが、今後は金利動向にも注目が必要となりそうです。
特に家など大きな金額のものを借り入れで買う場合には影響が大きいのでしっかり検討が必要でしょうね。
住宅ローン比較サイトなんかをつかうのもおすすめですよ。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。