先日、厚生労働省の第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会が開催されました。
これは厚生労働省の研究会でここでの議論を元に今後の社会保障、特に年金分野のルールが決められます。
その配布資料の中に大変興味深い内容がいくつかありましたのでご紹介したいと思います。この要望がすべて通るわけではありませんが、今後の年金関連の方向性をみるのには良い資料ですね。
特に個人的に注目したのは「個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金上限が引き上げ」を要請している点です。
なお、個人型確定拠出年金ってなに?って方はまずこちらの記事を御覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はかなりお得で良い制度です。その反面、株式投資などの資産運用などの経験がないとかなりわかりにくく難しい制度でもあります。そのため「お金に生きる」でもかなり力を入れて記事を書いてきました[…]
第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会
第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会は関係団体からのヒアリングとなっており、各団体から要望等が出されました。
その中から個人的に注目した内容を抜粋してご紹介します。
国民年金基金連合会の国民年金基金に関しての要望
まずは国民年金基金を管轄する国民年金基金連合会の要望から国民年金基金に対しての要望をみておきましょう。
なお、国民年金基金について詳しく知りたい方は下記の記事も合わせて御覧ください。
国民年金基金とは確定拠出年金(iDeCo)と同様に老後の生活に備えるための公的な制度です。この制度最大の特徴は税金面で様々な優遇措置が取られていることです。そのあたりも含め国民年金基金のメリット・デメリットをみていきましょう[…]
国民年金基金を第2号被保険者や第3号被保険者を加入可能としてはどうか
まず一つ目は国民年金基金を第2号被保険者や第3号被保険者を加入可能としてはどうかという要望です。現在、国民年金基金は第1号被保険者つまり、自営業者など厚生年金に加入していない方のみが加入できます。
それを第2号被保険者、つまり会社員の方
第3号被保険者、つまり会社員の配偶者の方
にも加入できるようにしてほしいとのことです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)ももともとは第1号被保険者のみの制度でした。それが2017年に第2号被保険者や第3号被保険者に解禁したことで爆発的に加入者が増加しましたね。それを目指しているのでしょう。
本音としては国民年金基金は過去の契約がかなり条件が良かったために準備金不足に陥ってしまっています。加入者を増やさないと解消できませんので第2号被保険者や第3号被保険者を対象としてそれをどうにかしたいのでしょうね。
国民年金基金の加入可能年齢を20歳未満、60歳以上も可能にしてはどうだ?
また、国民年金基金の加入可能年齢を20歳未満や60歳以上も可能にしたらどうだとの要望もでています。
これもおそらく国民年金基金の加入者を増やすための策ですね。
個人的な意見を言わしてもらうならば現在の国民年金基金はかなり不公平感の高い制度です。加入可能になる方を増やしてもそのあたりが解消されない限り加入者は大きく増えることはないと思います。まずはそこから改善すべきですね。昔加入した人は6.5%の利率、最近加入した方は1.5%の利率ではさすがに。。。
国民年金基金自体は年5%で運用できているのに1.5%では私なら絶対加入しませんね。
国民年金基金の掛け金の上限額を引き上げてはどうか
現在、個人型確定拠出年金(iDeCo)と合わせて月額68,000円が上限となっています。
その掛け金を引き上げてほしいとの要望ですね。
これが実現されるかどうかは国民年金基金や個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金上限を上げるとそれだけ所得税・住民税の節税が増えるということにもなりますのでそのあたりとのバランスでしょうね。
国民年金基金連合会の個人型確定拠出年金(iDeCo)に関しての要望
同じく国民年金基金連合会から、個人型確定拠出年金(iDeCo)の要望もでていますので見てみましょう。
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)ってなに?って方はまずこちらの記事からお読みください。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢を60歳以上に引き上げてはどうだ
国民年金基金の要望と同じく個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能年齢を60歳以上にしたらどうだとの要望です。
これは今後、厚生年金や国民年金の加入年齢の引き上げも検討されていますから妥当な内容ですね。
出所:厚生労働省「第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会」資料より
民間の保険なら60歳代の加入者23.2%もいるのに個人型確定拠出年金(iDeCo)はいないからね。ってのが根拠として提出されていますね。ただし、自分で特に運用指示を出さない民間の保険や国民年金基金と違って自分で運用しないといけない個人型確定拠出年金(iDeCo)であるってところは考える必要があるかもしれないと思います。
そのころに今と同じような判断ができるのかちょっと心配ですからね。
2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳となっています。多少ピークよりは下がっていますが、世界的に見てもトップとなっています、合わせて健康に暮らせる寿命「健康寿命」は女性が75.38歳、男性が72[…]
各種手続きについて効率化できるような仕組みを作ってはどうか
こちらは私も大賛成ですが個人型確定拠出年金(iDeCo)の仕組みや資格者区分が複雑で事務が複雑化しているから簡略化、合理化したりして手続きを効率的にできるようにしてほしいとの要望もでています。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は申込みしてから実際に運用できるようになるまで2ヶ月位かかりますからこれは早急に実現してほしいところです。
私はSBI証券で個人型確定拠出年金(iDeCo)をやっており、オリジナルプランからセレクトプランへの変更の依頼をしましたがかなり時間がかかっていますね。これもおそらくボトルネックは国民年金基金の作業にあると思われますからなんとかしてほしいところ。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金の上限額を引き上げてはどうか
国民年金基金と同様に個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金引き上げを要望されています。
現在の掛け金は国民年金基金と合わせて月額68,000円が上限。付加年金に加入していると月額67,000円が上限となっています。
出所:厚生労働省「第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会」資料より
実際に上限まで掛けている人は第1号被保険者で20%、第2号被保険者で企業年金なしで54%、企業年金ありで80%。第3号被保険者で52%とかなり多くなっています。
これは国民年金基金でも書きましたが所得税・住民税の節税効果による影響が大きいですからそのあたりをどう判断するかでしょうね。
日本経済団体連合会からの要望
次に日本経済団体連合会からの要望を見てみましょう。
確定給付企業年金の支給開始年齢の引き上げ
今後、高齢期の就労期間延伸に伴い、65歳を超えて勤務する人が増えるから年金払う年齢引き上げたらどうだとの意見ですね。
確定拠出年金の拠出上限引き上げ
こちらは企業型の確定拠出年金です。企業からすれば拠出限度額を引き上げできれば確定拠出年金一本で行けるってこともあるのでしょうかね。
確定拠出年金の加入可能年齢・受給開始年齢の拡大
これは企業型でも個人型でも同様ですが自由度をあげてくれとの要望です。国民年金基金連合会と共通する形となっています。
特別法人税の廃止
これは当然ですが現在凍結中の特別法人税を廃止してほしいとの要望も出ています。私もこれは強く要望したいです。
下記記事に書いたように凍結を解除することはないと思いますが、存在しているだけで気持ち悪いですからね・・・
企業年金連合会からの要望
次は企業年金連合会からの要望です。企業年金連合会はもともと厚生年金基金連合会ですね。
確定拠出年金の拠出限度額の拡大、加入年齢の上限の引き上げ
国民年金基金連合会や日本経済団体連合会と同じく拠出限度額と加入年齢の引き上げを要望しています。
確定拠出年金の受け取り方の選択についての検討
また、確定拠出年金の受取り方についての要望もあります。ポータビリティ面をもっとなんとかしろよってことですね。
これは本当にそう思います。転職先に確定拠出年金ないってことありえますからね。
出所:厚生労働省「第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会」資料より
まとめ
今回は「個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金上限拡大、加入可能年齢引き上げか?」と題して第二回社会保障審議会企業年金・個人年金部会から各団体の要望をみてきました。
この要望がすべて通るわけではありませんが、今後の年金関連の方向性をみるのには良い資料ですね。
元資料はこちらからご覧いただけます。
今回ご紹介した以外にも注目すべき提言などもでていました。興味ある方は御覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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